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サンフォードガイドNEWS
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| 2026年5月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
Douglas J Black, Pharm.D.
抗菌薬によるマイクロバイオームの破壊
- 現在までに得られたエビデンスでは,腸内マイクロバイオームはヒトの健康に関与していることが示されている。そして,抗菌薬は腸内マイクロバイオームを乱すことが知られている。
- Baldanziら(Nat Med 2026;32:1351)は,スウェーデンの3つの集団ベースコホート研究に参加した14,979人の成人から収集した糞便メタゲノムデータと,スウェーデン国立処方薬登録簿(NPDR)の個人レベルのデータを組み合わせることで,過去8年間の経口抗菌薬の使用と腸内マイクロバイオームの構成との関連性を調査した。
- NPDRは,スウェーデンの外来患者に処方されたすべての抗菌薬およびその他の処方薬を網羅している。研究者らは抗菌薬を,テトラサイクリン系,広域スペクトルペニシリン系(スウェーデンではアモキシシリンとピブメシリナムのみ),β-ラクタマーゼ感受性ペニシリン系(ペニシリンVのみ),β-ラクタマーゼ耐性ペニシリン系(フルクロキサシリンのみ),β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系(アモキシシリン・クラブラン酸のみ),セファロスポリン系,ST,マクロライド系,リンコサミド系(クリンダマイシンのみ),フルオロキノロン系,ニトロフラントインという11のグループに分類した。処方期間は,糞便採取前1年未満,1年以上4年未満,4年以上8年未満の3つの期間に分けられた。
- 3つの注目すべき研究結果がある。
- 糞便採取の1年未満前の抗菌薬使用は,多様性の低下および種の個体数の変化と最も強く関連していたが,糞便採取の1~4年前および4~8年前の抗菌薬使用でも同様の関連性が認められた。
- これらの関連性はおもに3つの抗菌薬クラス,すなわちリンコサミド系(クリンダマイシンなど),β-ラクタマーゼ耐性ペニシリン系(フルクロキサシリンなど),およびフルオロキノロン系に関連していた。糞便採取の4~8年前のこれらの抗菌薬クラスの使用は,調査対象菌種の10~15%の個体数の変化と関連していた。ペニシリンV,アモキシシリン,ピブメシリナム,およびニトロフラントインは,ごく少数の菌種とのみ関連していた。
- 糞便採取の4年未満または4~8年前にテトラサイクリン,フルクロキサシリン,フルオロキノロン,クリンダマイシン,ST,セファロスポリン,またはマクロライドの単剤投与を受けた場合,腸内細菌叢の多様性が低下することが示された。
- 抗菌薬の種類によって腸内細菌叢との関連性が異なるのは,抗菌スペクトルや薬物動態の違いに起因する可能性がある。
- 要約すれば,抗菌薬が腸内細菌叢に及ぼす影響は数年間持続する可能性がある。特にクリンダマイシン,フルオロキノロン系薬剤,フルクロキサシリンは大きな影響を与える。
抗微生物薬適正使用
薬剤師主導の服薬調整におけるPEN-FASTの活用
- 2つの地域病院で実施された新たな後ろ向き研究で,抗菌薬の適応に関わらず,成人患者における薬剤師主導の服薬調整において,低リスクのペニシリンアレルギーを特定するためのPEN-FASTツールの使用が報告されている。
- PEN-FASTは,正式なアレルギー検査を必要としない低リスクのペニシリンアレルギーを特定するために用いられる,検証済みのツールである。スコアが0~2の場合,ペニシリンアレルギー検査で陽性となるリスクが非常に低いことを示し,直接経口負荷試験とアレルギーの除外診断が可能になる。施設1の薬剤師は,ペニシリンアレルギーが確認されている患者の服薬調整において,救急外来(ED)と入院病棟の双方でPEN-FASTスコアリングを使用した。施設2では,このツールは救急外来でのみ使用された。
- 薬剤師がPEN-FASTを用いて服薬調整を行った95人の患者のうち,74%はスコアが3未満で低リスクのアレルギーと分類され,56人はスコアが0であった。しかし,低リスクの患者のうち,医療記録からアレルギーが除外診断されたのはわずか10%であった。本研究の結果は,PEN-FASTを用いて低リスクのペニシリンアレルギー患者を特定することの実用性を示すとともに,アレルギーの除外診断や直接的な経口ペニシリン負荷試験を妨げる障害を明らかにしている。抗菌薬適正使用チームは,低リスクのアレルギー患者を特定するために,薬剤師主導のPEN-FASTツールの使用の導入を検討すべきである。Am J Health Syst Pharm. 2026 Apr 25:zxag129. doi: 10.1093/ajhp/zxag129. Epub ahead of print. PMID: 42033754
HIV-1治療のための新たな合剤
- ドラビリン・イスラトラビル(イドビンソ)は,成人におけるHIV-1感染症の治療のための完全なる2剤併用療法です。ウイルス学的抑制(HIV-1 RNA <50コピー/mL)が安定しており,ウイルス学的治療失敗の既往がなく,ドラビリン耐性に関連した薬剤変更の記録がない患者において,現在の抗レトロウイルス療法に代わるものとしてFDAの承認を受けている。ドラビリンは,逆転写酵素(RT)の非競合阻害によりHIV-1の複製を阻害するNNRTIである。デオキシアデノシン類似体であるイスラトラビルは,初のヌクレオシド逆転写酵素転座阻害剤(NRTTI)であり,複数のメカニズムを介してRTを阻害する。通常の服用量は,1日1回1錠で,食事の有無にかかわらず服用する。各錠剤にはドラビリン100mgとイスラトラビル0.25mgが含有されている。薬物相互作用の懸念はある。ドラビリンはCYP3Aの基質であり,イスラトラビルはリン酸化と活性化にデオキシシチジンキナーゼ(dCK)を必要とし,おもにアデノシンデアミナーゼ(ADA)によって代謝されて不活性なデオキシイノシン代謝物を形成する。
新規または改訂されたガイドライン
- アジア小児腎臓学会(AsPNA)の感染性糸球体腎炎の管理に関する臨床診療ガイドライン(Pediatr Nephrol 2026;41:1867)。Staphylococcus関連糸球体腎炎(GN),心内膜炎関連腎炎,シャント腎炎などの特定のサブタイプについて解説している。急性糸球体腎炎のその他の病因については触れていない。
- 英国性感染症・HIV協会(BASHH)のMycoplasma genitalium感染症の管理に関する国内ガイドライン,2025年版(Int J STD AIDS 2026;37:576)。このガイドラインは,2018年に発行されたガイドラインの改訂である。PDF版が利用可能。
予防接種
- CDC ACIP予防接種基本スケジュール2025年版は,ACIPが公表したエビデンスに基づくGRADEを完全に反映したものであり,引き続き有効である(cdc.govを参照)。その他のスケジュールについては、当サイトの予防接種基本計画を参照。
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| 2026年4月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
Brian S. Schwartz, M.D.
Clostridioides difficile感染再発予防のためのバンコマイシン初期斬減療法
- Clostridioides difficile感染症(CDI)の再発の定義は,一般的に初回治療後8週間以内に下痢が再発し,かつ確定診断検査で陽性となる場合とされ,患者の約20%にみられる。再発率は,発症回数が増えるにつれて上昇する。再発性CDIの治療は,非常に困難で費用も高額になることで知られている。
- McDonaldら(JAMA Netw Open 2026;9:e2560495)は,TAPER-V試験の結果を報告している。これは,カナダの12の病院で実施された多施設共同二重盲検ランダム化試験で,初回発症または初回再発の成人患者において,初回4週間のバンコマイシン・パルス療法と漸減療法を併用した場合,2週間のバンコマイシン・パルス療法単独の場合と比較して,CDIの再発率が低下するかどうかを評価したものである。参加者全員が,まずはバンコマイシン125mgを1日4回・14日投与され,その後,バンコマイシンを漸減投与する群またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は56日目までのCDI再発であった。
- 被験者採用の困難により試験は早期中止となり,最終解析には計画していた500例ではなく265例が含まれた。56日目の時点で再発が認められたのは,バンコマイシン漸減投与群14.8%,対照群17.7%,調整相対リスクは0.84,95%ベイズ信頼区間は0.48~1.45,優越性の事後確率は73.8%であった。しかし,38日目には,バンコマイシンを漸減投与した群では再発率が6.7%と低く,対照群の15.4%を上回った。一方,90日目には明らかな効果は消失し,再発率はそれぞれ17.0%と18.5%となった。副作用はまれで,両群間で同様であった。
- 無作為化二重盲検プラセボ対照試験というデザインは大きな強みであるものの,結果の解釈には注意が必要である。早期中止のため試験の検出力は低く,56日目の主要評価項目は明確に肯定的な結果とは言えなかった。より強いシグナルは副次的評価項目である38日目に現れており,介入は再発を予防するのではなく遅延させた可能性を示唆している。この結論は,カプラン・マイヤー曲線の乖離が徐々に縮小し,90日目までに差が見られなくなったことからも裏付けられる。総合的に見ると,これらの結果は持続的な臨床効果ではなく,一時的な効果を示唆している。
- 実際には,バンコマイシンの初期漸減投与は安全であり,早期再発を減少させる可能性があるが,本試験では再発の長期的な予防効果は明確に示されていない。したがって,可能ならばフィダキソマイシンを第一選択薬として用いるべきである。もっともバランスの取れた結論は,バンコマイシンの漸減投与は一部の患者において再発を遅らせることで短期的な利点をもたらす可能性があるが,持続的な効果を証明するには十分なエビデンスがないということである。
RSウイルスワクチン
新規または改訂されたガイドライン
抗微生物薬適正使用
在宅入院プログラムにおける抗微生物薬適正使用
- 米国感染症薬剤師協会(Society of Infectious Diseases Pharmacists)のためのレビュー論文では,在宅入院(Hospital-at-Home:HaH)プログラムにおける抗微生物薬適正使用(AMS)の役割が解説されている。
- 急性期医療現場で用いられるAMS介入のほとんどはHaHモデルにも適用可能だが,状況によっては新たなプロセスの開発が必要となることがある。たとえば,診断や医療従事者の対応時間によっては,抗菌薬レジメンの迅速な変更が困難になることある。
- 患者がHaH環境へ移行することで,抗菌薬レジメンを再評価し,最適化の機会を見出すことができる。その他の介入としては,経口薬への切り替え,1日1回投与,持続点滴など,在宅での通院頻度を減らす処方の推奨が挙げられる。
- AMSプログラムでは,外来医療現場で用いられる報告指標をHaHモデルに合わせて調整したり,HaHモデルで最も一般的に治療される疾患に焦点を当てたりする必要があるかもしれない。
- 抗微生物薬適正使用チームは,HaH患者へのサービスを拡大する際に,本論文の推奨事項を採用することを検討すべきである。JACCP 9,no. 3 (2026): e70185,
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| 2026年3月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
Michael S. Saag, MD
複雑な抗レトロウイルス療法を管理する:「戦うよりは切り替える方がまし」
- ウイルス抑制状態にあるHIV感染者(PWH)において,抗レトロウイルス(ARV)療法の切り替えは,よく行われることである。
- 1990年代から2000年代初頭にかけて治療を受けたPWHの多くは,既存のARV剤に対する耐性獲得変異(RCM)による治療失敗を複数回にわたり経験している。
- その結果,これらの患者はRCMをカバーするために設計された複雑な抗レトロウイルス療法(ART)を受けることになった。
- ここ数年,さまざまなARV類から強力な新薬が開発され,これらの複雑な治療法をより服用しやすいものに簡素化できる可能性がでてきた。
- Orkinらは,新規単剤錠剤療法であるビクテグラビル・レナカパビル(BIC/LEN)の有効性を,奏功している複数の錠剤を組み合わせた複雑な処方を継続した場合と比較評価した(Lancet 2026年2月25日:S0140-6736(26)00307-7)。
- 複雑な治療処方を受けている患者は,1日1回経口投与のBIC/LEN(75mg/50mg)錠を服用する群と,現在の複雑な治療処方を継続する群に2対1の比率で無作為に割り付けられた。主要評価項目は,48週間の治療後,HIV-1 RNA<50コピー/mL未満に維持する点において,BIC/LENが現在有効とされる治療処方継続に対し,非劣性であるかを検証することであった。
- 557名の参加者のうち,371名がBIC/LEN群に割り付けられ,186名が現在の治療処方を継続する群に無作為に割り付けられた。BIC/LENは著しく良好な結果を示し,48週時点でHIV-1 RNA値が50コピー/ml以上(治療失敗)となったのは,BIC/LEN投与群ではわずか3名(1%)であり,現在の治療レジメンを継続した群では2名(1%)であった(群間差-0.3%,95%信頼区間-2.3% to 1.8%)。これらの結果は非劣性基準(4%)を満たし,有害事象に有意差は認められなかったが,BIC/LEN群の方が全体的な満足度が高かったことが報告された。
- 他の多くの無作為化「切り替え」試験でも同様の結果が得られているが,BIC/LEN試験では登録基準がゆるやかであり,「実世界」の状況に近いものとなっている。
- 複雑な多剤併用療法のアドヒアランス維持に苦労している患者の大多数は,抗レトロウイルス薬(ARV)治療経験が長く,高齢で,複数の併存疾患を抱えているか,何らかの腎機能障害を抱えている。Orkinらの論文の図2は,治験参加者が治験開始時に受けていた複雑な治療法の多様性を示している。
- 全体として,この研究は,複雑な治療法を継続することに奮闘している治療経験豊富なHIV感染者(PWH)のためのARV療法の選択肢を拡大するうえで,大きな進歩を示している。1960年代から1970年代にかけて,米国ではTareytonたばこの広告キャンペーンで「Tareyton喫煙者は,切り替えるより戦うことを選ぶ」というスローガンが使われていた。ARV治療経験豊富なPWHの管理においては,大多数の患者は,HIV治療の効果を維持するために,複雑な多剤併用療法のアドヒアランス維持に苦闘し続けるよりも,よりシンプルな単剤ARV療法に切り替えることを選ぶだろう。この新しい研究結果により,多くのHIV感染者とその医療従事者は,新しい経口単剤療法に切り替えてよいというお墨付きを得られることになる。
予防接種に関する最新情報
- 予防接種に関する最新情報は,本サイトの「ワクチン接種-海外渡航,ルーチン,概説」でみることができる.主な専門団体(AAP,AAFP,ACOG,IDSA)のガイドラインへのリンクも更新されている。
新規または改訂されたガイドライン
新製剤:プレジコビックス小児用経口懸濁液錠
- ダルナビル600mg+コビシスタット90mg含有のフィルムコーティング錠。3歳以上,体重15kg以上25kg未満の小児患者に適応。
- 調製方法:錠剤を30mLの水に溶かし,直ちに服用。調製液は赤紫色になる。必ず全量を服用すること。錠剤は砕いたり,噛んだり,飲み込んだりしない。
抗微生物薬適正使用
中耳炎における治療期間の改善
- 最近の研究論文では,プライマリケアまたは救急外来を受診した急性中耳炎(AOM)の小児における抗菌薬治療期間の改善を目的とした電子カルテ(EMR)介入が報告されている。
- この介入の目標は,2歳未満の小児では10日間,2歳以上の小児では5~7日間の抗菌薬処方の割合を向上させることであった。アモキシシリンおよびアモキシシリン/クラブラン酸の抗菌薬処方パネルは,患者の適応症と年齢に基づいて,推奨される投与量,投与頻度,および治療期間を初期設定とするように設計された。
- この処方パネルの使用は,ガイドラインに準拠した治療期間の処方の割合の増加と関連していた(90.2% vs. 56.1%,p <0.001)。この改善は,2歳以上の小児でもっとも顕著であった(85.2% vs. 26.3%,p <0.001)。
- 抗微生物薬適正使用チームは,治療期間に関するガイドライン推奨事項を促進するために,電子カルテのオーダーパネルの使用を検討してよい。JAMA Netw Open. 2026 9(2):e2560066.
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| 2026年2月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
Henry F. Chambers, MD
メチシリン感受性Staphylococcus aureusには抗Staphylococcusペニシリンかセファゾリンか?
- メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)による菌血症の治療には,抗Staphylococcusペニシリンとセファゾリンのどちらが効果的か?観察研究(Ther Adv Infect Dis 2025;12:20499361251384146;Clin Microbiol Infect 2025;31:1272)では,両者の有効性は同等であり,後者の方が忍容性が高いことが示唆されている。しかし,これらの見解を裏付ける,あるいは反証するランダム化比較試験はこれまでは存在しなかった。 Burdetら(Lancet 2025;406:2349)は,フランスの21の医療センターにおいて,MSSA菌血症患者をセファゾリン(25~50 mg/kg静注8時間ごと,最大6g/日)またはCloxacillin(25~50 mg/kg静注4~6時間ごと,8g/日~最大12g/日)を投与する群に割り付け,非盲検・非劣性ランダム化比較試験を行った。血管内インプラントまたは中枢神経系感染の疑いのある患者は除外した。非劣性マージンは12%だった。
- 主要有効性アウトカムは,3日目(心内膜炎の場合は5日目)の無菌血液培養,菌血症無再発または死亡回避,臨床的奏功(ランダム化後90日目に評価された感染の徴候および症状の消失と定義)の複合とした。各群のITT(intention-to-treat)集団には146名の参加者が登録された。参加者の30%が免疫抑制の基準を満たし,16%が薬物治療を必要とする糖尿病,8%が人工関節を装着しており,注射薬使用歴のある参加者はわずか3%であった。もっとも多くみられた感染症は,カテーテル関連(37%),原因不明の菌血症(30%),骨または関節の感染症(25%),皮膚および軟部組織の感染症(22%)であった。尿路感染症,呼吸器感染症,深部膿瘍,および心内膜炎の罹病率は8%以下であった。
- ITT集団における主要複合アウトカム(セファゾリン群109名(75%),Cloxacillin群108名(74%))およびすべての副次的有効性アウトカムにおいて,セファゾリンはCloxacillinに対して非劣性を示した(95%信頼区間 -11 to 9)。また,すべての副次的有効性アウトカムにおいても,セファゾリンはCloxacillinよりも忍容性が良好であった。7日目までの重篤な有害事象は,14例/146例 vs. 30例/146例(p=0.009),7日目までの急性腎障害(AKI)は1例/134例 vs. 15例/128例(p=0.0002),試験治療終了時のAKIは4例/111例 vs. 19例/99例(p=0.0008)であった。
- 非劣性試験のため,MSSA菌血症に対するより効果的な治療法(抗Staphylococcusペニシリンまたはセファゾリン)がどれであるかを結論付けることはできない。また,(登録された参加者数が少ないため)心内膜炎やより重篤または複雑な感染症などの特定の感染症に対してどちらがより効果的であるかを結論付けることもできない。
- 抗Staphylococcusペニシリンが望ましい可能性がある症例の一つは,心内膜炎などの高inoculum感染症の初期治療である。セファゾリンは,抗Staphylococcusペニシリンに比べて,一部のStaphylococcusβ-ラクタマーゼサブタイプ(A型およびC型)による加水分解に対して安定性が低い。in vitro試験では,これはinoculum effectとして現れ,標準inoculum(105 CFU/mL)では最小発育阻止濃度(MIC)は感受性範囲内であるが,100倍のinoculum(107 CFU/mL以上)では16 μg/mL以上になる。症例報告やin vivoモデル(Antimicrob Agents Chemother 2009;53:3437;J Antimicrob Chemother 2025;80:1287;Infect Dis Ther 2026;15:417)では,inoculum effectと治療失敗との関連を示唆しているものの,決定的な結論にはほど遠い。
- セファゾリンとCloxacillinを比較したこの無作為化試験は,inoculum effectともっとも強く関連するA型ブドウ球菌β-ラクタマーゼを産生する菌株において,Cloxacillinとセファゾリンの転帰に差があるかどうかを評価することにより,inoculum effectの問題に光を当てる機会となった。残念ながら,結果は決定的なものには至らなかった。セファゾリンはCloxacillinに対して,A型β-ラクタマーゼ産生S. aureus株の参加者において,いかなるアウトカムにおいても非劣性は示されなかった(90日目までに再発が認められなかったことを除く)が,その数が少なすぎるため,堅牢な評価は不可能である。さらに,A型β-ラクタマーゼ産生S. aureus株に感染した参加者における微生物学的治療失敗率は,6例/58低(10%)であったのに対し,A型β-ラクタマーゼ非産生菌株に感染した参加者では9例/194例(5%)であり,統計的に有意差は認められなかった(p=0.12)。
- 要約すると,セファゾリンとCloxacillinの有効性は全体的に極めて類似しており,いずれの点においてもレッドフラグはみられず,セファゾリンと抗Staphylococcusペニシリンはおそらく互換性があることを示す,かなり大規模な観察的エビデンスを裏付けるものであった。セファゾリンがCloxacillinよりも明らかに優れていたのは安全性であり,有害事象およびAKIの発生率が有意に低かった。現時点では,抗Staphylococcusペニシリンがセファゾリンよりも有効性において主に理論的な優位性を持つこと,そして後者を支持する明確な安全性シグナルがあることを考えると,多くのMSSA菌血症患者にとってセファゾリンはより良い選択肢となる可能性がある。
新規または改訂されたガイドライン
チクングニア熱ワクチンの最新情報
- Valnevaは,米国食品医薬品局(FDA)がチクングニア熱ワクチン*(IXCHIQ)の生物学的製剤承認申請(BLA)を2025年8月に審査中断としたことを受け,米国でのBLAおよび治験薬(IND)申請を自主的に撤回した。このワクチンは米国以外では引き続き広く入手可能。
- 非生組換えウイルス様粒子ワクチンであるVimkunyaは,2025年2月にFDAにより12歳以上を対象に承認されており,引き続き入手可能。
抗微生物薬適正使用
抗菌薬De-Escalation
- 新たに発表されたターゲット試験エミュレーション研究では,市中発症敗血症患者における抗菌薬De-Escalationの臨床的影響を評価した。
- この研究では,多剤耐性菌の所見がない患者を対象に,入院4日目における抗MRSA抗菌薬および抗Pseudomonas抗菌薬のDe-Escalationを評価した。De-Escalationを受けた患者と,広域スペクトル抗菌薬療法を継続した患者を比較し,主要評価項目である90日死亡率を評価した。
- 加重解析に基づくと,90日死亡率は両群で同程度であった。院内死亡率,30日死亡率,院内死亡率またはホスピス退院の複合,およびClostridioides diffecile感染症については,両群に差は認められなかった。
- 抗MRSA療法および抗Pseudomonas療法のDe-Escalationは,ともに抗菌薬投与日数の減少および入院期間の短縮と関連していた。抗Pseudomonas薬のDe-Escalationは,90日以内の再入院率の低下と関連していた。臨床的に安定した患者においては,抗MRSA薬のDe-Escalationは90日以内の死亡率の低下と関連していた。
- 抗微生物薬適正使用チームは,本研究のデータを用いて,市中発症敗血症で入院した患者における抗菌薬療法の安全なDe-Escalationに関するガイドラインの推奨事項を強化することを検討してもよいだろう (JAMA Intern Med 2026;186:192)。
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| 2026年1月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)呼吸器ウイルスの検査で陽性となった CAP 患者には,経験的抗菌薬治療をルーチンに行うべきか?Henry F. Chambers, MD
- 2025年版米国胸部学会(ATS)市中肺炎(CAP)の診断と管理に関する臨床診療ガイドライン(Am J Respir Crit Care Med 2025 Jul 18 [online ahead of print])には,併存疾患を有する成人外来患者,または呼吸器ウイルス検査で陽性となった非重症CAPの成人入院患者に対して,抗菌薬経験的治療を行う条件付きでの推奨が含まれている。米国感染症学会(IDSA)は,これらの2つの推奨における経験的抗菌薬使用はエビデンスに基づかず,有益性よりも有害性の方が大きい可能性があり,抗生物質の過剰使用を増加させる可能性があるという懸念から,ATSガイドラインの承認を却下した(Clin Infect Dis 2025 Dec 4:ciaf625 [online ahead of print])。
- Biebelbergらが実施した,CAPの疑いがあり呼吸器ウイルス検査で陽性となった18歳以上の入院患者を対象としたレトロスペクティヴ研究の結果(Clin Infect Dis 2025 Dec 11:ciaf687 [online ahead of print])は,呼吸器ウイルス検査で陽性となったCAPの疑いのある患者に経験的抗菌薬を処方するかどうかを医師が判断する上で大いに必要となる情報を提供するものである。きわめて短期間の抗生物質治療(0~2日間)を受けた1720名の患者と5~7日間治療を受けた894名の患者を比較した傾向加重分析では,入院期間(11.7日間 vs 11.1日間),院内死亡率(9.5% vs 9.8%),48時間後のICU入院率(28.3% vs 28.2%),30日間の無入院日数(16.9 vs 17.0%),90日以内のC. difficile感染症(0.4% vs 0.4%),14日以内の急性腎障害(10.0% vs 11.6%)と,いずれも有意差は認められなかった。特定のウイルスの種類を調査し,抗菌薬短期治療のカットポイントを0日間/0~1日間と5~7日間で比較したところ,プロカルシトニン値が高かった患者(これらの患者は主要分析から除外)を含めた感度分析でも同様の結果が得られた。
- この研究の結果は,呼吸器系ウイルス検査で陽性反応を示したCAP入院患者(さらには外来患者)に,ルーチンに抗生物質を処方することの妥当性を否定するものである。呼吸器系ウイルス検査で陽性反応を示したCAP患者のほとんどは,細菌性重複感染を呈していない。抗菌薬を処方するか否かを決定する際には,病状の重症度,臨床所見および検査所見(細菌性重複感染の有無)を考慮した個別的なアプローチが安全であると考えられる。
最近承認された薬剤
- Zoliflodacin(Nuzolvence)は,12歳以上(体重35kg以上)の患者における単純性泌尿生殖器淋病の治療に適応のある,最初のスピロピリミジントリオン系抗菌薬である。Zoliflodacinはフルオロキノロン系薬と同様に細菌のII型トポイソメラーゼを標的とするが,その作用機序はフルオロキノロン系薬と交差耐性を抑制するという点で異なっている。本剤は一般的に忍容性が高い。妊娠可能な女性の場合,胎児への悪影響の可能性(動物実験に基づく)があるため,治療開始前に妊娠検査を実施する必要がある。ZoliflodacinはCYP3A4の基質であるため,中程度または強力なCYP3A4誘導剤との併用は推奨されない。推奨用量は1回3g経口投与。入手可能な製剤:経口顆粒3g入りパケットである。
- Gepotidacin(Blujepa)*は,以前は単純性尿路感染症の治療薬として承認されていたが,現在では,12歳以上(体重45kg以上)で,代替治療選択肢が限られているか,または選択肢が全くない患者における単純性尿路性器淋病の治療薬としても承認されている。淋病に対する推奨用量は3000mg経口12時間ごと・2回投与。
新規または改訂されたガイドライン
抗微生物薬適正使用迅速血液培養診断介入
- 最近の研究において,迅速診断検査(RDT)と組み合わせた抗微生物薬適正使用(AMS)介入の実現可能性,受容性,および適切性が評価された。RDTは,小児病院において,グラム染色でグラム陽性菌が検出された最初の血液培養に対して実施された。
- この介入では,AMSチームが24時間365日,RDT結果にリアルタイムで対応した。オンコールのAMS臨床医または研修医には,自動電子カルテアラートを通じてRDT結果が通知された。結果と個々の患者の要因を検討した後,AMSメンバーは臨床医に電話で連絡し,推奨事項を伝えた。RDT結果と重症度に基づいた推奨事項と投与量については,標準化されたガイダンスが使用された。また,臨床医向けに新しいプロセスについて説明するための教育セッションも実施された。
- 最適な抗菌薬治療までの時間は,介入前の20.3時間から介入後1.3時間に短縮された(p=0.002)。各介入期間で,入院期間,菌血症の持続期間,死亡率に差は認められなかった。AMSチームは,介入の半数以上(125例中72例)で投与中止を推奨し,中止を推奨した薬剤の中で最も多かったのはバンコマイシンだった。推奨は94%の症例で受け入れられた。
- AMSチームは抗菌薬療法までの時間を最適化するために,RDTと組み合わせた同様の介入を検討することができる。Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 2025 Nov 26;5(1):e313. doi: 10.1017/ash.2025.10225.
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| 2025年12月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
Michael S. Saag, MD
- 世界エイズデー(12月1日)を記念し,今月の特集は「HIV/AIDSパンデミック:私たちは今どこにいるのか?」である。9月に発表されたこの論説(AIDS 2025;39(11):1497-1504)において,Chris Beyrerらは,世界的なHIV/AIDS対策がここ数十年で最も深刻な危機に直面していると警鐘を鳴らしている。具体的には,以下の点を問題としている。
- 抗レトロウイルス療法の世界的な普及と曝露前予防(PrEP)の利用可能性は向上したが,UNAIDSの目標達成に向けた進展は停滞している。
- HIV感染率は依然として高いままである。
- 治療格差は依然として存在している。
- 予防可能なはずだった死亡が続いている。
- 米国の対外援助プログラム(特にUSAID)が突然に停止したことにより,過去20年間にわたり世界中の社会的弱者を支援するために設立されてきたサービス提供プログラムが混乱をきたしている。
- この論説では,目標未達につながった根本的な構造的,制度的,政治的,そしてプログラム上の欠陥を検証し,以前は順調に機能していたプログラムが,米国の対外援助プログラムの突然かつ壊滅的な停止によってもたらされた脅威について強調している。
- Beyrerらは,世界的な分極化が進み,公衆衛生予算が縮小するなかで前進するには,新たな政治的意思,改革,そして持続可能な資金調達へのコミットメントが必要だと主張しています。
- Beyrerとそのチーム(Ratevosian,Beyrer, Chola,ら)は,編集レビューに続いて,2025年12月4日付のNew England Journal of Medicine誌にPerspective論文を掲載した(N Engl J Med 2025;393(22):2180-82)。この論文では,現政権の「アメリカ第一主義のグローバルヘルス戦略」に特に焦点を当てている。この戦略は,米国「本土」における取り組みを優先し,アウトブレイクから国を守りつつ経済を活性化し,科学的イノベーションを世界に発信することを目標としている。この計画では,最前線の医療従事者と物資への資金を6ヵ月間,現状のレベルに維持することを約束している。この戦略では,橋渡し期間終了後,支援対象国71カ国との複数年にわたる二国間協定を締結することを提案しており,協定締結は2025年12月31日まで(!),実施は2026年4月を目標としている。
Ratevosianらは,この計画によって世界の保健医療の進歩が脅かされる危険性を指摘している。彼らは建設的な提案を行い,米国に対し,現在約60%を間接費に費やしている米国の保健援助の提供効率向上に注力するよう促している。重要な提案のひとつは,ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と統合された国家システムへの移行である。特にPEPFARは,資金を中核サービスの提供に重点化し,間接費を削減することで,より効率的になるだろう。さらに彼らは,アウトブレイクが「アメリカ本土に到達したり,海外在住のアメリカ人に被害を与えたりすること」を防ぐという米国の戦略目標は,二国間協定だけでは不十分であると主張している。グローバル・サウス主導の地域機関への支援を強化することで,多国間協調のメリットを維持しながら,説明責任の共有と効率性の向上を図ることができるだろう。
これら 2 つの記事は,特に世界保健とHIV/AIDSパンデミックに関心のある人にとっては「必読」である。
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介護施設における抗微生物薬適正使用
- 介護施設における感染予防・管理(IPC)に関する最近発表されたガイダンスには,抗微生物薬適正使用(AMS)に関するセクションが含まれている。そこでは,感染予防専門医,臨床リーダー,薬局の連携によるAMSプログラムの実施が推奨されている。
- AMSプログラムの効果的な戦略には,抗菌薬使用プロトコル,抗菌薬使用のモニタリング,処方者からのフィードバック,スタッフと医療提供者への教育,そしてスタッフ相互の比較検討が含まれる。ケアの移行期間中は,抗菌薬の適切性と治療期間を評価するために,薬剤レビューを実施する必要がある。介護施設は,AMSプログラムを補完するために,地域の病院や感染症専門医との提携を検討してもよいだろう。モニタリングの指標としては,毎月の治療日数や抗菌薬開始日数などが推奨される。
- 介護施設および熟練看護施設は,このガイダンス文書の推奨事項を取り入れ,AMSプログラム取り組みの強化を検討すべきである。Infect Control Hosp Epidemiol. 2025 Oct 28;46(11):1-28.
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| 2025年11月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
要約:Michael S. Saag, MD
2024~2025年度COVID-19ワクチンと米国退役軍人におけるCOVID-19転帰との関連性(N Engl J Med 2025;393:1612)
- VAシステム所属の退役軍人を対象とした大規模観察コホート研究(2024年9月3日~12月31日)。
- 164,132人の参加者がSARS-CoV-2ワクチンとインフルエンザワクチンを同時に接種した。
- 対照群:インフルエンザワクチンのみを接種した131,839人の参加者。
- 追跡期間:180日間,またはCOVID-19の症状/事象の初回発現まで。
- COVID-19ワクチン接種について,以下の結果が示された。
- COVID-19関連の救急外来受診に対する有効性は29.3%(95%信頼区間:19.1~39.2)。
- COVID-19関連の入院に対する有効性は39.2%(95%信頼区間:21.6~54.5)。
- COVID-19による死亡に対する有効性は64.0%(95%信頼区間:23.0~85.8)。
- COVID-19ワクチンは,主要な併存疾患の有無および免疫機能状態別に事前に分類されたサブグループ(年齢65歳未満,65~75歳,>75歳)のいずれにおいても,すべての転帰のリスク低下と関連していた。
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- 2024-2025年mRNAワクチン(JN.1変異株のKP.2株)接種者におけるCOVID-19の転帰に関する個人レベルのデータ
- ネブラスカ州電子疾病監視システムに登録されているネブラスカ州の180万人。
- ワクチンの有効性
- 症候性感染症に対しては44.7%(95%信頼区間:37.7~50.9)。
- 救急外来受診に対しては45.1%(95%信頼区間:28.9~57.6)。
- 入院または死亡に対しては57.3%(95%信頼区間:42.6~68.1)。
- すべての転帰において,ワクチン接種後4週間でピーク効果が観察された。
- 症候性感染症に対する防御率は,20週目までに16.7%(95%信頼区間:8.4~24.2)に低下した。
- 救急外来受診に対する防御率は,20週目までに39.1%(95%信頼区間:13.4~57.2)に低下した。
- 入院または死亡に対する防御率は,20週目までに34.0%(95%信頼区間:7.0~53.1)に低下した。
- この研究により,最近のオミクロン変異株に対するSARS-CoV-2ワクチン接種の有益性が確認され,ワクチン接種を受けた人々の入院/死亡に対する防御効果が強調された。
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最近承認された医薬品
- ホスホマイシン二ナトリウムは,既に複数の国で市販されているが,感受性のあるE. coliおよびK. pneumoniaeによる成人の複雑性尿路感染症(腎盂腎炎を含む)に対する静注治療薬として,2025年10月に米国FDAの承認を得た。ホスホマイシンは,ペプチドグリカン合成における最初の反応段階を触媒するMurA(UDP-N-アセチルグルコサミン-エノールピルビルトランスフェラーゼ)を阻害する。米国製品の推奨用量:6g静注(1時間以上かけて)8時間ごと・最大14日。本剤は14.3mEq(330mg)/gという高ナトリウム含有量が特徴で,高ナトリウム血症,低カリウム血症,低マグネシウム血症,および低リン血症を引き起こす可能性がある。
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抗微生物薬適正使用
世界の抗菌薬消費:適正使用の機会
- 最近の研究では,2015年に薬剤耐性に関する世界行動計画(GAP-AMR)承認後の抗菌薬の使用と耐性のパターンを調査した。
- 医薬品販売記録データベースを用いて,2010年から2021年までの抗菌薬使用量をWHOアセスメント・ウォッチ・リザーブ(AWaRe)フレームワークに基づき評価し,各国の所得水準により層別化した。WHOのアクセスグループにおける抗菌薬使用量の60%以上という目標値を用いて,抗菌薬使用の適切性を比較した。E. coli,K. pneumoniae,P. aeruginosa,S. pneumoniae,S. aureus,E. faeciumの抗菌薬耐性率は,同時期の欧州抗菌薬耐性サーベイランス報告書から引用した。
- 評価対象期間において,西アフリカ,中国,アルジェリアの8カ国は抗菌薬使用量の年間増加率が最も高く,シンガポール,南アフリカ,フィンランドでは年間減少率が最も高かった。ほとんどの高所得国(90%)では使用量が減少し,低・中所得国(80%)では使用量が増加した。最も頻繁に使用された抗生物質はアモキシシリンであり,カルバペネムの使用量は2011年から2021年にかけて54%増加した。抗菌薬の使用量と耐性の間には正の相関関係が認められた。
- 本研究で以上のような差異が明らかにされたことは,地域の抗菌薬適正使用プログラムが適切な抗菌薬使用に関する取り組みを強化する機会を与えるものである。プログラムを通じ,来たる世界抗菌薬啓発週間を利用して,医療従事者や一般市民に抗菌薬使用と耐性に関する意識を高めることを検討することができるだろう。
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| 2025年10月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
初期梅毒に対するベンザチンペニシリン1回投与と3回投与の比較
(解説:Henry F. Chambers, MD)
- 「金星と一夜を共にし,水銀と一生を共にする」という表現は,16世紀のスイスの医師パラケルススが梅毒の治療に推奨した水銀の使用に由来している。有効性は疑わしく,毒性は確実であった水銀は,20世紀初頭に副作用の多い治療薬であるサルバルサンが導入されるまで,標準的な治療法であった。
- ペニシリンの臨床診療への導入から80年以上経った今,Hookらによる研究(N Engl J Med 2025;393:869)により,この薬の梅毒を治癒する奇跡的な効果が再確認された。この研究は,ベンザチンペニシリンG240万単位の単回筋肉内投与が,初期(すなわち,第1期,第2期,または早期潜伏性)梅毒に非常に有効であり,HIV感染患者を含む患者に対して3回投与と同等の効果を持つことを改めて実証した。
- ベンザチンペニシリンGを1週間間隔で3回投与する処方は,一生続けられるようなものではなく,不便で,1回投与よりも3倍の痛みがあり,もっとも重要なことだが,不必要だということである。ベンザチンペニシリンGが度々不足していることを踏まえると,このことは知っておいたほうがよい。
最近承認された薬剤
- Clothic(クロトリマゾール1%点耳液)は,18歳以上の患者におけるAspergillus属およびCandida属による真菌性外耳炎の治療薬である。本剤は,約0.17mL(クロトリマゾールとして1.7mg)の単回投与バイアルに包装されている。推奨用量:1バイアルの内容物を12時間ごとに患耳道に14日間連続で点滴。
新規および改訂されたガイドライン
- 米国医療従事者および対策担当者に対する野兎病の治療および曝露後予防に関するCDCの推奨事項(MMWR Recomm Rep 2025;74:1-33)。PDF版のダウンロード。
- 英国性健康・HIV協会(BASHH)による淋菌感染症の管理に関する英国国民ガイドライン・2025年版(Int J STD AIDS 2025;36:826-840),2018年版ガイドラインの更新版。主な変更点:
- 泌尿生殖器淋菌感染症のすべての患者およびすべての接触者に対して咽頭検査が推奨される
- 播種性淋菌感染症の診断および眼感染症の管理に関する推奨事項が更新された。
- シプロフロキサシンは安全性の懸念から第一選択薬として推奨されなくなったが,臨床的に適切であれば使用できる。
- 抗菌薬耐性の増加により,セフィキシムの用量が400 mg1回から400 mg 2回(6~12時間ごと)に増量された。
- 分離株がセフトリアキソンに感受性がある場合,セフトリアキソン1gで治療した肛門性器感染症では,通常の治癒検査は必要ない。
COVID 2025-2026ワクチン
- FDAは以下のCOVIDワクチンを2025-2026製剤として承認(2025年8月28日まで):.
- Spikevax(LP.8.1変異株標準用量,モデルナ)は,生後≧6ヵ月で疾患を有する人および≧65歳の全員を対象として承認された。
- mNexspike(LP.8.1変異株低用量,モデルナ)は,年齢≧12歳で疾患を有する人および≧65歳の全員を対象として承認された。
- Comirnaty(LP.8.1変異株標準用量,ファイザー)は,年齢≧5歳で疾患を有する人および≧65歳の全員を対象として承認された。
- Nuvavaxoid(JN.1変異株,2024-25年ワクチンと同じ,ノババックス)は,年齢≧12歳で疾患を有する人および≧65歳の全員を対象として承認された。
- 添付文書 8.1(妊婦)の臨床的検討事項:
- 「SARS-CoV-2に感染した妊婦は,妊娠していない人に比べてCOVID-19の重症化リスクが高くなる」とだけ書かれており,それ以上の具体的な指示はなかった。
- ACIPは2025年10月7日次のような発表を行った:
- 成人≧65歳:個人の意志決定に基づくワクチン接種.年2回。
- 生後6ヵ月から64歳までの個人:個人の意思決定に基づくワクチン接種-ワクチン接種のリスク・ベネフィットは,重症化リスクが高い個人にとって最も有利であることを強調。
- 特定の背景疾患のある場合には追加接種を行う。
- 投与量とリスク要因に関する2024-2025 COVID-19ワクチンに対する変更はすべて,CDCの公式発表を待って最終的に確定される
- CDCのウエブサイトは今もなお「このページの内容は,ACIPが最近作成し,CDCが承認した最新の推奨事項を反映するために改訂中」と述べている
- 権威ある専門機関による2025年の推奨
- FDA,CDC,HHSのプレスリリース,および専門機関の発表内容に矛盾があるため,多くの薬局や臨床施設がCOVIDワクチン接種を実施していない。
抗微生物薬適正使用
処方をガイドするための微生物学介入の使用
- 最近の単施設研究において,肺炎球菌血流感染症(BSI)に対する抗菌薬使用を最適化するために開発された微生物学的コメントの使用が評価された。
- 介入には,S. pneumoniaeの迅速血液PCR結果に自動表示されるコメントが含まれる。コメントでは,髄膜炎以外の感染症にはアンピシリンまたはペニシリン静注が第一選択薬として,髄膜炎には感受性が判明するまでは最大用量のセフトリアキソン静注とバンコマイシン静注の併用が推奨されました。薬剤部門と医療従事者への指示も実施された。
- 48時間以内にアンピシリンまたはペニシリンへの段階的減量が介入群の66.7%で認められたのに対し,介入前群では29.6%であった(P<0.001)。介入群では,経口薬への切り替え頻度が高く,広域スペクトル治療期間が短かった。入院期間,全死亡率,全再入院率に群間差は認められなかった。
- 抗微生物薬適正使用管理チームは,本研究の結果に基づいて,最適な抗菌薬処方を導くための微生物学的介入を設計することができる:Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 2025, 5:e203。
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| 2025年9月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
DalbavancinによるS. aureus菌血症治療;DOTSランダム化臨床試験
(解説:Henry F. Chambers, MD,Douglas J. Black, PharmD)
- 複雑性S. aures菌血症(SAB)の治療には,通常4~6週間の静脈内抗菌薬投与が必要である。長い終末半減期と強力な抗Staphylococcus活性(MRSAを含む)を有するリポグリコペプチドであるDalbavancinは,長期の静脈内投与を必要としない効果的な治療選択肢となる可能性がある。これまでに発表された経験は限られており,相矛盾したものである。
- DOTS(Staphylococcus菌血症治療選択肢としてのDalbavancin)試験(JAMA 2025年8月13日)は,米国とカナダの23の医療センターで実施された,オープンラベル・評価者マスク・無作為化・優越性試験であった。
- 合併症を伴うSABの入院成人患者で,初回静注抗菌薬療法開始から72時間以上(ただし10日以内)経過後,血液培養で陰性(48時間培養後,菌の増殖が認められないことと定義)となった患者を対象とした。
- 主な除外対象患者は,中枢神経系感染症,感染人工器具の遺残,左心内膜炎,重度の免疫不全状態などであった。
- 対象患者200名をDalbavancin 2回投与群(n=100;1日目と8日目に1500mgを静注投与)および4~8週間の標準静注治療群(n=100)に無作為に割り付けた。標準治療は単剤療法であり,MSSAに対してはセファゾリンまたは抗Staphylococcus菌ペニシリン,MRSAに対してはバンコマイシンまたはダプトマイシンを用いた。
- 一次評価指標:無作為化後70日目における「アウトカムの望ましさに基づくランキング(DOOR)」。DOORエンドポイントは,臨床的奏功,感染性合併症,安全性合併症,死亡率,健康関連QOLの5つの要素で構成され,スコア1が最高(生存,臨床的奏功,合併症なし),スコア5が最低(死亡)となる。
- 二次評価指標:臨床的有効性(臨床的失敗なし,感染性合併症なし,死亡なしの総合)および安全性(重篤な有害事象または治験薬の投与中止に至った有害事象の発現率)。
- 本試験は,DOORによる優越性を評価するための検出力を有していた。DalbavancinのDOORスコアが優れている確率の95%信頼区間(CI)が50%を超える場合,優越性と結論付けた。臨床医調査データおよび過去の試験に基づき,副次的臨床的有効性評価項目については20%の非劣性マージンを設定した。
- 結果:
- 一次評価指標:70日目におけるDalbavancin投与群と標準治療群のより良い転帰の確率は47%(95% CI,39.8%~55.7%)であった。これはDalbavancinの優越性の基準を満たさない。
- 二次評価指標:臨床的有効性は,Dalbavancin投与群の73%に対し,標準療法群の72%で認められた(差1.0%,95%信頼区間 -11.5%~13.5%)。これは,Dalbavancinの非劣性の基準を満たしている。重篤な有害事象の発生率は,Dalbavancin投与群(40%)と標準療法投与群(34%)で同等だった。治療中止に至った有害事象は,標準療法投与群(12%)の方がDalbavancin投与群(3%)よりも多く認められた。
- 要約: 血液培養が陰性であった複雑性SABの患者において,1週間間隔でのDalbavancin2回投与は,標準治療と比較して優勢ではないが非劣性であり,安全性プロファイルは同等であった。
COVID 2025-2026ワクチン
- 以下のCOVIDワクチンは,2025~26年度にFDA承認を取得している(8月28日現在)。
- Spikevax(LP.8.1変異株,標準用量,モデルナ)は,生後6ヵ月以上で併存疾患のある人および65歳以上全員を対象として承認された。
- mNexspike(LP.8.1変異株,低用量,モデルナ)は,生後12ヵ月以上で併存疾患のある人および65歳以上全員を対象として承認された。
- Comirnaty(LP.8.1変異株,標準用量,ファイザー)は,5歳以上で持病のある人および65歳以上の全員を対象として承認された。
- Nuvaxovid(JN.1変異株,2024~2025年度ワクチンと同じ,ノババックス)は,12歳以上で併存疾患のある人および65歳以上の全員を対象として承認されています。
- 全製品の添付文書の8.1項(妊娠)「臨床上の考慮事項」
- 「SARS-CoV-2に感染した妊婦は,非妊娠者と比較して,重症COVID-19を発症するリスクが高くなります」と記載されているすが,それ以上の具体的な指示はない。
- 2025年秋の最終ガイダンスは,CDC/ACIPの公式発表(9月18日予定)を待っている。
新規または改訂された診療ガイドライン
抗微生物薬適正使用の指針-周産期感染症
- 新たに発表されたレビューでは,抗微生物薬適正使用(AMS)チームが周産期感染症における抗菌薬処方を改善するための機会が示されている。
- 産科患者集団は,抗菌薬の使用率が高いにもかかわらず,AMS介入の焦点としてルーチンに取り上げられることはなかった。AMSチームにとっての機会としては,抗菌薬のベースライン使用量の決定,診断利用率の評価,抗菌薬ポリシーとオーダーセットの見直し,正確なアレルギー歴の強化などが挙げられる。
- AMSチームは,この患者集団における抗菌薬処方を改善するために,ガイドラインの策定,オーダーセットと電子カルテツールの更新,ペニシリンアレルギーのレッテルはがしを検討することができる。Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 2025, e204
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| 2025年8月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
アモキシシリン結晶尿症およびアモキシシリン誘発結晶腎症:ナラティブレビュー.Kidney Int 2025;107:33-43.
(解説:Douglas J. Black,PharmD)
- アモキシシリン結晶尿症(AC)は,尿中でアモキシシリンがアモキシシリン三水和物結晶として沈殿する現象である。アモキシシリン誘発結晶腎症(ACIN)は,これらの結晶による尿細管閉塞によって引き起こされる急性腎障害(AKI)である。
- ACは通常,高用量のアモキシシリン(8~12g/日以上)を静脈内投与されている患者に認められる。
- ACは,尿中のアモキシシリンの過飽和により生じる。尿中アモキシシリン濃度に影響を与える因子には,投与量,投与速度,血液量減少(すなわち,尿流低下),pH(尿が酸性化するとアモキシシリンの溶解度が低下する)などがある。アモキシシリンの経口吸収は非線形かつ飽和性であるため,結晶形成の可能性は限定的である。
- 高用量アモキシシリン静脈内投与療法中のACの有病率は24.0~41.0%だが,AICNの有病率は定量化が困難である。アモキシシリン投与からAICNの診断までの遅延期間の中央値は3.0~5.5日だが,かなりのばらつきがある。
- ACは通常,臨床的には無症状である。しかし,混濁尿を伴う肉眼的血尿が突然現れた場合は,本疾患が疑われる。排尿困難,膀胱炎様症状,または背部痛を伴う場合もある。尿中のアモキシシリン結晶は,まれに肉眼で観察可能である。
- AICNの有効な診断基準は存在しない。その理由の一部は以下のとおり:
- アモキシシリン曝露とAICN発症の関連性が時間的に一定でないため,曝露を基準とすることの有用性が限られている。
- 多くの患者は血尿を呈さず,尿結晶の臨床検査による同定が不可能な場合がある。
- AKIの他の原因(例:敗血症,アモキシシリン誘発性急性間質性腎炎)を除外することは困難な場合がある。
- AICNの治療には,体液状態の最適化,アモキシシリンの投与速度の低減または低用量の頻回の使用,場合によっては尿のアルカリ化が含まれる。
- AICN患者は,アモキシシリンの投与中止後,通常比較的速やかに腎機能を回復するが,最大で40%の患者が腎代替療法を必要とする。
新規または改訂された診療ガイドライン
アルテメテル・ルメファントリン分散錠
- アルテメテル・ルメファントリン分散錠(Coartem Baby,Riamet Baby)は,7月にスイス医薬品局により新生児および乳児(体重2~5kg未満)への使用が承認された。
- マラリア対策医薬品ベンチャー(Medicines for Malaria Venture)との共同開発。アフリカ8カ国が評価に参加し,迅速な承認が期待されている。
- 分散錠におけるアルテメテルとルメファントリンの割合は,体重5kg未満の乳児におけるアルテメテルの曝露量の増加を考慮し,成人用錠剤の1:6ではなく1:12となっている。
抗微生物薬適正使用管理チームの中核的行動特性
- 最近の調査により,抗微生物薬適正使用(AMS)チームのための標準化された行動特性群が特定された。
- 合意形成のために改良デルファイ法を用い,20カ国から58名のAMS専門家が15の領域に関する一連のアンケートに回答した。
- 15の領域には,AMSの目的,感染管理,微生物学的診断,抗菌薬の薬理学,抗微生物薬使用の一般原則,AMSの構造と位置付け,AMS介入,特殊な状況におけるAMS,サーベイランスとモニタリング,行動変容とコミュニケーション,感染予防と管理,品質管理と患者の安全,サポート,患者および一般市民とのコミュニケーション,ガバナンス/政策枠組みが含まれていた。
- コンセンサスプロセスを通じて,88の行動特性のリストが作成された。これらの行動特性は,AMSプログラムを世界規模で最適化するため,また教育活動においても活用されることを目的としている。AMSチームは,各行動特性が少なくとも1人のチームメンバーによって達成されていることを確認するために,内部評価を実施することができる。Clin Microbiol Infect 2025;31(8):1313-1320.
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| 2025年7月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)TMP-SMXからアトバコンへの切り替えは高カリウム血症を改善せず,感染リスクを高める可能性がある(解説:Brian S. Schwartz, MD)
- スルファメトキサゾール/トリメトプリム(ST)は,同所性心臓移植(OHT)を含む固形臓器移植を受けた患者におけるニューモシスチス肺炎(PJP)予防の第一選択薬である。しかし,STはトリメトプリムがアミロライド様作用を示し,腎臓からのカリウム排泄に影響を及ぼし,高カリウム血症を引き起こすことが知られている(特に高用量投与時)。そのため,ST予防投与を受けている患者が高カリウム血症を発症した場合,アトバコン(ATQ)に切り替えられることがよくある。ATQは,抗菌スペクトルが狭く,コストが高いため,第二選択薬とされている。
- ST予防投与を受けている高カリウム血症患者の場合,ATQへの切り替えは高カリウム血症を解消せず,感染リスクを増大させる可能性があることが判明した。単施設レトロスペクティブ研究(Transpl Infect Dis 2025;0:e70043[online ahead of print])では,OHT後にSTからATQへの切り替えが,感染防御を損なうことなく高カリウム血症を改善するかどうかを評価した。321名のOHT患者のうち,76%が主に高カリウム血症のためにATQに切り替えられた。しかし,ATQに移行した患者の80%では高カリウム血症が持続したのに対し,引き続きSTを使用した患者では高カリウム血症の持続は42%であった(p<0.0001)。重度の高カリウム血症もATQ群でより多く発生し,カリウム結合樹脂などの介入を必要とする患者も多かった。
- 感染症はATQ予防投与群でより多くみられた。PJP,ノカルジア症,尿路感染を含む感染症の発生率はATQ群でより高く(52% vs. 27%,p<0.001),ノカルジア症5件とPJP 2件はATQ投与群でのみ発生した。しかし,追跡期間を調整したポアソン回帰分析では,群間の感染症発生率に統計的に有意な差は認められなかった(発生率比:1.32,95%信頼区間:0.93~1.86,p=0.119)。ただし,数値的にはST群が優位な傾向を示した。
- 注目すべきことは,慢性腎臓病のない患者集団でも,ATQに切り替えた患者では再発性および重度の高カリウム血症が有意に多く(80% vs. 39%,p<0.0001),STだけではなく,糖尿病や加齢などの合併症もカリウム調節以上に大きく寄与していることが裏付けられた。
- 付随する論説(Transpl Infect Dis 2025;0:e70062[online ahead of print])では,より繊細なアプローチが提唱されている。STはPJP以外にも,NocardiaやListeriaにも活性を示し,他の感染リスクを低減する可能性がある。ATQなどの第二選択薬は効果が低い場合が多く,それぞれに欠点(例:費用,味など)がある。STの投与中止にもかかわらず高カリウム血症が頻繁に再発することは,ATQへの反射的な切り替えを困難にし,その日常的な使用に疑問を投げかけている。
- これらの知見を総合すると,高カリウム血症が発症した場合にただちにSTを中止するのは速断に過ぎる可能性が示唆される。特に高リスク移植患者においては,ST予防投与を中止する前に,併用する腎毒性薬やカリウム保持薬の調整といった代替戦略を検討すべきである。
最近承認された薬剤
- FDAは5月,mNEXSPIKE(COVID-19ワクチン,mRNA,Moderna社製)2024-25製剤を承認した。本剤は,過去にCOVID-19ワクチンの接種歴があり,(1) 65歳以上,または(2) COVID-19による重症化リスクが高い基礎疾患を少なくとも1つ有する12~64歳の個人を対象としている。忍容性を高めるため,Spikevaxの50µgに比べて用量が10µgに減量されている。本剤はACIPには提出されておらず,現時点では市販化計画は未定である。
- Yeztugo(Lenacapavir)は,HIV-1感染リスクのある体重35kg以上の成人および青年における性行為によるHIV-1感染リスクを低減するための曝露前予防(PrEP)に用いる薬剤である。投与前のHIV-1検査は陰性でなければならない。投与スケジュールは,開始時(927mg皮下注×1回,600mg経口24時間ごと×2回),その後継続(927mg6か月ごと皮下注)。
2025~2026年冬のCOVIDガイドライン
- FDAは,2025~26年のCOVID-19ワクチンは,65歳以上の人,および重症化リスクが高い基礎疾患を1つ以上有する生後6か月以上の人に対してのみ承認するという適応を初めて示した。
- 2025年秋の最終ガイダンスは,FDAおよびCDC/ACIPの公式発表の後となる。
- 2025年6月のACIP会議では,COVID-19に関する推奨事項は一切検討されなかった。
- Sanford Guideの内容は,ガイドラインが入手可能になり次第更新される。
- 現在公表されているCDCの定期予防接種スケジュールは,以下のとおり:
- 中等度または重度の免疫不全状態にある者を含む,生後6か月から17歳までのすべての小児および青少年においては,COVID-19ワクチン接種は共有臨床意思決定に基づいて行われる。しかしながら,CDCのデータは,COVID-19関連の入院が5歳未満の小児で引き続き発生しており,特に生後6か月未満の小児の入院率が高いことを明確に示している。
- 妊婦に関する事項は灰色表示され(「ガイダンスなし」の意味),データは変更されていない。COVID-19ワクチンは妊娠中でも安全であり,ワクチン接種は重症COVID-19のリスクが高い妊婦を保護し,生後3~4ヶ月の乳児にも効果がある。
- 成人向けの現行の2024~25年度の推奨事項に変更はない。
高齢旅行者の麻疹免疫
- CDCによると,現在のACIPガイダンスには改訂の必要はない
- 1957年以前に生まれた人は,幼少期に麻疹が高率に流行していたことから,先天性免疫を有していると推定される。
- 一般的に(免疫抑制の既往歴など特別な理由がない限り),CDCはこの年齢層では旅行前にMMR抗体価を確認することを推奨していない。
- この年齢層において,免疫力が大幅に低下しているというエビデンスはない。
- 全体として,CDCに報告された麻疹症例のうち,60歳以上の人はごくわずかで,1957年以前に生まれた人は今年の症例の1%未満である。
- この年齢層には直接当てはまらないが,CDCが現在保有している全国的な血清学的調査データでは,6~59歳の検査対象者のうち95%が麻疹の血清陽性であり,約10年前の前回の調査と比べて大きな低下は見られない。
新規または改訂された診療ガイドライン
抗微生物薬適正使用の指針-退院時の抗微生物薬処方
- 退院時の抗菌薬処方の適切性を向上させるための,前向き監査とフィードバック介入を用いた介入についての準実験的パイロット研究が行われた。
- 抗微生物薬適正使用(AMS)チームには退院の通知が送られ,地域の治療ガイドラインに基づいて抗菌薬の投与期間または選択が不適切であった場合は,電子カルテに記録された。抗菌薬処方の適切性は介入前50%であったが。介入後には83%に向上し(p<0.001),退院後の処方日数は1日減少した(5日 vs. 4日,p<0.001)。
- 追加の観察結果では,処方医は固定されたより長い治療期間,事前に設定された処方期間,そして追加の抗菌薬が必要なくなった場合でも抗菌薬療法を継続していたことが示された。
- AMSチームは,この研究結果を活用して,退院時の前向きな監査とフィードバック介入を拡大することができる。Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 2025;5(1):e147.
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| 2025年6月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)帯状疱疹ワクチンは認知症リスクを低下させる(解説:Henry F. Chambers, MD)
- 生涯のうちに3人に1人が帯状疱疹を発症し,そのリスクは加齢とともに増加し,特に50歳以上ではその傾向が顕著である。CDCは,50歳以上の成人に帯状疱疹ワクチンの接種を推奨している。水痘帯状疱疹ウイルス糖タンパクE抗原の組み換えワクチンであるShingrixは,現在米国で帯状疱疹の予防に使用できる唯一のワクチンである。組み換えワクチンは,その高い効果と持続性から,従来の弱毒生水痘帯状疱疹ワクチン(Zostavax)に取って代わった。Zostavaxを過去に接種したことがある人にも,組み換えワクチンの接種が推奨される。組み換えワクチンは,免疫機能が健常な50歳以上の成人において,帯状疱疹およびヘルペス後神経痛(最も一般的な合併症)に対する優れた予防効果(90%以上)を発揮し,その予防効果は長期間持続する(ワクチン接種後少なくとも7年間)。組み換えワクチンは免疫力が低下している19歳以上の成人にも有効であり,彼らにも推奨されている。
- 帯状疱疹ワクチン接種には別の利点もあることが判明した:認知症の新規診断リスクの低減である。Eytingら(Nature 2025; 641(8062): 438-446)による研究では,ウェールズの保健サービス行政決定を活用し,生弱毒化帯状疱疹ワクチンの接種資格を個人の正確な生年月日に基づいて決定した。1933年9月2日より前に生まれた人は接種資格がなく,生涯接種資格がないが,1933年9月2日以降に生まれた人は接種資格ありとした。研究者らは,ワクチン接種資格を決める月日より1週間先に生まれた人(接種率0.01%)と,わずか1週間後に生まれた人(接種率47.2%)の認知症診断率を比較した。1933年9月2日の 1 週間前に生まれた個人と,この日付の 1 週間後に生まれた個人との間に大きな違いは生じにくいため,帯状疱疹ワクチンの導入により実際のランダム化比較試験の条件に非常によく似た自然実験となった。
- 7年間の追跡期間中に新たに認知症と診断される確率は3.5%減少したが,これは相対的に20%の減少に相当する(95%信頼区間6.5~33.4%,p=0.02)。
- Optum Labs Data Warehouseデータベースの保険請求データを用いて,米国で50歳以上の450万人を対象とした後ろ向きコホート研究で,組換え帯状疱疹ワクチン(Shingrix)で同様の予防効果が認められた。未接種者(全体でZostavaxワクチン接種歴があるのはわずか1.3%)と比較して,組換えワクチンの2回接種を完了することで,5年間の追跡期間中に認知症リスクが32%減少した(95%信頼区間30~33%,p<0.001)。(Vaccine 2025; 46: 126673)。
- 神経向性ヘルペスウイルス,特に帯状疱疹ウイルスは従来から認知症と関連付けられており,このことからこれらの研究は生物学的に妥当性なものだといえる。帯状疱疹ワクチンのこの予防効果のメカニズムは,帯状疱疹の再活性化やその他の合併症(神経炎症作用,血管障害など)からの保護による直接的な効果なのか,オフターゲット効果(より広範な免疫反応を誘発することによる効果),あるいはその両方なのかは未解明である。いずれにせよ,帯状疱疹ワクチンが認知症の発症に対して有意な予防効果を有するという強力なエビデンスは,50歳以上のすべての成人に帯状疱疹ワクチン接種を推奨する新たな理由となる。
承認された新薬
- Clesrovimab-cfor(Enflonsia,メルク社)は,RSウイルス感染症の初流行期に生まれた新生児および乳児,またはRSウイルス感染症の初流行期に入った新生児および乳児におけるRSウイルス下気道疾患の予防薬である。Clesrovimab-cforは,RSウイルス融合タンパク質(F)の細胞外ドメインを標的とする半減期延長型モノクローナル抗体で,ウイルス膜と細胞膜の融合およびウイルスの侵入を阻害する。推奨用量は体重に関わらず105mg(筋肉内投与)。1回投与で得られる予防効果は5ヵ月間。
抗微生物薬適正使用の指針-アンチバイオグラム層別化
- 四次医療を行う学術センターから最近発表された研究では,病院全体のアンチバイオグラムと,ユニット別または検体別の層別アンチバイオグラムの抗菌薬感受性の差を評価した。
- 救急科のアンチバイオグラムでは,病院全体のアンチバイオグラムと比較して感受性が高かったのに対し,集中治療室および移植ユニットのアンチバイオグラムでは感受性が低下した。検体別のアンチバイオグラムでは,尿,呼吸器,血液の感受性にユニットごとに差が見られた。
- 微生物学研究室と連携した抗微生物薬適正使用プログラムでは,経験的治療の意思決定をより適切に導くために,検体別のアンチバイオグラム作成を検討することができる。
新規および改訂されたガイドライン
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| 2025年5月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)細胞HIV DNA耐性検査(解説:Michael S. Saag, MD)
- Clinical Infectious Diseases誌(Clin Infect Dis 2025;Apr 3:ciaf161 [online ahead of print])に掲載された最近のViewpoint論文において,Wensingらは,細胞HIV DNA耐性検査を臨床使用した場合の利点と限界について検証している。PCRを用いて細胞DNAからHIV DNAを増幅・配列決定する技術は,10年以上前から市販されており,長時間作用型注射用抗レトロウイルス薬(LA-ARV)が臨床診療に導入されて以来,より頻繁に利用されている。LA-ARVを正式に適応するには,LA-ARV治療開始前に血漿中のHIV RNAを抑制する必要がある。過去のHIV RNA耐性検査で,NNRTI(またはINSTI)耐性を引き起こす既知の変異が認められた場合,LA-ARVの使用は控えられる。
- 多くの場合,過去の血漿HIV RNA耐性検査の結果は容易には入手できず,血漿HIV RNAレベルが検出限界以下の場合,標準的な血漿耐性検査では結果が得られない。そのため,注射剤LA-ARV処方を開始する前に,HIV DNA検査を実施し,「アーカイブ」されたHIV統合情報からNNRTIまたはINSTI耐性をもたらす変異の有無の確認を依頼するのは魅力的な方法である。耐性をもたらす変異が存在する場合,その処方は使用できない。変異が検出されなければ,臨床医はその処方が有効であると確信できる。
- しかし,ESPN College Game Day で Lee Corso は「そんなに急ぐことはないよ,友よ!」と言っている。
- Clinical Infectious Diseases誌のViewpoint論文において,WensingらはHIV DNA耐性検査の落とし穴と限界,そして検査結果がしばしば誤解を招き,誤った解釈につながることを明確に指摘している。DNAシーケンシングの技術的側面から,検査のうえで多くの限界がもたらされる。第一に,検査では細胞DNA中に蓄積されたHIV耐性ウイルスを増幅しない(つまり検出しない)可能性があり,偽陰性の結果につながる可能性がある。逆に,PCR法では,ウイルスゲノムの全長ではなく,HIVの断片が増幅される場合があり,耐性ウイルスが存在すると解釈される可能性がある。最後に,増幅された断片が全長のウイルス産物に由来する場合でも,ウイルスが複製可能であることを意味するわけではない。著者らが指摘するように,APOBEC3などの宿主DNA編集遺伝子産物は,元のHIVウイルス粒子には存在しなかった薬剤耐性変異を引き起こすような形をしたHIV DNAに改変してしまう可能性がある。端的にいって,これは複雑な問題である。
- Viewpoint論文の表1に示すように,著者らは細胞DNA検査がどのような臨床状況において有用であるかを判別している。この検査はHIV-1のサブタイプの判定において最も有用であり,ウイルスがCCR5指向性かCXCR4指向性かを推定する際にも有用な可能性がある。しかし,薬剤関連変異の有無を判定するためにこの検査を使用することは,せいぜい「有用な可能性あり」,あるいは意味不明(つまり,あまり有用ではない)である。
- 解説者の見解:細胞DNA耐性検査をルーチンで行うことは,現在の抗レトロウイルス療法でウイルス抑制がなされているHIV陽性者における薬剤耐性変異の有無を判断するための日常的な検査としては有用ではない。このような検査を強く希望する場合は,低レベルのHIV RNAを増幅でき,増幅されたウイルス遺伝子産物が完全長ウイルス由来かどうかを判定でき,変異がAPOBEC3によって引き起こされた可能性をより正確に判定できるウイルス学研究所と提携することが推奨される。しかし,これらの研究所との連携は容易ではなく,また,多くの場合,臨床診療での使用を承認する結果を出すための認定を受けていない研究機関である。
- 結局のところ,Caveat Emptor(使用者責任)である。
- *著者らは,1990年代半ばからHIV耐性検査の活用に関するガイダンスを発表してきた国際抗ウイルス学会米国支部(IAS-USA)の耐性ガイドラインパネルのメンバーである。最新のガイドラインおよび変異チャートを参照。
- 新しい診療ガイドラインChlamydia trachomatis感染治療に関する2025年ヨーロッパガイドライン(Int J STD AIDS 2025;36:434-449)。
ワクチン最新情報
- FDA/CDC安全性情報(2025年5月9日):米国およびレユニオン島での症例多発において,重篤な有害事象17件(脳症および心臓関連イベントを含む)および死亡例2件が報告されているため,これらの詳細が明らかになるまでIxchiq(チクングニア熱生ワクチン)の60歳以上への使用は禁止する。FDA/CDC安全性情報(2025年5月9日)。
- 新規ワクチン(2月)
- Penmenvy(A,B,C,W,Y群髄膜炎菌ワクチン)
- Vimkunya(チクングニアワクチン,組み替え)
- ACIPは4月15~16日の総会を受けて承認を議決したが,CDC/HHSの署名がまだなされておらず,公式な承認となっていない。
- Penmenvyの適応はPenbrayaと同一である。
- Vimkunyaは,CDC がチクングニア熱症例多発ありとしている地域に旅行する 12 歳以上の全員,および過去 5 年以内に 1 人以上のアメリカ人旅行者がチクングニア熱に感染したことが確認された地域で長期 (例 : 6 か月) 滞在する予定のある人に対して適応となる。
- RSVワクチンは,重大な合併症のある50歳以上(以前は60歳以上だった)の人に推奨される。
抗微生物薬適正使用の指針:小児医療でのペニシリンアレルギーのレッテルはがし
- この後ろ向きパイロット研究では,小児科プライマリケアクリニックにおいて,ペニシリンアレルギーのラベルが貼付された患者を対象に,薬剤師主導による集団アモキシシリン負荷試験を実施した。
- ペニシリンに対する重篤な皮膚副作用の既往歴のない患者を,アモキシシリン負荷試験の集団診察の対象とした。2段階の段階的アモキシシリン負荷試験は,この手順の訓練を受けた薬剤師によって実施された。合計61人の負荷試験が完了し,95%の患者が無反応で耐性を示した。このうち58人の患者はラベルが剥がされ,その後,平均約20か月の追跡調査ではペニシリンアレルギーの記録はなかった。3人の患者は軽度の皮膚症状のみの陽性反応を示し,経口抗ヒスタミン薬で改善した。
- 抗微生物薬適正使用プログラムでは,この研究を活用して,外来診療におけるペニシリンアレルギーのラベル剥がしプログラムの開発を支援することができる。Open Forum Infect Dis 2025;ofaf236
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| 2025年4月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)(解説:Michael S. Saag, MD)
- 数十年にわたり,細菌性膣炎(BV)患者の男性パートナーへの日常的な治療は推奨されていなかった.実際,米国CDCの現在の性感染症ガイドラインでは,男性パートナーへの治療は推奨されていない.
- この問題をさらに検証するため,Vodstrcilらは女性のBV再発率を低減するために男性パートナーを治療することの有益性を評価するためのランダム化臨床試験を行い,その結果を2025年3月初旬のNew England Journal of Medicineに発表した(N Engl J Med 2025;392:947-957).この研究では,男性パートナーを経口メトロニダゾールと局所クリンダマイシンクリームの併用療法で治療した場合,標準治療(男性パートナーへの治療なし)と比較して,12週間にわたる女性のBV再発率が低下したことが示された.この試験では150組のカップルが評価され,パートナー治療群の再発率は35%であったのに対し,対照群では63%だった.
- NEJM同号の付録論説(N Engl J Med 2025;392:1026-27)において,MuznyとSobelは「この試験は,細菌性膣炎関連細菌の性行為による伝播の役割と,男性パートナーによる治療の有益性について,臨床医と患者に教育するための重要なデータとして提供している」と述べている.彼らは,臨床医が細菌性膣炎の患者に対し,細菌性膣炎関連細菌の性行為による伝播の役割について教育し,再発性細菌性膣炎がみられる場合は男性パートナーの治療を開始することを推奨している.
CROI 2025サンフォードガイドレポートMichael S. Saag, MD
- 2025年レトロウイルス・日和見感染症会議(Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections:CROI)が,3月9日から12日までカリフォルニア州サンフランシスコで開催された.例年通り,この会議ではHIV,関連する合併症,その他の新興ウイルス性疾患に関する最先端のデータが発表され,HIV/AIDS研究者にとって最も重要な年次会議となった.数多くの質の高い発表の中でも,特に印象に残ったものを以下にあげる:
- 新しい抗HIV薬を検討するセッション(火曜日の午前中).
- 2つの研究(Colsonら,およびOrkinら)は,ウイルス学的抑制が認められたHIV感染者(PWH)を対象に,Islatravir/Doravirineを投与する群と,BIC/TAF/FTCまたは標準ARTレジメンを継続する群に無作為に割り付けたスイッチスタディの結果を発表した.両研究とも,各群において持続的なウイルス学的抑制(非劣性),CD4細胞数の安定,およびスイッチ後の体重変化が認められないことが示された.
- ウイルス抑制効果が得られたPWHを対象に,Lenacapavir(LEN)と2種類の広域中和抗体,Teropavimab(TAB)およびZinlirvimab(ZAB)の併用療法を6ヵ月ごとに投与した探索的試験が行われた.6ヵ月の併用療法は対照群(経口薬の継続投与)に対する非劣性を示し,注射剤群では1名のみがウイルス学的失敗を経験した(Ogbuaguら).
- ベースラインでウイルス量が抑制されていたPWHを対象に,Cabotegravir(月1回投与)と広域中和抗体(N6LS)を4ヶ月ごとに投与(静注または皮下注)する試験が行われた.99人の参加者のうち4人にウイルス学的再発が認められ,そのうち1人がInSTI耐性を獲得した(Taiwoら).
- 「BEeHIVe」試験(ACTG 5379; Marksら)では,B型肝炎ワクチン非反応者に対し,HepB-CpG(Hepaslav)ワクチンを2回または3回接種と,標準的な再接種であるHepB-alumワクチン3回接種とを比較した.HepB-CpGワクチン群はいずれも,標準的なHepB-alumワクチンと比較して優れた血清学的反応(抗HBsAb抗体価 >10 mIU/ml)を示した.HepB-CpGワクチンを3回接種した群では97.2%,2回接種した群では86.1%が血清学的反応を達成したのに対し,HepB-alumワクチンを2回接種した群ではわずか57.5%であった.この研究では,ワクチン未接種のPWHも評価した. HepB-CpGワクチンを3回接種した全例で,血清保護力価が達成された.
- STOMP試験(ACTG 5418; Wilkenら)では,グレード2のMpox感染症を発症した患者(530人)を,Tecovirimat群とプラセボ群に2:1の割合で無作為に割り付けた.Mpox症状発現からの日数中央値は各群とも8日で,試験参加者の35%がPWHだった.臨床症状の消失または疼痛の消失に関して,治療群とプラセボ群の間に有意差は認められなかった.症状発現から3日または5日以内に治療を受けたサブグループ,HIV感染の有無,および天然痘ワクチン接種歴の有無による結果の差は認められなかった.
- ノースウェスタン大学のMatthew Feinsteinによるうっ血性心不全(CHF)に関する素晴らしいミニシンポジウムが開催された.Feinsteinによると, PWHでは,一般人口の非HIV感染者と同年齢の対照群と比較して,CHF発症リスクが1.5~2倍高いことが示された.PWHにおけるCHFの原因は,高血圧,冠動脈疾患,心筋への毒性損傷,心臓弁膜症,不整脈などと多岐にわたっている.CNICSコホート(抄録番号814)のCHFと診断された患者群(N=289,うち212人が心不全を発症)を対象に,Feinsteinらの研究チームは,ウイルス量の増加,CD4数の低下,高齢,高血圧治療,糖尿病,GFRの低下が,いずれもCHFの有意なリスク上昇と関連していることを示した.
- すべての口頭発表要旨,全体会議,テーマ別ディスカッション,シンポジウム,および要旨集全体は,2025 年 4 月 14 日より CROI 2025 の Web サイト (https://www.croiconference.org) で一般公開されている.
最近承認された薬剤
- アズトレオナム/Avibactam(Emblaveo)
- モノバクタム + β-ラクタマーゼ阻害剤の配合剤.
- 2025年2月に米国FDAにより,第二治療選択肢が限られている,または全くない成人における複雑性腹腔内感染症(メトロニダゾールとの併用)の適応で承認された.
- 2024年2月に欧州委員会により複数の適応症で承認されている.
- 推奨用量:2.67g(3時間以上かけて)静注,その後2g(3時間以上かけて)静注6時間ごと・5~14日.
- 本製品は3:1の比率で配合されている(例:2.67g = アズトレオナム2g + Avibactam 0.67g)
- Gepotidacin (Blujepa)
- トリアザアセナフチレン系クラス初の経口抗菌.
- 細菌のDNAジャイレースおよびトポイソメラーゼIVサブユニットと相互作用することにより,DNA複製を選択的に阻害する.
- 感受性のあるE. coli,K. pneumoniae,C. freundii complex,S. saprophyticus,およびE. faecalisによる単純性膀胱炎を有する,12歳以上(体重40kg以上)の女性患者の治療薬.
- 最も一般的な副作用は下痢.アセチルコリンエステラーゼを可逆的に阻害.QTc間隔を延長する.CYP3A4の基質および阻害藥.
- 用量:1500mg(750mg錠2錠)経口・12時間ごと・5日.
クラミジア,淋病,トリコモナス症の初めての家庭用検査
- 米国FDAは3月28日,Chlamydia,淋病,トリコモナス症の診断検査として初めて,店頭で購入でき,自宅で実施できるVisby Medical Women’s Sexual Health Testの販売を承認した.手のひらサイズのこの使い捨てPCR検査は,症状の有無を問わず女性を対象としています.
- 既存の在宅性感染症検査(検体を検査機関に郵送する必要がある)とは異なり,使用者は結果を30分以内に直接知ることができる.この検査には,採取キット(自己採取の膣スワブ)と,Visbyアプリと通信して結果を表示する電動検査装置が含まれている.
- FDAニュースリリースを参照.
新規の,または改訂されたガイドライン
抗微生物薬適正使用の指針:経口治療への切り替えを促進するためのガイドラインの使用
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| 2025年3月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)(解説:Henry F. Chambers, MD)
- 多剤耐性結核(MDR-TB)はイソニアジドとリファンピシンの両方に耐性の結核と定義されており,治療が常に困難であるが,待望されていたendTB臨床試験の結果がNew England of Medicine(N Engl J Med 2025;392:468)に掲載されたことで,治療が少し楽になるかもしれない。結核は世界的に公衆衛生上の脅威であり,2022年には1,060万人が結核を発症し,130万人が死亡したと推定され,多剤耐性またはリファンピシン耐性結核の新規症例が約41万人発生したと推定されている。安全で,より効果的で,忍容性が高く,理想的には治療期間が短い治療法の必要性が高まっている。
- 2017年に開始されたこの第III相ランダム化比較試験には,7か国(ジョージア,インド,カザフスタン,レソト,パキスタン,ペルー,南アフリカ)のフルオロキノロン感受性,リファンピシン耐性肺結核患者754名(15歳以上)が登録された。参加者は,5つの実験的な9か月経口処方のいずれか,または18~24か月の標準治療対照群に無作為に割り付けられた。9か月経口処方としては,ベダキリン(B),デラマニド(D),リネゾリド(L),レボフロキサシン(Lfx)またはモキシフロキサシン(M),クロファジミン(C),ピラジナミド(Z)のさまざまな組み合わせが含まれていた。BLMZ,BCLLfxZ,BDLLfxZの3つのレジメンでは,85~90%の良好な転帰が得られ,標準治療での良好な転帰81%に匹敵した。
- MDR-TB の治療に非常に効果的であることが証明されている唯一の他の短期療法は,BPaLM (ベダキリン,プレトマニド,リネゾリド,モキシフロキサシン)6ヵ月経口療法であるが,今回endTB 試験で特定された3つの非常に効果的な全経口処方は,これを補完するものである。ただし,BPaLM はすべての患者に適しているわけではない。endTB 療法は,CD4 数に関係なく,重度の結核疾患やHIV感染患者も含め,フルオロキノロン感受性の肺 MDR-TB のほぼすべての成人,小児,青年,妊婦の治療に使用できる。endTB 療法のすべての薬剤には小児用製剤があり,年齢に関係なく結核の治療に推奨されており,妊娠中の使用もすべて許容される。MDR-TB 患者に対する効果的な経口短期治療療法の数がこのように拡大したことは,喫緊に必要とされてきたことであり,歓迎すべきことと言える。
抗微生物薬適正使用の指針:外科患者におけるHandshake Stewardship
- 大規模な大学医療センターで実施された単施設の研究では,成人の外科患者におけるHandshake Stewardship(早期モニタリングと対面式フィードバックの組み合わせ)の使用を評価した。
- 感染症専門医と薬剤師が,外科患者に処方された抗菌薬を週1回レビューし,患者のケアを担当する医師と看護師に直接推奨事項を提供した。
- 治療の中止,de-escalationおよびescalationが最も頻繁に推奨され,受け入れ率は 72% でした。抗菌薬治療日数/1,000 日数は全体的に大幅に減少したが,ICU在院日数,30日再入院,および院内発症C. difficile感染症には違いがなかった。入院期間は長くなったが,介入の結果ではないようである。
- Handshake Stewardshipは労働集約的になる可能性があるが,この研究は週1回の取り組みが有益であることを示している。抗微生物薬適正使用管理プログラムでは,同様のプログラムを開始するために,この研究で使用された戦略を検討することができる:Antimicrob Steward Healthc Epidemiol 2025 Feb 12;5(1):e46. doi: 10.1017/ash.2024.498。
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| 2025年2月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
- 好酸球増加症および全身症状を伴う薬物反応 (N Engl J Med 2024;391:2242-54)。
- 概要 好酸球増加症および全身症状を伴う薬物反応 (DRESS) は,T 細胞媒介性の重度の皮膚副作用であり,一般的にもっとも関連するのは抗てんかん薬,抗生物質,アロプリノール,および非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID) である。米国では,以下5つの薬剤がほとんどの症例を占めている(有病率の高い順に記載):アロプリノール,バンコマイシン,ラモトリジン,カルバマゼピン,TMP-SMX。
- 臨床症状 DRESS は通常,次のような症状で現れる。
- 発疹と発熱
- 顔面浮腫
- リンパ節腫脹
- 血液学的異常
- 臓器障害(肝炎,急性腎障害など)
- 病態生理学 DRESSは遅延型IV型過敏症反応に分類される。しかし,薬剤中止後の経過の長期化,ウイルスの再活性化との関連,潜在的な長期自己免疫後遺症などから,複雑な免疫機構の関与が示唆されている。
- 鑑別診断 DRESS を,次のような他の重篤な皮膚反応や生命の危険がある状態と区別することが重要である。
- Stevens-Johnson症候群,中毒性表皮壊死融解症
- 急性全身性発疹性膿疱症 (AGEP)
- 血球貪食性リンパ組織球症
- 血管免疫芽球性 T 細胞リンパ腫
- 急性移植片対宿主病
- 管理 DRESS の管理に関するコンセンサス ガイドラインがないため,治療に関する比較研究を行う必要がある。以下の推奨事項は,観察データと専門家の意見に基づくものである。
- 疑わしい薬剤の即時中止
- 症状と臓器障害に対する支持療法
- 第一選択治療としては全身性グルココルチコイドを使用した免疫抑制療法。最近のエビデンスでは,生物学的製剤を含む代替の免疫抑制療法および標的療法を示唆している。
- 診断と長期ケア DRESSには有効な診断検査はない。皮膚科医またはアレルギー免疫学者とのコンサルテーションは,薬物因果関係の評価と安全な代替薬の特定に役立つ。再発と寛解を繰り返す性質を有し,長期的合併症の可能性があるため,継続的な多分野にわたるフォローアップケアと患者サポートが不可欠である。約5%の症例が死亡に至る。
- (選:Doug Black, PharmD)
オセルタミビルの早期開始
- 2018 年の IDSA ガイドラインでは,インフルエンザの疑いまたは確定診断で入院している患者に対して,症状の持続期間に関係なく,できるだけ早くオセルタミビル* 治療を開始することを推奨している。ただし,臨床診療,抗ウイルス薬の使用時期,流行しているインフルエンザ株の違いにより,治療効果に影響が出る可能性がある。多くの観察研究では,インフルエンザで入院している患者に対してオセルタミビルが処方されないか,あるいは処方が遅れることが多いことが示されている。
- 米国の多施設観察センチネル監視ネットワークは,2022年10月1日から2023年7月21日までの間に,24の病院において検査でインフルエンザが確認されて入院した成人を前向きに登録した。研究者らは,多変量比例オッズモデルを使用して,入院当日(早期治療)にオセルタミビルを投与された患者と,それより後に投与されたかあるいはまったく投与されなかった患者の間で,肺疾患のピーク重症度(酸素サポートなし,標準的な酸素補給,高流量酸素/非侵襲的人工呼吸器,侵襲的機械的人工呼吸器,死亡に分類)を比較した。解析では,ベースラインの重症度,年齢,性別,入院場所,およびワクチン接種状況を調整した。さらに,多変量ロジスティック回帰モデルにより,ICU入院,急性腎代替療法または血管収縮薬の使用,院内死亡のオッズを評価した。このデザインでは,生存・死亡に係わるバイアス(immortal time bias)をほぼ制御した。
- インフルエンザ陽性患者 840人のうち,415人 (49%) は入院当日にオセルタミビルを投与され,425人 (51%) は投与されなかった。治療が遅れた患者やまったく治療を受けなかった患者と比較して,早期治療は次のような結果と関連していた。
- 肺疾患のピーク時の重症度が低い (調整オッズ比 [aOR]: 0.60,95% CI: 0.49–0.72)。
- ICU入院のオッズが 75% 低下 (aOR: 0.24,95% CI: 0.13–0.47)。
- 急性腎代替療法または血管収縮薬が必要となる可能性が 60% 低下 (aOR: 0.40,95% CI: 0.22–0.67)。
- 死亡のオッズが64%低下(aOR: 0.36,95% CI: 0.18~0.72)。
- 結論:2022~2023年のインフルエンザシーズン中に行われた24病院の研究では,入院当日の早期オセルタミビル治療は,呼吸不全,臓器機能不全,死亡などの病気の進行リスクの低下と関連していた。
- 文献:Clin Infect Dis 2024 Nov 28:ciae584 [online ahead of print]
- (選および解説:Andy Pavia, MD, Doug Black, PharmD)
新規または改訂されたガイドライン
抗微生物薬適正使用の指針
- 新しく発表されたシステマティックレビューでは,抗微生物薬適正使用(AMS)の取り組みをサポートするための電子医療記録(EMR)データに関するエビデンスの分析を行っている。
- この研究では,10か国34件の論文が対象となっている。重要な強みとして特定されたのは,データアクセスと収集のための確立されたプロセスとデータ収集を標準的実践に組み込むことだった。もっとも一般的な障壁は,使用するEMR設計の違いであった。
- AMSプログラムは,この研究を使用して,介入を促進するEMRプロセスの実装をサポートできる。Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 5(1): e16, 2025
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| 2025年1月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
NEJMの「臨床問題解決」シリーズから(N Engl J Med 2024;390:1612-1618)
- 32歳の健康な女性が,市中肺炎(CAP)を発症したが,経口アジスロマイシン5日間の治療でも治癒しなかった。咳は乾性であった。PSI(肺炎重症度指数)は42であったが,低酸素症と外来管理の失敗のため入院し,セフトリアキソンとアジスロマイシンによる経験的治療が開始された。血液および気道培養では病原体を検出できなかった。Legionella pneumophilaおよびStreptococcus pneumoniaeの尿抗原検査は陰性であった。臨床症状は「非定型」CAPに一致すると考えられた。診断努力は、非定型肺炎を引き起こすことが知られている病原体にも同時に重点が置かれた
- 非定型肺炎の病因を,動物との接触に関連するもの(人獣共通感染症)とそうでないものとに分けるとが有用である。一般的な非人獣共通感染症の病原体には,Mycoplasma pneumoniae,Legionella属,Chlamydophila pueumoniaeなどがあり,人獣共通感染症の病原体には,Chlammydia psittaci,Coxiella burnetii,Francisella tularensis(野兎病菌)などがある。
- 2日後,患者の酸素必要量が増加し,バンコマイシンとピペラシリン・タゾバクタムが追加された。抗菌薬療法を強化したにもかかわらず,患者の肺炎はその後24時間にわたって悪化し続けた。患者は動物との直接的または間接的な接触を繰り返し否定していたが,患者の友人は患者が最近鹿の死体を調理したことを思い出した。彼女は入院の20日前に鹿肉を調理し,それを提供して食べた。調理された肉を食べた他の人たちは誰も病気になっていないと報告されている。
- 病因鑑別診断は,肉に関連する人獣共通感染症の細菌,Coxiella burnetii,Brucella melitensis,Toxoplasma gondii,Yersinia pestis,Bacillus anthracisまで拡大された。ヒトは,汚染されたエアロゾルを吸入したり,調理が不十分な食品,未処理の水,または細菌を含む土壌を摂取したりすることで,これらの病原体に感染する可能性がある。
- 診断は,血漿細胞フリー DNAアッセイ (Karius 社) など,いくつかの方法で行われた。どの非定型病原体が特定されたか?(答えは今月更新ニュースのいちばん下を参照)ヒント: 推奨される特定の治療法は,ピリメタミン,スルファジアジン、および葉酸の経口併用。ST合剤の静注または経口は第二選択肢である。
- (選:David Gilbert, MD)
BALANCE試験
- 短期間の抗菌薬治療は,副作用,Clostrifioides difficile感染のリスク,非標的細菌の耐性は抑制され,一般に全体的なコストの削減に結びつく。ただし、潜在的な欠点としては,臨床治療の失敗,再発性感染,および標的病原体の耐性の出現などがある。
- New England Journal of Medicine(2024年11月20,online ahead of print,doi: 10.1056/NEJMoa2404991)に掲載された多施設共同研究BALANCE(Bacteremia Antibiotic Length Actually Needed for Clinical Effectiveness)試験では,入院中の菌血症患者に対する抗生物質療法の最適な期間を調査した。参加者は,7日間または14日間の抗生物質投与を受けるように無作為に割り当てられ,薬剤の選択と投与量は治療医によって決定された。重度の免疫抑制,長期治療を要する感染症,一般的な汚染物質(CoNSなど)による単一培養,またはStaphylococcus aureusまたはS. lugdunensisによる菌血症の患者は研究から除外された。
- さまざまな原因による菌血症の患者3,608人が登録され,55%がランダム化時にICUに入院、75.4%は市中感染だった。この研究では,主要効果指標である90日後の全死亡率に関して,7日間の抗菌薬治療は14日間に非劣性であることが示された。昇圧薬の使用期間,機械的人工呼吸器の使用日数,菌血症再発率などの二次臨床効果指標は,2群間で同等だった。抗菌薬関連の副作用,C. difficile感染症,耐性菌による二次感染の発生率も同様であった。
新規または改訂された診療ガイドライン
緊急時使用許可(EUA)の取り消し
- 米国FDAは,COVID-19に使用される以下のモノクローナル抗体の緊急時使用許可(EUA)を取り消した:Bebtelovimab,カシリビマブ+イムデビマブ(REGEN-COV),ソトロビマブ,Tixagevimab+Cilgavimab(Evusheld)。詳細はEUA-アーカイブ情報を参照。
抗微生物薬適正使用の指針:外来での適正使用の指標
- 最近のレビュー記事は,外来抗微生物薬適正使用(AMS)プログラムの実施について基準となりうる指標について解説している。
- これらのうち4つは,多くの健康保険で患者のケアとサービスのパフォーマンスを評価するために使用されているツールである医療効果データおよび情報セット(HEDIS)の一部である。AMS に関連する4つのHEDIS 指標は,急性気管支炎/細気管支炎に対する抗菌薬治療の不使用,上気道感染症に対する適切な治療,咽頭炎に対する適切な検査,呼吸器疾患に対する抗菌薬の使用である。
- AMS プログラムにおいてHEDIS 指標は,価値に基づく償還,成果に基づく報酬,患者満足度,その他のインセンティブを評価するために重要であり,それに向けた介入を検討する必要がある。Antimicrobial Stewardship & Healthcare Epidemiology. 2024;4(1):e217. doi:10.1017/ash.2024.468
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今月の記事冒頭で確認された非定型病原体:Toxoplasma gondii
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| 2024年12月 |
今月の注目論文(編集者セレクト)
- 暴露前予防(PreP)は,HIV感染を予防する効果的な戦略である。現在の米国CDCガイドラインでは,HIV陰性の性生活のある成人および青年,HIV感染リスクが高い薬物注射使用者に対してPrePを推奨している。承認されている処方は,経口エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシル(FTC/TDF),または経口エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド(FTC/TAF)の1日1回投与,またはカボテグラビル筋注の8週間投与である。これらの有効性は高く,HIV感染の予防に約75~90%の有効性がある。処方を遵守しないことが,HIV感染予防失敗の主な理由である。南アフリカとウガンダのシスジェンダー女性におけるHIV感染予防を目的に,レナカパビル年2回皮下注と, FTC/TDFまたはFTC/TAF1日1回経口投与を比較した第III相多施設ランダム化二重盲検対照試験(PURPOSE 1,N Engl J Med 2024,391:1179)では,レナカパビル群(2,134人)で感染者0人,FTC/TAF群(2,136人)で感染者39人,FTC/TDF群(1,068人)で感染者16人であった。レナカパビルによるHIV感染率は背景となる新規HIV感染率より有意に低かったが,FTC/TAFおよびFTC/TDFではそうではなかった。FTC/TAFおよびFTC/FDFの有効性の欠如は,これらの1日1回経口投与レジメンの遵守率の低さに大きく起因していた。レナカパビル年2回皮下注は,女性,そしておそらく他の高リスクグループにおける HIV感染予防のための PrePとして非常に効果的な選択肢である。
- 2つ目の第III相多施設ランダム化試験(PURPOSE 2,New Engl J Med 2024年11月27日号)では,シスジェンダーの男性,トランスジェンダーの女性,トランスジェンダーの男性,ジェンダーノンバイナリーの人をレナカパビル26週間ごとに投与と,FTC/TDF投与に2:1でランダムに割り付け評価した。登録者3,265人で,HIV感染発生はレナカパビル群(2,183人)で2人(100人年あたり0.1人),FTC/TDF群(1,088人)で9人(100人年あたり0.93人)であり,レナカパビル群の HIV 発症率は,FTC/TDF 群よりも有意に低かった (発症率比 0.11,95% CI 0.02~0.51,p < 0.002)。合計 26 名 (1.2%) が注射部位反応によりレナカパビル投与を中止した (F/TDF 群では 0.3%)。その他の安全性に関する懸念は確認されなかった。
総合すると,レナカパビル皮下注年2回は,2つの大規模RCTで1日1回の経口療法よりも優れた効果を示した非常に有効な PrEP処方である。現在,米国FDAによる承認審査中である。
(選:Henry F. Chambers, MD,Michael S. Saag, MD)
CDCワクチン接種標準コーススケジュール(2025)
- 公式の推奨事項は 11 月 21 日にオンラインで公開された。更新されたリンクは,当サイトの予防接種スケジュール (CDC および WHO)に掲載される。
- 当サイトのすべてのワクチンページは,2024 年のACIP会議の開催に合わせて更新されている。ただし,2025 年の推奨事項の公開に伴い,CDC によって次のポイントが明記された。
- Heplisav-B は現在,妊婦でも許容できるものとして推奨される。
- 重症度の如何を問わず,HIV 感染は ProQuad (MMRV,Merck) の禁忌。MMR または水痘単独の基準は変更されていない。
- RSウイルスワクチンの追加接種は,その後の妊娠では推奨されない。
- Fluzone HD および Fluad インフルエンザ ワクチンは,18 歳から 64 歳の固形臓器移植患者で免疫抑制剤を投与されている場合の選択肢である。
エムポックスーLC16m8ワクチン
- LC16-化血研(LC16m8,KM Biologics,日本)は,日本で承認され,1歳以上の子供と成人の両方に入手可能な,複製能を最小限にしたワクシニアウイルスワクチンである
- 発表されたヒトのデータは限られているが,被接種者が多い他のワクシニアウイルスワクチンと同等である。
- 二股針を用いて経皮的に1回接種。
- 2024年11月,アフリカでの症例多発に対する配備のためにWHO緊急使用リストに発表された(年齢1歳以上の小児を含む)。
PreHevbrio製造中止
- B型肝炎ワクチンPreHevbrioの製造元である VBI Vaccinesは破産を宣言し,事業を終了した。
PreHevbrio は現在流通していない。リコールはワクチンの安全性や品質とは無関係。
- 製品を所有している場合は,残りを破棄するか返却すること。
- 適切に接種されたPreHevbrioはすべて,肝炎ワクチン接種として有効であり,繰り返し接種する必要はない。
新規の,あるいは改訂された診療ガイドライン
- ACG 臨床ガイドライン: Helicobacter pylori感染症の治療 (Am J Gastroenterol 2024;119:1730-1753)。
- 北米向けの推奨事項。
- 推奨レジメン (治療未経験,抗菌薬感受性不明±ペニシリンアレルギー):ビスマス4剤併用療法 (プロトンポンプ阻害薬,ビスマス次クエン酸または次サリチル酸,テトラサイクリン,メトロニダゾール)・14 日間。
- 適切な経験的代替療法 (治療未経験,ペニシリンアレルギーなし): リファブチン 3 剤併用療法 (オメプラゾール,アモキシシリン,リファブチン) またはボノプラザン 2 剤併用療法 (ボノプラザン,アモキシシリン) ・14 日間。
- 成人のHIV治療および予防のための抗レトロウイルス薬:国際抗ウイルス学会米国委員会の 2024 年勧告(JAMA 2024年12月1日)。
- 直近の更新は2022年。今回の勧告では妊娠,ウイルス学的失敗の管理,ウイルス学的に抑制された患者における薬剤切り替え,および長時間作用型薬剤の使用に関する抗レトロウイルス薬推奨に注目すべき更新が見られる。
- 一緒に発表された論説(優れた要約):JAMA 2024年12月1日。
抗微生物薬適正使用の指針:臨床決定支持のフレームワーク
- 確立されたフレームワークを使用しコンピュータ化された臨床意思決定支援 (CDS) 介入の開発についての論文が最近発表された。
- ある大学医療センターでは,CDSフレームワークの「5つの権利」を適用して,既存のバンコマイシン電子健康記録アラートを評価し,強化した。「効果的な臨床意思決定支援の10の戒律」は,C. difficileの新しい注文パネルを最適化するために使用された。
- 感染予防および抗微生物薬適正使用管理プログラムでは,確立されたフレームワークを使用して,新しい電子健康記録介入を評価したり,既存の介入を最適化したりすることを検討する必要がある。Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 2024;4(1):e204.
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| 2024年11月 |
COVID-19mRNAワクチン:改訂された推奨
- 年齢5歳以上で中等症~重症の免疫不全はない人に対するガイドライン概要
- 初回のワクチン接種の人:
- 2024-25型モデルナまたはファイザーワクチンを1回接種
- COVID-19ワクチンの接種歴がある人:
- 2024-25型モデルナまたはファイザーワクチンを1回接種
- 年齢65歳未満で中等症~重症の免疫不全のない人には,2024–25ワクチンの追加接種は現時点では推奨されていない
- 年齢65歳以上の人は,中等症~重症の免疫不全のない年齢5歳以上を対象とした2024年10月のガイドラインでは,それ以前のワクチン接種歴にかかわらず,2024-25型mRNAワクチンを6ヵ月間隔(最短間隔2ヵ月)で2回受けなければならない。
- 中等症~重症の免疫不全者に対する任意の追加接種を含むワクチン接種の進め方は依然として複雑である。
肺炎球菌ワクチン:重要な変更
- 全PCV未接種の年齢>50歳の成人に対しては,PCV20(Prevnar 20)またはPCV21(Capvaxive)1回接種,あるいはPCV15(Vaxneuvance)コースの1年後にPPSV23(Pneumovax23)接種が,現在では推奨されている。
- 年齢50~64歳の成人のうち32~54%が,リスクに基づきワクチン接種の適応となると推計される。
- PCV21(Capvaxie,メルク)はFDAに承認され,現在は市販されている。
- 年齢19~49歳で基礎疾患がある人に対しても同一の処方。
- 結合型ワクチン(生後>28日)PCV21,PCV20,PCV15)が標準処方である。
- PPSV23(Pneumovax 23)単独は,もはやどのような状況でも推奨されない。
- PCV21単独処方は,ACIPガイドラインではPCV20またはPCV15/PPSV23処方と同等とされているが,より好ましい処方であるようだ。
ACAMのエムポックスへの適応
- ACAM2000は,以前は感染リスクが高いと判断された個人に対して天然痘疾患の予防に適応されていた生ワクシニアウイルスワクチンである。2024年8月,米国FDAは,動物実験データに基づいて,天然痘の予防をACAM2000添付文書に適応症として追加した。大量のACAM2000が戦略的国家備蓄に残っているが,Jynneos の忍容性がより良好であるため,近年は接種されていない。
Sulopenen Etzadroxil- Probenecidが承認された
- 米国FDAは,経口治療の選択肢が限られているか,または選択肢がない成人女性における,E. coli,K. pneumoniae,P. mirabilisによる単純性尿路感染症の治療薬として, Sulopenen Etzadroxil- Probenecid (Orlynvah) を承認した。Sulopenen Etzadroxil- Probenecidは,経口投与するとSulopenenに加水分解されるThiopenemのプロドラッグである。全身曝露はProbenecid (OAT1/3 阻害剤) によって促進され,排泄に OAT1/3 に依存する他の薬剤の血漿濃度を上昇させる可能性がある。2つの第III相試験では,治療中止につながる最も一般的な副作用は胃腸の副作用だった。1 錠にはSulopenen Etzadroxil 500 mg,Probenecid 500mgが含まれている。承認された用量は1錠12時間ごと5日。CrCl<15mL/分,または血液透析患者への投与は推奨されない。
抗微生物薬適正使用の指針:抗微生物薬に対する患者の期待
- 米国抗生物質啓発週間および世界薬剤耐性啓発週間は,2024年11月18日から24日までであり,11 月はC. difficile感染症啓発月間でもある。これらのキャンペーンに関連する主要なメッセージとして,抗菌薬および抗真菌剤の処方と使用を改善するために協力することが挙げられている。
- 最近の研究では,公立および私立のプライマリケアクリニックの患者 564人を対象に,抗菌薬に対する患者の期待を評価した。全体として,患者の37%は抗菌薬のリスクについて知識がなかった。これは、下痢や風邪/インフルエンザの症状に対する抗菌薬の期待が高かったことと関連していた:Ann Fam Med. 2024;22(5):421-425。
- 抗微生物薬使用を改善するための取り組みに患者を参加させることは,抗微生物薬適正使用プログラムの優先事項でなければならない。プログラムでは,適切な抗微生物薬使用と有害事象に関する情報を含む患者教育資料の配布を検討する必要がある。
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| 2024年10月 |
アズトレオナム/Avibactamがヨーロッパで承認された
- アズトレオナム/Avibactamは新規のモノバクタム/βラクタマーゼ阻害薬合剤。2024年4月22日,欧州委員会は成人に対する以下の適応を承認した。
- 複雑性腹腔内感染(±メトロニダゾール)
- 院内肺炎/人工呼吸器関連肺炎
- 腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染
- 治療選択肢が限られた患者での好気性グラム陰性菌感染
- アズトレオナムはモノバクタムβラクタムであり,多くの腸内細菌科菌,P. aeruginosaおよびその他のグラム陰性菌に対する活性がある。嫌気性菌やグラム陽性菌には有用な活性がない。通常はAmblerクラスB酵素(メタロβラクタマーゼ)による加水分解に対して安定である。
- Avibactamはβラクタムでないβラクタマーゼ阻害薬である。AmblerクラスAとクラスCのβラクタマーゼ,およびクラスD酵素の一部(ESBL,KPC,OXA-48カルバペネマーゼ,AmpC)を阻害する。AvibactamはクラスB酵素を阻害せず,多くのクラスD酵素を阻害することはできない。
- 腎機能が正常な場合の推奨用量は,2gm/0.67gm(アズトレオナム/アビバクタム)静脈内投与後,1.5gm/0.5gmを6時間ごとに静脈内投与する。投与は3時間かけて行う。推奨される治療期間は,適応症に応じて5~14日間。
CDC COVID-19ワクチン推奨,2024~2025
- 米国CDCのCOVID-19に対するワクチン推奨はサンフォード感染症治療ガイド・アップデート版の以下の項にまとめられている
- mRNAワクチン,年齢5歳未満
- mRNAワクチン,年齢5歳以上
- ノババックスワクチン
- CDCレポート(MMWR 2024;73:819-824),PDF版
オセルタミビル緊急使用指示
- 2024年 7月19日,CDC は,流行している A 型インフルエンザウイルスおよび流行の可能性のある新型インフルエンザ A ウイルスの治療または暴露後予防 (PEP) を目的としたオセルタミビルの緊急使用指示(EUI)を発表した。 EUIは,FDA承認製品のラベルに記載されている内容と異なる,またはそれを超える FDA承認医療製品緊急使用に関する情報を提供する。このEUIでは,以下の情報が提供される。
- 症状発症から48時間後のオセルタミビル治療開始
- 重症入院患者の治療,臨床判断に基づいてより長期(たとえば,10日)治療を行う場合を含む
- PEPの1日高用量と投与期間の変更.新型インフルエンザA感染が確認されている,あるいは可能性が高い症例と濃厚な接触があるが無症状である例,または病原性の高い鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスまたは他の新型インフルエンザAウイルスへの曝露があったが無症状である例では,EUIの推奨する処方はほとんどの場合1日2回・5または10日。
- 生後2週以内の満産乳児でのPEP
- 早産の新生児および乳児に対する治療およびPEP処方
- 有用なリンク:
FexinidazoleとHAT
- ヒトアフリカトリパノソーマ症(HAT)に関する新たな2024年度WHOガイドラインは,東アフリカおよび西アフリカ株の双方の全病期における第一選択薬としてFexinidazole(米国ではSanofiから入手可)経口治療を確定した。米国CDCは,これに対応するためにネット上の資料を改訂中である。
抗微生物薬適正使用の指針:抗菌薬耐性の世界的脅威
- 抗菌薬耐性(AMR)に関する国連総会ハイレベルミーティングに先立って発表された論文では,地域全体にわたるAMRの現在の負担を強調し,将来の予測を行っている。
- 研究では,2021年には471万人の死亡が細菌性 AMR に関連していると推定された。AMR による死亡は5歳未満の小児では減少したが,70歳以上の成人では1990年~2021年で80%以上増加した。同じ期間に,MRSAに関連する,またはそれに起因する死亡数が世界中で最も増加した。
- 将来的には,2050年には世界中でAMR原因死が191万人,AMR関連死が822万人にのぼると推計されている。
- 抗微生物薬適正使用(AMS)プログラムは,この研究のデータに基づいて,抗菌薬の使用の最適化,過剰使用の削減,AMS についての患者と医療従事者の教育に関する取り組みを強化するための財政的支援を求めることができる。Lancet. 2024;404(10459):1199-1226. doi:10.1016/S0140-6736(24)01867-1
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| 2024年9月 |
CDCより
- 新たに承認された 21 価肺炎球菌複合体ワクチン (PCV21)に関する臨床ガイダンス。PCV21 には,他の認可されたワクチンには含まれていない8つの血清型が含まれている。 2024年6月27日,ACIPは現在肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)が推奨されている19歳以上の成人に対する選択肢としてPCV21の単回投与を推奨した。 PCVの適応症は以前の推奨事項 (MMWR 2024;73:793-798) から変更されていない。ACIP推奨の全文。
クリプトコッカス症に関するグローバルガイドライン
- ECMMとISHAMがASMと協力して主導したクリプトコッカス症の診断と管理に関するグローバルガイドラインが発表された(Lancet Infect Dis 2024;24:e495-512)。このクリプトコッカス症のグローバルガイドラインの内容,構成,エビデンス,推奨事項,および実用的な知見には,全世界の70を超える学会によって承認されている。高所得国におけるクリプトコッカス性髄膜炎,播種性クリプトコッカス症,および重症孤発性肺クリプトコッカス症の導入療法として,ガイドラインでは,リポソームアムホテリシンB(3〜4 mg/kg 静注 24時間ごと)とフルシトシン(25 mg/kg 経口 6時間ごと)による2週間の治療を推奨している。低所得地域におけるHIV関連クリプトコッカス髄膜炎の導入療法としては,リポソームアムホテリシンB(10 mg/kg 静注の単回投与)と,2 週間のフルシトシン(25 mg/kg経口6時間ごと投与),およびフルコナゾール(1200 mg 24 時間ごと投与)を推奨している (注: この処方は,HIV非関連クリプトコッカス髄膜炎または他の中枢神経系以外のクリプトコッカス症では臨床試験が行われていない)。ガイドライン本文(無料アクセスには登録が必要)。
改訂されたSISガイドライン
抗微生物薬適正使用の指針:救急科における抗微生物薬適正使用のガイドライン
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| 2024年8月 |
米国感染症学会(IDSA)より
抗微生物薬適正使用の指針:外来での抗菌薬オーダー指示
- 最近の研究において,クリニックの外来患者を対象に,必須の抗生物質の適応が,カルテに記載された診断名と国際疾病分類第10版(ICD10)コードをどの程度反映しているか評価した。二次的な効果指標として,抗菌薬の処方が地域のガイドラインにどの程度適合しているかを評価した。
- 合計1300件(各グループ650件)の診察が検討された。実施後のグループでは,必須の適応とカルテに記載された診断が一致する割合は,実施前のICD10コードとカルテに記載された診断が一致する割合に対して5.4倍であった(調整オッズ比 5.4;95%信頼区間 3.3〜9.1)。介入後の抗生物質処方は,より適切である可能性が高まった(調整オッズ比 1.99;95%信頼区間 1.32〜2.98)。
- 処方指示を追跡するためのより信頼性の高い方法として,ICD10コードと比較した必須適応と,不適切な処方率の減少との関連性に関する研究結果は,外来患者における抗菌薬管理の取り組みをサポートするために使用できる可能性がある。Infect Control Hosp Epidemiol. Published online 2024年5月13日. doi:10.1017/ice.2024.88
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| 2024年7月 |
COVID-19ワクチン
- CDCは,COVID-19ワクチンの接種歴があるかどうかにかかわらず,生後6か月以上のすべての人に対して,今秋,最新の2024-25年ワクチンを接種することを公式に推奨している。
- 詳細なガイドラインは,新しいワクチンが入手可能次第に公表される予定。抗原組成は次のとおり。
- モデルナおよびファイザー mRNA ワクチンには KP.2
- Novavax 組換えタンパク質ワクチンには JN.1 (12 歳未満には未承認)
- それまでは,現在の2023-2024 年ワクチン製剤とガイドラインに従う必要がある。
RSVワクチン
- 2024年6月,FDAは3つのRSVワクチン(Arexvy [GSK], Abrysvo [ファイザー], mRESVIA [Moderna])を承認し,ACIPガイドラインも公表している。
- 臨床試験では、重篤な外来患者に対する1年目と2年目の単回投与のワクチン効果(VE)は,Abrysvo 86%と74%,Arexvy 79%と59%,mRESVIA 55%と36%であった。
- 2023年から2024年冬にかけての米国の病院の入院に関する実際の観察データは以下のとおり。
- ArexvyとAbrysvo の両方について,RSV 関連の入院,救急外来受診,重篤な疾患に対するVE約80%。
- mRESVIAは2023-24冬期には上市されていなかった。
- 重症ギラン・バレー症候群は,Abrysvo,それより程度は低いが Arexvy でも見られるものの,これまでのところmRESVIA では報告されていない。
- リスクベネフィット分析でワクチン接種が広く支持されている適応は,以下のとおり。
- 年齢>75歳の成人全員。
- 特定の慢性病状または重症RSV 疾患のリスクを高める他の要因をもつ60〜74歳の成人。
- 重症RSV疾患のリスクを高める要因のない60〜74歳の成人には推奨されない。
抗微生物薬適正使用の指針:新生児における抗微生物薬適正使用
- 最近発表された研究70件でのシステマティックレビューとメタアナリシスでは,新生児集中治療室 (NICU) または産後病棟に入院している新生児において,抗微生物薬適正使用管理 (AMS) の有効性が評価された。
- 対象となった研究全体で,AMS 介入後に抗菌薬の開始が減少し治療期間が大幅に短縮されたことを示唆する中等度の確実性のエビデンスがあった。抗菌薬の再投与率や敗血症関連死亡率の増加はなく,薬剤耐性,コスト,AMSの持続可能性が低下するという確度の低いエビデンスがあった。
- AMSチームは,新生児に対する対応の拡大をのために,この研究の知見を利用することができる(Pediatrics 53: 2023065091, 2024)。
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| 2024年6月 |
ドキシサイクリン-曝露後予防のガイドライン
RSウイルスワクチンの安全性
- ワクチン使用の最初のシーズンでのワクチン接種安全性監視システム(V-safeおよびVAERS)の初期データ(MMWR 2024;73:489)
- 米国の60歳以上の成人におけるギラン・バレー症候群(GBS)の発症率は,Abrysvo接種者で5.0件/100万回接種,Arevyで1.5件/100万回接種の報告であったが,これは通常の発症率よりも高い.
- いずれのワクチンも,臨床試験において炎症性神経学的症候(急性散在性脳脊髄炎またはGBS)に関連する安全性問題が指摘されているが,少数であり結論は出せない.
抗微生物薬適正使用の指針:βラクタムアレルギーに関連した結果
- 20,000人以上の患者を対象とした12年間にわたる研究で,診療録に記録されたβラクタムアレルギーに関連する長期の臨床転帰が調査された.
- β-ラクタムアレルギーの記録は,死亡率,C. diffidile感染症(CDI),ステージ2〜3の急性腎障害とは有意な相関はなかったが,抗菌薬耐性感染症の発症率上昇と関連していた。Methicillin耐性S. aureus(MRSA),VCM耐性Enterococcus(VRE)感染,およびMRSA,VRE,CDIによる感染の統合オッズ比は,β-ラクタムアレルギーの報告と関連していた.
- 抗微生物薬適正使用管理チームはこの研究の知見を基に,βラクタムアレルギーの正確な報告を促進するための介入を計画することが可能である:JAMA Netw Open. 2024;7(5):e2412313.
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| 2024年5月 |
Pivmecillinam承認
- Pivmecillinam (Pivya) は,感性のE. coli,P. mirabilis,S. saprophyticus分離株によって引き起こされる単純性尿路感染症を伴う 18 歳以上の女性患者に対して,米国 FDA より承認された。これはピバル酸エステルのプロドラッグで,血液,胃腸粘膜などに存在する非特異的エステラーゼからよく吸収され,急速に加水分解されてMecillinam(活性体)になる。他のあらゆるβラクタム系薬とは異なり,Mecillinamは細菌細胞壁のPBP-2を優先的に標的とする。米国での推奨用量は,食事と関係なく185 mgを8時間ごと・3〜7日投与である。Pivmecillinam 185 mg はPivmecillinam塩酸塩200 mgに相当する。
Qdenga(デングワクチン)に関するWHOガイドラインが発表された
- 米国の旅行者はデングワクチンQdenga(TAK-003;Takeda)について問い合わせてみてもよい。このワクチンは,FDAへの申請はまだだが,ヨーロッパ(一部の主要空港を含む)および他の国々で市販されている。現在のところ,これ以外のデングワクチンはどこにもない。
- WHO SAGE WklyEpidemiol Rec 99: 203, 2024参照
- 流行地の住民で発症者が多く,感染リスクの高い状況では導入を考慮すること。
- 6〜16歳では,デング熱関連入院の年齢ごとのピークがあり,それよりも1〜2年前に接種する。
- 旅行者への推奨
- 渡航先が現時点でDENV-2またはDENV-1が流行中の場合に最大の有用性がある。
- 感染(どの血清型でも)の既往のある血清陽性の旅行者でもQdengaワクチン接種が有用な可能性がある。
- ワクチン接種前の血清検査は不要だが,リスクとベネフィットの評価を知らせるためには考慮してもよい場合がある。
- 感血清陰性の旅行者では,ワクチン接種の有用性は低い。
- 血清陰性者ではDENV3およびDENV4に対する予防はいずれも不確実であり,渡航先でまん延しているウイルスの血清型も時間とともに変化していく可能性がある.
- 予防効果は初回接種の14日後から
CDCから:Tecovirimat (エムポックス治療薬)供給促進
- 経口Tecovirimat (Tpoxx) の大規模な事前配布は,エムポックス症例が大幅に減少し,低い水準が持続されたため,2023年2月27日に中止された。ASPR/HHS は,緊急時対応計画を考慮し,事前に提供した供給分について,枯渇したか期限切れになった管轄区域を対象に,最大20ボトルの経口Tecovirimatの事前配布リクエストを1回限り受け付けている。1回限りの緊急時供給リクエストは,HPOPを通じ,ASPRに対して直接に行うことができる。 ASPR は各リクエストを確認するため,フォローアップを行う。詳細はTPOXX 運用計画ガイドを参照。 エムポックス治療のために備蓄されたTecovirimatを使用する場合は,CDC が保有するTecovirimat拡張アクセス治験新薬 (EA-IND) プロトコルに従わねばならない。
- Tecovirimatによるヒトエムポックス治療をFDAは承認していない。経口Tecovirimatは,ヒトエムポックスウイルスに対するTecovirimat研究(Study of Tecovirimat for Human Mpox Virus:STOMP) を通じてか,あるいはCDCによるTecovirimat拡大アクセス治験新薬(Tecovirimat Expanded Access Investigational New Drug:EA-IND) プロトコルを通じてのみ,入手可能である。STOMPはヒトエムポックス治療におけるTecovirimatの有効性を評価するために NIH がスポンサーとなって行われた臨床試験である。STOMP では,ランダム化アームと非盲検Tecovirimatアームが行われた。軽度のエムポックスを患う成人(妊婦以外)が,Tecovirimat群とプラセボ群に2:1でランダムに登録される。ランダム割り付けされた患者が重篤な疾患や持続的な痛みを発症した場合は,研究期間中いつでも非盲検のTecovirimat群にクロスオーバーされる。重篤な疾患または重度の免疫不全患者,妊婦または授乳中の女性,および子供は非盲検Tecovirimat群に登録されている。
- CDC のTecovirimat拡張アクセス治験新薬プロトコルに基づくTecovirimatによるエムポックス治療は,EA-INDの採用基準を満たす患者(たとえば,重篤な疾患または重度の免疫不全を患っている患者,または疾患の重症度や免疫状態に関係なく,妊娠中または授乳中の人および小児)を対象としている。備蓄された経口Tecovirimatまたは静注Tecovirimatは,EA-IND 資格を満たすエムポックス患者に対応するために引き続き利用可能であり,CDC 緊急オペレーション センター (EOC) (770) 488-7100 に電話することで要求できる。期限切れになっていない供給が残っている管轄区域では,EA-IND の資格を満たす患者にTecovirimatを提供できる。医療提供者は,州または地方の保健局に問い合わせ,地域の事前に配置された供給品が残っているかどうかを確認してもよい。
抗微生物薬適正管理の指標:不適切処方を標的とした新たな介入
- 前向き監査とフィードバック(PAF)によって解決されない個々の状況における不適切な抗微生物薬の使用を標的とした抗微生物薬適正使用管理(AMS)介入についての研究が最近発表された。
- AMS 感染症制御担当医師は,PAF 監査中に AMS 薬剤師によって特定された症例について,処方チームと抗微生物薬治療について話し合った。議論の後,治療が不適切であると判断された場合は,治療を中止する通知が口頭でなされ,電子診療記録に記載された。処方チームには,抗微生物薬処方指示が期限切れになる前に,この決定に対して上訴するための24時間の猶予が与えられた。
- 1 年間にわたり,PAF監査中に278症例が検査され,54件の抗微生物薬処方が中止された。中止された薬剤としてはピペラシリン/タゾバクタムがもっとも多く,中止された理由としてもっとも多かったのは治療期間または予防期間の延長,および感染の証拠がなかったことだった。中止後30日以内の感染,再入院,院内死亡の増加は見られなかった。
- AMSチームは,この研究結果を利用して,PAF中に不適切に処方された抗生物質を標的とした介入を開発することができる。Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 2024 Apr 16;4(1):e42. doi: 10.1017/ash.2024.48.
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| 2024年4月 |
Ceftobiprole Medocarilを承認
- Ceftobiprole Medocaril (Zevtera) は,(1) MSSA および MRSA によって引き起こされる感染性右心系心内膜炎を含むS. aureus菌血症の成人患者,(2) MSSA,MRSA,S. pyogenes, および K. pneumoniaeによって引き起こされる 急性細菌性皮膚皮膚組織感染症(ABSSI)の成人患者,(3) MSSA (MRSA ではない),S. pneumoniae,H. influenzae,,H. parainfluenzae,K. pneumoniaeによって引き起こされる 市中肺炎の成人および小児患者,に対して米国 FDA によって承認された。人工呼吸器関連肺炎に対しては承認されていない。Ceftobiprole Medocarilはプロドラッグであり,血漿エステラーゼによって急速にCeftobiproleに変換されると考えられている。 その活性スペクトルはCeftarolineの活性スペクトルと類似する。 推奨用量は 667 mg 静注 6 〜 8 時間(適応症状による)。 Ceftobiprole Medocaril 667 mgは500 mg のCeftobiproleに相当する。
チクングニアワクチン
- 米国では現在,18 歳以上向けの単回投与弱毒生チクングニアウイルスワクチン (Ixchiq) は通常のワクチン販売者を通じて入手可能である。チクングニアの発生が現在CDCより宣言されている国または地域に旅行する18歳以上の人に推奨される。非流行国または地域でも,過去5年以内にヒト-ヒト感染が発生したとCDCが認めた地域への旅行者のうち下記のような人が対象となる可能性がある。
- 長期滞在旅行者(累計6か月以上)。
- 屋内または屋外で少なくとも 2 週間以上(累積)蚊に曝露された可能性がある 65 歳以上のすべての人(特に併存疾患のある人)。
- ビジネスで旅行し,主に蚊に刺されないように保護された屋内にいる可能性が高い人は除外される。
エムポックスワクチン
- 2024年 4月までに,Jynneos (エムポックスおよび天然痘に対する生・非複製ワクチン) は通常のワクチン販売者を通じて入手可能となる。 天然痘予防もFDAが承認した適応であり,これを使用する前には公衆衛生上のアドバイスを求める必要がある。Jynneos の皮内および皮下投与経路は互換性がある。エムポックス緊急時に皮内経路で Jynneos の 1 回目接種を受けた人は,2 回目は皮下投与を受けることができる。 他に流行が発生し,ワクチンが不足した場合には,1回目の投与経路に関係なく,皮内経路で2回目の投与を受けることができる。
新しいリルピビリン小児用製剤
- 経口懸濁液用リルピビリン 2.5 mg 錠剤 (EDURANT PED) は,未治療の小児 (HIV-1 RNA<100,000コピー/mL:年齢2歳以上,体重14kg以上) における他の抗レトロウイルス療法と併用した HIV-1 の治療として米国 FDA によって承認された。この製剤は5mLの水に溶かしてただちに内服しなければならない(噛んだり,そのまま飲み込んではならない)。新しい2.5mg錠と元の25mgフィルムコート錠は,生物学的利用能が異なり,それゆえmg-mgベースで交換はできない
抗微生物薬適正使用:適正使用管理により薬物有害事象が減少する
- 4つの病院システムによる最近の研究で,抗微生物薬適正使用管理 (AMS) 介入の影響が調査された。 感染症担当医師は電子医療記録にメモを残し,治療チームを呼び出し,細菌感染症の可能性が低いと考えられる患者に対しては抗菌薬を中止するようにと提言した。
- 研究に参加した253人の患者のうち,45%は推奨が出されてから48時間以内に抗菌薬投与が中止された。 薬物有害事象(ADE)の発生数は,抗菌薬を継続したグループでは34件であったのに対し,抗菌薬を中止したグループでは9件であった(p=0.001)。 最も多くみられた ADE は血液学的なものと吐き気であった。 抗菌薬投与の平均総日数は,治療中止の推奨に従ったグループ(1 日,p<0.001)にくらべ,抗菌薬投与を継続したグループのほうが長かった(5 日)。 30日以内の再入院率または死亡率は両群間に差はなかった。
- AMS チームは,この研究結果により,細菌感染の可能性が低い患者の治療期間をターゲットとした介入方法を開発することができる。Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 2024 Mar 18;4(1):e36. doi: 10.1017/ash.2024.29
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| 2024年3月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
結核予防治療:WHOの改訂
- WHOは速報で,結核予防治療 (TPT) に関するガイダンスの次期第 2 版に対する多くの改訂を発表した。主な改訂点は,多剤耐性結核またはリファンピン耐性結核患者の接触者に対して,TPTとしてレボフロキサシンの6カ月処方の使用を推奨することで,これは,ベトナムと南アフリカで実施された2件のRCTの結果が,すべての年齢層でのレボフロキサシン処方使用が支持されたことに基づいている。その他の改訂点としては,レボフロキサシンとリファペンチンによるTPT処方の用量の変更,TPT開始前に結核を除外するためのスクリーニング検査と結核検査の使用に関する推奨事項の統合,接触者におけるTPT管理のためのアルゴリズムの更新などが含まれる。最新のガイダンスは今年後半に発表される予定。WHO速報
セフェピム/エンメタゾバクタムを承認
- セフェピム/エンメタゾバクタム(Exblifep) は、成人の複雑性尿路感染症に対して米国 FDA によって承認されている。エンメタゾバクタムは,タゾバクタムと同様のβラクタマーゼ阻害剤だが,重要な構造の違いにより,細菌細胞への浸透が向上している。エンメタゾバクタムは、ESBL などのAmbler分類 Class A 酵素に対するセフェピムの活性を増大させる。推奨用量は 2.5 g (セフェピム 2 グラム + エンメタゾバクタム 0.5 グラム)を2時間以上かけて静注 8 時間ごと・7〜14日である。最近発表された,グラム陰性桿菌による複雑性尿路感染症または急性腎盂腎炎の患者を対象とした第III相 RCT では,セフェピム/エンメタゾバクタム (ピペラシリン/タゾバクタムとの比較) が,臨床的治癒と微生物学的根絶という主要アウトカムに関して非劣性および優位性の基準を満たした。(JAMA 2022;328:1304)
抗微生物薬適正使用(AMS)の指針:AMSのための検査システム革新訂
AMSと感染予防のための10施設の改革事例
- 過去 10 年間の臨床微生物検査室の革新トップ 10 をレビューした論文が最近発表された。テクノロジーは,分析前,分析,分析後,またはその他に分類され,臨床応用と抗微生物薬適正使用 (AMS) および感染予防に関する主な有用性が解説され,同時に想定される限界についても述べられている。
- 臨床意思決定支援ツール,迅速検査機能,自動AMS介入について説明され,エビデンスに基づいた例が示されている。シークエンス法,マルチプレックスパネル,迅速感受性試験,マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析法 (MALDI-TOF MS),および家庭用試験についての広範な概要が示されている。
- AMS および感染予防プログラムにおいては,この論文を利用して新しい臨床微生物学技術をより深く理解し,微生物学研究室と協力してプログラムに組み込むことが可能である。Antimicrob Steward Healthc Epidemiol 4: e8, 2024.
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| 2024年2月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
梅毒検査に関するCDCの推奨
- 世界中で毎年約 600 万人の新たな梅毒症例が発生している。米国では梅毒が流行しており,初発および二次梅毒は持続的に増加し,2000年に報告された5,979人から2020年には133,945人にまで増加した。この流行には,特に性的および性的マイノリティ集団間の健康格差,HIVとの重複感染,違法薬物の蔓延がその背景にあり,先天性感染症の罹患率と死亡率が増加している。米国CDCは,臨床検査施設での検査,ポイントオブケア検査,検体の処理,検査結果の報告を含む梅毒検査に関する新たな推奨事項を発表した(MMWR Recomm Rep 2024;73(1):1-35)。
抗微生物薬適正使用の指針:抗菌薬オーダーセット,使用の利点
- 最近の研究において,ある学術医療センターでの抗菌薬の使用に対する電子オーダー セットの影響を5年にわたって評価された。オーダーセットは,市中肺炎,尿路感染症,皮膚および軟部組織感染症などの経験的治療のために開発され,電子医療記録に導入された。抗生物質の推奨事項は,国のガイドライン、地域の抗生物質、病院の処方箋に基づいていた。
- 標準抗生物質投与率 (SAAR) がフェーズ 1 からフェーズ 5 へと大幅に減少したが,これは院内感染に使用される広域抗菌薬が減少したことによるものであった。また,患者 1,000 日当たりの治療日数,フルオロキノロン,カルバペネム,クリンダマイシンのオーダーも大幅に減少した。
- 抗微生物薬適正使用プログラムにおいては,この研究結果を利用して,抗菌薬電子オーダーセットの開発を進めることができるだろう(Infect Control Hosp Epidemiol. 2024;doi: 10.1017/ice.2023.293)。
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| 2024年1月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
ドキシサイクリンによる曝露後予防に関する新知見
- ドキシサイクリン暴露後予防法 (DOXY-PEP) は,過去12ヵ月以内に,淋病,梅毒,Chlamydia などの性感染症の少なくともひとつに罹患したシスジェンダーの男性同性愛者およびトランスジェンダーの女性において,これらの発生率を減少させることが示された (N Engl J Med 2023;388:1296)。性感染症に最近罹患していない人でも,複数のパートナーがいる場合はリスクが高いと考えられる。 DOXY-PEPは,シスジェンダーの女性を対象に実施された研究では有効でなかったため(N Engl J Med 2023;389:2331),膣性交後の使用に関してはさらなる研究が必要である。 性感染症のリスクがあるシスジェンダーの男性異性愛者,またはトランスジェンダーの男性についてのデータはない。 DOXY-PEP の長期的な影響としては,抗菌薬耐性やマイクロバイオームの変化に対する潜在的な影響が挙げられる。 ドキシサイクリン (ヒクレートまたは一水和物) の推奨用量は,コンドームを使用しないセックスの 24 〜 72 時間以内に 200 mg 経口投与である。
抗微生物薬適正使用の指針:小児での適正使用と治療の移行
- 2021年に三次医療小児病院で実施された単施設研究では,退院時の抗菌薬準最適処方と関連する要因が評価された。 2,500 件を超える抗菌薬処方のうち,20% 近くが,薬剤の選択,期間,用量,剤形と用量の適合性,投与頻度のいずれにおいても最適ではなかった。
- 最も多く明らかになった問題は,治療期間が長すぎることであった。最適ではない処方の理由は,処方された薬剤,治療の適応,処方者のサービスによって異なっていた。周術期予防のために処方された抗菌薬は,最適でない処方の率が最も高かった。
- 抗菌薬管理プログラムでは,この研究結果を利用して,周術期の予防のために処方される抗菌薬に焦点を当てて,退院時点での管理努力を強化することが出来る(Antimicrob Steward Healthc Epidemiol 3(1): e223, 2023)。
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| 2023年12月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
クロファジミン入手先の拡大
- クロファジミン(ランプレン)は 2004 年以降,米国の薬局では入手できなくなっている。現在ハンセン病患者は国立ハンセン病プログラムからクロファジミンを入手できることがある。また,特定の状況下では,患者は非結核性抗酸菌症(NTM)感染症またはその他の感染症(クロファジミンの FDA未承認使用)の治療のためにノバルティスからクロファジミンを入手できる場合がある。詳細についてはクロファジミン薬剤情報サイトを参照。
CDC予防接種スケジュール
- 2024 年の米国 CDC 推奨予防接種スケジュール(関連する脚注付き)は,米国CDC によって毎年更新さる.2024 年のスケジュールから,次年度の最終バージョンは前年の11月にオンラインで公開されることになった。従来よりも約3ヵ月早くなったのは,変更があった場合に供給側と支払者の調整を可能にするためである。
改訂された炭疽ガイドライン
抗微生物薬適正使用の指針:ベッドサイドの看護師と抗微生物薬適正使用
- 最近のシステマティック・レビューで,抗菌薬の使用と抗微生物薬管理 (AMS) とベッドサイド看護師の日常活動の関わりが取り上げられている。著者らは,多くの AMS 活動がすでに日常の看護業務に組み込まれていることを明らかにした。看護師の活動は,臨床状態の評価,検体の収集,抗菌薬の管理,再検討の促進,患者とのコミュニケーション・教育・情報という5つの主要な領域に分類された。
- 現在,他の意見書やガイドラインに記載されていない,上記以外の看護師活動が3つあることが判明した。これら,すなわち患者の擁護,抗菌薬治療プロセスにおけるリーダーシップ,およびコミュニケーションが,AMS に関連する日常活動に固有のものであることも明らかになった。
- この論文の結果は,AMS プログラムにおいて,施設での学際的な管理活動におけるベッドサイド看護師の役割を評価し,拡充するために利用することができる。JAC Antimicrob Resist 2023;5(6):dlad123
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| 2023年11月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
チクングニア熱ワクチン
- 年齢18歳以上に対する弱毒化生ウイルスワクチン (Ixchiq, Valneva) 1回接種が, 現在FDAから承認されている。
- ワクチン効果に関する第IV相試験の結果が2027年までに発表される予定
- 推奨:現在CDCが症例多発と認めている地域へ渡航する成人
- 接種を考慮すべき:感染リスクが高い地域 (過去5年以内にCDCがそのように認めた地域) への渡航者の一部
- 長期渡航(>6ヵ月)
- 65歳以上,特に併存疾患のある場合は全員
- FDAは,重要な第III相試験において,非流行地帯での抗体応答率98.9%が12ヵ月持続したとしている(Lancet 401: P3138, 2023)。
- 副作用:頭痛(31.6%),疲労(28.5%),筋肉痛(23.9%),関節痛(17.2%),悪心(11.2%)
- 重大な副作用:チクングニア様疾患が1.6%
- 米国CDC ACIP試案(2024年発表予定)
髄膜炎菌の新ワクチン
- 新しい髄膜炎菌複合ワクチンMenABCWY(Penbraya,ファイザー)が米国FDAの承認を受け,ACIP推奨が発表された。Penbrayaは,MenACWYとMenBが共に1回の診療での適応となる場合に使用することができ,患者からの要望が高かった。以下の状況が共通している:
- 16〜23歳の健常者で,MenBワクチンの投与(通常コース)が有用との共通の臨床意思決定があるか,または16歳でMenACWYの投与予定である場合
- 年齢>10歳で,髄膜炎菌感染症のリスクが高く(持続的補体除去,補体阻害薬使用,または機能的あるいは解剖学的無脾による),1回の診療で両方のワクチンを接種する予定である場合
- アラスカ,フロリダの一部,ハワイ,プエルトリコ,米領バージン諸島,グアムでは,RSV が一年中流行する可能性がある。これらの地域ではワクチン使用の季節性ルールは適用されない.
将来のインフルエンザワクチンの組成
- 四価インフルエンザワクチンは,H1N1 ウイルス,H3N2 ウイルス,B/ビクトリアウイルス, B/山形系統ウイルスの 4 つの異なるウイルスを予防する。米国における現在のインフルエンザ ワクチンはすべて 4 価である。米国CDCと世界的な監視データによると,B/山形系統ウイルスは2020年3月以降検出されていないが,これはおそらくCOVID-19パンデミック中に課せられた広範な公衆衛生対策の結果であると考えられる。これらのデータを検討した後,WHO インフルエンザワクチン組成諮問委員会,国食品医薬品局ワクチンおよび関連生物製品諮問委員会 (VRBPAC) は,米国および国際的に使用されているインフルエンザワクチンから B/山形系統抗原を合理的に可能な限り速やかに除去することを勧告した。2023年から2024年のインフルエンザシーズンに関するCDCからの詳細情報については,CDCの2023-2024インフルエンザ情報を参照。
Fexinidazoleの使用
- T. brucei gambienseによる感染症の早期/後期双方のトリパノソーマ症治療法として最適であり,FDA の完全承認を受けたFexinidazole 錠剤 (サノフィ) が米国で入手可能になった。完全に経口だけの処方であるため,Eflornithine1週間静注 (CDC のみが在庫あり) などの従来の処方は必要なくなるだろう。ただし,後期で脳脊髄液中白血球>100/μLの場合は,引き続き従来の処方を用いる必要がある。医薬品の無料提供については,サノフィに直接問い合わせること (商業流通はない): サノフィ医薬事業部 (1-800-372-6634) またはcustomersupport@sanofi.com.
エムポックス最新情報
- エムポックス予防に関して,CDCは以前の発症多発に基づく推奨から,持続的な推奨へと移行した。
- 年齢>18歳でリスク因子のある人は,Jynneosを2回,28日間隔を置いて接種しなければならない。Jynneosは数ヵ月以内に市販に移行する予定。
- リスクのある人:
- ゲイ,バイセクシュアル,およびその他の男性同性愛者,トランスジェンダーまたはノンバイナリーで,過去6ヵ月以内に以下のうちの1つでも経験があった場合:
- すくなくとも1つの性感染症を罹患
- 1人以上の性パートナーがある
- 風俗施設でのセックス
- エムポックス伝播が起こっている地域で行われた大規模な公的イベントに関連したセックス
- セックスパートナーが上に述べたリスクを持っている場合
- 上に述べた経験をすることが予想される人
- 症例多発状況で,専門家がリスクありとみなした人
- 妊婦:現在のところ推奨はないが,上記のリスク因子がある妊婦はJynneosを接種してもよい。
- 医療従事者:上記の性的リスク因子がないかぎりJynneosを接種してはならない。
抗微生物薬適正使用の指針:薬剤耐性およびC. difficileの予防
- 2023年11月18日〜24日は米国抗微生物薬啓発週間と世界 AMR(薬剤耐性) 啓発週間で,また11 月はC. Difficile啓発月間でもある。これらのキャンペーンに関連する重要なメッセージの1つは,抗菌薬の誤用や過剰使用がC. Difficile感染などの副作用を引き起こしうるということである。最近の症例対照研究で,外来患者の 27 種類の抗生物質について市中感染C. Difficileのリスクが評価された。クリンダマイシンとそれ以降の世代のセファロスポリンはC. Difficileのリスクが高いのに対し、テトラサイクリン系薬はリスクレベルが最も低かった。Open Forum Infect Dis 2023 10: ofad413
- 抗微生物薬適正使用管理チームは,医療提供者に,抗菌薬への曝露,入院期間の延長,高齢,重篤な基礎疾患,C. difficileの既往歴などの患者の危険因子を評価すること奨励する。クリンダマイシン,フルオロキノロン系薬,第 3/第 4 世代セファロスポリン系薬など,一般にC. Difficileに関連する薬剤に介入の対象を絞って治療の有効期間を最短にすることによっても,リスクを最小限に抑えうる可能性がある。
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| 2023年10月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
COVID-19ワクチン接種概要
- 米国ガイドラインでは2023年9月より毎年全例接種の方針に切り替わった.その理由は以下のとおり。
- どの年齢でも,健康状態がどうあろうとも,少なくとも一定の重大な重症化リスクは存在する。
- 重症化リスクを増大させる合併疾患は多岐にわたる。
- CDCガイドラインでは,「2023-2024 COVIDワクチン」について,過去のワクチン接種歴がどうであろうとも,特定のワクチン(モデルナ,ファイザー,ノババックス)が好ましいということはないとしている。
- 米国民のほとんどは,既にSARS-CoV-2に対する抗体をもっているため(感染またはワクチン接種により),現在では完全初回接種コースは,5歳以上の健常人には推奨されない。
- 生後6ヵ月以上の米国市民は全員,以下の状態を満たしていたとしても,ワクチン状態を更新しなければならない。
- 症候性または無症候性のSARS-CoV-2感染歴
- COVD-19長期後遺症
- SARS-CoV-2ワクチン接種後の感染
- 5歳以上の健常者は全例,ワクチン未接種でも,過去にmRNAワクチン,ヤンセン/J&Jを何回接種したかにかかわりなく,最新のCOVID-19ワクチン1回接種を受けて,ワクチン状態を最新化しなければならない。生後6ヵ月〜4歳の健常な小児では,推奨される初回接種mRNAワクチン(モデルナ2回またはファイザー3回)をすべて接種して,ワクチン状態が最新のものとなるが,少なくとも1回は最新のCOVID-19ワクチンが含まれている必要がある。
- 急性症状から回復して隔離が終了するまで,ワクチン接種は延期する。SARS-CoV-2感染後は,症状発症または検査陽性から3ヵ月後までは次回接種の延期を考慮することがある。
- 2023-2024ワクチンについてはヒトでの有効性データは得られておらず,現在流行株に対する中和抗体上昇が示されているだけである。
- 最近の二価ワクチン接種の観察データでは,ワクチン接種日から近日間での入院に関する全般的有効性は概算で約50%。
- WHO COVID-19ワクチン推奨
- WHOは,ほとんどのCOVID-19ワクチンについて,単純化した一回処方による初回接種を,国家的優先課題として適切であるとして推奨している。
- 一価XBBワクチンが使用できない場合,入手可能なWHO承認のどのワクチン(二価変異株対応または一価祖先株ワクチン)も,高リスクグループでは重症化に対する有効性がいまだにあることから,使用してもよい。
妊婦へのRSVワクチン接種に関するACIP推奨
- 利用可能な 2 つの RSV ワクチンのうち,受動抗体を持つ乳児を保護するための妊娠32〜36 週の母親の出生前ワクチン接種として,FDAが承認しているのは,Abrysvo (ファイザー) のみである。
- ACIPは,10月〜3月の間に生まれた新生児を受動的に保護するために,9月から1月の間に妊娠32週から36週である妊婦に対して,RSウイルスの最初のシーズンを迎える乳児に対するNiservimabと同等の選択肢として,Abrysvo単回投与を当該シーズン中に投与することを推奨している。
- アラスカ,フロリダの一部,ハワイ,プエルトリコ,米領バージン諸島,グアムでは,RSV が一年中流行する可能性がある。これらの地域ではワクチン使用の季節性ルールは適用されない。
- ACIP は,使用可能な場合には,産後Nirsevimab-alipと同等の選択肢としてAbrysvoの当該シーズンでの投与を推奨している。 他の時期には,妊婦に対するAbrysvoは適応外であり,Nirsevimab-alipの乳児への投与が唯一の選択肢となる。
- 乳児へNirsevimab-alipかつ妊婦へAbrysvoの両方を投与しても,どちらか一方を投与するよりも有用だということはないが、妊婦が免疫不全状態であるか,乳児が RSV リスクが特に高い場合には検討してもよい。
- 妊娠 34 週未満で生まれた乳児,または妊婦がワクチン接種を受けたがワクチン接種後 14 日未満で生まれた乳児には,Nirsevimab-alipの投与が推奨される。
- Abrysvo は Nirsevimab-alip の約半分の費用だが,効果はそれほど長く持続しないようだ(Abrsyvo の場合は 3 か月)。
処方の選択が複雑なため、患者と医療提供者の両方に混乱が生じる可能性がある。
その他のワクチンについてのCDC推奨
メトロニダゾール経口懸濁液を承認
- 米国 FDA は,成人のトリコモナス症,成人および小児患者のアメーバ症,成人の嫌気性細菌感染症の治療にメトロニダゾール経口懸濁液 (Likmez) を承認した。 使用可能な製品:200 mLボトル,500 mg/5 mL,イチゴ・ペパーミントの香り。 冷蔵は不要。
抗微生物薬適正使用管理の指針
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| 2023年9月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
CDCより
Abrysvoの第二の適応
- 2023年8月,非アジュバント二価RSVワクチンAbrysvoは,出生〜生後6ヵ月の乳児におけるRSVによる下気道感染および重症下気道感染予防のために,妊娠32〜36週の妊婦に対する積極的接種が承認された。
- 乳児に対する出生後のNirsevimab-alipとどちらが好ましいかについては,ACIPガイドラインではペンディングとなっている。
- 臨床試験では,早産が増加する懸念があった
- FDAニュースリリース
抗微生物薬適正使用支援(AMS)の指針 - AMS チームと敗血症チーム間のコラボレーションを優先する
- 9月は敗血症啓発月間であり,CDC の最近の報告書では,急性期病院における敗血症プログラムの活動について概説されている。この研究は,2022年の全米医療安全ネットワーク(NHSN)年次調査のデータに基づいたものであり,それによると病院の73%で敗血症委員会が設置されていた。そのうち 55% が抗微生物薬適正使用管理プログラムの実施を,61% が敗血症治療における抗菌薬使用の監視および点検を行っていた。
- 病院による敗血症患者治療の改善をさらに支援するために,CDC は病院敗血症プログラム中心原則をまとめ,発表した。病院のAMSプログラムをモデルにしたこの中心原則は,病院ごとの実情に柔軟に対応しながら,既存の敗血症ガイドラインの実施をサポートするように設計されている。 AMS プログラムと敗血症チームは,敗血症に対する抗菌薬の迅速かつ最適な使用を促進するための提携を検討する必要がある。(MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023;72(34):907-911)
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| 2023年8月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
米国でNirsevimab-alip承認
- 米国FDAは,Nirsevimab-alip(商品名Beyfortus)を承認した。これはF(融合)タンパクのプレフュージョン立体配座を標的としてRSウイルス(RSV)に対する受動免疫を導入するモノクローナル抗体である。適応となるのは,RSV流行期の最中または開始時に生まれた新生児または乳児,生後第2回のRSV流行期に重症RSV感染を引き起こしやすい生後24ヵ月までの小児におけるRSV下気道疾患の予防である。安全性と有効性は3件の臨床試験により確認されている。Nisersevimabは,EUでは2022年10月31日から市販されており,米国では来る2023〜2024年のRSV流行期の始めに市販となる予定である。
- RSV流行期の最中または開始時に生まれた新生児または乳児の用量:
- 接種時の体重<5kg:50mg筋注1回
- 接種時の体重≧5kg:100mg筋注1回
- 第2のRSV流行期にも受容RSV疾患罹患の可能性がある生後24ヵ月までの小児の用量:
- 製剤:プレフィルドシリンジ,50mg/0.5mLおよび100mg/mL
- FDSニュースリリース参照
伝染性軟属腫(Molluscum Cotagiosum)の新治療薬
- 米国FDA は,成人および2歳以上の小児患者の伝染性軟属腫の治療にCantharidin 0.7%局所溶液 (商品名 Ycanth) を承認した。これは軟属腫に対する初めてのFDA承認の治療法である。医療従事者は,必要に応じて3週間ごとに各病変に1回の塗布を行う必要がある。 FDAニュースリリース>参照。
米国で肺炭疽アジュバント製剤が承認された
- Biothraxのアジュバント製剤であるCyfendusは,PEP(曝露後予防)(PrEP[曝露前予防])ではない) についてのみFDAに承認されている。
- Cyfendusの使用により,PEPにおける4週間後3回目の投与が不要となる。抗菌薬の併用は依然として必要。
- このワクチンにより,炭疽菌による大規模な公衆衛生上の緊急事態への対応が簡素化される。
- 300万回分のCyfendus (AV7909と表示) がすでに米国政府の備蓄にある。
- 使用に関する詳細なガイドラインはACIP推奨待ちだが,用量とタイミングはFDA処方情報に従う。
- より詳細については,本Webサイト炭疽ワクチンのページを参照。
抗微生物薬管理の指針-患者レベルでの抗微生物薬適正管理の効率改善
- アメリカCDCは,病院の抗微生物薬管理プログラムの中核要素として,抗微生物薬管理(AMS)プログラムの優先措置を推奨している。ただし,これらの多くは実装に多大な時間とリソースを必要とする。
- 最近の論文では,患者レベルの2つの優先介入である事前承認と前向きの監査,およびそこからのフィードバックの効率を向上させる戦略が検討されている。著者らは,AMSワークフローを最適化するための以下のプロセスを提唱している:リソースの特定,主導権の優先順位付け,主導権を実施可能とするためのアラートの作成,日常の業務と行動の優先順位付け,である。
- AMSチームは、この論文で提案されているツールとリソースを使用して日常業務を最適化できる。Open Forum Infectious Diseases, 2023; ofad412。
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| 2023年7月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
米国で肺炭疽(吸入感染)アジュバントワクチンが承認された
- アジュバント製剤であるBiothrax Cyfendusによって,曝露後予防のための4週後の第三回投与の必要がなくなる。抗菌薬併用投与は,まだ必要である。このワクチンは,炭疽を含む公衆衛生上の大規模な緊急事態への対応を単純化する。Cyfendus(AV7909)300万回分が既に米国政府により備蓄されている。使用についての詳細なガイドラインは,現在ACIPの推奨待ちだが,用量と投与時期はFDAの処方によるものとなるだろう。より詳細な情報は本データベース(アップデート版)の炭疽ワクチンの項を参照。
米国でのマラリア市中感染
- CDCはHealth Advisory(CDCHAN-00494)を発行し,5名の米国市民(フロリダ州4名,テキサス州1名)が,蚊媒介によるPlasmodium vivax(三日熱マラリア原虫)の市中感染との診断を受けたと報告した。米国でマラリアの診断をされた症例のほとんどが,流行地域へ渡航した人である。蚊媒介マラリアの市中感染は2003年以来のこととなる。こうした症例がでてきているが,マラリア市中感染のリスクは現在でも非常に低い。
RSウイルスワクチン:キーポイント
- CDCの予防接種実施に関する査問委員会(ACIP)は現在,年齢≧60歳の成人は,共有意思決定支援(shared decision making)に基づき,Abrysvo(ファイザー,非アジュバント)またはArexvy(GSK,シングリックスと同一のアジュバント使用)のどちらかのRSウイルス(RSV)ワクチン1回筋注接種を受けてもよいという勧告を出している。免疫不全者は,たとえ臨床試験の対象には含まれていなくても,ワクチン接種を受けるべきである。
- 2つのワクチンは,高齢者の下気道感染を引き起こすRSVに対して有意なワクチン効果(VE)を示し,その予防効果は少なくとも流行期2シーズン連続で持続した。1年後の第2回接種は追加的予防効果を示さなかった。年齢≧75歳に対する,あるいは入院リスクに対する統計的に有意なワクチン効果を検出するにはデータ不十分である(プラセボ群の人数が少ない)。どのタイプのインフルエンザワクチンを併用しても安全であり,VEに対する有意な影響はない。ただし,それぞれのワクチンの力価は幾分低くなる。2つのワクチンの市販は2023〜2024年のRSV流行期(9月半ばから5月半ば,ピークは12月末から1月半ば)と予測される。ワクチンが使用可能になったら,ただちにワクチン接種を受けることが推奨される。薬価はAbrysvoが180〜270 US$,Arexvyが200〜295 US$である。
- 3年間の急性気道疾患による入院成人患者を対象として,RSV感染とインフルエンザの患者数,臨床的特徴,および予後を比較した総説によると,RSV患者のほうが予後が悪く,しばしば背景に心肺疾患があることが示されている(Clin Infect Dis 2023; 76: 1980)。
新たな診療ガイドライン
抗微生物薬使用の指針-MRSA感染予防の基本戦略
- 米国医療疫学協会(SHEA)が後援する新しいガイドラインは,急性期病院がメチシリン耐性S. aureus(MRSA)の伝播と感染の予防のための,重点的な推奨事項を記載している。このガイドラインはSHEA,米国感染症学会(IDSA),感染制御疫学専門家部会(APIC),米国病院協会(AHA)および合同委員会の協力により作成され,すべての急性期病院で採用されるべき重要な実践的指針が含まれている。
- これらの中で注目に値するのは,抗微生物薬適正使用管理(AMS)プログラム実施への推奨である。 AMS の実装は,本ガイドラインの 2014 年版では未解決の問題であった。適正使用管理プログラムでは,このガイドラインに基づきMRSA 感染予防に関する取り組みを進めることができる(Infect Control Hosp Epidemiolo. 2023 June 29;1-29)。
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| 2023年6月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
米国FDA承認の新薬
- 2剤同梱のニルマトレルビル+リトナビル錠(パキロビッド)は,入院や死亡といった増悪リスクの高い,中等症〜重症COVID-19成人患者の治療薬である。成人患者および承認外である12〜18歳の適格な小児患者の治療を確保できるように,緊急使用許可(EUA)に基づいて生産・梱包されDHHSにより配布されるという体制が続いている。パキロビッドは,COVID-19予防のための曝露後/前予防には承認・許可されていない。FDAニュースリリースを参照。
- Sulbactam-Durlobactamは,2剤同梱の注射製剤であり,年齢18歳以上の患者での,Acinetobacter baumannii-calcoaceticus complexの感受性ある分離株による細菌性院内肺炎および人工呼吸器関連細菌性肺炎(HABP/VABP)の治療に承認されている。Sulbactamはβラクタマーゼ阻害薬であり,Acinetobacter baumanniiに対して自然活性を持つ.Durlobactamはβラクタマーゼ阻害薬であり,A. baumannii産生の酵素によるSulbactam分解を妨げる助けをする.推奨用量はSulbactam 1g+Durlobactam 1g静注6時間ごと(3時間以上かけて注入).この同梱製剤は優先審査を受け認定感染症製品(QIDP)に指定されている。上市は本年度後半の予定である。FDAニュースリリース参照。
- 第二のRSウイルス(RSV)ワクチン(Abrysvo)の,60歳以上での使用が承認された。これは非アジュバント二価ワクチンでありRSVサブグループAおよびBからのF蛋白融合前RSVリコンビナントと同等の量で構成されている。用量は0.5mL注射。ワクチン上市は今秋以降になる予定。
抗微生物薬適正使用の指針:外来部門での臨床的意志決定サポート
- 最近発表された研究によると,電子医療記録に臨床意志決定支援ツールを導入すると,抗菌薬の処方が減少することが明らかになった。このツールは,単一施設の救急部門や外来診療部門でアジスロマイシンまたはフルオロキノロンが注文されたときにトリガーされるようにプログラムされていた。救急部門と外来部門の両方で,毎月のアジスロマイシン処方率が大幅に減少した(それぞれ−24%,−47%)。臨床部門では,直近でのシプロフロキサシンの大幅な減少はなかったが,時間の経過とともに大幅な減少がみられた。
- この研究の結果は,抗微生物薬適正使用管理プログラムでの,救急部門や外来診療所への臨床意思決定支援ツールの導入を支持するものである(Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 2023 Apr 26;3(1):e80)。
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| 2023年5月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
米国FDAが承認した新薬
- SulbactamおよびDurlobactam(どちらも注射薬)の2剤を同梱した製剤は,年齢18歳以上の患者でのAcinetobacter baumannii-calcoaceticus complexの感受性分離株による院内細菌性肺炎および人工呼吸器関連細菌性肺炎(HABP/VABP)の治療に承認された。Sulbactamはβラクタマーゼ阻害薬であるが,Acinetobacter baumanniiに対して自然活性があり,Durlobactamはβラクタマーゼ阻害薬であり,A. baumannii産生酵素によるSulbactam分解を防ぐという支援的な働きをする。腎機能正常の場合の推奨用量はSulbactam 1g+Durlobactam 1g静注6時間ごと(3時間以上かけて注入)。この同梱製品は優先審査を受け,適格感染症製品(QIDP)として指定された。発売は今年後半の予定。
COVIDワクチンまとめ
- CDCの最新の推奨(2023年4月19日;免疫不全に関して5月1日)では,一価(祖先株)mRNAワクチンは,もはや米国では推奨されない.
- 米国民のほとんどは,既にSARS-CoV-2に対する抗体をもっている(感染またはワクチン接種によって)
- 6歳以上でワクチン未接種または以前に一価初回コースを完了した場合は,二価mRNAワクチン接種を受けなければならない。年齢>65歳または免疫不全でなければ,さらなる接種は必要ない。
- 年齢≧65歳成人への二価ワクチン1回追加接種および免疫不全者への1回またはそれ以上の追加接種が推奨される。
- 年齢>12歳の免疫不全者は,二価ワクチン最終接種後≧2ヵ月で,モデルナ(0.5mL/μg)またはファイザー(0.3mL/3μg)ワクチンの1回追加接種を受けてもよい。
- 年少の小児では,いまだ複数回接種が推奨されているが,年齢,ワクチン,以前にどのワクチン接種を受けたかで異なる。COVID-19ワクチン ファイザー/BionTechおよびCOVID-19ワクチン モデルナを参照。
RSウイルスワクチンを承認
- 米国FDAはRSウイルス(respiratory syncytial virus)アジュバントワクチンの60歳以上に対する使用を承認した。用量は0.5mL筋注1回。上市は今秋以降になる予定。詳細はFDAニュースリリースを参照。
抗微生物薬使用の手引き
- 100万人以上の介護施設長期滞在者を対象とした長期レトロスペクティブコホート研究では,66.2%が滞在中少なくとも1回は抗菌薬処方を受けていたことが明らかになった。レボフロキサシン,シプロフロキサシン,STがもっとも多く処方された抗菌薬であり,薬剤系統としてはフルオロキノロン系薬,スルホンアミドおよび類縁薬,セファロスポリン第一世代がもっとも多く処方されていた。DOT (days of therapy:1日用量にかかわらず,抗菌薬の投与日数のみを評価する指標) では,もっとも処方率が高かったのはNitrofurantoinであった。この研究では抗菌薬処方の普及率,処方率,DOT率が明らかにされており,これらの指標はいずれも抗微生物薬適正使用活動のために使用可能なものであろう(J Infect Dis. 2023 Apr 5;jiad087)。
介護施設での抗菌薬使用
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| 2023年4月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
承認された新薬
- ナロキソン点鼻スプレー市販薬(OTC):3月29日,米国FDAはナロキソンHCl4mg点鼻スプレーOTCを承認した。市販の日程および薬価は製薬会社が決定する。FDAは,数ヵ月はかかるであろう処方薬取り扱いからOTCへの変更実施期間中に,ナロキソン点鼻スプレー製剤の供給を持続させるために関係諸団体と調整を進めている。他の剤形・用量のナロキソン製剤は引き続き処方薬である。ニュースリリース参照。
- Rezafungin:年齢18歳以上で,治療選択肢がない,または限られている場合のカンジダ血症および侵襲性カンジダ症治療での使用が承認された。この承認は,限られた臨床的安全性および有効性のデープレスリリースタに基づくものである。推奨用量は,初回400mg静注,その後200mg静注週1回。4週以上の投与での安全性は確立していない。
ワクチンの現状
- FDAは,M-M-R II(麻疹・風疹・ムンプスウイルスワクチン),Varivax(水痘生弱毒化ウイルスワクチン),ProQuad(麻疹・風疹・ムンプス・水痘ウイルスワクチン)について,従来の皮下注のみに加えて筋注も承認した。このことにより,ルーチンの小児ワクチン接種がすべて筋注で行えることとなり,煩雑さが少なくなる。プレスリリース参照
マラリア迅速診断検査
- マラリア迅速診断検査(RDT)は,マラリア症例の管理において重要な役割を果たしている。BinaxNOWマラリア検査は,Plasmodium falciparumに特異的なHRP2抗原と,ヒトに感染可能な4種のPlasmodiumすべてに共通の抗原をターゲットにしたモノクローナル抗体を使用している。現在P. falciparumのHRP2/3欠損変異種が世界的に増加しているためにRDT陰性ではP. falciparumを除外できない。RDT陰性の場合は,すみやかにマラリア血液塗布検査を行わなければならない(Malaria J 2022;21:26)。
抗微生物薬適正使用の指針
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| 2023年3月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
CDC健康情報ネットワーク
- 2023年3月2日に臨床医および公衆衛生関係機関に対して,パラグアイでのチクングニヤ熱患者が増加しているという注意情報が出された(HAN00487)。
- CDCは,米国のサーベイランスシステムで報告された超薬剤耐性(XDR)赤痢菌感染の増大を監視してきた.XDR赤痢菌とは,通常経験的治療および第二選択に推奨されるすべての薬剤(アジスロマイシン,シプロフロキサシン,セフトリアキソン,ST,アンピシリン)に耐性の株と定義される.現時点では,米国でのXDR赤痢治療のためのCDC推奨は出されていない(HAN00486)。
B型肝炎スクリーニングと検査
新たな/改訂された診療ガイドライン
抗微生物薬適正使用の指針
- 救急部門における質改善研究で,薬剤師管理による抗菌薬処方のリアルタイム電子記録がその後の抗菌薬処方時間の大きな遅れに,どのように影響を与えるかを検証した。電子記録には直前24時間のすべての抗微生物薬のオーダーが1回のオーダーも含めて記録された。薬剤師は記録情報を患者の腎機能と照らして次の抗菌薬投与のタイミングを決定した。この研究の結果,対照群のほうが介入群よりも大きな遅れの発生率が高いことが示された(27% 対 20%,p=0.047)。このことは,救急部門における抗微生物薬適正使用の介入が機動できることを示している(Am J Health-Syst Pharm 2023; zxad024).
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| 2023年2月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
2023年米国ACIP推奨のワクチン接種スケジュール
改訂されたHHS HIV/AIDS診療ガイドライン
その他の新たな/改訂された診療ガイドライン
抗微生物薬適正使用の指針
- 90%以上の患者はペニシリンに忍容性があるが,約10%の患者でペニシリン反応歴の報告がある。ペニシリンアレルギーの患者は,より広域スペクトラムの抗菌薬によって治療されることが多く,Clostridioides difficileおよび他の副反応のリスクがある。CDCの病院での抗菌薬適正使用核心要素プログラムでは,ペニシリンアレルギー評価を抗菌薬使用改善のための対応実例のひとつとしている。
- アレルギー歴を収集し評価することは,一連の治療に繋がることであり,その過程においては看護師,処方者,薬剤師がそれぞれの役割を果たす。2022年後半,米国アレルギー・喘息・免疫学会,および米国アレルギー喘息免疫学カレッジは,薬物アレルギー2022(改訂実践パラメータ:J Allergy Clin Immunol 150(6):1333-1393, 2022)を発表した。この改訂版は,薬物アレルギーの診断と管理の推奨を含むものであり,抗菌薬アレルギーの章も立てられている。この文書には,アレルギー検査による除外,皮膚テスト,ペニシリン負荷,側鎖比較のチャート,表,アルゴリズムが含まれている。このガイダンスにより,各施設で,βラクタム薬アレルギーへの対応を発展させ最適化し,抗菌薬使用および適正使用アウトカムの改良に使用することができるであろう。
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| 2023年1月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
改訂された診療ガイドライン
Lenacapavirを承認
- 米国FDAは,多剤耐性HIV-1感染の成人で,重点的な治療を受けてはいたが,耐性,忍容性,安全性の問題により現在のARV処方が失敗した例に対するLenacapavir(Sunlenca)の使用(他のARV薬との併用で)を承認した。Lenacapavirは初めてのHIV-1カプシド阻害薬であり,初回投与は経口錠剤および皮下注射であり,維持治療として皮下注6ヵ月ごとである。
抗微生物薬適正使用の指針
- ケンタッキーの4つの病院で行われたレトロスペクティブなサーベイランスでフルオロキノロン使用と,関連する感受性データの解析が行われた。調査対象となった治療では,フルオロキノロン処方が見直され,ルーチンでの使用,感染症専門薬剤師による処方後の評価とフィードバック(prospective audit and feedback:PAF)が減少していた。2016〜2020年の5年間でフルオロキノロン使用は74%減少し,P. aeruginosaおよびE. coliの感受性はそれぞれ57%,15%上昇した。この研究では,処方とPAFがどのように変化し,どのような状況に対する介入でも,使用減少と耐性抑制に成功したことが示された。このことは,2023年1月1日から,病院および救急治療病院に対して施行された合同審査会の抗微生物薬適正使用遂行における新しい要素に対する遵守を図るためのひとつの方法としてPAFの組み入れがあるというエビデンスになっている(Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 2022 Nov 16;2(1):e186. doi: 10.1017/ash.2022.326)。
重医薬品(重水素化医薬品)
- 重医薬品(重水素化医薬品)とは薬剤の1つあるいはそれ以上の水素が重水素に置換された薬剤である。C-D結合はC-H結合より強固であることが知られている。C-H結合の分解は薬物代謝の酸化(第1相)の間に起こることが多いため,重水素化により薬剤の薬物動態と代謝を変化する。選択的に重水素化することにより,必要投与回数が減る(代謝速度が遅くなるため)あるいは毒性代謝物産生を減少させるなど,薬物の生物学的効果に,有用な変化がもたらされることがある(Expert Opin Ther Pat 2014;24:1067)。
- VV116はレムデシビル親ヌクレオシドのtri-isobutyrate esterプロドラッグの重水素化薬である。経口服薬後,速やかに親ヌクレオシドに代謝され,細胞内キナーゼにより三リン酸化された活性化代謝物に変換される(Acta Pharmacologica Sinica 2022;43:3130)。この代謝物はアデノシン三リン酸の類似物として作用し,RNAポリメラーゼを介したSARS-CoV-2の合成時RNAへの侵入を阻害する。
- 最近発表された臨床試験では,重症化高リスクの軽症〜中等症COVID-19成人患者822例を,経口VV116またはニルマトレルビル+リトナビル(パキロビッド)の5日治療にランダム化した。VV116は,持続的臨床的回復までの時間の短縮に関してニルマトレルビル+リトナビルに非劣性であった。有害事象の発生はVV116群のほうが少なかった(N Engl J Med 2022 Dec 28 [online ahead of print])。
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| 2022年12月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
抗微生物薬適正使用の指針
- 全国的なコホート研究により,成人外来患者における呼吸器感染症に対する不適切/適切な抗微生物薬処方に関連した薬剤有害事象リスクとその健康維持費用について評価された。調査対象となった成人300万人以上のうち,43〜56%が細菌感染に対して,7〜66%がウイルス感染に対して不適切な抗微生物薬処方を受けていた。不適切な抗微生物薬処方が,Clostridioides difficile感染などの薬物有害事象および健康維持費の増大と関連していた。この研究は,外来診療で抗微生物薬適正使用プログラムを拡張し,それにより健康維持費用を抑制することの必要性についての,さらなるエビデンスを示すものである:Clin Infect Dis. 2022; ciac879, doi.org/10.1093/
Ibrexafungerpの第二の適応
- 米国FDAは,Ibrexafungerpを成人および初経後女児での陰門膣カンジダ症再発抑制への適応を承認した。再発防止のための推奨用量は,300mg経口12時間ごと2回,月1回6ヵ月間で,食事に関係なく服用,である。
改訂されたARVガイドライン
Priorix:ACIP推奨
- 1978年以来,M-M-R II(メルク)は米国で使用可能な唯一のMMRワクチンであった。本年6月米国FDAは第2のMMRワクチン,Priorix(グラクソ・スミスクライン)を,年齢12歳以上での麻疹・流行性耳下腺炎・風疹の予防について承認した。新しいワクチンには3種の弱毒化生ウイルスが含まれており,M-M-R IIのそれぞれのウイルスと遺伝的には同等または同一である.ワクチン接種に関する査問委員会(ACIP)は,Priorix接種を麻疹・流行性耳下腺炎・風疹予防の選択肢として,既存の推奨スケジュールに従って,および適応外使用として行うことを全会一致で推奨した。PriorixとM-M-R IIは,MMRワクチン接種が推奨されるすべての適応について互換可能である.この報告は,Priorixに特化してACIP推奨とMMRワクチン使用に関する既存のACIP推奨に対する補遺を含んだものである(MMWR 2022;71:1465-70).PDF版。
髄膜炎菌ワクチン最新情報
- 髄膜炎菌(A,C,Y,W群)結合型ワクチン,メンクアッドフィは,製造中止となったメナクトラに代わる唯一の四価ワクチンであり,サノフィから入手可能である。メンクアッドフィは2歳以上での使用が承認されている。Menveo(グラクソ・スミスクライン)は,生後2ヵ月〜55歳までの使用が承認されているが,高齢者には適応外使用がなされることがある。
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| 2022年11月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
HIV感染者における内臓型リーシュマニア症
- 改訂されたWHOガイドライン(PDF版ダウンロード)では,東アフリカおよび東南アジアのHIV感染者の,Leichmania donovaniによる内臓型リーシュマニア症を扱っている。推奨は,L. donovaniの他の蔓延地域に対しても適応できる。
- 現在までHIV感染者の内臓型リーシュマニア症治療の一般的な推奨はリポゾーマルアムホテリシンB単剤治療であり, 3〜5mg/kg1日1回,または間欠的投与10回(1〜5日,10,17,24,31日)で累積用量40mg/kgであった。
- 新しい推奨:リポゾーマルアムホテリシンB(累積治療用量30mg/kgまで,1,3,5,7,9,11の各治療日ごとに5mg/kg静注)+Miltefosine(東南アジアでの感染では100mg/日経口14日,東アフリカでの感染では28日)
- 二次予防(エビデンスの確実性は非常に低い)
- 東アフリカ:ペンタミジン4mg/kg[成人では300mg]静注3〜4週ごと
- 東南アジア:デオキシコール酸アムホテリシンB 1mg/kg静注3〜4週ごと,またはリポゾーマルアムホテリシンB 3〜5mg/kg静注3〜4週ごと。CD4細胞数>350を維持しているか,またはHIVウイルス量が少なくとも6ヵ月間検出不能で,内臓リーシュマニア症再発のエビデンスがない場合には予防は中止してよい。
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| 2022年10月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
ACIPより
リーシュマニア症に対する5価アンチモン
- グラクソ・スミスクラインは全世界でStibogluconate sodium (Pentostam)の生産を中止しており,現在ではCDCからも入手できない。
- Meglumine antimoniate (Glucantime)は,FDAの治験の認証を得られれば,Sanofiから入手できる。手続きについてはASTMHのサイトを参照。
CDCがArtesunateの配布を中止
- CDCは,米国における重症マラリア治療のための静注Artesunateの配布を中止した。主要製薬会社からの静注Artesunae市販品の供給は十分にある。詳細については,CDCのマラリア関連サイトを参照。
薬剤高度耐性結核に対するZeNix試験
- 高度薬剤耐性結核に対するベタキリン+Pretomanid+リネゾリド6ヵ月処方の有効性は90%であった。残念ながら,リネゾリド(1200mg経口1日1回)が末梢神経障害と骨髄抑制に関連していることが,この処方の問題点だった。ZeNix試験では,リネゾリドの用量と投与期間を変えて有効性と安全性を評価した。採用されたリネゾリド600mg1日1回・26週処方は,リスク-有用性の点で非常に優れていた(N Engl J Med 2022;387:810)。
妊婦に対する抗レトロウイルス治療
- ドルテグラビル(DTG)ベースの処方はHIV感染の妊婦における抗レトロウイルス治療(ART)の第一選択である。しかし,DTG中心処方と,他のINSTI中心処方,PI中心処方,NNRTI中心処方を有効性と安全性について比較したデータはなかった。米国多施設コホート研究で,DTG中心処方は,アタザナビル+リトナビル,ラルテグラビル,Elvitegravir+コビシスタット,およびダルナビル+リトナビルおよびリルピビリン中心の同様の処方よりも分娩時のウイルス抑制達成について優れていた。出産関連の有害事象リスクについては,DTG中心処方と他のART処方の間に明確な差異は認められなかった(N Engl J Med 2022;387:799)。
Ceftarolineと中枢神経系感染
- Ceftarolineは,MRSA中枢神経系感染に対する選択肢となりうるが,しかし,それを支持するデータは乏しい。疫学薬物動態モデルにおいて,脳脊髄液(CSF)グルコース濃度とコンパートメント間のCSFへのクリアランスが逆相関していることが明らかになった。モデルのシミュレーションでは,CSFへのCeftaroline移行は,髄膜無炎症群で4%,軽度髄膜炎症群で19%,髄膜炎症群で62%だった。CSF曝露がこのように異なれば,個々の細菌に対する目標濃度達成の可能性も明らかに異なってくる。著者らはCNS感染治療において,600mg静注8時間ごとの用量をさらに評価することを示唆している(Antimicrob Agents Chemother 2022;66: e0074122)。
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| 2022年9月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
2022年〜2023年インフルエンザワクチン
ポリオワクチン
- 2022年6月,ニューヨーク州ロックランド郡居住の成人(ワクチン未接種,免疫機能正常)からポリオウイルスが確認された。この患者から分離されたのはワクチン由来ポリオウイルス2型であり,ニューヨーク州の近郊2郡の下水からも検出された。ルーチンスケジュールではワクチン未接種の小児,および接種が3回に達しない成人に対する現在の推奨は,以下のとおりである。
- 初回接種スケジュール,ルーチン,生後6週〜17歳:生後2,4,6〜18ヵ月でIPV
- 通常の年齢で開始しなかった場合のキャッチアップスケジュール:年齢<4歳なら0,1,2ヵ月,年齢≧4歳なら0,1,6ヵ月。
- 既に1回または2回ポリオワクチン接種を受けている成人は,標準的な間隔で最終の1回または2回接種を受けなければならない。
- 既にワクチン接種を完了している人には追加接種は推奨されない。
- ポリオ,ワクチンおよびポリオウイルス,急性灰白髄炎を参照。
静注薬使用者の心内膜炎に関するAHA科学的声明
新たな診療ガイドライン
フルオロキノロン系薬と急性肝障害
- スウェーデンで全国的な登録制コホート研究が行われ,経口フルオロキノロン系薬使用は,治療開始後60日以内における急性肝障害リスクの倍増(アモキシシリンとの比較で)と関連していた。絶対的リスクは低い(治療100万回につき追加的イベント発症5回と推計した)。治療に用いられたフルオロキノロン系薬で多かったのは,まずシプロフロキサシン(79.3%),次いでノルフロキサシン(17.4%),モキシフロキサシン(1.78%),レボフロキサシン(1.11%),オフロキサシン(0.47%)であった(Clin Infect Dis 2022;74:2152)。PDF版
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| 2022年8月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
CDCから
C. difficileのバンコマイシン感受性低下
- バンコマイシン感受性低下を示したClostridioides difficile分離株が,2つの大陸の2つの都市(テキサス州ヒューストン,ケニヤ共和国ナイロビ)から報告されている。非感受性C. difficileを含む糞便検体を同定するため,検体はC. difficila培地(CDPA)のみにプレートされた(CDPAはバンコマイシン4μg/mLまたはメトロニダゾール8μg/mL[CLSIブレイクポイント濃度に基づく]を含む)。ヒューストンの糞便検体(C. difficile感染患者から採取)では,バンコマイシン非感受性C. difficile分離株は114/438(26%)であったのに対し,ナイロビの患者でのバンコマイシン非感受性分離株は66/98(67%)であり,ヒューストンとナイロビのメトロニダゾール非感受性株は,それぞれ29%,85%であった。バンコマイシン非感受性分離株を感染させたマウスモデルでは,バンコマイシンによる除菌は失敗した.全ゲノム配列解析ではvanA遺伝子は同定されず,別の機序による耐性である可能性が示唆される。バンコマイシン非感受性C. difficileの拡大は深刻な公衆衛生上の問題となるおそれがある(Clin Infect Dis 74: 120, 2022)。
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| 2022年7月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
耐性菌感染症治療に関するIDSAの新ガイドライン
H. pyloriに対する新しいパック治療薬
- ボノプラザン/アモキシシリン/クラリスロマイシン(3剤パック)およびボノプラザン/アモキシシリン(2剤パック)は成人でのH. pylori治療薬である。ボノプラザンは経口のカリウムイオン競合型アシッドブロッカーであり,アモキシシリン±クラリスロマイシンとパックされている。経口の推奨用量は,3剤パックではボノプラザン20mg 1日2回+アモキシシリン1000mg 1日2回+クラリスロマイシン500mg 1日2回食事に関係なく服用・14日,2剤パックではボノプラザン20mg 1日2回+アモキシシリン1000mg 1日3回食事に関係なく服用・14日である。製品は2022年第3四半期に上市の予定。(注:日本では3剤パックが入手可)
Tecovirimatの新剤形
- 成人および体重が少なくとも3kg以上の小児におけるバリオラウイルスによるヒト天然痘治療薬であるTecovirimatの注射製剤。推奨用量(14日まで)は,体重3kg〜<35kgでは6mg/kg静注12時間ごと,体重35kg〜<120kgでは200mg静注12時間ごと,体重≧120kgでは300mg静注12時間ごとで,注入には6時間以上かける。
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| 2022年6月 |
サル痘の世界的流行
- サル痘は,痘瘡(天然痘)と同様の症状を呈する人畜共通病原体で,リンパ節腫脹を呈する点だけが異なる。感染の多くは,ナイジェリア,コンゴ,中央アフリカ共和国で流行が起こっているが,西アフリカ(ほとんどはナイジェリア)の株はコンゴの株より毒性が低いようだ。
- 最近(2022年)アフリカ以外の地域(ヨーロッパ,北アメリカ,オーストラリア)で症例の報告が相次いでいる(CDC Health Alert Network Advisory No.466, 2022年5月20日)。これらはアフリカでの曝露がない症例(西アフリカ株)で,伝播の多くは直接のヒトーヒト接触(たとえば,性的接触,特にゲイ/バイセクシュアルの男性).皮膚接触,呼吸器感染(おそらくは非常にまれ)によるものである。前駆症状は少なく,皮膚病変の播種も少ない.孤発性の性器病変は一般的な性感染症と取り違えられてきた。
- ほとんどの場合,潜伏期間は12日(曝露後は21日の隔離が推奨される).その後前駆症状として発熱,頭痛,咳が現れ,リンパ節腫脹を呈し,頭部,体躯,四肢に小水疱性の丘疹状発疹から膿疱,陥没となり,痂皮を形成する。病変はすべて同時に現れる.斑は掌および足底に広がることがある(梅毒と同様).爪周囲の病変も報告されている。
- 診断は病変部のPCR.痂皮性病変が剥脱するまでPCRは陽性のことがある:痂皮性病変が消失するまでは感染性があるとみなされる。
- さらなる詳細は本ウエブサイトの「サル痘」参照。
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| 2022年4月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
トリーメクの新剤形
- トリーメクの経口溶液のための小児用錠剤(アバカビル60mg,ドルテグラビル5mg,ラミブジン30mg)は,体重10kg〜<25kgのHIV-1感染小児患者の治療に用いられる。トリーメクの2つの剤形(錠剤,経口溶液のための小児用錠剤)はドルテグラビル成分の薬物動態の特性が異なるため,mg/mgで交換してはならない。
結核治療の新処方に関するCDCの暫定的ガイダンス
- CDCはRifapentine-モキシフロキサシン4ヵ月処方を,年齢≧12歳・体重≧40kgの肺結核患者で,薬剤耐性結核菌によることが確認または疑われ,かつこの処方に対する禁忌がない場合に推奨する。4ヵ月毎日処方は,Rifapentine,モキシフロキサシン,イソニアジド,ピラジナミドによる8週の集中治療期と,Rifapentine,モキシフロキサシン,イソニアジドによる9週の持続期からなっている。各薬剤は1日1回,週7日,食事とともに投与され,合計119回投与となる。標準的な6ヵ月処方と同様に, 7週中少なくとも5週はDOT下での投与としなければならない。文献:MMWR Morb Mortal Wkly Rep 71: 285, 2022,ガイダンスのPDF。
新たなまたは改訂されたガイドライン
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| 2022年2月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
- サンフォード感染症治療ガイドアップデート版のSARS-CoV-2/COVID-19に関する最新情報(治療,予防/ワクチン,関連疾患)は,ライフサイエンス出版のサイト(http://lifescience.co.jp/contents/index_SP20200312.html)で無料公開中。
- 2022年1月21日,米国FDAは,軽症から中等症のCOVID-19の治療に関して,成人および小児の一部の外来患者に対しレムデシビルの使用を拡大した。
- 現在の適応には,重症化(入院,死亡など)のリスクが高く,SARS CoV-2直接検査陽性の,軽症から中等症の成人および小児(年齢≧12歳,体重≧40kg)の外来患者が含まれる。改訂された添付文書を参照。
- 緊急時使用許可(EUA)では現在,重症化(入院,死亡など)のリスクが高く,SARS CoV-2直接検査陽性の,体重3.5〜<40kgまたは年齢<12歳で体重>3.5kgの小児で軽症から中等症の外来患者に対する使用についても承認されている。医療従事者向けのファクトシートを参照。
- 2022年1月3日,FDAは,ファイザー/BioNTech COVID-19ワクチンに関するEUAを以下のように改訂した。
- 1回追加投与の対象を12〜15歳に拡大する。
- ファイザー/BioNTechワクチンの最初の接種完了から追加接種までの期間を最低5カ月に短縮する。
- 一部の免疫不全者に対する最初の3回目接種を,5〜11歳の小児に拡大する。
- 2021年12月23日,FDAは,SARS CoV-2直接検査陽性で,重症化(入院,死亡など)のリスクが高く,FDA承認の他のCOVID-19治療選択肢が利用できないまたは臨床的に不適切な,軽症から中等症の成人のCOVID-19患者の治療に,モルヌピラビルのEUAを発出した。モルヌピラビルはCOVID-19の診断後できるだけ早く,発症から5日以内に開始する。推奨用量は800mg(200mgカプセル4錠)経口12時間ごと・5日。
- 2021年12月22日,FDAは,SARS CoV-2直接検査陽性で,重症化(入院,死亡など)のリスクが高い,軽症から中等症の成人および小児(年齢≧12歳,体重≧40kg)のCOVID-19患者の治療に,Nirmatrelvir錠とリトナビル錠の経口用同一梱包剤のEUAを発出した。Nirmatrelvir+リトナビルはCOVID-19の診断後できるだけ早く,発症から5日以内に開始する。推奨用量はNirmatrelvir 300mg 1日2回+リトナビル100mg 1日2回(同時に服用)・5日。
- 2021年12月9日,FDAはファイザー/BioNTech COVID-19ワクチンに関するEUAを改訂し,16〜17歳に対し,ファイザー/BioNTechワクチンの最初の接種完了から少なくとも6カ月あけて1回追加接種することを承認した。
- 2021年12月8日,FDAはTixagevimab+Cilgavimab同一梱包剤に対するEUAを発出し,一部の成人および小児(年齢≧12歳,体重≧40kg)におけるCOVID-19曝露前予防のための使用を承認した。使用は現在SARS CoV-2に感染しておらず,感染者への最近の曝露がない人に限られる。また,中等症から重症の免疫不全状態であるか,ワクチンの重症の副反応歴がある人に限られる。
- 2021年12月3日,FDAはBamlanivimab+Etesevimabに対するEUAを改訂し,SARS CoV-2直接検査陽性で,重症化(入院,死亡など)のリスクが高い,軽症から中等症のすべての小児患者(新生児を含む)のCOVID-19治療に対する使用を承認した(それまでは年齢≧12歳,体重≧40kgの小児に対し承認されていた)。この改訂には,重症化(入院,死亡など)のリスクが高いすべての小児患者(新生児を含む)における,COVID-19曝露後予防のための使用も含まれる。ファクトシートを参照。
- ワクチン接種完了者に対する,CDCからの公衆衛生上の暫定的推奨:Interim public health recommendations for fully vaccinated people
- がん患者に対するCOVID-19ワクチン接種に関するNCCN(National Comprehensive Cancer Network)の予備的推奨:NCCN COVID-19 Resources
- 現在承認されているワクチンについては,使用方法とデータを表にまとめたCOVID-19-予防,ワクチンを参照。
- ESCMID(欧州臨床微生物学会)による,COVID-19薬物療法および臨床的管理に関する最新ガイドライン:Clin Microbiol Infect 2022; 28: 222
- COVID-19の診断,血清学,治療,管理,感染予防に関するガイドライン:IDSAガイドラインおよびNIHガイドライン
- COVID-19治療薬に関するWHOの最新ガイドライン:BMJ 2021; 375: n2936
- COVID-19予防薬に関するWHOの最新ガイドライン:BMJ 2021; 372: n526
- COVID-19の予防に関するWHOの最新ガイドライン:BMJ 2021; 373: n949
- COVID-19成人入院患者の管理に関する欧州呼吸器学会の最新ガイドライン:Eur Respir J 2021; 57: 2100048
新たなまたは改訂されたガイドライン
改訂されたACIP推奨
- 2021年10月20日,Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)は,年齢≧65歳または19〜64歳で特定の基礎疾患がある肺炎球菌ワクチン未接種の成人に対し,15価または20価肺炎球菌ワクチン(PCV15またはPCV20)の接種を推奨した。PCV15を用いる場合は,通常1年以上あけてPPSV23を1回接種する(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2022; 71: 109 )。
- 2021年10月20日,ACIPは,疾患または治療のために免疫不全/抑制状態にあるか,その状態になることが予測される19歳以上の成人において,帯状疱疹および関連する合併症を予防するための組換え帯状疱疹ワクチン(RZV)2回接種を推奨した。RZVは免疫不全者での使用が承認された初めての帯状疱疹ワクチンである(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2022; 71: 80 )。
新たに承認された剤形
- FDAは,12歳以上の女性における細菌性膣症の治療に対し,クリンダマイシン膣用ゲル2%を承認した。推奨用量は塗布器で膣内に1日1回塗布(膣用ゲル5g中クリンダマイシン100mg含有),塗布は1日のいつでもよい。
- FDAは,体重≧35kgで性行為によるHIV感染リスクのある成人および青少年のリスク低減のために,曝露前予防としてCabotegravirの遅延放出型注射用懸濁液を承認した。推奨用量は,導入投与として600mg/3mLを1カ月の間をあけて2回筋注,その後維持投与として600mg/3mLを2カ月ごとに筋注。忍容性を確認するために,最初の注射前に経口Cabotegravir(30mg経口・28日)をリードイン投与してもよい。
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| 2021年11月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
- サンフォード感染症治療ガイドアップデート版のSARS-CoV-2/COVID-19に関する最新情報(治療,予防/ワクチン,関連疾患)は,ライフサイエンス出版のサイト(http://lifescience.co.jp/contents/index_SP20200312.htm)で無料公開中。
- 2011年11月4日,英国医薬品医療製品規制庁(MHRA)は,軽症から中等症のCOVID-19で1つ以上の重症化リスク因子をもつ患者に対して,経口薬Molnupiravir(Lagevrio)の使用を承認した。リスク因子には,肥満,高齢(>60歳),糖尿病,心疾患が含まれる。承認された用量は800mg(200mgカプセル4錠)12時間ごと・5日。
- 2011年10月29日,米国FDAは,年齢5歳〜11歳の小児に対して,COVID-19予防のためのファイザー/BioNTechワクチンの緊急使用を認めた。接種は,最初の接種として3週間あけて2回だが,12歳以上に対する用量(30μg/0.3mL筋注)より低用量(10μg/0.2mL筋注)である。
- 2011年10月20日,米国FDAはCOVID-19ワクチンに対する緊急使用許可(EUA)を改訂し,以下のように1回追加接種を許可した。
- モデルナワクチン1回追加接種(50μg/0.25mL筋注,最初の連続接種の半分の用量):最初の連続接種完了から少なくとも6カ月後に接種する。以下が対象となる。
- 年齢≧65歳
- 18〜64歳で重症COVID-19の高リスク
- 18〜64歳で,組織上または職業上SARS-CoV-2曝露の可能性が高い
- ヤンセン(Johnson and Johnson)ワクチン1回追加接種(0.5mL筋注,初回接種と同用量):18歳以上に対し,最初の1回接種終了から少なくとも2カ月後に接種できる
- それぞれのワクチンは,それとは異なるワクチンで最初の接種を完了した人において,異種(mix and match)追加接種として使用できる。
- 2021年9月22日,米国FDAはファイザー/BioNTechワクチンに対する緊急使用許可を改訂し,1回追加接種(30μg/0.3mL筋注,最初の連続接種と同用量)を許可した。追加接種は最初の連続接種完了から少なくとも6カ月後に行い,以下が対象となる。
- 年齢≧65歳
- 18〜64歳で重症COVID-19の高リスク
- 18〜64歳で,組織上または職業上SARS-CoV-2曝露の可能性が高い
- ワクチン接種完了者に対する,CDCからの公衆衛生上の暫定的推奨:Interim public health recommendations for fully vaccinated people
- がん患者に対するCOVID-19ワクチン接種に関するNCCN(National Comprehensive Cancer Network)の予備的推奨:NCCN COVID-19 Resources
- COVID-19の診断,血清学,治療,管理,感染予防に関するガイドライン:IDSAガイドラインおよびNIHガイドライン
- COVID-19治療薬に関するWHOの最新ガイドライン:BMJ 2020; 370: m3379
- COVID-19予防薬に関するWHOの最新ガイドライン:BMJ 2021; 372: n526
- COVID-19の予防に関するWHOの最新ガイドライン:BMJ 2021; 373: n949
- COVID-19成人入院患者の管理に関する欧州呼吸器学会の最新ガイドライン:Eur Respir J 57: 2100048, 2021
新たなまたは改訂されたガイドライン
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| 2021年8月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
新たに承認された薬剤
- Ibrexafungerpは,成人および初経以降の女児での陰門膣カンジダ症に対する治療薬であり,FDAにより承認された初めてのトリテルペノイド抗真菌薬である。推奨用量は300mg(150mg錠2錠)を約12時間あけて2回投与。食事の影響は受けない。妊娠の可能性のある女性では,治療開始前に妊娠の確認をすること。
- Brincidofovirは,成人および小児(新生児を含む)において,バリオラウイルスによって引き起こされる天然痘の治療に用いられる。天然痘は根絶されているため,Brincidofovirの有効性は,バリオラウイルスに近縁のウイルスに感染させた動物で確認された。安全性情報は天然痘以外での使用に関する臨床試験から導かれたものである。推奨用量は,体重≧48kgの成人では200mg(錠剤または経口懸濁液)週1回・2回投与(錠剤は空腹時または低脂肪食とともに,懸濁液は空腹時に服用)。
新しい剤形
- ポサコナゾール徐放経口懸濁液は,2歳以上で体重40kg以下の小児患者が対象となる。ポサコナゾールには多くの経口剤形(徐放錠,懸濁液,徐放懸濁液)があるが,互いに交換することはできない。それぞれの剤形での用量推奨に従うこと。
- グレカプレビル/ピブレンタスビル(マヴィレット)は,成人および3歳以上の小児患者で,肝硬変がないか代償性肝硬変がある慢性C型肝炎(genotype 1〜6)に対する治療薬である。FDAは,年齢3〜<12歳・体重<45kgの小児用に経口ペレット(グレカプレビル50mg/ピブレンタスビル20mg)を承認した。推奨用量は体重に基づく。
- ソホスブビル/ベルパタスビル(エプクルーサ)は,genotypeや肝障害の程度にかかわらず,3歳以上の慢性C型肝炎小児患者の治療に用いられる。FDAは,より若年で錠剤を飲み下せない小児用に,2つの力価の経口ペレット(ソホスブビル200mg/ベルパタスビル50mg,ソホスブビル150mg/ベルパタスビル37.5mg)を承認した。3歳以上の小児に対する推奨用量は体重に基づく。
新たなまたは改訂されたガイドライン
新しいタイプの抗真菌薬についての概説
- Ibrexafungerpは,FDAにより承認された初めてのトリテルペノイド抗真菌薬である。本薬は真菌細胞壁の主要構成要素であるβ-(1,3)-D-グルカンの生合成を阻害することにより効果を発揮する。この作用機序はエキノキャンディンと似ており,それゆえ(驚くべきことではないが),Ibrexafungerpは多くのCandida種に対して殺菌的に,Aspergillusに対して静菌的に作用する。しかし,Ibrexafungerpの標的酵素(β-(1,3)-D-グルカン合成酵素)に対する結合部位はエキノキャンディンと異なるため,交差耐性は少ないことが予想される。Ibrexafungerpの特徴は経口の生物学的利用能であり,蛋白結合性が高く,分布容積は大きく,組織移行性は一般に良好である(中枢神経系は例外)。低pHで活性は増強されるようだ。血清半減期は長く(約20時間),排泄経路はおもに糞便と胆汁である。IbrexafungerpはCYP3A4の基質であるため,中等度〜強い誘導薬および阻害薬はその血清濃度に影響するであろう。また,いくつかのCYP酵素とトランスポーターを阻害するが,治療が短期間であれば臨床的な影響は少ない。一般に忍容性は高いが,動物での研究で胎児障害が認められたため,妊婦には禁忌である。本薬は陰門膣カンジダ症治療に承認されており,用量は300mg 12時間ごと・2回投与,食事の影響は受けない。米国では本年度中の市販が予想される(J Fungi 7: 163, 2021)。
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| 2021年2〜4月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
CDC健康情報ネットワーク(Health Alert Network)#442
- 米国CDCおよびFDAは,Johnson & Johnson(Janssen)のCOVID-19ワクチン接種者のうち,血小板減少症を伴う脳静脈洞血栓症を発症した米国6例のデータを調査中である。2021年4月12日現在,Johnson & JohnsonのCOVID-19ワクチンは米国で約685万回接種されている。上記6例はいずれも18〜48歳の女性であり,ワクチン接種から6〜13日で発症し,そのうち1名が死亡している。CDCおよびFDAは念のため,調査が完了するまではJohnson & Jonson製COVID-19ワクチンの使用を停止するように勧告している。Health Alertのウェブサイトより閲覧可能。
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
黄熱病ワクチンの再導入
- サノフィパスツールは,黄熱病ワクチンYF-VAXが米国で再び購入可能となることを発表した。注文は4月5日の週からwww.VaccineShoppe.comおよびwww.VaxServe.comを通じて可能になる予定。詳しくはCDCの関連ページを参照。
薬剤に関する臨床的に有用な知見
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| 2021年1月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
最近の文献からの診療上有用な知見
- これまでセフトロザン・タゾバクタムの脳脊髄液移行に関するデータは発表されていなかった。外部脳室ドレーンを使用中の重症患者10例において,セフトロザンおよびタゾバクタムの脳脊髄液移行比はいずれも0.2であり,3g静注8時間ごとの投与では,脳脊髄液でのPK/PD指標が>90%の確率で目標に達するのはMIC≦0.25μg/mLの場合のみであった。このデータからは,病原体のMICが非常に低い場合を除き,最大用量のセフトロザン・タゾバクタムを投与しても,グラム陰性菌感染に対し十分な脳脊髄液曝露は得られないことが示唆される(Antimicrob Agents Chemother 2020 Oct 19 [Epub ahead of print])。
- ミノサイクリンが承認されたのは約半世紀前であり,薬物動態/薬力学(PK/PD)のデータは限られる。55例を対象としたPK研究からは,ミノサイクリン200mg静注12時間ごとの投与では,MIC≧1μg/mL(CLSI感受性ブレイクポイント≦4μg/mL)のAcinetobacter baumannii感染に対し,不十分なPK/PD指標となることが示唆された。この結果から,A. baumanniiに対しミノサイクリンを使用する場合は併用治療を考慮することの重要性が強調されるとともに,現在のブレイクポイント解釈に対する疑問が提起される(Antimicrob Agents Chemother 2020 Nov 9 [Epub ahead of print])。
- レムデシビルを投与されたCOVID-19患者が,治療2日目に顕著な洞性徐脈(心拍数38/分,治療開始時60〜70/分)を発現した。処方には心毒性のある薬剤は見あたらず,徐脈はCOVID-19によるものとされた。さらにQRS延長およびその他の心症状を伴う徐脈が2日間続いた後,レムデシビルが中止されアトロピンが投与された。患者の徐脈,QRS延長およびその他の症状は急速に消失し,レムデシビルのまれな副作用であった可能性が示唆された(JACC Case Rep 2020 Oct 28 [Epub ahead of print])。
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| 2020年12月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
最近の文献からの診療上有用な知見
- これまでセフトロザン・タゾバクタムの脳脊髄液移行に関するデータは発表されていなかった。外部脳室ドレーンを使用中の重症患者10例において,セフトロザンおよびタゾバクタムの脳脊髄液移行比はいずれも0.2であり,3g静注8時間ごとの投与では,脳脊髄液でのPK/PD指標が>90%の確率で目標に達するのはMIC≦0.25μg/mLの場合のみであった。このデータからは,病原体のMICが非常に低い場合を除き,最大用量のセフトロザン・タゾバクタムを投与しても,グラム陰性菌感染に対し十分な脳脊髄液曝露は得られないことが示唆される(Antimicrob Agents Chemother 2020 Oct 19 [Epub ahead of print])。
- ミノサイクリンが承認されたのは約半世紀前であり,薬物動態/薬力学(PK/PD)のデータは限られる。55例を対象としたPK研究からは,ミノサイクリン200mg静注12時間ごとの投与では,MIC≧1μg/mL(CLSI感受性ブレイクポイント≦4μg/mL)のAcinetobacter baumannii感染に対し,不十分なPK/PD指標となることが示唆された。この結果から,A. baumanniiに対しミノサイクリンを使用する場合は併用治療を考慮することの重要性が強調されるとともに,現在のブレイクポイント解釈に対する疑問が提起される(Antimicrob Agents Chemother 2020 Nov 9 [Epub ahead of print])。
- レムデシビルを投与されたCOVID-19患者が,治療2日目に顕著な洞性徐脈(心拍数38/分,治療開始時60〜70/分)を発現した。処方には心毒性のある薬剤は見あたらず,徐脈はCOVID-19によるものとされた。さらにQRS延長およびその他の心症状を伴う徐脈が2日間続いた後,レムデシビルが中止されアトロピンが投与された。患者の徐脈,QRS延長およびその他の症状は急速に消失し,レムデシビルのまれな副作用であった可能性が示唆された(JACC Case Rep 2020 Oct 28 [Epub ahead of print])。
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| 2020年11月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
承認された新薬
- Inmazebは3種類のモノクローナル抗体(Atoltivimab,Maftivimab,Odesivimab-ebgn 1:1:1)の合剤であり,成人および小児(RT-PCRでザイールエボラウイルス感染陽性の母親から生まれた新生児を含む)のザイールエボラウイルス感染症の治療薬として,米国FDAにより承認された。推奨用量:Atoltivimab 50mg,Maftivimab 50mg,Odesivimab 50mg/kg静注1回。製剤は14.5mL 中に各抗体241.7mg を含む1回投与バイアル。
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
最近の文献からの臨床的に有用な知見
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| 2020年10月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
診療上有用な知見
- 酵素誘導作用のない抗菌薬のホルモン性避妊薬への影響は,現在も不明である。有害相互作用の存在を否定する議論の大部分は,エビデンス解釈に関する欠陥を1つ以上含む小規模研究に基づいている。英国医薬品・医療製品規制庁に登録された173073件の自発報告を対象とした最近の解析では,望まない妊娠は,酵素誘導のない抗菌薬で対照薬に比べ7倍多いことが示された。副次評価項目(下痢など)の増加はみられなかった。望まない妊娠の生活・生命への影響を考慮すると,このデータは最近の推奨とは逆に,女性に対し抗菌薬治療中は特に避妊に配慮するよう促すことを支持するものである(BMJ Evid Based Med 2020 Aug 18 [Epub ahead of print])。
- 静注アシクロビルは,通常は間欠投与される薬剤と考えられている。しかし,この薬は単純ヘルペスウイルス(HSV)に対し時間依存的な薬物動態を示すため,持続静注投与が支持される。新生児HSV脳症の確診または疑いありの2例に関する報告では,在宅でのアシクロビル持続静注(60mg/kg/日)治療が奏効した。どちらも最初の数日間はアシクロビル間欠投与が行われたが,その後持続静注に切り替えて21日治療したところ,早期に退院が可能となった。治療に関連する有害事象は観察されなかった(Pediatr Infect Dis J 2020; 39: 830)。
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| 2020年9月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
承認された新薬
- FDAは,Trypanosoma cruziによって引き起こされるシャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)の小児患者での治療に,Nifurtimoxを承認した。承認は,南米で行われた二重盲検ランダム化第III相試験の初期段階で得られた血清学的結果に基づいており,続いて臨床的な有効性が示されることが条件だろう。推奨用量(18歳未満):体重≧40kgなら8〜10mg/kg/日1日3回に分割,体重<40kgなら10〜20mg/kg/日1日3回に分割。
新たな診療ガイドライン
診療上有用な知見
- ポサコナゾールは最近,偽性アルドステロン症(二次性高血圧,低カリウム血症,ときに代謝性アルカローシスを引き起こす)との関連が指摘されている。この薬剤は副腎の11β-ヒドロキシラーゼおよび11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型を阻害し,鉱質コルチコイド作用をもつ代謝物(11-デオキシコルチコステロン,11-デオキシコルチゾール)の蓄積と,コルチゾールの不活性化の低下を引き起こす。この研究では,血清ポサコナゾール濃度と,収縮期血圧および血清11-デオキシコルチゾール濃度の間に正の相関関係があること,血清カリウム濃度の間に負の相関関係があることが示された。ポサコナゾールによる偽性アルドステロン症は,以前に報告されていたよりも低い濃度(中央値3.0μg/mL)で起こっており,この問題が十分には認識されていないことが示唆される(Clin Infect Dis 2020; 70: 2593)。
- セファロスポリン系薬と他のβラクタム薬との交差反応性を考える場合に,われわれはR1側鎖のみに注意を向けることが多い。セフロキシムに対するアナフィラキシーを2回経験した17歳女性に関する最近の報告では,皮膚アレルギー検査はすべての抗菌薬で陰性であった。皮内テストの結果を,R1およびR2側鎖のセフロキシムとの類似性とともに以下に示す。経口アモキシシリン,経口セファドロキシル(R1およびR2側鎖が異なる),筋注セフトリアキソン誘発試験は陰性であった。これらのデータから,セフロキシムおよびセフォタキシムへの過敏反応は,R2側鎖の類似性によることが示唆される(Ann Allergy Asthma Immunol 2020;125:101)。
| 薬剤 |
皮内テスト |
R1 |
R2 |
| アンピシリン |
陰性 |
異なる |
N/A |
| アモキシシリン/クラブラン酸 |
陰性 |
異なる |
N/A |
| ベンジルペニシリン |
陰性 |
異なる |
N/A |
| セファゾリン |
陰性 |
異なる |
異なる |
| セフォタキシム |
陽性 |
類似 |
類似 |
| セフトリアキソン |
陰性 |
類似 |
異なる |
| セフロキシム |
陽性 |
- |
- |
- 標準的な第一選択薬(イソニアジド,リファンピシン,ピラジナミド,エタンブトール)による治療を受けた結核患者2478例について,重大な副作用(SAE)の発生が調査された結果,407例(16.4%)が薬剤投与中止に至ったSAEを経験していた(もっとも多かったのは肝毒性であり,続いて皮膚反応,消化器不耐性,関節症)。原因薬剤としてもっとも多かったのはピラジナミド(55.8%)であり,続いてエタンブトール(23.3%),リファンピシン(13.8%),イソニアジド(6.4%)であった。SAEの発生率は年齢ととも上昇し,これはリファンピシン以外のすべての薬剤で同様であった(PLoS ONE 2020; 15: e0236109)。
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| 2020年8月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
新たに承認された薬剤
- FostemsavirはHIV-1接着阻害薬であり,治療歴が長く,耐性,不忍容性,安全上の懸念のため現在の抗レトロウイルス薬処方を用いることができない多剤耐性HIV-1感染患者に(他の抗レトロウイルス薬との併用で)用いられる。推奨用量:600mg徐放錠1錠1日2回,食事と関係なく。
レムデシビルの薬物相互作用の可能性
- 重症COVID-19患者で,レムデシビル治療開始5日後に肝毒性が発現した.患者はレムデシビル開始2日後に心房細動が新たに発現したためアミオダロンの投与を受け,さらに,最近Chloroquineの5日治療を受けていた(最終投与はレムデシビル開始の9日前).レムデシビルはP糖タンパク(PGP)の基質であり,アミオダロンとChloroquineはPGPを阻害する.PGPは腸,肝臓,腎臓に発現している排出トランスポーターであり,肝臓では薬物分子を肝細胞から胆汁中へ排出する.そのためこの症例では,薬物相互作用のために肝細胞でのレムデシビル濃度が毒性閾値を超え,肝毒性につながったことが推測される(Clin Infect Dis 2020 Jun 28).
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
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| 2020年7月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
- レムデシビルは現在も,重症の入院COVID-19に対する治療選択である。
- COVID-19の診断・治療・管理・感染予防に関するガイドライン:IDSAおよびNIH
新たに承認された剤形
- Artesunate注射薬は,成人および小児の重症マラリアの初期治療に対しFDAにより承認された。推奨用量は2.4mg/kg静注を0,12,24時間,その後は患者が経口治療に忍容になるまで1日1回。2020年末に市販が予定されている。
- 経口溶液のためのドルテグラビル5mg錠が,生後4週以上,体重3kg以上のHIV-1感染小児患者(未治療または既治療だがINSTI未使用)に対し承認された。この錠剤は先に承認されたドルテグラビル錠と生物学的に同等ではなく,同じmgに基づき代替することはできない。
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
診療上有用な知見
- リネゾリドは全クリアランスの約65%が腎以外から排泄される。この事実にもかかわらず,現在のところ肝不全におけるリネゾリドの用量調整は推奨されていない。しかし,PKモデル研究からは,肝硬変患者では過量投与につながることが示されており,病原体のMICに基づく減量の必要性が示唆されている(Antimicrob Agents Chemother 2020; 64: e00133-20)。
- Trimethoprimは腎尿細管でのクレアチニン分泌を阻害する結果,糸球体濾過率を変化させることなくクレアチニン排泄の低下,血清クレアチニン濃度上昇をもたらす。この機序は,クレアチニンにも利用されている近位尿細管の薬物トランスポーター(OCT2,OCT3,MATE1,MATE2-K)の阻害によると考えられている。予測される上昇の程度は約30%である(Drug Metab Pharmacokinet 2018; 33: 103)。
- セフトロザン・タゾバクタムの薬物動態に対するECMOの影響について発表されたデータは少ない。ex vivo,in vivo(ブタ)の2つのモデルを用いた研究では,回路内の薬剤吸着は非常に少なく,セフトロザンおよびタゾバクタムのクリアランスの減少はわずかであることが示された。これらのデータから,ECMO使用中の患者においてセフトロザン・タゾバクタムの用量調整は必要ないことが示唆されるが,この推奨には確認が必要である(J Transl Med 2020; 18: 213)。
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| 2020年6月 |
SARS-CoV-2 / COVID-19
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
薬剤投与についての重要な知見
- 成人患者でのセフトリアキソンの推奨投与法は30分かけて静注であるが,敗血症のように,投与時間短縮がアウトカム改善につながる緊急を要する状況では,1〜2分での急速静注が認められる。救急部門における753投与を対象としたレトロスペクティブ研究では,セフトリアキソン急速静注での全有害事象の発現率は0.13%であり,これは以前の報告と同等またはそれ以下であった。病院の経費削減にもつながった(Am J Emerg Med 2020 Mar 30 [Epub ahead of print])。
- ST合剤の薬物動態に対するECMO(体外式膜型人工肺)の影響については報告がない。最近HIV感染とニューモシスチス肺炎の診断を受け,難治性の呼吸不全のためVV-ECMOが必要となった33歳の男性に関する報告では,高用量ST治療においてスルファメトキサゾール,トリメトプリムのどちらの薬物動態も重大な影響を受けないことが示された。このことから,ECMOでの用量調整は不要であることが示唆される(Pharmacotherapy 2020 May 7 [Epub ahead of print])。
- 固形臓器移植患者(SOT)におけるサイトメガロウイルス予防には,通常はバルガンシクロビル(ガンシクロビルのプロドラッグ)900mg経口24時間ごとが用いられる。この場合,ガンシクロビルの目標トラフ値は≧0.6μg/mLが合理的である。最近まで,CRRTでのバルガンシクロビルの用量調整について,特異的なデータはほとんどなかった。持続的血液透析(CVVHD)を受けているSOT患者10例を対象としたプロスペクティブPK研究では,バルガンシクロビル450mg経口24時間ごとにより,8例(80%)で定常状態での目標ガンシクロビル濃度が達成された。ガンシクロビル平均濃度は2.27μg/mLであった。ほとんどの患者は研究期間中,経腸栄養を最小限しか受けていなかった。好中球減少症はみられず,血小板減少症は多かったがおそらく複数の因子によるものと思われた(Clin Infect Dis 2020 May 7 [Epub ahead of print])。
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| 2020年3月 |
SARS-CoV-2/COVID-19
2019年,中国の武漢で発見された呼吸器コロナウイルスであり.SARSコロナウイルス(2002〜2003)の姉妹ウイルスであることが確認されている。診断,治療,予防などについてのより詳細な情報は以下を参照:
治療は主として支持療法である。有効性が認められている特異的抗ウイルス治療はない。
現在評価中の薬剤中にも,有効性が証明されたものはない(現在進行中の臨床試験についてはASHSP[American Society of Health-System Pharmacists]がまとめた一覧表を参照)。
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| 2020年1月 |
新型コロナウイルス情報
新たに承認されたワクチン
- Ervebo(エボラザイールワクチン,生)が,18歳以上でのザイールエボラウイルス病予防に関して米国FDAより承認された.これは1回接種の組み換え生ワクチンであり,ザイールエボラウイルスエンベロープの糖タンパクを含んでいる。推奨用量は1mL筋注,利き腕でない方の腕の三角筋部への接種が望ましい。
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
CDCからの情報
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| 2019年11月 - 12月 |
承認された新薬
- 米国FDAは,E. coli,K. pneumoniae,P. mirabilis,P. aeruginosa,E. cloacaeの感受性株による複雑性尿路感染症(腎盂腎炎を含む)成人患者の治療にCefiderocolを承認した。Cefidercolは鉄イオンをキレートするシデロフォアとして機能し,細菌の鉄イオントランスポーターにより細菌のペリプラズム内に高濃度に蓄積する。使用は他の治療選択がないか限られる患者のために温存しておく。推奨用量は2g(3時間以上かけて)静注8時間ごと・7〜14日。
- FDAは,成人でのHelicobacter pylori感染治療についてリファブチン,アモキシシリン,オメプラゾールの3薬合剤を承認した.1カプセル中にリファブチン12.5mg(速効成分),アモキシシリン250mg(速効成分),オメプラゾール10mg(徐放成分)を含む。推奨用量は4カプセルを8時間ごと・14日,食事とともに。米国での販売は2020年の第一四半期からの予定である。
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
CDCからの情報
- 新しく刊行された「米国における薬剤耐性菌の脅威2019(2019AR Threats Report)」は,薬剤耐性に関する情報の基準となるものであり,最新の米国の薬剤耐性状況が与える公衆衛生に対する影響が推計されるとともに,新たな懸念が生じつつある領域と必要とされる行動に焦点があてられている。このレポートでは,ヒトの健康への影響に基づき,18の薬剤耐性細菌・真菌が3つのレベル(緊急,重大,懸念)に分けられている。2013年に刊行された第1回AR Threat Reportと同様,2019年のレポートにもウイルス,寄生虫は含まれていない。これらはCDCのウェブサイトで見られる。
- マラリア予防および再発治療におけるTafenoquine使用の指針(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2019; 68: 1062)。G6PDの状態が不明の場合,Tafenoquine使用前に正常な活性を確認するため定量的G6PD検査を行う必要がある。詳細については上記指針を参照。
- CDCは,先導的な公共機関であった2006年以来,米国全州にわたる食中毒流行調査リストの作成を続けている。最近の重要なものとして次があげられる。①カリフォルニアの栽培地帯サリナス産レタスに関連した,19州67例のE. coli O157:H7感染,②ペットのカメとの接触によると考えられる,13州21例のSalmonella(血清型Oranienburg)感染(カメは糞中にSalmonellaを保有),③メキシコから輸入された生のバジルへの接触(5州)によると考えられる11州241例のCyclospora感染(臨床検査で確認)。Cyclosporaの流行は終息したようである。
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| 2019年10月 |
承認された新薬
- Lefamulinは全身投与されるプレウロムチリンで,S. pneumoniae,MSSA,H. influenzae,L. pneumophila,M. pneumoniae,C. pneumoniaeの感受性株による成人の市中肺炎患者の治療に承認された。プレウロムチリンは,細菌の50Sリボソームのペプチジルトランスフェラーゼ活性中心に結合し,ペプチド転移におけるtRNAの結合を妨げることにより,細菌の蛋白質合成を阻害する。推奨用量は150mg静注12時間ごと・5〜7日(適切な場合は治療を完遂するために経口治療に切り替える),または600mg経口12時間ごと・5日。注射剤および600mg錠が利用できる。
- Pretomanid錠はニトロイミダゾオキサジン抗結核薬で,多剤耐性結核または超多剤耐性結核による成人の肺結核に対し,ベダキリンおよびリネゾリドとの併用療法の一部として承認された。推奨用量は200mg経口1日1回・26週(ベダキリンおよびリネゾリドと併用)。処方薬はすべて食物とともに服用。200mg錠が利用できる。
新たに承認されたワクチン
- Jynneosは,感染リスクが高いと考えられる18歳以上の成人において,天然痘およびサル痘の予防に用いられるワクチンであり,弱毒化複製欠損オルソポックスウイルス株である改変ワクシニア・アンカラから作製された生ワクチンである。推奨用量は0.5mLを2回,4週間の間をあけて皮下接種。
薬剤安全性情報
- FDAは,中等度から重度の肝障害があり,グレカプレビル・ピブレンタスビル(マヴィレット),エルバスビル/グラゾプレビル(Zepatier),ソホスブビル/ Velpatasvir/Voxilaprevir (Vosevi)で治療中の慢性C型肝炎患者における,肝機能悪化に関する警告を発出している。3剤はすべてNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬(薬剤名が-previrで終わる薬剤)を含み,中等度から重度の肝障害のある患者への使用は承認されていない。ほとんどの患者では薬剤中止後に,症状の解消または出現した肝機能悪化の改善がみられた。薬剤安全性情報の全文はFDAのサイトでみられる。
CDCからの情報
- 米国予防接種諮問委員会(ACIP)から,2019〜2020年の米国における季節性インフルエンザワクチンの使用に関する推奨が公表された(MMWR Recomm Rep 2019; 68(RR-3): 1)。米国における3価ワクチンは,A/Brisbane/02/2018(H1N1)pdm09様ウイルス,A/Kansas/14/2017(H3N2)様ウイルス,B/Colorado/06/2017様ウイルス(ビクトリア系統)からのヘマグルチニンを含む予定である。4価ワクチンはこれら3つに加えて,インフルエンザB型ワクチンウイルスであるB/Phuket/3073/2013様ウイルス(山形系統)からのヘマグルチニンを含む予定である。この構成は,ワクチン中のA型(H1N1)pdm09およびA型(H3N2)成分を更新したものである。全文はMMWRのウェブサイトでみられる。
- ACIPから,米国人旅行者および研究室勤務者における,日本脳炎の予防に関する推奨が改訂された(MMWR Recomm Rep 2019; 68(RR-2): 1)。報告では日本脳炎の疫学がまとめられ,米国でライセンスされ利用できる日本脳炎ワクチンと,その使用に関する推奨が記載されている。これは2010年版からの改訂であり,CDCのウェブサイトでみられる。
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
診療上有用な知見
- ソホスブビル・ベルパタスビル(エプクルーサ)は,すべての遺伝子型に有効な,ソホスブビル(NS5B RNAポリメラーゼ阻害薬)とベルパタスビル(NS5A阻害薬)の固定用量合剤であり.慢性C型肝炎の治療に用いられる。ベルパタスビルはpH依存性の溶解性を示す脂溶性の弱塩基である(溶解性はpH上昇に従って低下)。したがって,プロトンポンプ阻害薬(PPI)のような薬剤は胃内のpHを上昇させてベルパタスビルの吸収を阻害するため,ソホスブビル・ベルパタスビルとPPIの併用は一般には推奨されない。医療上併用が必要な場合,メーカーはソホスブビル・ベルパタスビルをオメプラゾール(20mg)の4時間前に,食物とともに服用することを推奨している。最近のオープンラベル,ランダム化,3群クロスオーバー試験では,11人の健康ボランティアがソホスブビル・ベルパタスビル1回を,①単独,②オメプラゾール(血中濃度定常状態)とともに,③オメプラゾールと250mLのコカコーラとともに服用し,5〜7日目の薬物動態データが記録された(下表参照)。データからは,ソホスブビル・ベルパタスビルをコカコーラと服用した場合に,PPIとの相互作用が解消されうることが示唆されている。これはおそらく,胃内pHが一時的に下がるために,ベルパタスビルの溶解性と吸収が向上するためだろう(Clin Pharmacol Ther 2019; 106: 1093)。
| 試験群(各群7日間,各期間の間に7日のウォッシュアウト) |
ベルパタスビルAUC(幾何平均) |
| ソホスブビル/ベルパタスビル 400mg/100mg・5日目+水250mL |
3742μg・h/L |
| ソホスブビル/ベルパタスビル 400mg/100mg・5日目+水250mL,オメプラゾール40mg 1日1回(1〜6日目) |
2705μg・h/L |
| ソホスブビル/ベルパタスビル 400mg/100mg・5日目+コカコーラ250mL,オメプラゾール40mg 1日1回(1〜6日目) |
5981μg・h/L |
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| 2019年7月 |
診療上有用な知見
- Kounis症候群は,1991年に初めて報告された疾患であり,薬剤を含むさまざまなアレルギー源に対する過敏反応により冠動脈の攣縮が引き起こされる。アレルギー性狭心症またはアレルギー性心筋梗塞としても知られており,3つのタイプがある。タイプIの患者では,冠動脈は正常でとくに素因がなく,心筋酵素の上昇もみられない。タイプIIの患者では,原因となる不活性な冠動脈疾患があり,アレルギー反応により冠動脈攣縮が引き起こされるが,心筋酵素の上昇はみられない。タイプIIIでは,アレルギー反応による冠動脈ステント血栓症が起こる。Kounis症候群では心筋梗塞の所見/症状が現れ,迅速に診断されなければ生命に関わる場合もある。治療は原因薬剤を中止することから始めるが,冠動脈拡張薬およびアレルギー反応抑制薬投与の有用性については,コンセンサスは得られていない。βラクタム薬(ほとんどはアモキシシリン)に関連するKounis症候群については,多くの症例が報告されている。最近,足指の壊死の周術期管理のためにバンコマイシンの手術前投与を受け,タイプIのKounis症候群を起こした症例が報告された。バンコマイシンが関与した症例はこれが2例目である(Am J Emerg Med 2019 June 3 [Epub ahead of print])。
- 従来,クロトリマゾールトローチに関して,その剤形から経口吸収率は低く,重大な薬物間相互作用はないと考えられてきた。しかし,拒絶反応予防のためにエベロリムス(CYP3A4およびP糖蛋白質の基質)の投与と,鵞口瘡予防のためにクロトリマゾールトローチ10mg 1日4回投与を受けた心臓移植患者において,クロトリマゾールの中断後にエベロリムスのトラフ値が8.4ng/mLから2.5ng/mLに急激に低下する事態が起こった(エベロリムスの経口クリアランスは6.0L/時から11.2L/時への増加に相当)。同様の現象は,タクロリムス(同様にCYP3A4およびP糖蛋白質の基質)とクロトリマゾールトローチの投与を受けた患者でもみられ,移植片拒絶との関連が考えられている。他の研究では,クロトリマゾールトローチはミダゾラム(CYP3A4基質)の全身クリアランスに影響を及ぼすことなく経口クリアランスを減少させることが示された。この理由として,クロトリマゾールは消化管内で消化管クリアランスを阻害するに十分な濃度に達するため,エベロリムスのバイオアベイラビリティを(消化管CYP3A4および/またはP糖蛋白質を阻害することにより)増強するが,肝臓のCYP3A4および/またはP糖蛋白質を阻害するほどの肝血中濃度には達しないことが考えられる(Br J Clin Pharmacol 2019 June 26 [Epub ahead of print])。
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
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| 2019年5月 |
承認された新薬およびワクチン
- Dengvaxia(デング熱4価生ワクチン)は,すべての血清型(1〜4)のデングウイルスによる感染症の予防に,FDAにより承認された。おもに次のような制限がある:デングウイルス感染が検査で確認されており,流行地域に居住する9〜16歳に対してのみ承認,6カ月の間をあけて3回接種する弱毒生ワクチンである。このワクチンは19カ国とEUですでに承認されている。
- アシクロビル3%眼科用軟膏は,HSV-1およびHSV-2感染患者における急性ヘルペス性角膜炎(樹枝状潰瘍)の治療に承認された。推奨用量は,感染した眼の下部結膜嚢に軟膏1幅(1cm)・潰瘍が治癒するまで1日5回,その後1日3回・7日。3.5gチューブが利用できる。
- イトラコナゾール製剤であるTolsuraは,アムホテリシンBに不耐または難治性のブラストミセス症(肺および肺外),ヒストプラスマ症(慢性空洞性肺疾患および播種性の非髄膜炎性ヒストプラスマ症を含む),アスペルギルス症(肺および肺外)に対し承認された。これはバイオアベイラビリティが改善された新しい製剤であり,65mgカプセルが利用できる。
診療上有用な知見
- エクリズマブは補体蛋白C5に結合し,そのC5aおよびC5bへの開裂を阻害することにより終末補体系の働きを阻害するモノクローナル抗体である。発作性夜間ヘモグロビン尿症,非典型溶血性尿毒症症候群,抗アセチルコリン受容体抗体陽性の全身型重症筋無力症に承認されている。不都合なことに,C5補体が阻害されることにより,Neisseria属感染に対する免疫系の有効な反応が影響を受ける。エクリズマブ治療は髄膜炎菌疾患のリスクを1000〜2000倍上昇させると考えられる。製品のラベルには,生命の危険があり重篤なN. meningitidis感染症に関する警告(black box warning)が記載されているが,他のNeisseria属による感染症については十分に明らかにされていない。エクリズマブ治療を受けた患者における,最初の一連のN. gonorrhoeae感染症例が最近報告された。FDAの自発的安全性報告調査で確認されたN. gonorrhoeae感染9例のうち,8例は播種性淋菌感染(DGI)であった。8例すべてが入院し,7例は菌血症であり,2例で昇圧治療(うち1例は人工呼吸も)が必要であった。限られたデータだが,エクリズマブ治療を受けた患者では一般の集団よりDGIのリスクが高い可能性が示唆される(Clin Infect Dis 2018 Nov 12 [Epub ahead of print])。
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
- HIV感染小児における抗レトロウイルス薬の使用に関する改訂ガイドラインが,HIV感染小児の抗レトロウイルス治療および医学的管理に関するHHSパネルから公開された。AIDSinfoのウェブサイトで見られる。
- 米国移植学会の感染症診療委員会から以下の改訂ガイドラインが発表された。
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| 2019年3〜4月 |
承認された新薬
- Dovato(ドルテグラビル50mg+ラミブジン300mg)は2剤固定用量合剤であり,ドルテグラビルまたはラミブジンに対する既知の耐性変異,または耐性を生じさせる可能性のある変異がなく,抗レトロウイルス薬治療を受けたことがない,成人のHIV-1感染患者の治療に用いられる。推奨用量は食事に関係なく1錠1日1回。
診療上有用な知見
- 資源の限られた国では,HIV陽性患者でのクリプトコッカス髄膜炎のような感染症に対し,アムホテリシンBによる長期治療を安全かつ効果的に行うことは困難なことがある。タンザニアとボツワナで行われた第II相非劣性試験では,リポソーマルアムホテリシンB(10mg/kg)1回の導入治療と高用量経口フルコナゾール(1200mg 1日1回・2週)の併用は忍容性が高く,主要評価項目である脳脊髄液からの平均真菌消失率について,リポソーマルアムホテリシンB(3mg/kg)1日1回・2週+経口フルコナゾールに対して非劣性であることが示された。この短期間治療法について現在第III相試験が行われている(Clin Infect Dis 68: 393, 2019)。
新たなまたは改訂された診療ガイドライン(2019年4月)
新たなまたは改訂された診療ガイドライン(2019年3月)
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| 2019年2月 |
シングリックスに関する承認後安全性調査
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アジュバント添加組換え帯状疱疹ワクチン(RZV,シングリックス)は,2017年10月に承認された。これは50歳以上の成人における帯状疱疹(単純疱疹)の予防に用いられる。推奨接種スケジュールは,0.5mL筋注,2〜6カ月の間をあけて2回。RZVは,凍結乾燥抗原を含むバイアルと,アジュバント懸濁液を含むバイアルの2本のバイアルとして提供されており,接種前にそれらを混合する必要がある。承認後,CDCとFDAは,Vaccine Adverse Event Reporting System(VAERS:米国で承認されたワクチンの接種後の有害事象に関する,国の受動的サーベイランスシステム)を通じて,RZVの安全性モニタリングを開始した。
ワクチン使用開始後最初の8カ月間で約320万回が接種され,それに関するVAERSからの安全性データは,承認前の臨床試験で観察された安全性プロファイルとほぼ一致した。VAERSには4381件の有害事象の報告があり,報告率は10万接種あたり136件であった。重篤と分類されたものは10万接種あたり4件のみであった。もっとも多い報告は発熱であり(23.6%),続いて注射部位疼痛(22.5%),注射部位発赤(20.1%),悪寒(19.3%),頭痛(16.7%),疲労(16.0%),筋肉痛(12.1%)であった。調査期間中,誤った接種が230件報告された。そのうち143件(62.2%)は接種方法の誤りであり,誤った経路による接種(筋注ではなく皮下注)がもっとも多かった。その他はアジュバントのみの投与や,凍結乾燥抗原を混合する際の希釈の誤りであった。報告のなかには,局所または全身反応のため,医療提供者が2回目のRSVを接種しなかった例もあった。そのような反応は想定されておらず,RSV 1回接種の有効性は不明である。全体として,RSVの承認後安全性データは安心感を与えるものである。有害反応は自然に治癒し,一般的には2回接種の完了に影響を与えないだろう(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 68: 91, 2019)。
抗微生物薬適正使用支援(antimicrobial stewardship)
- 喘息の増悪における抗菌薬のルーチンでの使用は推奨されないが,多く行われることでもある。この問題を扱ったエビデンスは限られている。米国の542の急性期病院で,2年間に喘息の増悪で入院しコルチコステロイド治療を受けた19811例を対象としたレトロスペクティブコホート研究では,8788例(44.4%)で入院の最初の2日以内に抗菌薬治療が開始され(および少なくとも2日間処方され)ていた。もっとも多く処方されていた抗菌薬は,マクロライド系薬,フルオロキノロン系薬,第3世代セファロスポリン系薬であった。抗菌薬治療を受けなかった患者にくらべ,受けた患者では有意に入院日数が長く,抗菌薬関連下痢のリスクが高く,入院費が高かった。治療失敗(人工呼吸の開始,2日後のICUへの移動,入院中の死亡,喘息による再入院)のリスクは両群で同等であった。これらの治験は,現在の診療ガイドラインの推奨を支持するとともに,喘息において抗菌薬適正使用を向上させるさらなる研究が必要であることを示すものである(JAMA Intern Med 2019 Jan 28 [Epub ahead of print])。
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| 2019年1月 |
薬剤安全性情報
- 症例報告のレビューおよび発表された4つの観察研究に基づき,FDAは,フルオロキノロン系薬が大動脈瘤または大動脈解離の発生率を増加させる可能性があることを警告している。これは,フルオロキノロン系薬に関する一連の薬剤安全性情報(2008年まで遡る)における最新のものである。他に選択肢がない場合を除き,大動脈瘤があるかそのリスクのある患者に対しフルオロキノロン系薬を処方しないほうがよい。上記の研究からは,フルオロキノロン系薬が大動脈瘤のリスクを上昇させる機序は明らかにされておらず,背景となるリスクも集団によってさまざまであったが,いずれにしても,データからはフルオロキノロン系薬を使用した患者ではリスクが約2倍上昇することが示されている。このリスクに関する警告は,すべてのフルオロキノロン系薬について処方情報および患者用投薬ガイドに追記されるだろう。全文はFDAのサイトで見られる。
新たに承認されたワクチン
- Vaxelisは,ジフテリア,破傷風,百日咳,ポリオ,B型肝炎,H. influenzae type bによる侵襲性感染の予防接種に用いられるワクチンであり,6週齢から4歳までの小児における3回連続接種(月齢2カ月,4カ月,6カ月に0.5mL筋注)が承認されている。3回の接種は,ジフテリア,破傷風,ポリオ,侵襲性Hibに対する初回免疫を付与する。この組み合わせワクチンは,B型肝炎に対する免疫付与を完了するために用いることができ,また,百日咳に対する初回免疫付与を完了するには,百日咳を含むワクチンの追加投与が必要である。Vaxelisは米国では2020年までは市販されないだろう。
新たなまたは改訂されたガイドライン
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| 2018年12月 |
承認された新薬
- Rifamycin SV(Aemcolo)が,非侵襲性E. coli株による成人の旅行者下痢症の治療に承認された。Rifamycin SVは,臨床で実際に最初に(1963年)用いられたリファマイシン(学術的にはアンサマイシン)系抗菌薬であり,ほとんど吸収されない。理論的には,製剤のMMX(マルチマトリックス)技術により,製剤が遠位小腸と結腸内のpH(7以上)に到達し,さらに1時間経過してはじめて,活性型薬剤が放出される。推奨用量は388mg経口1日2回・3日,食事に関係なく服用(ただしアルコールとは服用しない)。錠剤は粉砕したりかみ砕いたりせず,丸のまま6〜8オンス(約180〜240mL)の液体で服用する。Rifamycin SV は多くのCYP450やトランスポーターと相互作用するが,全身を循環するリファマイシン濃度はごく低いため,臨床的に関連する薬物相互作用は想定されない。194mg錠が利用できる。
- Temixys(ラミブジン300mg+テノホビルジソプロキシル300mg)が,成人および体重35kg以上の小児のHIV-1感染の治療に(他の抗レトロウイルス薬との併用で)承認された。Temixysはツルバダ(エムトリシタビン+テノホビルジソプロキシル)と基本的に同じ活性と安全性をもつジェネリック製剤である。推奨用量は1錠1日1回,食事に関係なく服用。
新たなまたは改訂された診療ガイドライン
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| 2018年11月 |
承認された新薬
- バロキサビルマルボキシル(ゾフルーザ)は,症状発症から48時間以内で,合併症のない12歳以上の急性インフルエンザ患者に対し承認された。推奨用量は,体重40〜<80kgには40mg・1回,体重≧80kgには80mg・1回(症状発症から48時間以内),食事に関係なく服用。20mg錠と40mg錠が利用できる。
- アミカシンリポソーム吸入懸濁液は,Mycobacterium avium complex(MAC)肺疾患で,治療選択肢が限られているか代替選択肢がない成人患者の治療に,抗菌薬併用療法の一部として承認された。これは,Limited Population Pathway for Antibacterial and Antifungal Drugs(LPAD:アンメットニーズがあり,患者数が限られている重症または生命を脅かす感染症に対する,新しい抗菌薬の開発を促進するための制度)を通じて承認された最初の製品である。推奨用量は,590mg/8.4mLバイアル内容物をLamiraネブライザーを用いて1日1回吸入。
- Omadacyclineは,市中肺炎および急性細菌性皮膚・軟部組織感染症の治療に承認されたテトラサイクリン系薬である。推奨用量は,市中肺炎:初回200mg静注,その後100mg静注(または300mg経口)24時間ごと・7〜14日,急性細菌性皮膚・軟部組織感染症:初回200mg静注(または450mg経口24時間ごと・2回),その後100mg静注(または300mg経口)24時間ごと・7〜14日。注射剤(100mg 1回バイアル),150mg錠が利用できる。
新たな診療ガイドライン
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| 2018年8月 |
薬剤安全性情報
- 最近のレビューに基づき,FDAはフルオロキノロン系薬の処方情報において,重大な低血糖および精神面でのある種の副作用を引き起こす可能性があるとの現行の警告を強化している。この表示情報の変更は,フルオロキノロン系薬の全身投与製剤でのみ行われる。血糖値異常はほとんどのフルオロキノロン系薬の薬剤表示にすでに警告として記載されているが,FDAは低血糖が昏睡につながる可能性があることを追加している。この新たな表示上の変更は,フルオロキノロン系薬の精神面での副作用がより顕著で確実だとするものである。すべてのフルオロキノロン系薬にわたって追加または改訂される予定の副作用は,注意障害,見当識障害,動揺,神経過敏,記憶障害,せん妄である。薬剤安全性情報の全文はhttps://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm611032.htmで見られる。
承認された新薬
- Eravacyclineは,18歳以上の複雑性腹腔内感染症の治療に承認されたテトラサイクリン系薬剤である。推奨用量は1mg/kgを60分以上かけて静注12時間ごと・感染の重症度と臨床反応に応じて4〜14日。50mg 1回投与バイアルとして入手できる。
- Doravirineは,未治療のHIV-1感染成人患者の治療に(他の抗レトロウイルス薬との併用で)承認された非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(NNRTI)である。推奨用量は100mg経口1日1回,食事に関係なく服用。100mgフィルムコート錠として入手できる。
- Delstrigoは,doravirine(100mg),ラミブジン(300mg),テノホビルジソプロキシル(300mg)の固定用量合剤であり,未治療のHIV-1成人患者の治療に承認された。推奨用量は1錠経口1日1回,食事に関係なく服用。フィルムコート錠として入手できる。
- Moxidectinは,12歳以上の患者における,Onchocerca volvulusによるオンコセルカ症の治療に承認された。推奨用量は8mg・1回,食事に関係なく服用。2mg錠として入手できる。
CDCからの情報
- 米国予防接種諮問委員会(ACIP)から,2018〜2019年における季節性インフルエンザワクチンの使用に関する推奨が公表された(MMWR Recomm Rep 2018; 67: 1)。禁忌のない月齢6カ月以上のすべての人に対する,年1回のルーチンのワクチン接種の推奨は継続されている。推奨される複数の承認済みワクチン製品が利用できる場合,それら製品間の優先推奨は決められていない。他の重要な改訂点は以下のとおりである。
- ワクチンウイルス株はA/Michigan/45/2015(H1N1)pdm09様ウイルス,A/Singapore/INFIMH-16-0019/2016(H3N2)様ウイルス,B/Colorado/06/2017様ウイルス(Victoria lineage)になる予定である。4価ワクチンにはこれら3つに加え,B型ワクチンウイルスであるB/Phuket/3073/2013様ウイルス(Yamagata lineage)も含まれる予定である。
- 2018〜2019年シーズン,ワクチンを接種する医師は,年齢に合ったすべての承認済みインフルエンザワクチン(IIV,RIV4,LAIV4)を選択することができる。LAIV4(前2シーズンには推奨されていなかった)が,対象となる人で選択できるようになった。(IIV:不活化インフルエンザワクチン,RIV:リコンビナントインフルエンザワクチン,LAIV:弱毒化生ワクチン,4:4価ワクチン)
- いかなる重度の卵アレルギー歴がある場合でも,推奨される年齢に合ったすべての承認済みワクチン(IIV,RIV4,LAIV4)を,卵アレルギー以外の状況に応じて受けることができる。卵アレルギーの人でのワクチン接種に関するさらなる推奨が議論されている。
- Afluria 4価ワクチン(IIV4)の適用年齢の拡大(18歳以上から5歳以上へ),Fluarix 4価ワクチン(IIV4)の適用年齢の拡大(3歳以上から6カ月以上へ)を含め,最近の承認と表示情報の変更がまとめられている。
全文はMMWRのウェブサイトでみられる。
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| 2018年7月 |
承認された新薬
- Plazomicinは,Sisomicinをもとに開発された新規アミノグリコシド系薬であり,感受性のあるE. coli,K. pneumoniae,P. mirabilis,E. cloacaeによる,腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の成人に対し,2018年6月後半FDAにより承認された。他のグラム陰性菌に対するin vitro活性の臨床的意義は,現時点では明らかでない。P. aeruginosaに対する活性は一定せず,また,A. baumannii,S. maltophilia,嫌気性菌に対しては活性がない。安全性と有効性に関するデータが少ないため,Plazomicinは他の治療選択肢がないか限られる場合のみ使用する。推奨用量は15mg/kg静注24時間ごと・4〜7日。
新たな,または改訂された診療ガイドライン
CDCからの情報
- 潜在性結核に対するイソニアジド+Rifapentine週1回使用に関する推奨が改訂された。2011年,CDCは潜在性結核に対し,イソニアジド+Rifapentineを直接管理下で週1回,3カ月使用すること(3HP)を推奨していたが,12歳未満の小児とHIV感染患者に対しては制限されていた。出版されたシステマティックレビューのエビデンスに基づき,また結核の専門家,結核撲滅に関する諮問機関,一般からの意見を検討した結果,CDCは潜在性結核の成人に対する3HPの推奨を続けるとともに,新たに次について推奨することとした:①2〜17歳の人,②Rifapentineとの薬物相互作用が管理可能な抗レトロウイルス薬を使用中のHIV感染者(AIDS患者を含む),③2歳以上における直接管理下または自己服薬での治療。論文全体はMMWR 67: 723, 2018を参照。
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| 2018年6月 |
薬剤安全性情報
CDC健康情報ネットワーク(Health Alert Network)#411
- CDCはHAN #411で,シプロフロキサシンまたはアジスロマイシン治療が奏効しなかったShigella感染の管理と報告に関して,最新の推奨を発表している。これは,シプロフロキサシンのMICが0.12〜1μg/mL(CLSI基準では感受性に分類される)であるShigella株の割合が米国内で上昇していることに言及した,HAN #401(2017年4月)の続報である。この割合は上昇し続けている。分子生物学的なデータからは,シプロフロキサシンのMICがこの範囲にあるShigella株は,少なくとも1つのキノロン耐性メカニズムをもつことが示唆されている。また,CDCは,アジスロマイシンのMICが疫学的カットオフ値を超えるShigella株が増加していることも報告しており,アジスロマイシンが奏効しなかったすべての事例を報告するよう要請している。
新たな,または改訂された診療ガイドライン
抗レトロウイルス薬の添付文書の改訂
- ダルナビル・コビシスタット(プレジコビックス)の添付文書では現在,ダルナビルおよびコビシスタットの曝露量がかなり低くなるため,これらの合剤は妊婦での使用は推奨されないことが明確に注意喚起されている。妊婦ではプレジコビックス治療を始めないこと,プレジコビックス治療中に妊娠した女性では代替処方を用いることが望ましい。
- FDAは,エムトリシタビン200mg+テノホビルジソプロキシル300mg(ツルバダ)1日1回経口薬の使用を,性的接触によるHIV-1への感染リスクがある体重35kg以上の青少年に対し,リスクを下げるための曝露前予防として,安全な性行為習慣との組み合わせで承認した。ツルバダは成人では2012年から,曝露前予防として承認されている。
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| 2018年5月 |
承認された新薬
- Cimduo(ラミブジン,テノホビルジソプロキシル)は,成人および体重35kg以上の小児のHIV-1感染患者の治療に,(他の抗レトロウイルス薬との併用で)用いられる。推奨用量は1錠1日1回,食事と関係なく。
- Ibalizumab-uiykは,複数回にわたる治療歴があり,現在の処方が奏効しない多剤耐性HIV-1感染の成人患者の治療に,他の抗レトロウイルス薬との併用で用いられる。Ibalizumabは,HIVのCD4細胞への融合と侵入を阻害するモノクローナル抗体である。推奨用量は,初回2g静注,その後800mg静注2週間ごと。
新たにFDAに承認された適応
- Otiprio(シプロフロキサシン6%耳科用懸濁液)は,月齢6カ月以上の,P. aeruginosaおよびS. aureusによる急性外耳炎患者の治療に承認された。本剤は以前,鼓膜腔換気用チューブ設置術を受けた,耳漏を伴う両側性中耳炎患者(月齢6カ月以上)に承認されていた。急性外耳炎に対する推奨用量は,各患耳の外耳道に0.2mLを1回局所投与。
新たな診療ガイドライン
米国疾病管理予防センター(CDC)からの最新情報
- 米国予防接種諮問委員会(ACIP)から,破傷風,ジフテリア,百日咳の予防と管理に関するすべての推奨をまとめた報告書が最近公開された。以前に公開された包括的な概要と同様,本報告書は新たな推奨は含んでおらず,以前に公開された報告書と方針に関する注を変更したものである。これは、資料として臨床家や医療提供者に利用してもらうことを意図している(MMWR Recomm Rep 67: 1, 2018)
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| 2018年4月 |
新たな診療ガイドライン
米国疾病管理予防センター(CDC)からの最新情報
- ブラジルでの黄熱の流行は2016年12月に始まった。2018年1月以降,ブラジルからの旅行帰国者で,死亡4人を含む10人の発症が報告されている。うち8人は,リオデジャネイロ海岸のグランデ島で感染した。10人はみなワクチンを接種していなかった。ブラジルの多くの地域について,ワクチン接種が可能なら月齢9カ月以上のすべての旅行予定者に対し黄熱ワクチン接種が推奨される。FDAに承認されたワクチンであるYF-VAXは現在入手可能でなく,それに代わるワクチンは米国では承認されていない。Stamarilが米国内の少数の診療所で接種できる(Search for Yellow Fever Vaccination Clinics参照)。ワクチンは旅行の少なくとも10日前には接種し,旅行中は蚊に刺されないよう注意する(MMWR 67: 340, 2018)。
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| 2018年3月 |
薬剤安全性情報
- FDAは,心疾患のある患者でのクラリスロマイシンの使用について,心機能悪化や死亡の長期リスクが上昇する可能性があるため,注意するよう呼びかけている。本推奨は,この安全上の問題が最初に観察された大規模臨床試験から,冠動脈心疾患患者を10年間追跡した結果の再調査に基づいている。
新たな診療ガイドライン
抗菌薬適正使用支援(Antibiotic Stewardship)
- フルオロキノロン系薬(FQ)は重大な毒性に関連しており,FDAは最近,代替可能で有効な薬剤が利用できる場合は使用を避けるよう警告している。しかし,最近の研究からは,成人外来患者に使用されるFQの約5.1%は,ウイルス性の上気道感染症や気管支炎のような抗菌薬が不要な状況に処方されていること,19.9%はFQが第一選択とは考えられない状況(副鼻腔炎や単純性尿路感染症など)に処方されていることが示されている。抗菌薬適正使用支援の取り組みが,不適切なFQ使用に対して行われたほうがよい(Clin Infect Dis 2018 Jan 24 [Epub ahead of print])。
- カルバペネム耐性Klebsiella pneumoniae(CRKP)のようなカルバペネム耐性腸内細菌科細菌による感染症では,治療選択肢が限られ予後が不良である。さらに,コリスチンのような最終選択肢となる薬剤に対する耐性が増加している。K. pneumoniaeにおけるコリスチンヘテロ耐性に関する米国での最初の報告で,臨床診断からコリスチン感受性と判定された2つの多剤耐性CRKP尿分離株中に,少数のコリスチン耐性亜集団が存在することが明らかになった。この亜集団はコリスチン存在下では優勢に増殖したが,コリスチンを含まない培地中では培養前の水準に戻った。これがin vivoでどのような関連性をもちうるかを評価したところ,いずれの分離株を感染させたマウスも,コリスチン使用下でさえ生存できなかった。以上の結果は,コリスチン感受性CRKP株の感染患者でコリスチン治療が失敗する可能性があることを示唆しており,診断能の向上が重要であることを明確に示したものである(MBio 9: e02448, 2018)。
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| 2018年2月 |
承認された新薬
- Biktarvy(Bictegravir,エムトリシタビン,テノホビルアラフェナミド合剤)は,次のような成人患者に対するHIV-1感染の治療に用いられる。①抗レトロウイルス治療歴がない,②治療失敗歴がないか,Bictegravir,エムトリシタビン,テノホビルアラフェナミド耐性に結びつく薬剤変更がなく,最低3カ月間安定した処方でウイルス学的な抑制が保たれている患者の代替処方。推奨用量は1錠1日1回,食事の影響を受けない。
- Symfi Lo(エファビレンツ,ラミブジン,テノホビルジソプロキシルフマル酸塩合剤)は,成人および体重35kg以上の小児患者に対するHIV-1感染の治療に用いられる。推奨用量は1錠1日1回空腹時に服用。中枢神経系の副作用に対する忍容性を上げるため就寝時が望ましい。
- Firvanq(バンコマイシン経口溶液)は,成人および18歳未満の小児に対して,C. difficile関連下痢症,およびS. aureus(MRSAを含む)による腸炎の治療に用いられる。バンコマイシン末(3.75,7.5,10.5,15g)とグレープフレーバーの希釈液からなるキットが利用可能であり,調製後の薬剤濃度は25mg/mLまたは50mg/mLとなる。2018年4月上旬から発売予定。
新たにFDAに承認された適応
- Ceftazidime/Avibactamは,18歳以上の患者に対して,Klebsiella pneumoniae,Enterobacter cloacae,Escherichia coli,Serratia marcescens,Proteus mirabilis,Pseudomonas aeruginosa,Haemophilus influenzaeによる院内肺炎および人工呼吸器関連肺炎への適応が認められた。以前の適応症は,複雑性腹腔内感染症(メトロニダゾールと併用),および腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症であった。
米国疾病管理予防センター(CDC)からの情報
新たな診療ガイドライン
- カテーテル関連血流感染症の診断と治療に関する診療ガイドラインが,スペインの関連学会(Spanish Society of Infectious Diseases and Clinical Microbiology:SEIMCおよびSpanish Society of Intensive and Critical Care Medicine and Coronary Units:SEMICYUC)から公開された(Med Intensiva 42: 5, 2018)。スペインのカテーテル関連感染症のガイドラインが前回公開されたのは2004年であった。SEIMCおよびSEMICYUCのウェブサイトからダウンロードできる。
- 成人患者における単純性尿路感染症の疫学,診断,治療,予防,管理に関するドイツの診療ガイドライン2017年版が公開された(Urol Int 2018 Jan 17 [Epub ahead of print])。これは2010年版からの改訂であり,Kargerのウェブサイトからダウンロードできる。
- 成人の院内肺炎患者の疫学,診断,治療に関する2017年版ガイドラインが,ドイツの関連学会(German Society for Anaesthesiology and Intensive Care Medicine,German Society for Infectious Diseases,German Society for Hygiene and Microbiology,German Respiratory Society,Paul-Ehrlich-Society for Chemotherapy,German Radiological Society,Society for Virology)から公開された(Pneumologie 72: 15, 2018)。これは2012年版からの改訂である。
- 成人の通院患者における市中肺炎の診断と治療に関するガイドラインが,関連学会(Dutch Association of Chest Physicians,Dutch Society for Intensive Care,Dutch College of General Practitioners)の協力のもと,抗菌薬使用方針に関するオランダの作業部会から公開された(Neth J Med 76: 4, 2018)。これは2011年版からの改訂であり,雑誌のウェブサイトからダウンロードできる。
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| 2018年1月 |
承認された新薬
- XEPI(オゼノキサシン1%クリーム)は,月齢2カ月以上の患者において,S. aureusまたはS. pyogenesによる膿痂疹の局所治療に用いられる。オゼノキサシンはフッ素原子を含まないニューキノロン系薬の1つである。推奨用量は,1日2回患部に薄く塗布・5日。製品として10,30,45mgチューブが利用できる。
ブレイクポイントに関する新たなFDAのウェブサイトの更新
新たな診療ガイドライン
診療上有用な知見
- 薬物誘発性の腎臓結石は,すべての腎臓結石の1〜2%を占める。スルホンアミドが最初に関与が認められた薬剤である。薬物誘発性の結石形成に関与するメカニズムには,おもに次の2つがある。①尿中排泄率が高く,高用量で用いられることが多い,溶解性の低い化合物(±その代謝物)の結晶化,②薬物代謝過程を通じて,尿pHを変化,またはカルシウム,リン酸,シュウ酸その他の物質の排泄に干渉することなどによる結石形成の誘発。抗菌薬誘発性の腎臓結石は,概して第一のメカニズムによる。以下に,結石形成を誘発することが知られている,または理論的に可能性のある薬剤をあげる。
【抗菌薬】
- アモキシシリン,アンピシリン(おもに結晶。結石はまれ)
- セフトリアキソン(結晶または結石。小児に多い)
- シプロフロキサシン(おもに結晶。結石はまれ)
- スルファジアジン(結石または結晶)
- スルファメトキサゾール(おもに結晶)
【抗ウイルス薬】
- アシクロビル(結石ではなく結晶)
- アタザナビル(リトナビルを併用した場合)
- ホスカルネット(結石ではなく結晶)
- インジナビル
- 可能性があるともないとも言い切れないもの(おもに1症例でのみ関与が報告されているもの):ダルナビル,エファビレンツ,ロピナビル,ネルフィナビル,ラルテグラビル,サキナビル,テノホビル
参考:Drugs 2017 Dec 20 [Epub ahead of print]
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| 2017年12月 |
承認された新薬
- Julucaは,ドルテグラビル+リルピビリンからなるインテグラーゼ阻害薬(INSTI)と非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)の合剤であり,次のようなHIV感染成人患者の治療に2剤完結処方として用いられる。1)安定した抗レトロウイルス処方によって最低6カ月,ウイルス学的な抑制状態(HIV-1 RNA<50コピー/mL)にある,2)治療開始前に耐性変異が認められていない,3)ウイルス学的な治療失敗歴がない。標準的なHIV-1治療は3剤以上からなる。
- Shingrix(アジュバント添加の帯状疱疹組み換えワクチン)は,50歳以上の成人で帯状疱疹の予防に用いられる新しいワクチンである。推奨接種スケジュールは,0.5mL筋注2回,1回目の接種を任意の日に行い,2回目は1回目から2〜6カ月後までのいつでもよい。10月下旬,米国予防接種諮問委員会は,本新規ワクチンについて次のように表明した。1)50歳以上の健康成人に対し,帯状疱疹および関連する合併症の予防に推奨される,2)これまでのワクチン(Zostavax)を以前に受けた成人にも推奨される,3)帯状疱疹および関連合併症の予防に好ましいワクチンである。これらの推奨はMMWRに掲載され,CDCの部門長の承認後に公的な指針となる予定である。
新たな診療ガイドライン
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| 2017年11月 |
承認された新薬
- Heplisav-Bは,アジュバント添加された2回接種の組み換えHVBワクチンであり,18歳以上の成人において,これまでに知られているサブタイプすべてのウイルスによる感染の予防に用いられる。処方は,0.5mL筋注2回,1カ月の間をおく。
- Letermovirは,同種異系幹細胞移植のCMV血清陽性レシピエントにおいて,CMV感染と疾患の予防に用いられる。推奨用量は,480mg静注または経口1日1回,移植後0〜28日目までに開始し,100日目まで継続する。製剤として,錠剤(240mg,480mg),注射剤が利用できる。
新たな診療ガイドライン
改訂された診療ガイドライン
診療上有用な知見
- テトラサイクリン系薬は,1つには歯が着色されるリスクがあるため,8歳未満の小児では使用を避けることが一般的である。しかし,テトラサイクリン系のあいだでもそれぞれ重要な薬理学的違いがあるため,一般化は不正確になる可能性がある。経験的ドキシサイクリン治療(10mg/kg/日・2〜3日,その後5mg/kg/日,平均治療期間12.5日)を受けた小児39例(平均年齢0〜7.9歳)を対象としたレトロスペクティブ研究では,成長中の歯にはいかなるテトラサイクリン様の着色もエナメル質形成不全もみられなかった。それ以前の2つの研究でも同様に,ドキシサイクリン治療後の歯の着色に関するエビデンスは認められなかった(J Antimicrob Chemother 2017; 72: 2887)。
- シプロフロキサシンとフルコナゾールは,血液悪性腫瘍患者で感染症の予防と治療に広く用いられている。これら2剤はQTc間隔を延長させ,致死性心室性不整脈を発生させうるリスク因子であることが知られているが,併用はどの程度危険なのであろうか? 両薬剤による治療を受けた患者170例を対象としたプロスペクティブ観察研究において,QTc延長(男性で>450ms, 女性で>470ms)の発生頻度は低く(4.7%,平均延長時間は10.7ms),500msを超えて延長した患者はいなかった。QTc間隔延長に関連した合併症を経験した患者はおらず,Torsade de pointesの発生もなかった。これらのデータは,シプロフロキサシンとフルコナゾール併用のQTc延長への影響は臨床的に関連せず,そのような患者でのルーチンの心電図モニタリングはおそらく不要であることを示唆している(Br J Clin Pharmacol 2017 Oct 22 [Epub ahead of print])。
- βラクタム系抗菌薬のCYP450への影響は比較的まれである。NafcillinはCYP2C9とCYP3A4を誘導し,これはおそらくワルファリンのプロトロンビン血中濃度低下作用を抑制する原因であると考えられる。一方,Dicloxacillinは同様にワルファリン治療中の患者のINRを減少させることが報告されているが,メカニズムは確立されていない。12人の健康ボランティアにおいて,薬物動態の指標となる5つの薬剤を用いて検討した研究から,Dicloxacillin(1g 1日3回・10日)はCYP2C9, CYP2C19, CYP3A4を誘導することが明らかとなった。メカニズムの詳細は,凍結保存されたヒトの肝臓細胞を用いてさらにin vitroで検討された。これらのCYP酵素により代謝される治療濃度域が狭い薬剤を処方されている患者において,Dicloxacillinを使用する場合には注意が必要であろう(Br J Clin Pharmacol 2017 Nov 4 [Epub ahead of print])。
- 嚢胞性線維症患者では,多くの薬剤の薬物動態が健康な人に比べ変化している。多くみられる変化には,腎クリアランスの上昇,肝クリアランスの上昇,分布容積の変動などがある。嚢胞性線維症患者7例(平均年齢20.3歳)でCeftarolineについて調べたプロスペクティブ研究によれば,平均半減期は1.1時間であり,嚢胞性線維症でない人で予想される半減期(2.7時間)より大幅に短かった。15mg/kg(最大600mg)静注8時間ごとにより平均Cmax は22.7μg/mLとなり,これはMIC 1μg/mL(MRSAに対するCeftarolineの典型的なMIC90)で,time above MIC>60%を達成するのに十分である。一方,嚢胞性線維症でない人では,600mg静注12時間ごとによりCmaxは21.3μg/mLとなる。これらのデータは,嚢胞性線維症患者ではCeftarolineのクリアランスが上昇することを示しており,用量を増加させる処方を支持するものである(J Cyst Fibros 2017 Nov 2 [Epub ahead of print])。
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| 2017年10月 |
承認された新薬
- Secnidazoleは,成人女性の細菌性膣症治療に単回で用いられる。推奨用量は,顆粒剤2g包をリンゴソース,ヨーグルトやプリンにかけ,顆粒をかみ砕かずに30分以内に服用する。
新たな,または改訂された診療ガイドライン
- 院内肺炎(HAP)/人工呼吸器関連肺炎(VAP)の管理に関する新ガイドラインが,欧州呼吸器学会(European Respiratory Society),欧州集中治療学会(European Society of Intensive Care Medicine),欧州臨床微生物学会(European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases),ラテンアメリカ胸部学会(Latin American Thoracic Association)から発表された(Eur Respir J 50: 1700582, 2017)。ガイドラインはEuropean Respiratory Journalのウェブサイトからダウンロードできる。
- C型肝炎治療に関する米国肝臓学会/米国感染症学会(AASLD/IDSA)のガイドラインが改訂された。本改訂(2017年9月21日)は,Mavyret(Glecaprevir/Pibrentasvir)やVosevi(ソホスブビル/Velpatasvir/Voxilaprevir)の最近の承認といった,いくつかの重要な進展を反映したものである。ほとんどの章が改訂されたが,なかでも重要な変更があったのは,HCV感染の初期治療,先行治療が失敗した場合の再治療に関する章や,HIV感染,腎疾患,重症肝疾患(重症肝不全や肝移植後など)がある患者など,特定の患者に関する章である。AASLDとIDSAは,C型肝炎治療に関する最新の指針を提供するためにウェブサイト(HCVguidelines.org)を開設しており,改訂ガイドラインは同ウェブサイトから閲覧できる。
抗微生物薬適正使用支援(Antimicrobial Stewardship)
- 急性の呼吸器感染症において,病原体をより確実に推定できることは医療者の処方向上につながるか? プラグマティックな,オープンラベルのランダム化比較試験において,英国大規模病院の救急診療部または急性期病棟に入院した患者が,ポイントオブケア検査(POCT)を受ける群と,通常の医療ケアを受ける群とに割付けられた。POCTは,15の呼吸器ウイルスに対する迅速分子生物学的検査からなり,数時間以内に結果が判明する。POCT群では半数以上の患者が検査結果判明前に抗菌薬治療を受けていたが,抗菌薬治療を受けた患者の割合に両群間で差はみられなかった(83%)。また,抗菌薬の平均使用期間も両群で同様であった(約7日)。しかし,抗菌薬を1回しか使用されなかった割合はPOCT群で通常ケア群よりも有意に高く(10%対3%),治療期間が48時間未満である割合もPOCT群で有意に高かった(17%対9%)。さらに,平均入院期間はPOCT群で有意に短く(5.7日対6.8日),インフルエンザ陽性患者に対し適切な抗ウイルス治療が行われた割合もPOCT群で有意に高かった(91%対65%)。これらの有用な成果は,プロカルシトニンのような他の検査と迅速ウイルス検査を組み合わせることで,さらに増す可能性がある(Lancet Respir Med 5: 401, 2017)。
診療上有用な知見
- バンコマイシン経口により血清中濃度が治療域を超える現象。一般的に経口バンコマイシンはほとんど吸収されないと考えられているが,重度の消化管粘膜障害や腎機能障害がある患者では,想定以上に高い血清中濃度に達しうることに留意する必要がある。ここでは,敗血症,腎不全(持続的腎代替療法施行)のために入院し,偽膜性大腸炎に対し経口バンコマイシン(500mg,6時間ごと)治療を受けた直腸がん患者を報告したい。4日後の血清バンコマイシン濃度は30.6μg/mLであった。結腸内視鏡検査で,大腸全体にわたって重度の傷害が認められた(J Infect Chemother 2017 Sept 8 [Epub ahead of print])。
- 二価陽イオンとのキレート形成および/またはコラーゲン分解酵素のアップレギュレーションにより腱が弱くなることが,フルオロキノロン系薬に関連する腱障害のメカニズムである可能性がある。腱障害はアキレス腱に起こることがもっとも多いが,アキレス腱以外にも起こることを認識しておく必要がある。以下に,フルオロキノロン系薬使用に関連した筋骨格系毒性(以前に報告のない障害部位を含む)について,最近報告された4つの症例を示す。発表されたデータからは,フルオロキノロン系薬への曝露がこれらの障害にどの程度影響を及ぼしたかについては明らかでない。
症例1:右親指側部を強く伸展,内転した後に痛みを生じた55歳男性。親指内側側副靱帯の親指基部挿入部位での損傷と,多量の液貯留が判明した。この損傷の6週間前,男性は海外旅行後の胃腸炎から,シプロフロキサシン500mg 1日2回・7日の治療を受けていた。保存療法後約4カ月で靱帯は回復した。
症例2:本人が原因不明の右臀部痛が6〜7カ月継続した62歳女性。女性の右ハムストリング腱は坐骨結節からほぼ完全に断裂し,隣接部位に多量の液貯留が認められた。注目すべき点として,女性は慢性的に繰り返す憩室炎のため,頻繁にシプロフロキサシンによる治療を受けており,以前に痛みで診察を受けた際に処方されたコルチコステロイドも服用していた。女性は通常の経過観察とともに保存療法を受けた。
症例1,2:Am J Phys Med Rehabil 2017 Aug 25 [Epub ahead of print]参照
症例3:自転車で急停止後,左肘に損傷を被った60歳男性。MRIの結果,三頭筋が退縮とともに完全に断裂していることが判明した。損傷の3カ月前,男性は前立腺生検に伴うレボフロキサシンの処方を受けていた。レボフロキサシン処方の詳細については示されていない。
症例4:柔道の試合で左肘を負傷した47歳男性。MRIにより,三頭筋肘頭からの完全断裂と診断された。男性は負傷の3カ月前,精巣上体炎に対しシプロフロキサシンによる治療を受けていた。この症例でもシプロフロキサシン処方の詳細については示されていない。
症例3,4:Sports Health 9: 474, 2017参照
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| 2017年9月 |
承認された新薬
- Benznidazoleは,Trypanosoma cruziによって引き起こされる寄生虫感染症,シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)の2〜12歳の患児の治療に承認された。推奨用量は5〜8mg/kg/日12時間ごとに分割・60日である。
- Vabomere(メロペネム+Vaborbactam)は,E. coli,K. pneumoniae,E. cloacaeによる複雑性尿路感染症(腎盂腎炎を含む)の18歳以上の患者の治療に承認された。メロペネムはカルバペネム系薬,Vaborbactamは環状ボロン酸βラクタマーゼ阻害薬である。推奨用量は,腎機能が正常な場合4g(メロペネム2g / Vaborbactam 2g)静注8時間ごと(各回3時間以上かけて静注)である。
改訂された診療ガイドライン
診療上有用な知見
- メロペネム/ Vaborbactamの導入により,現在5つのβラクタマーゼ阻害薬が併用抗菌薬との組み合わせで市販されている(Relebactamはまだ発売されていない)。表にさまざまなクラスのβラクタマーゼに対する活性の有無を示す。かっこ内の文字はAmblerのβラクタマーゼ分類である(Ambler分類はアミノ酸配列の相同性に基づいている)。
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TEM/SHV (A) |
CTX-M (A) |
KPC (A) |
MBL (B) |
AmpC (C) |
OXA (D) |
| クラブラン酸 |
○ |
○ |
× |
× |
× |
× |
| スルバクタム |
○ |
○ |
× |
× |
× |
× |
| タゾバクタム |
○ |
○ |
× |
× |
× |
× |
| Avibactam |
○ |
○ |
○ |
× |
○ |
○ |
| Vaborbactam |
○ |
○ |
○ |
× |
○ |
× |
| Relebactam |
○ |
○ |
○ |
× |
○ |
? |
【注】
TEM,SHV:グラム陰性菌に一般的に存在するβラクタマーゼ
CTX-Mファミリー:基質拡張型βラクタマーゼ(ESBL)の一種
KPC:Klebsiella pneumoniaeカルバペネマーゼ
MBL:メタロβラクタマーゼ(たとえば,IMP,VIM,NDM)
AmpC:一部の腸内細菌科細菌(Serratia,Enterobacter,Aeromonas,Citrobacter,Hafnia,インドール陽性Proteus,Morganella,Providencia)に関連する誘導型の染色体性βラクタマーゼ
OXAのなかにはタゾバクタムまたはクラブラン酸で阻害されるものもある
参考:Drugs 77: 615, 2017,Clin Microbiol Rev 23: 160, 2010
- 炎症の過程はさまざまな精神疾患に関与しているようであり,最近のデータでは,抗炎症薬がうつ病に対する補助的な治療として有用である可能性が示唆されている。ミノサイクリンの抗炎症作用はこれに関して有用だろうか? 小規模の(n=41)ランダム化二重盲検プラセボ対照パイロット試験において,治療抵抗性の大うつ病患者に対し,ミノサイクリン(100mg 1日1回・2週,その後200mg 1日1回・10週)が既存の抗うつ薬治療に追加された。ミノサイクリン群では,ハミルトンうつ病評価尺度において,大きな,統計的に有意な低下がみられた。臨床全般印象度スコアは有意に改善し,その他の指標にも改善がみられた。ミノサイクリンの忍容性は良好であった。この予備的な調査結果について,より長期の大規模試験による確認が必要である(J Psychopharmacol 2017 Aug 1 [Epub ahead of print])。
- 経口ホスホマイシン*は,単純性膀胱炎に対する第一選択として検討されるが,他の短期間処方に比べ有効性は劣るようである。ホスホマイシンは“古典的な”薬剤であるにもかかわらず,尿路での薬物動態に関する知見は限られている。ホスホマイシン3g・1回が40人の健康な女性に処方され,一週間尿検体が調べられた。最高尿中濃度は1982μg/mL(ただし,被験者間のばらつきが大きく,SDは1257)であった。尿中Tmaxは平均7.5時間,尿中半減期は平均12.4時間であった。尿量が多いことが尿中濃度低下と関連していた。(患者間で差があることから)薬剤曝露が不十分であることが,一部の患者での治療失敗の原因となる可能性がある(Clin Microbiol Infect 2017 Aug 31 [Epub ahead of print])。
*ホスホマイシン経口は米国ではFosfomycin tromethamineであり,日本のホスホマイシンカルシウムとは異なる。
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| 2017年8月 |
承認された新薬
- Mavyretは,Glecaprevir(NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬)100mg,Pibrentasvir(NS5A阻害薬)40mgの固定用量合剤である。肝硬変がないかまたは代償性肝硬変(Child-Pugh分類A)がある,genotype 1〜6のHCV慢性感染成人患者の治療に用いられる。また,NS5A阻害薬またはNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬のいずれか(両方ではない)を含む処方での治療歴をもつ,genotype 1感染成人患者の治療にも用いられる。
- Voseviは,ソホスブビル(NS5B RNAポリメラーゼ阻害薬)400mg,Velpatasvir (NS5A阻害薬)100mg, Voxilaprevir(NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬)100mgの固定用量合剤である。肝硬変がないかまたは代償性肝硬変(Child-Pugh分類A)がある,次のようなHCV慢性感染成人患者の治療に用いられる。①genotype 1〜6感染でNS5A阻害薬を含む処方での治療歴をもつ。②genotype 1aまたは3感染で,ソホスブビルを含む処方での治療歴をもつがNS5A阻害薬による治療歴をもたない。
診療ガイドライン
抗微生物薬適正使用支援(antimicrobial stewardship)
- BMJ誌は,掲載した挑発的な分析により,処方された抗菌薬の治療コースを完了するようにとの,医療者が患者に与える標準的な指示に対して,抗菌薬耐性(および治療失敗)を減少,抑制することを目的に疑問を投げかけた。その明快で簡潔なメッセージは価値があるが,再評価も必要である。
- M. tuberculosis,N. gonorrhoeae,HIVのようないくつかの病原体では,耐性の原因となる遺伝子変異が自然に生じ,用量が不十分な場合や単剤治療が行われた場合に治療中に自然選択される(著者らはこれを“target selected resistance”とよんでいる)。しかし,S. aureus,Enterococcus,Klebsiella,Acinetobacter,Pseudomonasのような他の問題となる細菌(すべてヒトの腸管,皮膚,粘膜や,環境中に存在する日和見菌である)では,耐性のおもな原因となるのは“collateral selection”である。なんらかの理由で抗菌薬が使用されると,感受性菌を耐性菌に置き換える選択圧が働く。抗菌薬の使用が長くなるほど選択圧も大きくなる。これらの耐性菌はしばしばヒトに無症状のまま伝播されるか,耐性の原因となる遺伝物質が他の細菌に移行しうる。
- 推奨される治療期間は一般に限られたエビデンスに基づいており,おそらくほとんどの場合,有効な最短治療期間ではない。今までは,薬剤の過剰使用よりも治療不十分により関心が払われてきた。しかし,最近の臨床試験では,市中肺炎,院内肺炎,腎盂腎炎といったいくつかの感染症で,以前よりも短い治療期間でもよいとされている。半減期が長いなどの異なった薬理学的特徴をもつ新薬の登場で状況は複雑になっており,また,同じ抗菌薬を用いても,患者ごとに異なる反応を示すことに注意する必要がある。次の結論が妥当である。「われわれはすべての感染症について最短期間で治療できるよう,研究を積極的に行い続ける必要がある。」(BMJ 358: j3418, 2017)
診療上有用な知見
- 視神経障害は,エタンブトール治療で生じる重大な合併症である。≦15mg/kg/日の用量ではリスクは1%未満であるが,それより高用量ではリスクがかなり増大する。他のリスク因子には年齢>65歳,高血圧,腎疾患の存在があり,おそらくイソニアジドの併用も含まれる。視覚症状は,より早期の場合もあるが,ほとんどの患者で治療開始から9カ月以内に生じ,患者は視力低下,色覚異常,中心暗点,盲点中心暗点を経験する。最良の治療は一次予防であり,治療前検査の後,(たとえば高リスクの患者では1カ月ごとに)定期的な検査を行う必要がある。早期発見後即座に薬剤を中止すれば,約30〜60%の患者では,完全な回復は難しいが数カ月以内に改善がみられる。エタンブトールは金属キレート剤で,アラビノシルトランスフェラーゼを阻害することによりMycobacteriumの細胞壁合成を妨げる。銅や亜鉛のキレート化が視神経障害の病因に大きく関与していると考えられているが,銅や亜鉛を補給しても,視神経障害の発生頻度に減少はみられなかった(Curr Opin Ophalmol 2017 Jul 28 [Epub ahead of print])。
- メトロニダゾールに関連するもっとも重大な,ただし通常は可逆性の神経毒性の1つは脳症である。メトロニダゾール誘発性脳症のメカニズムや,累積用量,治療期間との関連性は明らかでない。メトロニダゾール誘発性脳症の症状,脳MRI所見が,チアミン欠乏によって引き起こされる神経障害である急性ウェルニッケ脳症と類似することがあるのは興味深い。メトロニダゾールの代謝物がチアミンピロホスホキナーゼを阻害し,結果としてチアミンと拮抗することが,メトロニダゾール誘発性脳症の病因に大きな役割を果たしている可能性がある。とくにチアミンが欠乏した患者でチアミンを補給することが有用な治療戦略となるかどうかは,現在のところわかっていない(J Neurol Sci 379: 324, 2017)。
- モキシフロキサシンは,薬剤感受性結核の治療において,第一選択薬に忍容性がない場合,またはイソニアジドにのみ耐性の場合の選択肢である。薬剤感受性結核に対し,より短期間の処方も研究中である。最大の治療効果を得るために,血中および感染部位における十分な抗結核薬濃度が重要であることはよく知られている。結核に対するモキシフロキサシンの至適用量は明確には確立されていない。これは少なくとも次の3つの理由による。①標準用量である400mg 1日1回は,有効性,耐性発現阻止,提案されているPK/PD目標値の達成には十分でない可能性がある。②リファマイシン系薬剤(たとえばリファンピシン,Rifapentine)の併用により,モキシフロキサシンのCmaxおよびAUCは最大31%低下する。③モキシフロキサシンの組織と肉芽腫領域への分布パターンは不均一であるため,薬物動態が患者ごとに大きく異なる。最大の治療効果を得るには標準より高用量が必要と考えられるが,さらなる研究が必要である(J Clin Pharmacol 2017 July 24 [Epub ahead of print])。
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| 2017年7月 |
新薬の承認
- フルオロキノロン系抗菌薬としては久しぶりに,Delafloxacinが6月後半にFDAにより承認された。本薬は,感受性があると認められた菌(MRSAを含む)による,急性細菌性皮膚・皮膚組織感染成人患者の治療に用いられる。推奨用量は300mg静注12時間ごとまたは450mg経口12時間ごと・5〜14日である。製剤として450mg錠と静注剤が利用できる。
改訂された診療ガイドライン
診療上有用な知見
- 抗微生物薬適正使用支援(antimicrobial stewardship)プログラムは,抗菌薬の使用や医療施設のコスト削減につながることが知られている。32研究のメタアナリシスの結果によれば,抗微生物薬適正使用支援プログラムは,入院患者においてC. difficile感染の頻度を減らすだけでなく,多剤耐性グラム陰性菌,ESBL産生グラム陰性菌,MRSAによる感染やコロニー形成の頻度も減らす。ただしVREや,フルオロキノロンおよびアミノグリコシド耐性グラム陰性菌の頻度に対する効果は認められていない。抗微生物薬適正使用支援プログラムは,血液腫瘍領域や,手指衛生の向上といった感染管理戦略とともに行うとより効果的である(Lancet Infect Dis 2017 June 16 [Epub ahead of print])。
- フェナゾピリジンは,尿路感染症患者の痛み,灼熱感,不快感の緩和に有用で広く用いられている市販薬であるが,毒性がないわけではない。副作用には消化管障害,尿や皮膚の変色,肝炎,溶血性貧血,メトヘモグロビン血症,急性尿細管壊死などがある。以上の毒性に,新たに急性間質性腎炎(生検で明らかになった症例の報告である)が追加された。患者の腎機能はフェナゾピリジン中止後に回復したが,再使用により悪化した。フェナゾピリジンを中止し,経口ステロイドを徐々に減量しながら短期間用いる処方により再び回復した(Ren Fail 36: 804, 2014)。
- ピラジナミドは優れた殺菌力をもつ薬剤であり,酸性環境下でM. tuberculosisに対し殺菌作用をもつ唯一の抗結核薬である。現在の推奨用量は20〜25mg/kg/日である。治療上の目標値としてCmax>35μg/mL,AUC>363μg・時間/mLが提示されているが,最近の薬物動態データでは,上記の用量はほとんどの患者で低すぎる可能性があることが示唆されている。数学的シミュレーションは,ほとんどの患者で治療上の目標値を達成するためには,30〜40mg/kgかそれ以上の1日用量が必要であることを示唆している(Antimicrob Agents Chemother 61: e02625, 2017)。
- 体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)は,デバイスによる脂溶性および蛋白結合率が高い薬物の吸収,分布容積の増加,クリアランスの変化をもたらす。現在までに発表されているなかで最良の薬物動態データは新生児におけるもので,トライアルの多くは1980年代,1990年代に行われている。新生児においてもっとも明らかなECMOの作用は分布容積の増加であり,一部の薬物ではより高い初期用量が必要となる。これに対し,成人では研究の質も量も限られるが,分布容積やクリアランスは多くの場合変化しないことが示唆されている。そのため,ECMO治療中の患者に対する薬物用量調整はほとんど推奨されていない(Clin Ther 38: 1976, 2016)。
- 妊娠中の梅毒は,IgEを介するペニシリンアレルギーのエビデンスをもつ患者で脱感作を必要とする典型的な状況である。閾値以下の用量のペニシリンを繰り返し使用することで,好塩基球やマスト細胞表面のIgEに十分な量の抗原決定基が架橋を生じることなく結合し,結果としてより高用量にも反応しなくなる。一般には経口による脱感作プロトコールが選択されるが,消化管からの吸収がさまざまである可能性がある。一方,注射剤の使用は用量をコントロールしやすく,アレルギー反応が起こった場合には即座に中断できる利点がある。アレルギー反応はペニシリンの脱感作を受ける患者の3分の1以上に起きるが,ほとんどは軽度であり,薬物治療と脱感作プロトコールの一時的な中断により通常は適切に対処できる。脱感作直後,治療上十分な量のペニシリンを中断することなく使用する必要がある。もし治療終了前にペニシリンが免疫システムから排出されてしまった場合,もしくは将来再びペニシリンが必要な場合には,再度脱感作を行わなければならない(Ann Allergy Asthma Immunol 118: 537, 2017)。
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| 2017年6月 |
新薬・新剤形の承認
- フルオロキノロン系抗菌薬の承認としては久しぶりであるが,6月後半にDelafloxacinがFDAにより承認された。本薬は,MRSAを含むグラム陽性菌およびグラム陰性菌による,急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症に用いられる。経口と静注,どちらの剤形も利用できる。
- リトナビル経口粉末100mg包は,HIV-1感染患児の治療に他の抗レトロウイルス薬との併用で用いられる。
改訂された診療ガイドライン
- 「HIV感染成人および青少年における日和見感染症の予防と治療に関するガイドライン」中の,結核の章が改訂された。今回は,潜在性結核感染および結核疾患の疫学,診断,治療に関して,最新の統計,診断検査,治療に関するデータが盛り込まれた。さらに,ガイドラインの表1〜3では,推奨処方,代替処方に加え,日常的に用いられることの多い薬剤との薬物相互作用に関する記載が改訂された。ガイドラインはAIDSinfoのウェブサイトからダウンロードできる。
臨床上有用な知見
- 米国予防接種諮問委員会(ACIP:Advisory Committee on Immunization Practices)が,MenB-FHbp血清型Bワクチンの使用に関する推奨を改訂した。MenB-FHbpは, 10〜25歳に対して米国で現在承認されている血清型B髄膜炎菌ワクチン2剤のうちの1つである(もう1剤はMenB-4C)。これらのワクチンは互いに代用し合うことはできず(ワクチン接種のシリーズは同一の製品で完遂する必要がある),ACIPはどちらの製品が望ましいかは示していない。接種は毎回最低4週の間隔をおく。
今回の改訂は2015年に発表された既存のACIP推奨に代わるものである。髄膜炎菌感染症の発症リスクが高い人(たとえば,持続性の補体成分欠損症,解剖学的または機能的無脾症の人,もしくは髄膜炎菌分離株に日常的に接触する微生物学者),および血清型B髄膜炎菌感染症の流行時に,ACIPはMenB-FHbpの3回接種(初回,その1〜2カ月後,6カ月後)を推奨している。髄膜炎菌感染症の発症リスクが高くない健康な青少年に対しては,初回とその6カ月後の2回接種が推奨されている。MenB-4Cの使用に関するACIP推奨は変更されていない(MMWR 66: 509, 2017)。
- Candida kruseiはなぜフルコナゾールに自然耐性なのか?
Candida属のアゾール系薬への耐性はおもに次の4つのメカニズムによる。1)ATP結合カセット(ABC)ファミリートランスポーターまたはmajor facilitator superfamily(MFS)トランスポーターのいずれかに属する排出ポンプの活性化,2)アゾール系薬の標的となるラノステロール14αデメチラーゼ(Erg11pまたはCyp51pとしても知られる)の変化(これはこの酵素をコードするERG11遺伝子の変異を介する),3)標的の発現増加,4)アゾール系薬により減少したエルゴステロールを同様の機能をもつ他の生成物に置換するバイパス経路の発達(Clin Infect Dis 46: 120, 2008)。
しかし,現在でも耐性のメカニズムは完全には解明されていない。C. kruseiのもつフルコナゾール耐性は当初,上記の2番目,つまり,フルコナゾールの阻害に関わるErg11pの感受性が,他のCandida種に比べ低下していることによるものと考えられていた(Antimicrob Agents Chemother 42: 2645, 1998)。しかし,より最近の研究では,ABCトランスポーターのAbc1pのような排出ポンプも,ある程度の役割を果たしていることが示されている(Antimicrob Agents Chemother 53: 354, 2009)。ABCトランスポーターの機能亢進は,C. glabrataがフルコナゾールに自然耐性である原因と考えられている。C. kruseiにおける排出ポンプの役割は,カルシニューリン阻害薬タクロリムスが,フルコナゾールに対するC. kruseiの自然耐性をin vitroで解消することを示した興味深い研究によって裏づけられた。これはおそらくタクロリムスがAbc1pの阻害薬として作用したことによると考えられる(FEMS Yeast Res 14: 808, 2014)。C. kruseiのもつフルコナゾール耐性のメカニズムは,フルコナゾールに対するErg11pの低親和性と,排出ポンプ活性の組み合わせによるものであろう。
- イソニアジド使用時のピリドキシン補給の背景として何が考えられるか?
ビタミンB6はピリドキシンであると誤解されているが,実際には同じ働きをもつ6つの化合物,つまり,ピリドキシン,ピリドキサール,ピリドキサミン,およびそれらの1リン酸である。ヒトにおける活性型はピリドキサールリン酸であり,少なくとも100のヒトがもつ酵素の働きに必須である。これらの酵素の重要な機能には,アミノ酸合成,神経伝達物質(エピネフリン,ドパミン,セロトニン,GABAなど)の合成,ヘモグロビン産生,トリプトファンのナイアシンへの変換などがある。ビタミンB6を豊富に含む食品は肉,穀類,魚,卵,にんじんであり,野菜にはピリドキシンが,動物性食品にはピリドキサールやピリドキサミンが含まれている。1日の食事にはビタミンB6が1.5〜2mg含まれていれば十分である。
イソニアジドは1950年代初めに臨床導入された。1953年までに,イソニアジドによる末梢神経障害が医学文献中に報告された。手よりも足で重症の“手袋靴下型”の四肢の感覚消失とピリピリ感がみられ,未治療では症状はさらに深刻となる。ビタミンB6欠乏でみられる臨床症状と類似することから,イソニアジドで治療中の患者もビタミンB6欠乏の状態にあることが示唆された。これはその後の生化学検査で裏づけられた。イソニアジド誘発性末梢神経障害の予防のためのピリドキシン補給の有効性を示す臨床データは,1950年代後半から文献に現れ始めた(Tubercle 61: 191, 1980).
イソニアジド誘発性末梢神経障害の発生メカニズムは機能的なビタミンB6欠乏と推定される。これには少なくとも2つのメカニズムが考えられる。第1に,イソニアジドおよびその代謝物がピリドキシン種に直接結合し,不活化すること,第2に,ピリドキシンからピリドキサールリン酸への変換に必要な酵素であるピリドキシンキナーゼを,イソニアジドが阻害すること,である。薬剤感受性結核に関する現在のATS/CDC/IDSA診療ガイドラインでは,神経障害の発生リスクがあるすべての患者(たとえば,妊婦,授乳中の母親や乳児,イソニアジド治療を受療中の患者,糖尿病患者,アルコール依存症患者,栄養障害患者,慢性腎不全患者,高齢患者)に対し,ピリドキシン25〜50mg経口1日1回をイソニアジドと併用することが推奨されている。末梢神経障害を伴う患者では100mg経口1日1回まで増量してもよい(Clin Infect Dis 63: e147, 2016)。
- 脳脊髄液中の薬物濃度は,分子量,血漿中の蛋白結合,疎水性,輸送体との親和性など,複数の因子の影響を受ける。バンコマイシンの脳脊髄液/血清(%)は文献情報によれば7〜30%であり,バンコマイシンの脳脊髄液への移行は低いと一般的に考えられてきた。バンコマイシンを細菌性髄膜炎の治療に用いる場合,低い薬剤移行性を補うためには,目標血清トラフ値は15〜20μg/mLであると考えられている。
新しいデータによれば,バンコマイシンの脳脊髄液への移行性はこれまで考えられていたより良い可能性がある。最近の総説では,静注バンコマイシンの血清中および脳脊髄液中濃度を評価した13の研究が,より詳しく分析された。小児患者や,脳室内または髄腔内への使用患者を含む研究は除外され,全体として,バンコマイシンの脳脊髄液/血清(%)は0〜81%とさまざまであった。移行性を疾患によって示すと,髄膜炎患者で6〜81%,脳室炎患者で5〜17%,他の感染症患者で0〜36%,感染のない患者で0〜13%であった。これらの研究において,髄膜炎およびすべての脳室炎患者の臨床的治癒率は83%だったが,脳脊髄液中濃度と,細菌学的または臨床的治癒率との間に明らかな相関はみられなかった。文献の著者らも示唆しているように,バンコマイシンの移行性は例外なく低いわけではなく,非常にばらつきが大きいという説明がもっとも適切であろう(Clin Pharmacokinet 2017 May 20 [Epub ahead of print])。
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| 2017年5月 |
CDC健康情報ネットワーク(Health Alert Network)#401
- CDCは,シプロフロキサシンのMIC値が上昇した(0.12〜1μg/mL)Shigella株が,米国内で増加していることを確認した。これらの株は,フルオロキノロン系抗菌薬への感受性を臨床的に著しく低下させうるキノロン耐性遺伝子をもつ可能性がある。現在のCLSIの基準では,シプロフロキサシンMIC≦1μg/mLである株がシプロフロキサシン感受性株とされる。シプロフロキサシン感受性低下が想定されるShigella株の診断,管理,報告について,新たな推奨はCDCのHealth Alert Networkでみられる。
改訂された治療ガイドライン
臨床上有用な知見
- 急性中耳炎に対して現在推奨されるアモキシシリン/クラブラン酸製剤は,アモキシシリンとクラブラン酸を14:1で配合した製剤である。最近発売される製品には,ペニシリン非感受性S. pneumoniaeに対するアモキシシリンの効果を高めるために,クラブラン酸量を減らしアモキシシリンの配合比を高めたものが増えており,その結果,H. influenzaeおよびM. catarrhalisに対する活性が維持されつつ下痢の発生が少なくなった。βラクタマーゼ阻害効果を示す最小のクラブラン酸量は明らかにされていない。小児40例(月齢6〜23カ月)が新しい28:1製剤(アモキシシリン成分90mg/kg/日・10日)で治療された小規模,オープンラベルの非ランダム化比較試験では,標準的な14:1処方を受けた対照群と比べて,プロトコールで定義された下痢,おむつ皮膚炎,急性中耳炎の臨床反応に差はみられなかった。その後28:1製剤によるより低用量(アモキシシリン成分80mg/kg/日・10日)の治療を受けた小児72例では,標準処方の対照群に比べ,プロトコールで定義された下痢の頻度が低く(ただし統計的に有意ではない),おむつ皮膚炎の頻度が有意に低く,臨床的有効性は同等であった。薬物動態学的な知見も示されている。これらは興味深い結果であり,より大規模なランダム化比較試験による検証が待たれる(Antimicrob Agents Chemother 2017 Apr 24 [Epub ahead of print])。
- 急性腎盂腎炎治療に対する現在のIDSAの推奨は,フルオロキノロン5〜7日(シプロフロキサシンまたはレボフロキサシン,治療期間は選択薬による)またはST 14日である。多施設のレトロスペクティブ研究において,腎盂腎炎の女性272例(年齢≧16歳)がST 7日(191例)またはシプロフロキサシン7日(81例)の治療を受けた。調整モデルにおいて,30日以内の再発性尿路感染症の発生は2群間で同等であり,ST治療群のほうがE. coli菌血症または入院が少なかった。これらのデータは,腎盂腎炎に対しST 7日がシプロフロキサシン7日と同等に有効である可能性を示唆している。ランダム化比較試験による臨床的な検証が必要である(Am J Med 2017 Feb 16 [Epub ahead of print])。
- 60年以上にわたり,Streptococcus属による急性咽頭炎に対するペニシリン治療の標準的な期間は10日である。この治療期間の歴史的経緯に関する興味深い研究では,これが今日とは大きく異なる時代に実際に時間をかけて確立されたことが示されている。急性リウマチ熱の予防に10日のペニシリンが必要であることを治療上証明した試験はない。先進国におけるリウマチ熱の減少,ペニシリンを用いたStreptococcus除菌の失敗率の増加,そして(おもにセファロスポリン系を用いた)短期間処方でも同等のStreptococcus除菌率が得られるとのエビデンスにも関わらず,われわれはStreptococcus咽頭炎に対し10日のペニシリン治療を忠実に実行し続けている。これは感染症診療における抗菌薬使用のあらゆる推奨のなかでももっとも長く行われていることであり,文献の著者も述べているように,“臨床医学上で多くみられる事象で,確立された処方に固執する怠慢さ”の例と考えられる(Pediatr Infect Dis J 36: 507, 2017)。
- 肥満は皮膚および軟部組織感染症(SSTIs)患者で多くみられる併存症である。SSTIsの予防や治療に用いられる抗菌薬の薬物動態および薬力学的作用は,肥満患者でしばしば複雑に変化する。肥満外科手術または帝王切開を受ける肥満患者において,手術時のセファゾリン予防的使用でとくに問題となるのが初期用量(および再使用の必要性)である。手術時の感染予防に関するガイドラインでは,体重120kg以上の患者に対し3gの用量が推奨されているが,支持するデータは少ない(Am J Health Syst Pharm 70: 195, 2013)。目標組織中濃度に関する情報が含まれた,より最近のPK/PDデータ(限られたものではあるが)では,予防用量は2gで十分であること,手術時間が予定外に延びた場合は追加使用を考慮することが示唆されている。これは,手術を受けた体重100kg以上の患者436例を対象とした最近のレトロスペクティブなレビューにおいて,2gと3gいずれの用量でも手術部位感染の発生率は同等であったことからも支持されている(Curr Opin Infect Dis 30: 180, 2017)。
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| 2017年4月 |
最新治療ガイドライン
小児患者に対する薬物の新規適応承認
- FDAは小児期と青年期におけるC型肝炎の治療に,ソホスブビル(ソバルディ)とレジパスビル/ソホスブビル(ハーボニー)を承認した:
- リバビリン併用時のソホスブビルは,12歳以上または体重35kg以上で,肝硬変のない,あるいは軽症の肝硬変で,genotype 2または3のC型肝炎ウイルス感染の小児患者の治療に適応となる.
- レジパスビル/ソホスブビルは,12歳以上または体重35kg以上で,肝硬変のない,あるいは軽症の肝硬変で,genotype 1,4,5,6のC型肝炎ウイルス感染の小児患者の治療に適応となる.
抗菌薬適正使用
- 先月のNEWSで,われわれは最近のプロカルシトニン(PCT)の適応拡大について取り上げた.その後,小児におけるPCT利用の可能性に関して,さらに理解を広げるデータが発表された.放射線診断で確定された市中肺炎(CAP)小児患者532人をプロスペクティブに厳密に登録したコホート研究において,PCT濃度が0.25ng/mL未満の場合,市中肺炎の原因となる主な細菌の検出可能性は小さく,疾患の重篤度は低いことが明らかになった.PCT濃度0.1ng/mL未満の陰性適中率は非常に高く,典型的な細菌性市中肺炎の除外に有用であった.これらの知見は,PCTを小児CAPの治療アルゴリズムに組み込むことにより,抗菌薬の使用量と治療期間を安全に低減できることを示唆している(J Pediatric Infect Dis Soc 2017 Feb 3 [Epub ahead of print]).
感染症流行の最新情報
- アジア系鳥インフルエンザA型(H7N9)ウイルスのヒトへの感染は,2013年3月に中国で最初に報告された.それ以来,中国ではアジア系H7N9ウイルスヒト感染の散発的な流行が毎年報告されている.最初の4回の流行では,確認された感染者の約40%が死亡した.中国では現在,アジア系H7N9ウイルスヒト感染の5回目の流行が起こっており,これまでで最大の年間流行である.2016年10月1日以来,460人の感染が報告されている.ヒト感染の臨床的特徴および危険因子は変化していないようである.つまり,ほとんどの感染は家禽への曝露と関連し,重篤な呼吸器疾患を引き起こす.感染者のうち453人は中国本土で感染した.その他の7人のうち,6人は香港(4人),マカオ(1人),台湾(1人)から中国本土への移動に関連しており,1人はマカオの家禽労働者で,無症状であった.アジア系H7N9ウイルスは,米国のヒトや鳥類では検出されていない.限られたヒト-ヒト感染は現在も確認されているが,持続的な伝播は観察されていない.5回目の流行ウイルスのノイラミニダーゼ遺伝子分析が進行中だが,これまでに分析されたウイルスの7〜9%で,1種類以上のノイラミニダーゼ阻害薬(現在の治療推奨薬剤)に対する感受性低下が知られているか,または疑われる変異がみられることは重大である.CDCは中国への旅行の延期や中止を推奨してはいないが,旅行者は家禽(家禽の市場や飼育場も含む),鳥,糞などとの接触を避け,十分に加熱されていない家禽の摂取を控えるよう,勧告されている.鳥は感染していても健康にみえ,ヒトにウイルスを伝播させることがある.さらなる情報は次のサイトでみられる.WHO流行性疾患ニュース(MMWR 66: 254, 2017).
- 黄熱病は,アルボウイルス(フラビウイルス)を原因とする疾患であり,ウイルスに感染したAedes属およびHaemagogus属の蚊に刺されることでヒトへと伝播する.2016年12月以降,ブラジルでは黄熱病の流行が続いている.最初の症例はブラジル南東部のミナスジェライス州で報告されたが,近隣の州,主に農村部において多くの動物間流行およびヒト症例は調査中である.これらは,森林またはジャングル型と呼ばれる.つまり,ウイルスは林冠部でみられる種類の蚊を介して,(サルなど)非ヒト霊長目間で流行し,ジャングルを訪れたあるいはそこで作業するヒトへ,非ヒト霊長目から蚊を介して散発的に伝播する.4月上旬までに1500症例以上が報告されており,黄熱病ウイルス感染は,以前は危険はないと考えられていた地域であるブラジルの大西洋沿岸へ拡大し続けている.黄熱病の都市での流行を媒介しうるAedes aegyptiを介してのヒト-ヒト感染は,現在までのところ確認されていない.しかし,今回の流行は,ワクチンの定期接種が行われていない大都市近郊地域に影響を及ぼしている.この流行に対応して,黄熱病ワクチン接種が推奨される旅行先のリストが拡大された.現在,黄熱病ワクチンが不足しているため,旅行者は旅行前に黄熱病ワクチンの提供者に連絡をとらなければならない.黄熱病感染リスクがあると考えられる特定の地域を含むブラジルの状況や,ワクチン推奨に関する詳細情報は次のサイトでみられる.WHO流行性疾患ニュース;CDC旅行者健康情報-ワクチン・薬剤・推奨(N Engl J Med 376: 1397, 2017).
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| 2017年3月 |
最新治療ガイドライン
抗菌薬適正使用
- 2月下旬,FDAはバイオマーカーであるプロカルシトニン(PCT)の使用について,以下のように適応を拡大した:
- 重症患者における,微生物侵襲の可能性および重症敗血症または敗血症性ショックへの進行度合のマーカーとして.
- COPDおよび市中肺炎が急性増悪した患者における,抗菌薬治療の必要性を決定する指標として.正常のPCT濃度(≦0.25ng/mL)での侵襲性細菌感染の可能性は5%未満である.S. pneumoniae,H. influenzae,M. catarrhalisのようなコロニー形成細菌が気道に侵入しない(定着ではない)限り,PCT濃度は上昇しない.
- 細菌が原因となる敗血症/敗血症性ショックおよび市中肺炎における,抗菌薬治療期間決定の指標として.
- 敗血症性ショックの可能性がある血圧低下患者において,FDAがPCT濃度の有用性について言及しなかったことに留意する必要がある.PCT濃度が基準範囲ならば,患者の95%で菌血症がショックの原因であることはない.要するに,PCT濃度は,抗菌薬適正使用管理プログラムで有用といえる.血清PCT濃度とマルチプレックスPCRプラットフォームによる病原体検出(ウイルスおよび細菌)を組み合わせれば,治療上の不確実性が解消され,抗菌および/または抗ウイルス薬治療の適正化が可能になる.
臨床上有用な知見
- 現在,コリスチン(ポリミキシンE)用量について,3つの情報源からの推奨がある.1)国際的な薬物動態(PK)研究グループによる,クレアチニンクリアランス(CrCl)に基づく用量,2)欧州医薬品庁(EMA)による,CrClに基づく用量(CrClの区分がPK研究グループよりも広い),3)米国FDAによる,公式の処方情報でみられる体重およびCrClに基づく用量.サンフォードガイドの編集者は,次の文献に発表されたPK研究グループのアプローチが好ましいと考える(Clin Infect Dis 64: 565, 2017).
2011年に,PK研究グループは,105人の重症患者の予備的な解析に基づき,複雑なコリスチン用量の推奨を発表した(Antimicrob Agents Chemother 55: 3284, 2011).グループは最近,214人の患者データの最終分析に基づいて,これらの推奨事項を改訂した.その結果,定常状態の平均コリスチン血漿中濃度は2μg/mLとなるように想定され,臨床医にとっては,より実施しやすい用量設定方法となった.初回用量として体重(実際の体重または理想体重のどちらか軽いほうを使用)の4倍(コリスチン塩基活性のmgで表す)を使用し,その12時間後から維持処方を開始する.維持処方の1日総用量はCrClに基づいて「ルックアップ表」(CrCl 10mL/分ごとに区分されている)で設定されている.維持用量は1日2回12時間ごとに分ける.このグループは,間欠的血液透析,SLED,CRRTを受けている患者のための用量推奨も示している.詳細はコリスチンのページを参照.ただ,コリスチン使用には問題が残されているため,1つの重要な例外を除いて,サンフォードガイド編集者はコリスチンよりもむしろポリミキシンBの使用を推奨する.その例外とは,ポリミキシンBは十分な尿中濃度に到達しないことである.したがって,多剤耐性グラム陰性菌による尿路感染症の治療にはコリスチンが必要となる.
- 抗酸球性肺炎は,抗酸球が肺に蓄積するという特徴をもつまれな疾患である.特定の薬剤(特に抗菌薬,NSAIDs),毒素,放射線の曝露後に起こることがあり,発熱,片側のびまん性肺浸潤,低酸素血症,気管支肺胞洗浄液中の抗酸球増加(>25%)といった症状を特徴とする.抗酸球の産生と肺への移動は,ヘルパーT2リンパ球からのインターロイキン5放出により,また活性化肺胞マクロファージからのエオタキシン分泌により促進される(Clin Infect Dis 50: e63, 2010).最近のシステマティックレビュー文献では,ダプトマイシンが原因となる好酸球性肺炎と考えられる35症例が同定され,患者の83%は男性,平均年齢は65.4歳だった.臨床所見として,呼吸困難(94%),CTまたは胸部X線上での浸潤/混濁(86%),末梢血抗酸球増加(77%),発熱(57%)が認められた.ダプトマイシンの用量は4〜10mg/kg/日(腎機能により調整されていた)で,症状発現前の平均治療期間は2.8週であった.ダプトマイシン中断後1〜7日で症状は改善した.また,患者の66%が同時にコルチコステロイドも処方されていた.ダプトマイシンが原因となる抗酸球性肺炎の機序は不明だが,ダプトマイシンが肺サーファクタントと結合し,肺胞腔に集積したために引き起こされた炎症反応が関与している可能性がある(Antimicrob Resist Infect Control 2016 Dec 12 [Epub ahead of print]).
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| 2017年2月 |
最新治療ガイドライン
最新治療ガイドライン
臨床上有用な知見
- カルバペネム系薬はバルプロ酸(VPA)濃度を急速に低下させることが知られている.ドリペネム,Ertapenem,イミペネム,メロペネム,パニペネムはすべて関与するが,相互作用の正確な機序は十分には解明されていない.VPAの最も重要な代謝産物は不活性グルクロニドであり,VPA-グルクロニド(VPA-G)を加水分解してVPAに戻す酵素であるアシルペプチド加水分解酵素をカルバペネム系薬が阻害すること(この結果,VPA-Gの尿中排泄が増大する)が,重要なステップであると考えられている.そのほか,可能性のある機序としては,カルバペネム系薬によるVPA腸管吸収の阻害,VPA-Gの生成増加,および赤血球からのVPA排出の阻害などが考えられる.後ろ向き研究では,VPA濃度はカルバペネム系薬の使用から24時間以内に約60%低下しており,Ertapenem,メロペネムのほうがイミペネムよりもVPA濃度の低下の度合いが大きかった(Ther Drug Monit 38: 587, 2016).
メロペネムとVPAの相互作用については,大規模な調査が中国で行われた.それは,神経外科手術を受けた入院患者の,VPAのTDM(治療薬物モニタリング)記録を後ろ向きに分析したものである.VPA治療を受けた301人の患者(メロペネム併用例も非併用例もある)から,381の記録が3年間にわたって収集された.その結果,この相互作用に関するわれわれの知識を広げる次の2つの結果が得られた.1)相互作用の発生は,VPAおよびメロペネムの1日用量とは無関係である.これは単にVPAの用量を増加させただけでは,VPA濃度の低下は逆転しないことを示唆している.また,2)VPA濃度の変化が通常に戻るには7日間以上のメロペネムの中止が必要である(J Clin Pharm Ther 2017 Feb 1 [Epub ahead of print]).
- クリンダマイシンは,肥満患者で用量調整が必要となる可能性がある脂溶性薬剤であるが,調整の参考となる肥満患者(成人または小児)のデータは,薬物動態に関しても有効性に関してもほとんどない.最近,3つの独立した前向き試験のデータを組み合わせて,クリンダマイシン使用群での薬物動態分析が行われた.220人の小児が対象とされ,そのうち76人のBMIはその年齢での分布の95パーセンタイル以上であった.分析の結果,肥満および非肥満どちらの小児でも,総体重に基づく用量決定が最も適切であることが明らかになった.他の体組成尺度(正常脂肪量,除脂肪量,および除脂肪体重)の評価性能は劣っていた.この研究には,複数の研究デザインと集団が用いられたため,次の限界があることを著者らは認めている.モデルにばらつきが生じた可能性がある,多くの対象者で検査データが欠損している,一部の対象者では肥満状態の分類が誤っていた可能性がある,ということである(Antimicrob Agents Chemother 2017 Jan 30 [Epub ahead of print]).
- 2008年,米国食品医薬品局(FDA)は,フルオロキノロン系薬製造企業に対し,腱炎および腱破裂のリスクの増加に関する警告を製品情報に記載する必要があると通告した.昨年,FDAは,急性副鼻腔炎,急性気管支炎,単純性尿路感染症の患者では,他の治療選択肢がある場合には,フルオロキノロン系薬に伴う重篤な副作用がその有用性を上回ることを指摘し,すべてのフルオロキノロン系薬についてより強力な警告が必要であると発表した.副作用は,腱,筋肉,関節,神経,および中枢神経系までを含む.前述の疾患の患者では,フルオロキノロン系薬は他の治療選択肢がない場合のために温存しておいたほうがよい.この警告の強化は,フルオロキノロン系薬が使用から60日以内の大動脈瘤および大動脈解離のリスクを約2倍増加させるという,台湾国民健康保険研究データベースを用いた最近のコホート内症例対照分析などが,一部契機となっている(JAMA Intern Med 175: 1839, 2015).
これに関連して,一部の患者サブグループでは市中肺炎に対するフルオロキノロン系薬の第一選択としての位置づけが低下するかという質問が,読者から寄せられた.回答として,上級編集者の一人は,警告が比較的まれな感染症に対するフルオロキノロン系薬の使用に関するものだと指摘している.副鼻腔炎および気管支炎は多くが自然治癒し,ウイルス性であることも多いため,抗菌薬の有用性はわずかである.細菌性肺炎は別であり,今のところ,推奨事項の変更は想定していない.IDSA(米国感染症学会)には市中肺炎の治療推奨に取り組むガイドライン委員会があり,同委員会による見解が注目される.さらに,新たなデータは,現在の治療推奨が市中肺炎の病因についての誤った理解に基づいていると示唆している(N Engl J Med 373: 415, 2015; Clin Infect Dis 62: 817, 2016).現時点では,市中肺炎における抗菌薬の有用性は十分に確立されており,より高齢で,医学的により問題の多い患者の第一選択としてのフルオロキノロン系薬の使用は合理的である.
- メトロニダゾールは50年以上にわたって臨床で用いられており,トリコモナス症,ジアルジア症,アメーバ症,細菌性膣症,H. pyloriおよび多くの嫌気性菌感染の治療で重要な役割をはたしている.では,なぜメトロニダゾールには好気性菌に対する活性がないのだろうか?
メトロニダゾールは,受動拡散によって細菌細胞内に取り込まれる.その後,細胞質内で還元されて短命のニトロソフリーラジカル中間体に変換され,細菌のDNAに非特異的に結合する.そのため,DNA鎖の合成阻害と切断,細胞死を引き起こす.好気性細菌の細胞には,メトロニダゾールに十分な電子を与えることができるほどの負の酸化還元電位をもった電子伝達タンパク質が存在しない.嫌気性菌には,flavodoxinやferredoxinのような電子伝達タンパク質があり,メトロニダゾールよりも低い(負の数の多い)酸化還元電位にあるため,電子を受け渡して,メトロニダゾールを還元できる.酸化還元電位は化学種が他の化学種に電子を受け渡す,あるいは他の化学種から受け取る傾向を表す,つまり,電位が高い(正の数が多い)ものは電子を受け取りやすく,低い(負の数が多い)ものは電子を受け渡しやすい.
多剤耐性Bacteroides fragilisの報告が最近いくつか発表された(MMWR 62: 694, 2013)が,Bacteroides属でのメトロニダゾール耐性はまれである.しかし,メトロニダゾール耐性であることの多い嫌気性菌が少なくとも2つ存在する.1つはPropionibacterium acnesである.一般にP. acnesはクリンダマイシンに対しては感受性が高いが,メトロニダゾールに対しては耐性であり,そのため軽症〜中等症の痤瘡にはクリンダマイシンの局所製剤のほうが優れているとされる.ただ,メトロニダゾール局所製剤は,酒さ様痤瘡に対しては有効であり,これはおそらく抗炎症効果によるものであろう(Curr Med Res Opin 15: 298, 1999).
もう1つの嫌気性菌はClostridium tertiumである.C. tertiumは,毒素を産生せず,酸素耐性であるという点で他のClostridium属とは異なっている.C. tertiumはまれに菌血症に関与することがある.患者は,多くの場合(つねにではないが),消化管粘膜傷害を伴う好中球減少症を呈し,βラクタム系薬(特に第3世代セファロスポリン系薬)に曝露歴のあることが多い.C. tertiumの多くは(すべてではないが)クリンダマイシンに対しても耐性である(Clin Infect Dis 32: 975, 2001).
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| 2017年1月 |
最新治療ガイドライン
臨床上有用な知見
- エボラウイルス病(EVD)予防ワクチンrVSV-ZEBOVの有効性を評価するためにデザインされた試験の目覚ましい最終結果が発表された.試験はギニアで行われ,天然痘の撲滅でサーベイランス-封じ込め戦略として用いられたリング・ワクチン接種というアプローチがとられた.EVD患者が確認されると,患者の接触者集団,接触者のさらなる接触者集団が同定された.これらの集団は無作為に,ただちにワクチン接種される群と21日後にワクチン接種される群に分けられた.ワクチンは三角筋に単回筋注(2 x 107PFU)で接種された.無作為割り付けは,独立のデータ,および暫定的な分析所見に基づく安全性委員会からの推奨により中断され,それを受けた集団もただちにワクチン接種を受けた(小児を含む).ただちにワクチン接種を行った群では,EVDの発症が10日以上完全に阻止された.頭痛,疲労,筋肉痛は,すべての年齢群で最も多く報告された有害事象であった.rVSV-ZEBOVワクチンは,水疱性口内炎ウイルスをベースにした複製能力のある組み換えワクチンであり,ザイールエボラウイルスの表面糖タンパクを発現している(Lancet 2016 Dec 23 [Epub ahead of print]).
- 従来からの疑問:抗感染症薬の併用はワルファリンの薬理学的効果を高めるか?
まず,いくつかの背景を述べる.ワルファリンはR-ワルファリン(半減期37〜89時間)とS-ワルファリン(半減期21〜43時間)のラセミ混合物である.R-ワルファリンはCYP1A2,2C19,3A4によって代謝され,S-ワルファリンはCYP2C9によって代謝される.S鏡像異性体はR鏡像異性体より5倍活性が高い.したがって,CYP2C9を阻害する抗感染症薬はワルファリン代謝およびINRに非常に大きな影響を与えることが予測される.CYP2C9を阻害する抗感染症薬の一覧(これがすべてであってほしい)を下に示す.
- 抗菌薬:メトロニダゾール,oritavancin(週1回),スルファメトキサゾール・トリメトプリム(特にスルファメトキサゾール)
- 抗真菌薬:フルコナゾール,ボリコナゾール
- 抗レトロウイルス薬:delavirdine,エファビレンツ,エトラビリン
抗感染症薬がワルファリンの効果を増強する機序として,少なくとも5つが考えられる(以下順不同).
- タンパク結合部位での置換.タンパク結合能の高い抗感染症薬が結合部位でワルファリンと置き換わるという考えは,最も早く提唱された説のひとつであった.しかし,タンパク結合部位での置換により,遊離のワルファリンは増加するが,他方,代謝酵素による代謝を受けやすくなるため,ワルファリンのクリアランスも増加する.したがって,ワルファリンの効果増強があるとしても,一時的なものにすぎないはずである.
- 抗感染症薬による凝固因子形成の直接阻害.多年にわたり,セファロスポリン骨格の3位にN-methylthiotetrazole(MTT)側鎖を含むセファロスポリン系薬は,出血と関連するとされてきた.MTTはグルタミン酸のガンマ-カルボキシル化,つまり凝固因子形成に必要なビタミンK依存性反応を阻害する複素環式脱離基である.幸いなことには,MTTを含むセファロスポリン系薬(cefotetan,セフォペラゾン,cefmetazole,cefamandole,moxalactam)のほとんどは市場(少なくとも米国の市場)から撤退している.
- 腸内細菌叢によるビタミンK産生の障害.これは,しばしば主張されるが,支持するデータがほとんどない説である.日常の食事には通常300〜500μg/日のビタミンKが含まれており,ワルファリンに対する反応を変化させるには,ビタミンK摂取が250μg/日程度に低下した状態が長期に続くことが必要だと推定される.しかし,腸内細菌叢によるビタミンK産生量はわかっておらず,または抗感染症治療により予測される低下(または薬剤によってその低下がどのように異なるか)も不明である.
- 感染の結果として食事からのビタミンK摂取がもたらす変化.つまり,体調不良により緑色葉野菜の摂取量が減少する可能性がある.
- 感染自体によるワルファリン代謝の低下,すなわち,感染期間中に放出される炎症性サイトカインが,CYP2C9などの酵素をダウンレギュレーションすることで薬剤代謝を阻害するように働く(Clin Pharmacol Ther 85: 434, 2009).つまり,ワルファリン代謝の阻害を示す抗感染症薬は,本当の原因を指し示すマーカーとして機能しているだけであり,相互作用の消失は,薬剤の中断ではなく感染の寛解による.
5番目にあげた理由が可能性としてもっとも大きく,3番目と4番目の関与はわずかであろう.多くの抗感染症薬がワルファリン服用時のINR上昇と関連してきたが,感染患者の症例報告が相互作用データの大半を占めていても,健常人を対象とした前向きのランダム化比較試験では通常,相互作用は認められないことに留意する必要がある.
USメディケイドデータに基づき,ワルファリン使用者の観察的ケースコントロールおよびケースクロスオーバー研究の興味深い成果が2008年に発表された.検討された7つの抗菌薬(シプロフロキサシン,レボフロキサシン,ガチフロキサシン,ST,フルコナゾール,アモキシシリン,セファレキシン)すべてで薬剤曝露が消化管出血と関連していた.しかし,注目すべきは,セファレキシン使用を含む交絡因子のリスクを調整した集団を対照とした場合は,STとフルコナゾールのオッズ比だけが有意に上昇していたことである(どちらも2C9 阻害薬であることから予測されることだが).
セファレキシン(アモキシシリンでも同様だが)は,ワルファリン代謝に影響しない薬剤として知られているため,この研究は相互作用の評価において,感染という因子を調整した最初の研究である.これは感染という因子を調整するのに最良の方法とは言えないが,感染症を発症したワルファリン治療患者群に感染症治療を行わないことは,倫理的に大きな問題である(Clin Pharmacol Ther 84: 581, 2008).
まとめると,ワルファリンと抗感染症薬の相互作用とされているものは,明らかなCYP2C9阻害薬の場合以外は,むしろ疾患と薬剤(感染症とワルファリン)の相互作用と考えられる(Pharmacy Times June: 27, 2009).
- Trimethoprim (TMP)は,カリウム保持性利尿薬アミロライドと構造的に類似しており,腎でのナトリウム再吸収を阻害する.STによる高カリウム血症はよく知られているが,低ナトリウム血症は,一般にそれほど理解されてはいない.高用量ST療法(TMP≧8mg/kg/日・連続3日以上)を受けた入院患者に関する後ろ向きの単施設調査研究では,低ナトリウム血症(血清ナトリウム<136mEq/L)の発症率は72.3%(76人中55人)であった.合併症のある患者,血清ナトリウムを低下させる他の薬剤を使用していた患者は調査対象から除外されていた.治療開始時の平均ナトリウム濃度は138.4mEq/Lであり,底値の平均は131.6mEq/Lだった.底値となるまでの平均期間は5.5日,43.6%の患者はナトリウム濃度の底値が<130mEq/Lであり,観察された最低濃度は117mEq/Lであった.男性患者およびアフリカ系アメリカ人患者で低ナトリウム血症の総体的発症率が高く,血清ナトリウム濃度の低値は,STによる治療期間の長さ,累積用量の高さに関連していた.調査対象患者の32.9%で,高カルシウム血症もみられた(特にコルチコステロイドを併用した患者で多かった).ST中止後1〜3週以内に血清ナトリウム濃度を測定すると,57.9%(58人中38人)で低ナトリウム血症は消失していた.この後ろ向き調査研究の対象のほとんどは肺炎患者だったが,観察された低ナトリウム血症発症率は,肺炎患者を対象とした他の研究からの報告より高かった(Am J Med 129: 1322, 2016).
- 中枢神経毒性はフルオロキノロン系薬の毒性としては2番目に多くみられるものである(もっとも多いのは胃腸毒性)が,その報告の大部分は成人例である(この薬物の一般的な使用法を反映している).小児については,レボフロキサシンの神経毒性の報告が現在までわずか2件あるだけである.最初の症例では,それまで健康だった13歳の女児が急性気管支炎のためにレボフロキサシン経口治療を受け,初回服用から2時間後にせん妄状態となった.ただちに薬剤は中断され,その後4日かけて徐々に回復した(Med J Armed Forces India 69: 404, 2013).最近の例では,神経芽種の2歳の女児が幹細胞移植に先だってレボフロキサシンによる予防を開始したところ,夕方遅くの服用により必ず興奮,混迷,幻覚が引き起こされた.服用時刻を夕方早くに変更すると,こうした症状は消失したが.偶然に再度夕方遅くに服用した時には症状が再発した(J Clin Psychopharmacol 36: 737, 2016).
フルオロキノロン系薬の中枢神経系副作用は十分に解明されていない.症状としては,頭痛,めまい,不眠からせん妄,精神異常,けいれんまで含む.フルオロキノロン系薬における,中枢神経毒性との関連度は以下の順と考えられる:
ノルフロキサシン>シプロフロキサシン>オフロキサシン>Gemifloxacin>レボフロキサシン>モキシフロキサシン
考えられる機序は,抑制性神経伝達物質であるGABA(γアミノ酪酸)の,受容体との結合の阻害(βラクタム系薬の神経毒性に関する機序と同様)である.また,これらの薬剤は,興奮性NMDA(NメチルDアスパラギン酸)受容体を活性化する可能性もある.フルオロキノロン系薬と一部のNSAIDsの併用はけいれんのリスクを上昇させる可能性があり,また一部のフルオロキノロン系薬は,CYP450酵素阻害作用によって,てんかん誘発作用のある併用薬の濃度を高める可能性もある.小児でのフルオロキノロン使用が増加するに伴い,若年患者の治療にあたる臨床医がこうした毒性について知らせることが重要である(Clin Infect Dis 41(suppl 2): S144, 2005; Br J Clin Pharmacol 72: 381, 2011).
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| 2016年12月 |
新しい治療ガイドライン
臨床上有用な知見
- 一般に薬剤誘発性光線過敏症は,化学物質と太陽光の相互作用が引き起こす皮膚疾患である.光毒性(炎症性)と光アレルギー(免疫性)の2種類がある.これら2つを臨床的に分類するのは困難だが,光線検査や光パッチテストのような診断ツールが役立つことがある.下表に2つの比較を示した.
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光毒性 |
光アレルギー |
| 発生頻度 |
多い |
まれ |
| 典型的な症状 |
過度の日焼け様症状 |
掻痒性,湿疹性の発疹 |
| 発生部位 |
太陽に曝露した皮膚 |
太陽に曝露した皮膚およびその周辺 |
| 先行する感作 |
なし |
あり |
| 最初の曝露から発生までの時間 |
数分から数時間 |
>24時間 |
| メカニズム |
直接的な組織傷害 |
T細胞媒介性の過敏症 |
| 曝露量依存性 |
あり |
なし |
光線過敏症の原因薬剤に共通する特性は,紫外線(UV)および/または可視光線を吸収する能力である.UVの波長(<400nm)は可視光よりも短い.UVA(肌の黒ずみの原因)は320〜400nm,UVB(日焼けによる炎症の原因)は280〜320nm,UVC(殺菌力のある)は200〜280nmである.UVAは皮膚に深く入り込むが,DNAに直接傷害は与えず,反応性が高くDNAを傷害するラジカルを生成しうる.UVBとUVCはともにDNAに直接傷害を与えうる.UVCは最もエネルギーが高く,紫外線のなかで最も危険なタイプである.ほとんどの光線過敏症反応はUVAによって引き起こされている.光線過敏症の原因薬剤は,典型的には平面構造,三環系,または多環系の化学構造をもった低分子量(200〜500 dalton)の物質であり,その構造中にヘテロ原子をもつことが多い.光活性化によりフリーラジカルおよび一重項酸素が産生される.300以上の薬剤(おもに抗菌薬,NSAIDs,心血管薬)が光線過敏症の原因薬剤とみなされている.光線過敏症反応は,多くは薬剤を中止するか,太陽を避けることで解決するが,原因薬剤を中断できない患者では局所のステロイドや症状を軽減するために身体を保護する手段が必要となることがある.サンフォードガイドには,光線過敏症の原因となりうる薬剤のリストが掲載されている(Clin Dermatol 34: 571, 2016).
- アンピシリンまたはアモキシシリンを投与すると,主にエプスタイン・バーウイルス(EBV)によって引き起こされるウイルス性疾患である感染性単核球症(IM)患者のほとんど(65〜100%)で,掻痒性の斑点状丘疹を引き起こすと,私たちの多くが教えられてきた.これは1960年代から主張されてきたが,最近のデータによれば発疹の可能性はかなり低いことが示唆されている.症例報告および1964年から2016年6月までに発表された抗菌薬誘発性発疹に関する文献(いずれも英文)の,広範囲にわたる調査が最近行われ,症例報告17件と後ろ向き研究6件が抽出された.発疹との関連が最も大きかったのはアモキシシリン,アンピシリン,アジスロマイシンであった.最近の2つの研究(2013年に発表)では,発疹発症率はわずか15%と33%であった.昔の論文で報告された発症率の高さの理由は説明されていないが,いくつか考えられる.たとえば,より初期の抗菌薬製剤中に含有されていたことがわかっている不純物が関与している可能性が考えられる.ただし,すべての発表データがこれを裏づけているわけではない.抗菌薬誘発性発疹を経験しうるIM患者には2つのグループがあるようである.多数を占めるグループでは,EBVによって一時的かつ可逆的な免疫寛容の喪失が起こる結果,発疹が引き起こされるようであり(真性ペニシリンアレルギーではない),他方の少数のグループでは,真性の持続的な抗菌薬過敏症が発現するようである.この問題は依然として解明されてはいない.現在までのところ,IM患者で抗菌薬誘発性発疹が起こる可能性はおそらく65〜100%よりも低いということまでは推定できるが,発疹の実際の発生率や正確な病態生理学的なメカニズムについては,いまだに不明である(Ann Pharmacother 2016 Sep 12 [Epub ahead of print]).
- ニコラウ症候群は,1920年代に最初に報告され,皮膚と脂肪組織にさまざまな程度の壊疽をもたらす,筋肉内注射のまれな合併症である.原因となる薬剤はペニシリン,局所麻酔薬,ステロイド,NSAIDsなどである.ニコラウ症候群は小児,特に3歳以下で多くみられる.多くの患者は注射直後(数分から数時間)に注射部位に強い痛みを感じ,その後,皮膚が青く変色して潰瘍形成や壊死が起こる.潰瘍は通常,数ヵ月後に治まるが瘢痕が残り,一過性の神経学的合併症を伴う場合もある.ニコラウ症候群の病因は十分に解明されていないが,交感神経刺激,直接的な血管障害,血管周囲の炎症,血管攣縮が関与している可能性がある.肥満患者は,脂肪層が厚いため注射針の先が筋肉に届かないことがあり,(ときに繰り返し)筋肉外に薬剤が注入される結果,発症リスクが増す.ニコラウ症候群には特異的な治療法はない.従来からの方法として,デブリドマン,局所コルチコステロイド,鎮痛薬などが一般的には有効であるが,Pentoxifyllineのような血管作動薬が有用である可能性もあり,外科療法が必要となる場合もある.ベンザチンペニシリンGの筋肉内注射後にニコラウ症候群を発症した小児3人(年齢:2歳,2歳,9歳)に関する報告が最近なされた.そのうち2人は1ヵ月以内に完全に回復し,3人目は2ヵ月のフォローアップにより大きな改善を示した(J Family Community Med 19: 52, 2012; Bosn J Basic Med Sci 15: 57, 2015; Case Rep Infect Dis 2016 Nov 1 [Epub ahead of print]).
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| 2016年11月 |
新薬の承認
新剤形の承認
- FDAはマラビロク20mg/mL経口溶液,25mg錠,75mg錠を承認した.処方情報が更新され,2歳以上かつ体重10kg以上の小児においても使用できることになった.
新しい治療ガイドライン
- 米国感染症学会(IDSA)および米国熱帯医学会(ASTMH)の研究班はリーシュマニア症治療に関する新しい臨床診療ガイドラインを作成した.ガイドラインはIDSAのウェブサイトからダウンロードできる.
臨床上有用な知見
- Candida aurisは近年発見された侵襲性感染を起こす真菌であり,死亡率が高く,多剤耐性の可能性がある. 2009年に日本で入院患者の外耳道から最初に分離され,それ以降,多くの国で報告されている.8月31日までにCDCに報告された,米国における最初のC.auris感染7例について最近発表された.C. aurisは,臨床検査による正確な同定には特異的な方法を必要とし,2系統あるいは3系統の抗真菌薬(アゾール系,エキノキャンディン系,ポリエン系)に耐性であることが多く,医療施設での流行の原因ともなるため,重大な脅威となっている.最適な治療方法は確立されていない(MMWR 65: 1234, 2016).
- QT延長をもたらす薬物相互作用(QT-DDI)は,薬物が市場に出された後に何年もたってから発見されることが多く,より効率的な発見方法が必要とされている.研究者グループは最近,FDAの有害事象レポートシステム(FAERS)を分析し,QT-DDIを示す傾向を見い出した.その後,それらを自施設の電子診療記録(EHR)中の心電図と照らし合わせたところ,ランソプラゾール(プロトンポンプ阻害薬)とセフトリアキソンの予期せぬ相互作用が確認された.平均QTc(修正QT間隔)延長は男性で12ms,女性で9msであった.これら2剤を併用していた男性の,500ms以上のQTc延長発症率は,一方しか処方されていない男性の1.4倍であった.最も大きな影響は白人男性と黒人女性で認められた.研究者らはそこで,薬剤の併用によりhERGチャネルが遮断される(薬剤によるQT間隔延長の中心的なメカニズム)ことを示すために,パッチクランプ法による電気生理学検査を行った.ランソプラゾールとセフロキシムの併用では,FAERS,EHRデータ,電気生理学的検査いずれにおいてもQT-DDIが確認されなかったため,陰性対照として用いた.さらにクラス解析も行ったが,他のセファロスポリン系薬とプロトンポンプ阻害薬のあいだには,FAERSあるいはEHRで薬物相互作用のエビデンスは得られなかった.データマイニングの新しいアプローチを用い,その後に実験で確認されたこの薬物相互作用は興味深いものだが,その機序は明らかになってはいない(J Am Coll Cardiol 68: 1756, 2016).
- クランベリー製品による尿路感染症(UTI)予防効果については多くの臨床試験が行われているが,一貫した結果は得られていない(否定的結果が多いが,問題のある方法論での肯定的結果もある).クランベリーカプセルの臨床的および微生物学的なアウトカムを評価するため,介護施設に入居した高齢女性を対象に,適正に計画・実施された無作為化二重盲検プラセボ対照試験の報告が最近JAMAに掲載された.試験参加者は,経口クランベリーカプセル2剤(カプセル1剤は活性成分プロアントシアニジン36mgを含む)またはプラセボを,1日1回,1年間服用した.一次アウトカムである細菌尿+膿尿では有意差は認められず,症候性UTI,死亡率,入院といった二次アウトカムにも有意差は認められなかった.この試験結果は現時点では,証明された有用性に基づきクランベリー製品をUTI予防に推奨することはできないという見解と一致するものである(JAMA 316: 1879, 2016).
- バンコマイシン起因性血小板減少症は1985年にはじめて報告されたまれな副作用で,いまだその詳細は不明であり,おそらく診断されずに見逃されることも多いと考えられる.その機序にはバンコマイシン依存性の血小板反応性抗体が関わっているようである(N Engl J Med 356: 904, 2007).ある研究者グループがPubMed,Scopus,Web of Scienceなどのデータベースを使って英語文献の系統的な調査を行った.症例報告29件,観察研究5件,臨床試験2件,Letter 2件,症例集積1件が同定・解析され,その結果が最近,発表された.要約すると,バンコマイシン起因性血小板減少症の正確な発症率は依然として不明である.反応はバンコマイシンの使用期間に依存するようであり,血小板が最底値に達するまでの期間は最初の薬剤曝露から平均8日後である(再曝露では,有意に短い)。出血を経験した患者では,最底値の血小板数は2,000〜100,000の範囲である.症例報告では,バンコマイシンに特異的な抗体が,検査を受けた患者17人中13人で検出された.バンコマイシン血清濃度と血小板減少症の間には決定的な関連は認められなかった.血小板数は,バンコマイシン中断後,平均5〜6日で正常値に戻った.血小板の注入が一部の患者で行われたが,結果は一定していなかった.また,数人の患者でコルチコステロイド,静注免疫グロブリン,またはリツキシマブといった他の方法が用いられたが,有用性は明らかでなかった(Drug Safety 2016 Nov 15 [Epub ahead of print]).
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| 2016年10月 |
新薬の承認
- Bezlotoxumab(Zinplava)は,C. difficile toxin Bに結合するヒトモノクローナル抗体であり,C. difficile感染(CDI)で抗菌薬治療を受けても再発リスクの高い18歳以上の患者について,CDI再発リスク低減のために適応となった.CDIの治療としては適応とならなかった.推奨用量は,60分以上かけて10mg/kg静注.
- メベンダゾール 500mgチュアブル錠(Vermox チュアブル)は,回虫および鞭虫による消化管感染症に対して,1歳以上の患者に対する治療に承認された.推奨用量は1回1錠,飲み込む前に完全に噛み砕き,食物摂取に関係なく服用.
臨床上有用な知見
- クリンダマイシンは,タンパク質合成の初期段階を阻害するリンコサミド系抗菌薬である.いくつかの代謝物に代謝され,糞便中に排泄される.in vitroのデータによれば,クリンダマイシンの生体内変化はおもにCYP3A4により媒介され,またクリンダマイシンにはCYP3A4の中等度の阻害作用がある(Drug Metab Dispos 31: 878, 2003).クリンダマイシンによるCYP3A4の阻害の程度は,おそらくは他の薬剤の薬物動態に影響するほどではないが,強いCYP3A4の誘導薬あるいは阻害薬によりクリンダマイシンが影響を受ける可能性について,われわれは少なくとも注意する必要があるとデータは示している.最近のある前向き試験では,ブドウ球菌による骨関節感染患者16人は,経口クリンダマイシン+リファンピシンの治療後,対照群に比してクリンダマイシン濃度が一律に低値を示した(J Infect 71: 200, 2015).こうした結果は,グラム陽性菌による骨および関節感染患者61人の観察研究において,リファンピシン併用群ではクリンダマイシンのトラフ値が有意に低下したこと(Infection 43: 473, 2015),またそれ以前の研究において,クリンダマイシン+リファンピシンの持続静注で治療された患者では,クリンダマイシン濃度が低下したこととも一致している(Antimicrob Agents Chemother 54: 88, 2010).しかし,これらの研究において,クリンダマイシン濃度の低下は臨床転帰に対して有害な影響を与えなかったこと,また,クリンダマイシンの至適目標濃度が定義されていないことは留意すべき重要な点である(J Infect 72: 120, 2016).
- 経管栄養の患者にフルオロキノロン系薬を使う際の注意.フルオロキノロン系薬は経管栄養のチューブを通じて経腸栄養剤とともに使用すると生物学的利用能が低下するが,おそらくそれは栄養剤中のアルミニウム,カルシウム,鉄,マグネシウムのような多価陽イオンのためである.相互作用の程度は薬剤により異なる.最も影響を受けるのはシプロフロキサシンであり(その生物学的利用能は通常の70%から30〜50%に低下することがある),その次はレボフロキサシンである.モキシフロキサシンの吸収は,経腸栄養剤による影響をまったく受けない可能性もある.以下に,フルオロキノロン系薬と経腸栄養剤の相互作用を最小限にするいくつかの方法を示す.
- フルオロキノロンの使用をいっさい避けること,あるいは静注にすること.
- シプロフロキサシンまたはレボフロキサシンを使用する1〜2時間前,および使用後2〜4時間は経腸栄養を中断すること(モキシフロキサシンでは不必要かもしれない).
- 低下した生物学的利用能を補うために(シプロフロキサシンを使う場合)使用量を増やすこと.
フルオロキノロン錠は,栄養チューブを通じて使用する前に完全に粉砕して,20〜60mLの滅菌水で希釈する必要がある.シプロフロキサシン懸濁液はチューブに固着して閉塞させることがあるので,使うべきではない(Am J Health-Syst Pharm 65:2347, 2008).
- ST静注に含まれるプロピレングリコールは重篤な乳酸アシドーシスを引き起こすか? 毛様細胞性星状細胞腫に対するテモゾロミド・メトロノーム療法+ステロイドの治療を受けていた女性患者(31歳,体重106kg)が肺炎を起こし,急性呼吸不全で人工呼吸器が必要となったため,ICUに搬送された.神経線維腫1型,甲状腺機能低下を合併していた.最初にセフェピム,バンコマイシン,アジスロマイシンによる治療を受け,さらにPneumocystis jirovecii をカバーするためにST 18mg/kg/日静注が追加された.腎および肝機能は正常範囲だった.36時間以内に呼吸機能は改善し,人工呼吸器を離脱したが,STを3日間続けたところ,重度の代謝性アシドーシス(pH7.2,pO2 19mmHg,O2 2LでのpO2 107mmHg, バイカルボネート8mEq/L, 乳酸 12.1 mmol/L,アニオンギャップ25mEq/L)を発症した.STを中止すると,24時間以内に血清バイカルボネートは23まで増加し,乳酸は2.9まで減少した.乳酸アシドーシスの原因として,ST以外のものは想定できず,患者の酸塩基状態は,その後の入院期間中は正常に保たれた.
プロピレングリコールは,STなど多くの静注薬,経口薬に含まれている.約半分は肝臓で乳酸,ピルビン酸,酢酸に代謝され,残り半分は無変化のまま尿中に排泄される.乳酸アシドーシスはプロピレングリコールの有害事象として知られている.リスク因子としては,腎機能障害,肝機能障害,アルコール依存があり,プロピレングリコールの摂取用量を1g/kg/日に制限することを推奨すべきという意見もある.ST静注は1mL中にスルファメトキサゾール80mg,トリメトプリム16mg,プロピレングリコール400mgを含んでおり,上記の患者は1日にプロピレングリコール54gを処方されていたことになるが,興味深いことに,これは1日の用量制限の推奨を下回っている.患者に使用された他の薬剤でプロピレングリコールを含んでいるのはロラゼパムだけであった.ロラゼパムは2mg処方され,これによりさらに0.8gが加わることになる.プロピレングリコールの毒性はさまざまな血清濃度で観察されているが,残念ながらこの患者では血清濃度の測定は行われていなかった(Medicine 95: e3478, 2016).
- トリメトプリムは,カリウム保持性利尿薬アミロライドに構造的にも薬理学的にも類似している.トリメトプリムは遠位尿細管上皮細胞のナトリウムチャネルでのナトリウム取り込みを阻害する結果,ナトリウムの喪失,カリウム排出の減少が起こり,代謝性アシドーシスが引き起こされる.高カリウム血症はSTの毒性として広く知られているが,低ナトリウム血症は正しく理解されていない可能性もある.ST高用量(トリメトプリム>8mg/kg/日)を少なくとも3日間処方された入院患者76人を対象とした最近の後ろ向きコホート研究では,55人(72.3%)が治療中に低ナトリウム血症(<136mEq/L)を発症した.55人中24人(43.6%)ではナトリウムの底値が<130mEq/Lであり,8人(14.5%)では125mEq/L以下,観察されたナトリウム濃度の最低値は117mEq/Lであった.ST開始後平均5.5日でナトリウムは底値となり,治療期間が長いほど,またST累積用量が高いほどナトリウム濃度は低くなった.低ナトリウム血症は,アフリカ系アメリカ人患者に多くみられる傾向があった.大部分の患者では,ST中止後3週間以内で低ナトリウム血症は消失した(Am J Med 2016 Aug 16 [Epub ahead of print]).
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| 2016年9月 |
新しいガイドライン
臨床上有用な知見
- カルバペネム耐性腸内細菌科(CRE)の出現と拡大は,公衆衛生上,重大な脅威である.腸内細菌科のカルバペネム耐性は,次の2つによるものである。(1)外膜のポーリンチャネルの変異(薬剤の移行をさまたげる)+ESBLやAmpCのようなβラクタマーゼ酵素。(2)KPC,NDM,VIMなどのカルバペネマーゼ酵素の存在。CRE感染に対する至適治療は未確立であるが,ポリミキシン類(コリスチン,ポリミキシンB)はその鍵となる薬剤のなかに含まれる(Open Forum Infect Dis 2: ofv050, 2015).
mBioの2016年7/8月号に,コリスチンおよびカルバペネム系抗菌薬の両方に耐性であるE. coli臨床的分離株の米国初の報告が掲載された.患者は再発性尿路感染症の76歳男性で,最近の渡航歴はなかった.E.coliは尿検体から分離されたもので,コリスチン,すべてのβラクタム薬(アズトレオナムを除く)に耐性だったが,ゲンタマイシン,アミカシン,Nitrofurantoin,チゲサイクリン,STには感受性があった.mcr-1を含むプラスミドとblaNDM-5を含むプラスミドが発見され,どちらのプラスミドについても,遺伝子配列に,中国ですでに報告されたプラスミドとの高度の相同性が認められた.これらのプラスミド中からは他の耐性遺伝子は見いだされなかった.blaNDM-5遺伝子は,ニューデリーメタロβラクタマーゼ(NDM)の変異型をコードし,カルバペネムに対する耐性を引き起こす.他方,mcr-1遺伝子はコリスチンに対する耐性を引き起こすものであり,2015年に中国で,食物,動物,患者からの分離株中に初めて発見され,プラスミドが媒介するコリスチン耐性の機序として最初に同定された(MMWR 65: 979, 2016).米国におけるmcr-1遺伝子の最初の報告は,2016年5月下旬にオンラインで投稿されたもので,2016年4月下旬に培養されたE.coli分離株に関するものであった(Antimicrob Agents Chemother 60: 4420, 2016).mcr-1遺伝子の米国での2番目の報告は,2015年5月に分離されたE.coli株に関するものである.本稿で取り上げたコリスチン/カルバペネム耐性E.coliは,2014年8月に検出されたものであり,mcr-1遺伝子の未知の伝播が憂慮される(mBio 7: e01191, 2016).
- ベル麻痺は,顔面末梢神経機能障害と一致した顔面筋肉系の急性麻痺または脆弱化である(通常は片側).病因としては,ウイルス感染(単純ヘルペスウイルスが最も多い)の可能性が大きい.ほとんどの患者は,治療をしなくても回復するが,約5人に1人は非可逆性の顔の変形や痛みが残る.経口コルチコステロイドはベル麻痺治療に広く用いられるが,抗ウイルス薬併用の作用は確かではない.最近のコクランレビューにより,さまざまな重症度のベル麻痺に対する抗ウイルス薬(アシクロビル,バラシクロビル,またはファムシクロビル)+経口コルチコステロイドによる治療が,コルチコステロイドの単独治療と比較して,3〜12ヵ月での不完全寛解率を上昇させることが示された.有害作用は抗ウイルス薬によって増悪されなかった.エビデンスの質は不均質,試験結果が不正確,さらにバイアスが存在する可能性があるため,低いと評価された(Cochrane Database Syst Rev 11: CD001869, 2015;JAMA 316: 874, 2016).
- Nitrofurantoinが臨床に導入されたのは1953年である.腎機能が正常な場合には,経口服用された約40%が未変化のまま尿中に排泄されるが,その抗菌活性は酸性の環境下で増強される.組織移行性は低く,このためNitrofurantoinが臨床的に有用なのは下部尿路感染に対してだけである. CrCl<60mL/分の患者に対してはNitrofurantoinを使用しないようにという警告が,数十年前から出されているが,これは今でも信じてよいのだろうか?
この推奨の典拠は不十分であり,古いデータに基づいている.この論文は多く引用されているが,発表されたのは1968年である(N Engl J Med 278: 1032, 1968).試験対象者には朝食1時間後に100mgが1回処方された.試験開始前にもNitrofurantoin処方を受けていて腎障害をもつ患者が数人含まれていた.使用された製剤は,微晶質のNitrofurantoinと推定される.服用後0〜2時間,2〜4時間,4〜10時間の尿中排泄量が測定された.服用当初の2時間で,CrCl<60mL/分の患者の尿中排泄は非常に低く(<5mg),服用後10時間でも尿中総排泄量は40mg(服用量の40%)を大幅に下回っていた.CrCl<20mL/分の患者では,服用10時間後でも薬剤の尿中排泄はほとんど認められなかった.著者らはさらに,CrCl<60mL/分の患者のほとんどで,尿中Nitrofurantoin濃度はE. coliおよびEnterococcusに対するMICとされる濃度に達しなかったと記している.加えて,著者らはすでにNitrofurantoin処方を受けていた腎障害患者での尿中排泄も調べている.CrCl<30mL/分だが総量(100mg)を処方された数人の患者全員で,尿中排泄量は,十分とされる量に辛うじて達する程度であった.総量を処方された腎障害患者で想定される毒性については検討されていない.
著者らは,Nitrofurantoin 50mg1日4回処方を受けたとされる高窒素血症患者で,治療7日以上でも尿中排泄量は十分でなかったとする1958年の論文(J Urol 80: 77, 1958)を引用して検討している.さらに,未調整と思われる用量のNitrofurantoinを服用した尿毒症患者での毒性に関する1967年の報告(Tr Am A Genito-Urin Surg 59: 32, 1967)も引用している.
しかし現在,少なくとも65歳以上の患者に関しては,十分に検討された新しい推奨が提案されている.2011年,米国老年医学会(AGS)は,高齢者において不適切な可能性のある医薬品の使用に関するBeers基準を改訂し,さらなる普及に努めることを責務とした.このリストにあがっているのは,錯乱,転倒,死亡などの健康上の問題に結びつく薬剤である.2015年,AGSはBeers基準の第2回改訂版を発表した(J Am Geriatr Soc 63: 2227, 2015).注目すべきことに,Nitrofurantoinに関する推奨が変更されている.AGSの推奨はレトロスペクティブ研究に基づき,NitrofurantoinはCrCl>30mL/分の患者では比較的安全に用いることができ,有効としている.ただし,肺線維症,肝毒性,末梢神経障害などの毒性の危険性があるため,長期使用はこれまでどおり避けるべきだとしている.
- イソニアジド(INH)による肝への傷害について見直すべきかもしれない.INHによる肝への傷害には2つの表現型がある.(1)軽症で,多くは無症候で,ASTおよびALTを測定して初めて診断されるタイプで,通常はINHでの治療をそのまま続けても消失する.(2)より重症のタイプで,劇症肝不全に進行することもある.従来,INHによる肝への傷害は,INH代謝物であるアセチルヒドラジンが酸化されて反応性代謝物となり,肝蛋白と共有結合をすることにより生じ,免疫システムの関与はないと考えられてきた.
しかし,最新のエビデンスは,INHによる肝への傷害には,リンパ球を介した免疫応答が関連していることを示唆している.現在,INH自体から生成される反応性代謝物が肝蛋白と共有結合しうることが知られており,さらに,この代謝物と結合した組織は,単に蛋白をアセチル化するアセチルヒドラジンの反応性代謝物よりも,大きな免役応答を引き起こすと考えられている.INHによる肝への傷害の軽症型は,免疫寛容(これにより重大な損傷が避けられる)で消失するが,重症型は抗INH抗体や抗CYP450抗体の産生と関連している.肝毒性の機序についてのより正確な理解を得ることで,INH中断後の肝への傷害の進行を阻止する治療が導かれると思われる(Br J Clin Pharmacol 81: 1030, 2016).
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| 2016年8月 |
新ガイドライン
改訂ガイドライン
臨床上有用な知見
- 尿細管間質性腎炎は糸球体を取り巻く腎組織の疾患であり,急性間質性腎炎(AIN),慢性間質性腎炎(CIN),急性尿細管壊死(ATN)が含まれる.AINの大部分(2/3以上)は薬剤誘発性の過敏反応の結果である(直接の薬物毒性ではない).これには感染や免疫反応異常が関与していると考えられている.AINに関連することの多い薬剤としては,非ステロイド性抗炎症鎮痛薬(NSAID),抗菌薬(βラクタム系,スルホンアミド,フルオロキノロン系,リファンピシンその他),利尿薬,フェニトイン,アロプリノールがあげられる.
薬剤性AINの典型的な症状は乏尿を伴わない腎機能不全であり,原因薬剤の使用開始後約2〜3週間あるいはそれ以上で徐々に発現してくる.尿細管機能不全を示す検査値異常は,主にどの部位が傷害されるかで異なるが,BUN・血清クレアチニン上昇が認められるより前に現れることが多い.軽度発熱(患者の35〜70%),発疹(25〜40%),好酸球増加症(35〜60%)は,従来は臨床的3徴候とされてきたが,これらがそろって認められるのは患者の1/3以下に過ぎない.側腹部痛は25〜40%の患者でみられ,おそらくは主症状である.患者の少なくとも25%は関節痛を訴え,5〜15%は肉眼的血尿を呈する.尿検査では,膿尿,血尿,軽度蛋白尿がみられることが多い.NSAIDによるAINでは,他の薬剤の場合と異なり,患者は重度の蛋白尿(ネフローゼレベル)を呈する.好酸球尿症はAINに特異的な症状ではないが,尿中白血球の5%以上が好酸球の場合には,診断のよい指標となる(Clin Nephrol 82: 149, 2014).
AINが疑われるのは,多くは臨床症状からであるが,確定診断には腎生検が必要である.原因と疑われる薬剤を中止すれば,多くの場合すみやかに回復し,腎機能は完全に回復する.ただし,時として不可逆的な腎機能障害が残ることもある.コルチコステロイドは回復を促進することがあるが,それを裏付けるプロスペクティブなランダム化試験はない.レトロスペクティブ研究で多く取り上げられている処方はメチルプレドニゾロン静注(250〜500mg/日)3〜4日,その後,経口Prednisoneを1mg/kg/日から用い,8〜12週で徐々に減量していくというものである(Kidney Int 73: 940, 2008).
- 薬物相互作用に効果的に対処するためには,相互作用の経時変化を正確に評価することが必要である.CYP酵素阻害薬と誘導薬では状況が異なるので,以下に有用な概要を示す.
酵素阻害作用の評価はかなり簡単である.数多くの阻害機序があるが,もっとも多いのは同一の代謝酵素の競合である.阻害作用は阻害薬の初回投与時からただちに始まり,ほとんどの阻害薬は比較的半減期が短いため,阻害作用は数日のうちに最大になる.もし影響を受ける薬剤の半減期が長ければ,薬物相互作用の効果が全面的に現れるのにより長い時間がかかる.阻害作用が消失するまでの時間も,関連する薬剤の半減期に左右されるが,それ以外の要因が絡む複雑な状況もありうる.これに対して,酵素誘導は相互作用にかかわる薬剤の半減期だけでは予測がつかない.誘導作用は薬物代謝酵素の総量および/または活性の強さを反映し,阻害作用よりもより緩徐に進む過程であり,作用が最大となるまでに1週間以上かかることもある.リファンピシンがその良い例である.リファンピシンの消失半減期はわずか数時間だが,代謝酵素のアップレギュレーションに時間が必要なため,リファンピシンによるCYP酵素の完全誘導には,それ以上の時間がかかる.影響を受ける薬剤が新たな(より低値の)定常濃度に達するまで2週間以上かかることもある.同様に,誘導作用が消失するまでの時間も阻害作用の場合よりも長くなる.リファンピシンの場合には,2〜4週というのが想定可能な範囲である.この時間は主に,関連する酵素の自然分解の半減期を反映したものである.
要約:酵素阻害作用(発現から消失までの時間)は,概して誘導作用よりも迅速な経過をたどる.薬物半減期は,阻害作用の発現と消失を推測する助けとなるが,通常,誘導作用の発現と消失を推測するのはむずかしい.
- 抗微生物薬など,広く用いられる薬剤の中には,糸球体濾過率(GFR)の変化を伴わずに,血清クレアチニン(SCr)を上昇させるものがあると認識しておくことは重要である.このSCr上昇は病的なものではなく,主要な腎トランスポーターの可逆的な阻害によるものと考えられている.以下に概説する.
クレアチニンは内因性の低分子量(113Da)カチオンであり,主に筋代謝により産生される.排出経路は糸球体濾過と近位尿細管分泌による腎排泄のみである.尿細管分泌は,クレアチニン排泄全体の10〜40%を占める(慢性腎不全では50〜60%に上昇する).腎機能が正常な場合,クレアチニンの血清半減期は約4時間であるが,GFRが30mL/分では約16時間に延長する.
有機カチオントランスポーター2(OCT),MATE(multidrug and toxin extrusion)蛋白1およびMATE2Kはクレアチニンの近位尿細管分泌にかかわる主要なトランスポーターである.OCT2はinflux(取り込み)トランスポーター(血液→近位尿細管細胞),MATE1およびMATE2Kはefflux(排出)トランスポーター(近位尿細管細胞→尿)である.
4つの抗微生物薬(およびCobicistat)は,GFRを変化させずにSCrを上昇させる作用をもつ.以下はその一覧であり,括弧内に阻害を受ける主なトランスポーターを示した.
Cobicistat(MATE1)
ドルテグラビル(OCT2)
ピリメタミン(MATE1,MATE2K)
リルピビリン(OCT2)
Trimethoprim(MATE2K)
SCr上昇は通常0.24〜0.37mg/mL(CrCl 15〜34mL/分/1.73m2の低下)であり,治療開始後数日から数週間以内で起こる.Trimethoprimとピリメタミンがもっとも作用が強い.このようなSCrの変化は進行性のものではなく,腎障害を示す他の指標がなければ,腎毒性を懸念させるものではない(AIDS Rev 16: 199, 2014;Drug Metab Dispos 44: 1498, 2016).
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| 2016年7月 |
抗レトロウイルス治療ガイドラインの改訂
他のガイドラインの改訂
新薬の承認
- Viekira徐放錠(Ombitasvir 8.33mg+Paritaprevir 50mg+リトナビル 33.33mg+Dasabuvir 200mgの徐放製剤)は成人のC型肝炎治療薬であり,推奨用量は経口3錠を食事とともに1日1回(±リバビリン).
- Epclusa(ソホスブビル+Velpatasvir)はC型肝炎genotype 1,2,3,4,5,6のための新しい固定用量合剤である.
“Get Smart”キャンペーン
- 外来患者に対し抗菌薬をより適正に使用する必要があると,多くの医師は考えている.ガイドライン遵守と患者教育が重要な課題である.米国疾病管理予防センター(CDC)は,外来の成人患者/小児患者に共通した問題に関するガイドラインや患者教育用の資料など,数多くのコンテンツを“Get Smart(適正使用)”のページに掲載している.2016年11月14〜20日はGet Smart週間である.抗菌薬耐性の脅威および適切な抗菌薬処方の重要性に関する認識を高めてもらうための,年1回の1週間のイベントである.
臨床上有用な知見
- N. gonorrhoeae分離株監視プロジェクト(GISP)は,米国においてN. gonorrhoaeae株の抗菌薬感受性傾向をモニターする目的で1986年に開始された.プロジェクトに参加する27ヵ所(毎年21〜30ヵ所が参加する)の各性感染症クリニックで,毎月,淋菌性尿道炎のために通院した男性患者の,月初から25人分の分離株を採取している.2016年7月,CDCは2014年1〜12月に収集したデータをまとめ,過去15年間の米国における抗菌薬感受性傾向を示したレポートを発表した.CDCは淋病治療の第一選択としてセフトリアキソン+アジスロマイシンの2剤治療を推奨しているため,セファロスポリン系およびアジスロマイシンの感受性傾向のモニターが非常に重要である.アジスロマイシン感受性が低下したN. gonorrhoeae分離株は(MIC≧2.0μg/mL),2013年の0.6%から2014年には2.5%まで増加した.増加は中西部で最も大きく(しかし,すべての地域で生じた),セックスパートナーが異性の場合でも同性の場合でも認められた.セフトリアキソン感受性が低下した分離株(MIC≧0.125μg/mL)は,2010年と2011年に0.4%に増えていたが,2013年に0.1%に低下し,2014年も同様だった.セフィキシム感受性が低下した分離株(MIC≧0.25μg/mL)は,2011年の1.4%から2013年には0.4%まで低下した(CDCは2012年にガイドラインを改訂し,以後2剤療法の1剤としてセフィキシムは推奨していない)が,2014年には0.8%に増加した.アジスロマイシンに対する感受性低下分離株は,セフトリアキソンまたはセフィキシムに対する感受性低下は示さなかった.アジスロマイシン感受性低下分離株の比率が増大していることの意味は不明だが,懸念されることではある(MMWR Surveill Summ 65: 1, 2016).
- せん妄状態は入院患者,とくに重篤な入院患者で多い.薬剤はしばしばその原因とされるが,抗菌薬が原因となることはあまり認識されていない.最新の総説で,網羅的調査により,抗菌薬関連脳疾患(AAE)に関する292の文献が抽出された.関連薬剤は54種類,症例数は391である.症状は3つに分類できる(下表).
| タイプ |
特徴 |
薬剤 |
| 1 |
症状出現までの期間:5日以内
間代性筋けいれんまたはけいれんが多い
異常な脳波
脳MRIは正常
症状消失までの期間:5日 |
セファロスポリン系薬(腎不全時には常時)
ペニシリン(プロカインペニシリンGは除く) |
| 2 |
症状出現までの期間:5日以内
精神病症状が多い
けいれんはまれ
脳波はしばしば正常
脳MRIは正常
症状消失までの期間:5日 |
フルオロキノロン系薬
マクロライド系薬
プロカインペニシリンG
スルホンアミド系薬 |
| 3 |
症状出現までの期間:21日以内
小脳機能障害が多い
けいれんはまれ
脳波異常は非特異的
脳MRIは常に異常
症状消失までの期間:13日 |
メトロニダゾール |
上の表では,症状出現および症状消失までの平均期間をあげた(範囲は広い).さらに,イソニアジド(INH)はどのカテゴリーにもそれほど明らかには合致しない.INHは,過剰投与でなければ症状出現までの期間はメトロニダゾールと同様で,精神病症状は多くみられるが,けいれんはまれであり,脳波異常は非特異的である.症状消失までの期間は,ほとんどの他の抗菌薬と同様に約5日である.
AAEの病態生理は不明な部分が多い.タイプ1のAAEは,GABA受容体阻害による抑制性シナプス伝達の中断に関係していると考えられる.タイプ2のAAEを引き起こすすべての薬剤に次の説明がうまく適合するわけではないが,タイプ2のAAEは,ドパミンD2受容体とNMDAグルタミン酸受容体の摂動が原因である可能性がある.タイプ3のAAEはフリーラジカル形成とチアミン代謝異常に関係しているようである.薬物動態の役割とAAE発症における患者の個別的要因を理解することは重要である.たとえば,ある抗菌薬は(疎水性のため)脳へ移行する力が高く,また,(イミペネムのような)他の抗菌薬は脳脊髄液中から排出されるのに時間がかかるといった可能性がある.高齢,腎機能低下,脳疾患の併存などは一部の抗菌薬でAAEの発症リスクを増大させる(Neurology 86: 963, 2016).
- 肥満患者でのボリコナゾール用量に関するデータ不足は現在も解消されていない.製薬会社の添付文書は,ボリコナゾール用量を決定する場合に,いずれの体重(実際の体重,理想体重,あるいは補正体重)が用いられるべきか,なんらの推奨も示していない.同様に,IDSAはアスペルギルス症診療ガイドラインにおいて,肥満患者での治療薬モニタリング(TDM)の臨床的有用性を示唆しているものの,最新のカンジダ症またはアスペルギルス症診療ガイドラインにおいては,なんらの推奨も示していない(Clin Infect Dis 63: e1, 2016).問題を非常に複雑にしている要因として,次の2つがある.1)ボリコナゾールは非線形薬物動態を示す,2)ボリコナゾールは主としてCYP2C19,ごくわずかだがCYP2C9およびCYP3A4によって代謝される.CYP2C19には数多くの対立遺伝子があり,それぞれの患者の遺伝的特性に応じて,代謝の表現型は低代謝群から超速代謝群まで広範囲に及ぶ(Eur J Clin Pharmacol 65: 281, 2009).薬物相互作用の可能性もまたこの遺伝子多型により影響を受ける.たとえば,通常のCYP2C19活性をもつ患者の場合,CYP3A4阻害薬はボリコナゾール濃度にほとんど影響を与えない.しかし,患者がCYP2C19低代謝型である場合には, CYP3A4経路がより重要となるため,CYP3A4阻害薬はボリコナゾール濃度を大幅に増大させる可能性がある.
現在までに得られたエビデンスによれば,実際の体重に基づいて肥満患者に対するボリコナゾールの用量を定めると,しばしば治療濃度域を上回る結果となる.しかし,補正体重よりも理想体重を使用すべきとする十分なエビデンスもない(Clin Infect Dis 63: 286, 2016).現時点では,理想体重による用量設定を行うと同時に,ボリコナゾールのトラフ濃度1〜5.5μg/mLを目標とする治療薬モニタリングを行うのが賢明なアプローチである.
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| 2016年6月 |
臨床上有用な知見
- テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)は,2001年にFDAに承認された重要な抗レトロウイルス薬である.TDFはジエステルプロドラッグであり,血漿中でまず加水分解されてテノホビル(TFV)となり,その後,リンパ球とマクロファージに取り込まれて,2度リン酸化され,強力なHIV逆転写酵素阻害薬であるテノホビル二リン酸(TFV-DP)を形成する.TDFは腎毒性および骨密度低下が認められる以外は,概して忍容性が良い.腎毒性と骨密度低下は,いずれもTFVの循環血漿中濃度が高い場合と関連している.
最近,TDFの代わりにTenofovir alafenamide fumarate(TAF)を含んだ3つの抗レトロウイルス薬合剤が承認された.エステルプロドラッグであるTAFは,血漿中でTDFよりも安定であり,そのため主としてカテプシンAを介して細胞内でTFVに代謝される.重要な点は,TAF 25mgによって生じる血漿中TFV濃度は,TDF 300mgによる濃度の約10分の1であるにもかかわらず,細胞内TFV-DP濃度は,TDFから産生される活性のある二リン酸部分の細胞内レベルと少なくとも同等か,多くの場合上回るということである.したがって,臨床試験で多くの指標によって示されたように,TAFでは腎機能と骨塩に対する影響は軽減されているが,臨床的有効性は維持されている.
最初に承認されたTAF含有の合剤はゲンボイヤ(elvitegravir,cobicistat,エムトリシタビン,TAF)であり,スタリビルドに含まれるTDFがTAFに代わったものである.続いてコムプレラに含まれるTDFをTAFに代えたOdefsey(リルピビリン,エムトリシタビン,TAF),さらにツルバダに含まれるTDFをTAFに代えた Descovy(エムトリシタビン,TAF)が上市された.DescovyとOdefseyに含まれるTAFの用量は25mgだが,cobicistatはP糖タンパク質を阻害することでTAFの生物学的利用能を増強させるため,ゲンボイヤ中のTAFの用量はわずか10mgである(Antiviral Res 2016; 125: 63).
- バイシリンに関する基本事項.バイシリンは長時間作用型のペニシリンG塩からなる.バイシリンL-AはベンザチンペニシリンGである一方,バイシリンC-Rはベンザチン塩とプロカイン塩を1:1の割合で含んでいる(ただし,ベンザチン塩90万単位,およびプロカイン塩30万単位を含むバイシリンC-R 900/300を除く).(ベンザチン塩を含まない)プロカインペニシリンGも利用できる.これらの塩は溶解性が低く,筋肉内深部の注入部分からゆっくりと溶け出すため,結果として低いが持続性のあるペニシリン血中濃度がもたらされる.ベンザチン塩はプロカイン塩よりも約4倍長く血中濃度が維持される.次に,最新の製品(使い捨て注射器)を示す.
- バイシリンL-A:60万単位/1mL,120万単位/2mL,240万単位/4mL
- バイシリンC-R:120万単位/2mL(各塩60万単位)
- バイシリンC-R 900/300:120万単位/2mL(ベンザチン塩90万単位,プロカイン塩30万単位)
- プロカインペニシリンG:60万単位/1mL,120万単位/2mL
C-R製剤はStreptococcus感染に適応があり,バイシリンL-AはStreptococcus感染とTreponemaの両方に適応がある.梅毒の原因菌であるT. pallidumは分裂が遅く,その治療には殺菌に十分な薬剤濃度が持続することが重要である.CDCは神経梅毒を除く梅毒のすべての期間においてバイシリンL-Aを推奨している.第1期,第2期,および初期潜伏感染での用量は240万単位筋注1回,後期潜伏および第3期の用量は240万単位筋注週1回・3週である.梅毒治療での不幸な(しかもまれではない)誤りは,バイシリンL-A 240万単位ではなくバイシリンC-R 240万単位を使用してしまうことである.そのため,現在C-R製品のパッケージには,赤い文字で「梅毒の治療には用いないこと」と明記されている.
バイシリンの成人における薬物動態.ベンザチンペニシリンG 240万単位1回を15人(平均22歳)に筋注したところ,ペニシリンGの平均濃度は48時間後で0.2μg/mL,6日後で0.05μg/mL,13日後で0.02μg/mLであった.13日後には,被験者の33%はペニシリンG濃度はないに等しい値になっており,その後,薬理学的に意味があるだけの血清濃度を示した患者はいなかった.また,同用量が25人の高齢者(平均76歳)に処方された.ペニシリンGの平均濃度は48時間後で0.4μg/mL,6日後で0.09μg/mL,13日後で0.05μg/mLであった.20日後,ペニシリンG濃度は0.04μg/mLであった.若年者と比べて,高齢者のペニシリンG血清濃度はより高く,より長い時間,維持された(Br J Vener Dis 1980; 56:355).
比較してみると,ペニシリンG 200万単位静注により,最高血清濃度20μg/mLが達成される.
バイシリンの小児における薬物動態.体重27kg未満の小児7人にバイシリンL-A 60万単位が1回処方され,27kg以上の小児6人に120万単位が処方された.血清濃度-時間曲線は2群間で30日以上にわたって同様であった.平均最高血清濃度は24時間で達成され,0.16μg/mLであった.その後の平均濃度は0.075μg/mL(5日目),0.04μg/mL(10日目),そして0.01μg/mL(18日目)であった.30日後にはいずれの小児でもペニシリンGは検出されなかった.
バイシリンC-R 900/300も小児13人(平均体重16.6kg)に処方された.バイシリンL-Aを処方された小児に比べ,より高いペニシリンG最高血清濃度により速く到達し(1時間後に3.93μg/mL),2時間後と4時間後の濃度はバイシリンL-Aを処方された患者よりも有意に高かった.5〜30日でのペニシリンGの血清濃度はバイシリンL-Aで治療した小児の場合と同様であった(Pediatrics 1982; 69: 452).
- 経口アジスロマイシン製剤として,米国では250mg錠,500mg錠,600mg錠,100mg/5mL,200mg/5mLの小児懸濁液,1g1回用量懸濁液,2g徐放1回用量懸濁液が利用できる.食事および制酸薬の推奨はわかりにくいので,下記に表を示す.
空腹時に服用しなければならないアジスロマイシンの唯一の剤形は,2g徐放懸濁液(Zmax)である.食事による胃酸分泌は,徐放性粒子からの薬剤の放出を速めてしまう.これは望ましいことではなく,吐き気を増強させることもある.
Zmaxはまた,制酸薬と併用しても影響を受けないことが実際の試験データで示されている,アジスロマイシンの唯一の剤形である(Clin Pharmacokinet 2007; 46: 247).アジスロマイシンの他のすべての剤形について,製薬会社は制酸薬の併用を避けるよう推奨している.この推奨はアジスロマイシンカプセルの試験に基づいたもののようであるが,カプセル製剤は現在では入手できない.さらに,その試験でCmaxは24%低下したが,AUCは影響を受けておらず,制酸薬により吸収速度は遅くなるものの吸収率自体は変わらないことが示唆される.アジスロマイシンの効果に関する薬力学の指標はAUC/MICであるため,上記の推奨には疑問の余地がある.
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すべての錠剤 |
小児懸濁液
(100mg/5mL, 200mg/5mL) |
1g 1回用量 懸濁液 |
2g 徐放1回 用量懸濁液 |
| 食事 |
± |
± |
± |
避ける |
| 制酸薬 |
避ける |
避ける |
避ける |
± |
±:影響を受けない
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| 2016年5月 |
薬剤安全性情報通信
- 酵母真菌感染治療のための経口 フルコナゾールの使用で,流産のリスク増加がありうる と結論したデンマークの試験( JAMA 315: 58, 2016)について,米国食品医薬品局(FDA)による評価が現在行われている.この全国規模でのコホート研究では,妊娠中に局所アゾール系薬を使用した女性およびアゾール系薬を使用しなかった女性と比較して,妊娠中(7〜22週の妊娠)に経口フルコナゾールを使用した女性は,自然流産のリスクが統計学的に有意に増加していた.経口フルコナゾールの使用のほとんどは150mg1回あるいは2回であった.FDAはこの研究および他のデータの評価が完了するまで,妊娠中のフルコナゾールの処方には注意するよう勧告している.
- FDAは, 急性副鼻腔炎, 急性気管支炎, 単純性尿路感染症に対する フルオロキノロン系薬の使用について,その他の治療選択肢がある場合には,概して重篤な副作用が有用性を上回る と勧告している.安全性評価では,フルオロキノロン系薬の全身投与により,腱,筋肉,関節,神経,中枢神経系などで機能障害および重篤で不可逆的となりうる副作用が同時に起こりうることが示されている.すべてのフルオロキノロン系薬の薬剤情報はこの情報を反映するために改訂されるだろう.この問題については FDA Drug Safety Communicationを参照.
- 2013年,FDAは経口 ケトコナゾール錠の薬剤情報を変更し,肝障害,副腎機能障害,薬物相互作用のリスクを明示し,皮膚および爪の真菌感染治療に対する適応を削除した.しかしながら,最近の安全性評価によれば,ケトコナゾールが皮膚および爪の真菌感染に使われ続けており,2013年の薬剤情報の変更以降も,経口ケトコナゾールを爪感染に使用した患者1人が肝不全で死亡している. FDAはいずれの真菌感染に対しても,経口ケトコナゾールを治療の第一選択として使用しないように勧告し続けている.ケトコナゾールの皮膚または爪への局所使用は肝障害,副腎の問題,薬剤相互作用とは関連しない.この問題については FDA Drug Safety Communicationを参照.
新薬の承認
- Otovel(シプロフロキサシン 0.3%+フルオシノロンアセトニド 0.025%の点耳薬)は,生後6ヵ月以上の患者に対し, S. aureus, S. pneumoniae, H. influenzae, M. catarrhalis, P. aeruginosaによる急性中耳炎の鼓膜切開術を伴う治療に使用される.製剤は0.25mL単用量バイアルで提供され,推奨用量は,患耳に1バイアルの点耳を1日2回・7日である.
治療ガイドラインの追加または改訂
- HIV感染妊婦の治療と周産期の感染予防に関する米国保健福祉省(HHS)研究班は,ガイドラインを次のように修正した.1)各抗レトロウイルス薬の妊婦における安全性と毒性について補遺と表を改訂,2)新データおよびFDAの薬剤情報の更新を盛り込み,アバカビル,ジダノシン,エトラビリンに関する情報を改訂,3)現在米国で販売されていないアンプレナビル,デラビルジン,ザルシタビンを削除.改訂ガイドラインは AIDS infoのサイトからダウンロードできる.
- 3月に, HIV感染小児の抗レトロウイルス治療および医学的管理に関する研究班は,小児HIV感染における抗レトロウイルス薬使用についてのガイドラインを改訂し,多くの重要事項を変更した.改訂ガイドラインは AIDS infoのサイトからダウンロードできる.
- WHOは,新迅速診断検査およびより短期でより安価な治療法により, 多剤耐性結核の検出を迅速化し,治療アウトカムを改善することを目的として,新しい推奨を発表した.詳細は WHO News releaseを参照.
臨床上有用な知見
- ある読者から,Sanford Guideの抗菌スペクトラム表での, Ceftazidime/Avibactamの Burkholderia cepacia に対する活性の評価について質問が寄せられた.編集者はCeftazidime/Avibactamの活性を+(緑)と評価しており,これは代替薬となる可能性があるものの,第二選択として考慮されるという意味である.推奨薬剤であれば++(青)と評価される.
こうした評価が不確実になりがちなのは,病原体( B. cepacia complex, Acinetobacter, Pseudomonasなど)の耐性機序により感受性が異なる可能性があるからである.AmpCセファロスポリナーゼ,ESBL産生,またはセリン型カルバペネマーゼによる耐性に対しては,Avibactamの併用によってCeftazidime耐性を克服できるが,メタロカルバペネマーゼによる耐性を克服することはできない.それに加えて,Avibactamの活性は,ポーリン閉鎖(透過性低下)や排出ポンプのような非酵素的機序による耐性には影響を及ぼさないであろう.
Sanford Guideの編集者は,経験的治療での薬剤の有効性を評価する最良の方法について常に検討している.臨床的に Burkholderiaが病原体である可能性が高く(たとえば嚢胞性線維症患者),さらに患者が重篤な場合,Ceftazidime/Avibactamの評価は不定とならざるをえない.しかし, Burkholderiaを単離する検査前確率が低く,患者が重篤ではない場合には,分離株の大部分がCeftazidim/Avibactamに感受性である可能性が高いことから,Ceftazidim/Avibactamを選択肢から外すことはあまり賢明な策ではない.
われわれの活性スペクトラム表の個々のセルの中に,関連する,すべての臨床問題をどのように反映させるかは,いまだに重要な課題である.
- 1953年より使われている薬剤 nitrofurantoinにはさまざまな用量・剤形があり,混乱を招きやすい.ここに 3つの短い要約を示す.
- 微結晶性懸濁液(25mg/5mL).成人1日用量50〜100mg 6時間ごと.小児(生後28日超)用量5〜7mg/kg/日(6時間ごとに分割).ジェネリック薬がある.製品名はFuradantin.
- マクロ結晶性カプセル(25,50,および100mg).成人1日用量50〜100mg 6時間ごと,小児(生後28日超)用量5〜7mg/kg/日(6時間ごとに分割).ジェネリック薬がある.製品名はMacrodantin.
- マクロ結晶性/monohydrateカプセル(100mg).成分の25%はマクロ結晶性nitrofurantoin,残り75%は粉末状のnitrofurantoin monohydrateであり,消化管液に曝露されると,ゲルマトリックスを形成してnitrofurantoinを徐放する.成人および小児(12歳超)1日用量100mg12時間ごと.ジェネリック薬がある.製品名はMacrobid.
nitrofurantoinのマクロ結晶製剤は微結晶製剤よりも吐き気を引き起こすことが少ない.nitrofurantoinはどの剤形でも,吸収を高めるために食物とともに服薬しなければならない.患者によっては食物によって忍容性が高まることもある.
nitrofurantoinはどのように作用するのか? 酵素によりnitrofurantoinは還元されて反応性の高い中間体に変化し,DNAを傷つける作用をもつようになる.哺乳類の細胞よりも細菌によるnitrofurantoinの還元作用のほうが速く,この薬剤が選択的抗菌作用を有するのはこのためである.薬剤に感受性のある細菌が治療中に耐性となることはまれで,このことはnitrofurantoinの大きな利点である.nitrofurantoinの抗菌作用はアルカリ性の尿では低下する.
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| 2016年4月 |
新薬の承認
- Anthim(Obiltoxaximab注射薬)は,成人と小児の吸引性(肺)炭疽病の治療薬であり,適切な抗菌薬との併用で使用される.また,代替薬が利用できない,あるいは適切でない場合の吸引性(肺)炭疽病予防についても承認されている.Obiltoxaximabは,Bacillus anthracisの防御抗原を標的とするモノクローナル抗体である.成人用量は体重40kg以上では16mg/kg静注(90分かけて)・1回,小児用量は,体重15〜40kgでは24mg/kg静注,体重15kg以下では32mg/kg静注.ジフェンヒドラミンの前投与が必要である.
- Descovy (エムトリシタビン 200mg+Tenofovir Alafenamide[TAF] 25mg)は成人および小児(12歳以上)のHIV-1 感染患者の治療薬である.TAFを含む第3の固定用量抗レトロウイルス合剤であり(他にGenvoyaとOdefsey),推奨用量は食事の有無にかかわらず1日1錠.
最新治療ガイドライン
- 抗菌薬管理プログラム実施のための新しいIDSA/SHEA 2016年診療ガイドラインは,次のサイトからダウンロードできる(http://www.idsociety.org).
- CDCはジカウイルス曝露の可能性がある妊娠可能年齢の女性を診療する米国医療従事者のための暫定指針を改訂した.今回の指針には,妊娠前のカウンセリング推奨が含まれ,また曝露の可能性のある妊婦の検査推奨も改訂された(MMWR 65: 315, 2016).
- サンフォード感染症治療ガイド2016英語版がサンフォードガイド オンライン ストアから購入できる.今年は全面的に再分類された4色刷の活性スペクトラム一覧表や,新しい小児用量の表,改訂された腎用量の表など,多くの内容がアップデートされた(日本語版は7月刊行予定).
臨床上有用な知見
- 現在まで,肥満患者におけるアシクロビル用量の指針とされてきた最良のデータは,病的肥満はあるものの健康な7人の女性を対象とした小規模薬物動態学的研究であり,抄録しか発表されていなかった(abstract #765, 31st ICAAC, 1991).そのなかで,著者らは理想体重(IBW)に基づく用量調整が適切だと結論づけたが,この推奨が検証されたことはなかった.最近のがん入院患者のプロスペクティブ・マッチドペア研究では,アシクロビル5mg/kg静注・1回が7人の病的肥満患者(実際の体重がIBWの190%以上,平均BMI 45)および7人の通常体重患者(実際の体重がIBWの80〜120%,平均BMI 22.5)に処方された.現在の推奨に基づき,病的肥満患者ではIBW,通常体重患者では実際の体重に基づいた用量が使用された.病的肥満患者ではアシクロビルのクリアランスは有意に高く,AUC0〜∞およびCmaxは有意に低かった.単回帰分析では,クリアランスはIBWより補正体重[IBW+0.4×(実際の体重-IBW)]に密接に関連していることが明らかになった.病的肥満患者において個々の患者のパラメーターを使用する場合,補正体重の使用により,通常体重患者で観察されるものと同等の薬剤曝露(AUC0〜∞)が達成されると考えられる.この研究は,病的肥満患者でアシクロビル用量を算出する際は,補正体重に基づくほうが適切であることを示唆している(Antimicrob Agents Chemother 60: 1830, 2016).
- アシクロビルに関しては,静注から経口への切り替えについてもときに問題となることがある.われわれの指針となる臨床データはそれほど多くはないが,アプローチのひとつは,少なくとも静注アシクロビルに匹敵する全身血漿アシクロビル曝露(血漿中濃度-時間曲線下面積から評価)を達成できる経口抗ヘルペスウイルス薬を選択することである.これまでの曝露は経口アシクロビルでは達成できないが,バラシクロビルならば可能性があり,少なくとも1論文がそれを裏づけている.オープンラベルのクロスオーバー試験において,好中球減少癌患者15人(平均40歳)が,アシクロビル 5mg/kg静注8時間ごと・7回,24時間後にバラシクロビル1g経口8時間ごと・7回,またはその逆に無作為に割り付けられた.13人は両方の治療サイクルを完了し,2人は試験薬とは無関係な有害事象(粘膜炎,進行性の悪心)のために経口バラシクロビル服用前に除外された.平均AUC0〜8は,経口バラシクロビル服用後は76.3(μmol・時間),アシクロビル静注後は64.2であった(p=0.149).予測どおり,Cmaxは静注後のほうが高かった(26.6 vs 34.0μmol,p=0.044).バラシクロビル服用でのアシクロビル絶対的生物学的利用能は60%,Tmaxは経口バラシクロビルで2時間,静注アシクロビルで1時間,アシクロビルの消失半減期はどちらも同じ(約2.5時間)であった.これらのデータは,経口バラシクロビル1g 8時間ごとおよび静注アシクロビル5mg/kg 8時間ごとが,少なくとも好中球減少患者においては,定常状態での同等な全身血漿アシクロビル曝露を達成することを示唆している(J Antimicrob Chemother 47: 855, 2001).
- 経口ドキシサイクリンの最も広く用いられている剤形,つまりhyclateとmonohydrateはどのように異なるのかと,多くの臨床医が疑問を抱いているだろう.ドキシサイクリンhyclateはドキシサイクリンhydrochloride hemiethanolate hemihydrateの短縮形で,他方のmonohydrateは水分子と結合したドキシサイクリン遊離塩基であり,抗菌薬としての効果は同等である.しかし,ドキシサイクリンhyclateはmonohydrateよりも消化管に対する副作用があると考えられている.Hyclateは溶解すると強酸性となり(pH2〜3),特に就寝時に少量の水もしくは水なしで服用した場合に,食道潰瘍との関連が一般に認められている.MonohydrateはpHが胃よりも高い食道中ではゆっくりと,胃中では急速に溶解する傾向があり,それゆえに食道潰瘍のリスクはhyclateよりも少ないと考えられる.一方で,長期の胃酸抑制にある患者,または胃切除術や胃バイパス術を受けた患者では,より高いpH内でのmonohydrateの生物学的利用能低下が問題になる可能性がある.また,monohydrateは少し薬価が高いようである(Expert Opin Drug Saf 7: 571, 2008).
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| 2016年3月 |
新薬の承認
- Odefsey(リルピビリン25mg+エムトリシタビン200mg+Tenofovir Alafenamide:TAF 25mg)は次のようなHIV-1感染患者の治療に用いられる.(1)12歳以上で,抗レトロウイルス治療歴がなく,ウイルス量100,000以下の場合,または(2)安定した抗レトロウイルス処方を受け,ウイルス量50以下が6ヵ月持続し,治療失敗歴がなく,成分薬に対する耐性のために薬剤を変更した既往のない患者で,現行処方を切り替える場合.Odefseyは非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(RPV)1剤,ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(FTC,TAF)2剤を含む.推奨用量は食事とともに1日1錠.
臨床上有用な知見
- Candida parapsilosisはほかのCandidaに比べて,エキノキャンディン系(カスポファンギン,ミカファンギン,Anidulafungin)に対する感受性が低いことが知られている.これについてはどのような説明が考えられるか?
まず,C. parapsilosisについて背景から考える.1928年,Ashfordは,マルトース非発酵性のMoniliaの一種を,便試料から分離したことを報告した.彼は,より頻繁に分離されるMonilia psilosis(これは後にCandida albicansと名付けられた)と区別するために,この菌をMonilia parapsilosisと呼んだ.C. parapsilosisは,1940年に注射薬剤使用者における心内膜炎の死亡例の病原菌だったことが明らかになるまで,病原性はないと考えられていた.今やC. parapsilosisは医療従事者にとって,植込み型デバイス上でバイオフィルムを形成しうる悪名高い菌となっている.C. parapsilosis血流感染の発見は,カテーテルケアと感染制御の不良を示すアラームサインと考えるべきである.
上記疑問に対する答えは,FKS1p(真菌β1,3-グルカン合成酵素複合体の触媒サブユニットと推定されている)の660番目のアミノ酸で生じたプロリンからアラニンへの自然変異である.このサブユニットはエキノキャンディン系のターゲットであり,このアミノ酸の変化(P660A)は薬剤に対する酵素の感受性を約2logも低下させる.P660Aは兄弟種であるC. metapsilosisおよびC. orthopsilosisにも発生するが,他の種では観察されていない.660番目のアミノ酸は,FKS1pホットスポット1領域(アミノ酸641〜649,自然変異がエキノキャンディン系への感受性低下と関連する領域である)のC末端側からすぐの位置にある.2つ目のホットスポット領域は,アミノ酸1345〜1365に位置している(Antimicrob Agents Chemother 52: 2305, 2008;Fungal Genet Biol 47: 117, 2010).
最近の研究では,エキノキャンディン中心の処方での治療開始が,C. parapsilosisの血流感染治療結果に負の影響を及ぼすことはなかった(Clin Infect Dis 58: 1413, 2014).
- 食道損傷に関連している薬剤は80以上もある.高齢者は特にリスクが大きく,その理由は複数の薬を頻回に服用すること,心肥大により食道中部圧迫の可能性が大きくなること,食道運動障害が背景に存在すること,唾液の生産が減少することである.食道損傷は主に,薬剤(特に大きな錠剤)が詰まりやすい生理学的に狭い位置(大動脈弓の位置または下部食道括約筋の上部)で生じる.多くみられる症状は,嚥下痛,嚥下障害,胸骨後痛であり,突然発症することが多い.障害の程度は,中等度の炎症から重篤な潰瘍形成,穿孔,狭窄形成にまで及ぶ.
食道損傷の原因となる薬剤は大きく2つのグループに分類することができる.一方は,一過性で,自然に治癒する損傷を引き起こす薬剤である.抗菌薬は,多くがこのような損傷の原因となる薬剤であり,特にテトラサイクリン系,とりわけドキシサイクリンについてはよく知られている.このグループの薬剤は溶解すると酸性となり,散発性の潰瘍を引き起こすが,薬剤を中止すれば治癒し狭窄も生じさせない.他方は,多くの場合,狭窄を伴う持続的な損傷に関連している.これらの薬剤(たとえばKCI,キニジン)は多くの場合はほぼ中性であり,pHにより損傷を完全に説明することはできない.むしろ,損傷は食道運動障害のある患者が溶解時に高浸透圧となる薬剤を摂取したために起こった可能性がある.アスピリンおよびNSAIDsはこのグループの代表的な薬剤である.これらの薬剤の食道損傷の機序としては,食道粘膜の正常な細胞保護バリアの破壊が考えられ,背景に胃食道逆流症があることが多い(Dis Esophagus 22: 633, 2009).
Kadayifciらは,ドキシサイクリンにより重篤な食道潰瘍が生じた5症例を報告している.すべての患者は少量の水でドキシサイクリンカプセルを飲む,あるいは就寝直前に飲む,あるいはその両方といった不適切な服用を行っていた(Dis Esophagus 17: 168, 2004).アジスロマイシンによると考えられる食道潰瘍の最初の症例では,アジスロマイシン1コース(500mg1日1回・3日)の終了後に,症状(胸やけ,嚥下障害,嚥下痛)が1週間現れた.患者は喫煙も飲酒もしておらず,アスピリンもNSAIDsも服用していなかった.内視鏡検査では中部食道に広範囲の潰瘍が認められ,潰瘍の境界部と中心部からの生検では,癌や感染病因は認められなかった.患者は流動食,PPI,スクラルファートで治療され,2週間後に症状は消失した.上部内視鏡の再検査では正常であった(Cases J 3: 48, 2010).こうした潰瘍が報告されている抗菌薬には,アモキシシリン,アンピシリン,クリンダマイシン,Cloxacillin,リファンピシン,Telithromycinがある(Can J Gastroenterol Hepatol Epub Sept 11, 2015;Endoscopy 37: 740, 2005;Turk J Gastroenterol 17: 113, 2006;World J Gastroenterol 20: 10994, 2014).
前述のような損傷を起こす可能性のある薬剤を処方された患者には,薬を十分な量の水で服用すること,夜,就寝直前には服用しないことを指導すべきである.高齢者,特に心肥大,または消化管運動障害があるときには,液体製剤のほうが好ましいであろう.
- ジアフェニルスルホン(Dapsone:日本ではレクチゾール)は,スルホン系の抗菌・抗炎症薬である.ニューモシスチス肺炎,およびハンセン病などの皮膚疾患の予防と治療に有用である.三次医療機関の2施設で28ヵ月間に発生した,138例のメトヘモグロビン血症を検討した2004年のレトロスペクティブ研究では,病因として最も多かったのはジアフェニルスルホン(症例の42%)であった.ジアフェニルスルホンに関連したメトヘモグロビン血症では,処方量が治療用量だった例も過剰投与だった例もあったが,1997〜2011年の報告の大半は治療用量であった(Am J Ther 14: 585, 2007).
ヘモグロビンは鉄が2価(第1鉄)の状態にあるときにのみ酸素と結合し,運ぶことができる.メトヘモグロビン(MetHb)では,ヘム鉄は3価(第2鉄)の状態にある.赤血球中のMetHbレベルは,NADH-およびNADPH-依存性酵素系を用いたMetHbの還元を介して,また非酵素的抗酸化剤であるアスコルビン酸およびグルタチオンを介して低く維持される.メトヘモグロビン血症で最も特徴的な身体所見は,皮膚と血液の変色であり,血中MetHb濃度(通常約1%)が上昇するとチョコレートブラウン色になる.静脈血サンプルはMetHb10%以上のレベルでは典型的に褐色となる.30〜40%では頭痛,疲労,頻脈,めまいがみられる.60%近くになるとアシドーシス,不整脈,けいれん発作,こん睡を含むより深刻な所見や症状がみられ,70〜80%のMetHb濃度では致死的となる.貧血,重大な心臓疾患や肺疾患,またはほかのヘモグロビン異常を有する患者では,MetHb濃度はさらに低くなる(Ann Pharmacother 45: 1103, 2011).
ジアフェニルスルホンは,肝臓のN-アセチルトランスフェラーゼ(NAT2)によって可逆的アセチル化を受けて,不活性代謝物モノアセチルダプソンとなる.それに加えて,CYP2C同位酵素は,マイナーな役割を果たしているほかのCYP450同位酵素とともに,ダプソンヒドロキシルアミンを生成する.ダプソンヒドロキシルアミンは,ヘモグロビンの鉄部分を2価から3価に酸化することで,メトヘモグロビン血症発症の原因となる.ジアフェニルスルホン誘発性メトヘモグロビン血症の危険因子には,腎不全のほかに,次の原因となる薬剤との併用などがある.メトヘモグロビン血症,NAT2活性遅延,グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)活性減少.G6PDはNADPHの生成に必要である(Drug Metab Dispos 28: 865, 2000).
メトヘモグロビン血症治療の第一選択薬はメチレンブルーである.この薬剤はNADPH-MetHb還元酵素によるMetHbの還元を促進する.用量は1〜2mg/kg静注(5分かけて)である.メチレンブルーは1時間以内に作用し,多くの患者は1回投与で十分である.反復投与が必要な場合には,過剰な濃度のメチレンブルーがメトヘモグロビン血症を逆に悪化させる可能性があることに注意する.G6PD欠損患者では溶血を誘発する可能性があるため,慎重に使用する必要がある.メチレンブルーが入手できない地域で,代わりにアスコルビン酸高用量を静注することにより,治療成功がみられたとの最近の症例報告がある(Am J Emerg Med 32: 684.e1, 2014).
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| 2016年2月 |
新薬の承認
- Zepatier(Elbasvir 50mg+Grazoprevir 100mg)(±リバビリン)が,genotype 1型あるいは4型の慢性C型肝炎成人患者の治療に承認された.重要なポイントは,genotype 1a型感染の治療前に耐性検査が推奨される最初のC型肝炎治療薬であり,また末期腎不全/人工透析患者に安全であるため,優先的な承認が与えられた最初のC型肝炎治療薬である.承認された用量は,食事の有無にかかわらず1日1回1錠.
最新治療ガイドライン
臨床上有用な知見
- Dalbavancinの終末相半減期は147〜258時間と長いが,成人における急性細菌性皮膚および皮膚組織感染症(ABSSSI)に最初に承認されたDalbavancinの用量は,初日に1000mg,1週間後に500mgだった.最近行われた研究では,ABSSSIの成人698人が,Dalbavancin単回処方(1500mg)群および承認された2回処方群に無作為に割り付けられた.主要評価項目は,48〜72時間での20%以上の紅斑面積減少であった.48〜72時間での効果について,Dalbavancin単回処方は,2回処方に劣らないことが示された.14日目,28日目,および処方前の培養でMRSAが検出された患者での14日目,の臨床成果も同等であった.2つの処方の有害事象プロフィールは同様であった.この試験の結果に基づいて,MRSAによる感染を含む成人のABSSSIに対し,1500mg単回処方(30分以上かけて静注)がFDAにより承認され,最新の製品情報に記載されることになった(Clin Infect Dis 62: 545, 2016).
- ホスカルネットは,ウイルスの酵素による初期リン酸化を必要としないため,アシクロビル耐性およびガンシクロビル耐性のヘルペスウイルス感染に有用である(ヌクレオシドアナログに対する耐性はリン酸化減弱のためであることが多い).ホスカルネットのよく知られている副作用は腎毒性,代謝障害,けいれん発作などである.性器潰瘍はそれほど広くは認められていないが,対応が難しい毒性である.この潰瘍は患者の1/3が経験するもので,男性では陰茎亀頭と尿道周囲領域,女性では陰唇に多く起こる.潰瘍は一般に治療の早期に生じ(導入用量を用いた場合),そして刺激性接触皮膚炎となる可能性がある.それは,ホスカルネットは主に尿中に未変化のまま排泄されるので,積極的な補液で尿量が増えることにより,皮膚に接触する可能性が高まるためである.患者は陰部潰瘍の発生を最小限に抑えるために,排尿後は徹底的に洗浄するように指導されるべきであるが,もし潰瘍が生じたら,それが治るまで服薬を中止しなければならない(Acta Dermatoven APA 20: 39, 2011;Clin Infect Dis 28: 139, 1999).
- 歯の変色は最近,成人で初めて報告されたリネゾリドのまれな副作用である.20代半ばの女性がリネゾリド,サイクロセリン,モキシフロキサシン,ピラジナミド,アミカシンによる併用療法で多剤耐性結核の治療を受けた.経口リネゾリド(600mg /日経口)8週間服用後に歯が茶色に変色した.歯のクリーニングにより変色は消失したが,薬剤を継続すると,4週間以内に再び変色が生じた.歯のクリーニングを再び行い,リネゾリドを中止すると,変色は再び生じなかった(Clin Infect Dis 62: 617, 2016).以前にも,MRSA感染症で,経口または静注リネゾリド30mg/kg/日(あるいは600mg 1日2回)(±併用薬)で治療を受けた5人の小児患者で,この副作用が報告された.すべての症例で,歯の変色が服用後1週間以後に観察され,舌変色を伴うこともあった.薬剤を中止すると解消し,歯のクリーニングは1人を除いて全員に効果的であった.リネゾリドによって誘発される歯の変色のメカニズムはわかっていない(Clin Pediatr 54: 809, 2015;Pediatr Infect Dis J 28: 345, 2009;Pediatr Infect Dis J 32: 1284, 2013;Pharmacotherapy 23: 682, 2003).
- ピペラシリン・タゾバクタム+バンコマイシンの併用療法が急性腎障害の発症増加に関連する可能性があることが,多くのレトロスペクティブ研究により示唆された(Pharmacotherapy 34: 653, 2014;Pharmacotherapy 34: 662, 2014;Pharmacotherapy 34: 670, 2014).この疑いは,228人の非重症患者を対象とした別のレトロスペクティブ研究で,急性腎障害のオッズ比が,バンコマイシン単剤に比べてピペラシリン・タゾバクタム+バンコマイシン治療で5倍高かったことが報告されたことから,すでに実証されている.試験デザインやそのほかの要因により確かな結論を下すことは難しいが,この観察は大変興味深く,プロスペクティブ研究を行う必要性を示している.少なくともこのことは,併用療法で治療を開始した患者では,できるだけ早く抗菌薬治療を絞り込むべき根拠となる.ピペラシリン・タゾバクタム+バンコマイシンが腎毒性を強めるメカニズムについては,それが実際に存在するとしても,まだ推測の段階である(BMC Res Notes 8: 579, 2015).
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| 2016年1月 |
薬剤安全性情報
- Posaconazoleの経口剤には,100mg徐放性錠剤と40mg/mL経口懸濁液がある.重要なのは,これら2つの製剤がそのまま相互に代用することはできず,用量を変更する必要があることをきちんと認識しておくことである.一般に徐放性錠剤では,食後でも空腹時でも,経口懸濁液よりも血漿中薬物曝露が高くなる.2013年11月における徐放性錠剤の承認以来,FDAには間違った経口剤が処方または投与されたとする11件の報告があり,そのうち死亡が1例,入院が1例であった.この問題に対処するため,製品の外箱と薬剤ラベルが変更された.
最新治療ガイドライン
臨床上有用な知見
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C型肝炎に対する新しいDAA(Direct Acting Agents:直接作用型薬剤)を区別する便利な方法は,語尾の意味を理解しておくことである.
"-asvir" はNS5A阻害薬である.NS5A(非構造タンパク質5A)はウイルスゲノム複製およびウイルスの集合に不可欠である.承認されたNS5A阻害薬はダクラタスビル,Ledipasvir,およびOmbitasvirである.
"-buvir"はNS5B RNAポリメラーゼ阻害薬である.これには2つのタイプがあり,ヌクレオシド/ヌクレオチド阻害薬(ソホスブビル)と非ヌクレオシド阻害薬(Dasabuvir)である.
"-previr"はNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬である.第一世代の薬剤はBoceprevirとテラプレビル,第二世代の薬剤はシメプレビルとParitaprevirである.
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C. difficileに対するPCRなどの分子診断検査は2009年に実用可能となった.毒素遺伝子を増幅させるPCRは,毒素の酵素免疫測定法よりも高感度である.ほとんどの施設は,毒素検査から分子診断検査へと切り換えた後にC. difficile感染症(CDI)率が50〜100%増加したと報告している.しかし,PCR陽性で毒素の酵素免疫測定法陰性である患者は実際にCDIなのだろうか? あるいはC. difficileは定着しているだけで,症状の原因は別にあるのではないか?
ある大学付属病院において,入院後,少なくとも72時間以内に検体として下痢便が得られた1416人の患者を対象としたプロスペクティブ研究が行われた.検体は免疫測定法(Tox)とPCRによって調べられ,Tox+/PCR+,Tox-/PCR+,Tox-/PCR-に分けられた.PCR+であった293人の患者(21%)のうち,55.3%はTox-であった.Tox-/PCR+であった患者は,検査時に有意に下痢が少なく,すみやかに下痢が止まり,Tox+/PCR+患者に比べてCDI関連合併症や死亡が少なかった.さらに,Tox-/PCR+患者の症状と経過は,Tox-/PCR-患者と違いはなかった.こうした結果は,
C. difficileの診断をPCRだけに頼ることが過剰診断をもたらし,不必要な治療,および医療費の増大につながりうることを示唆している(JAMA Intern Med 175: 1792, 2015).
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抗菌薬は経口避妊薬(OC)の効果を低下させるか? この相互作用が存在する可能性は,1971年,OCとリファンピシンを併用された51人中38人の女性で,月経間の突発的出血の発症率が増加したことから,初めて注目をあびた.この直後に,リファンピシンは,OCを服用した結核女性88人のうち,5人の予定外妊娠に関連があった.さらに別の62人の女性で月経不順がみられた(Obstet Gynecol 98 (5 Pt 1): 853, 2001).
抗菌薬が直接ステロイド受容体の機能に影響を与える,もしくはOCの成分の生理学的アンタゴニストとして作用するというエビデンスはない.したがって,上記のような相互作用が存在するとしたら,本質的に薬物動態学的なものであると考えられる.エチニルエストラジオール(EE)は肝臓において,CYP3A4により芳香環の2-ヒドロキシル化を受ける.この代謝物は,腎排泄および糞便中排泄の前にさらにメチル化され,グルクロン酸抱合される.EEはまた直接グルクロン酸抱合および硫酸抱合される.これらの複合体は胆汁中に分泌され,腸内細菌叢によって加水分解されて親化合物が放出され,その後,再吸収(腸肝循環)される可能性がある.プロゲスチン(レボノルゲストレルは例外として)は直接抱合はされず,むしろ主に抱合前に不活性な代謝物に代謝される.したがって,相互作用には2つのメカニズムが想定される.ひとつはCYP3A4誘導によるエストロゲンおよびプロゲスチン代謝の増強,もうひとつは腸内細菌叢の死滅(理論的にはすべての抗菌薬で起こりうる)によるEEの腸肝循環の阻害である.
現在までに行われた薬物動態試験をまとめると,リファマイシン系を除いて,抗菌薬はEE(あるいはレボノルゲストレル)の血漿中濃度にそれほど大きな影響を与えないことが考えられる.ただし,個体差が非常に大きい.さらに以下の点が重要である:
a) 相互作用が存在するか否か(リファンピシンのようにCYP3A4誘導作用のある薬剤とOCを併用した場合以外)を科学的に結論づけることはいまだにできない.相互作用は(それが存在するとしても)おそらくまれであり,少数の患者しか対象としていないこれまでの研究から確認することは難しいだろう.散発的な症例報告ではエビデンスとして不十分である.
b) われわれは通常,抗菌薬の違いを考慮することを失念しがちである.たとえば,エリスロマイシンやクラリスロマイシンなど,いくつかの抗菌薬は3A4阻害薬であり,そのため循環EE濃度を上昇させるはずである.抗菌薬は,腸内細菌叢と腸の運動性に対してさまざまな影響を与える.
c) OCの避妊の失敗に対する感染自体の影響は十分研究されていない.嘔吐や下痢は経口避妊薬の吸収を減少させる可能性があり,あるいは気分の悪い女性は経口避妊薬の服用を怠る可能性が高い.おそらく気分の悪い女性が性交をする可能性は低いであろう(したがって,影響が隠されてしまう).そして,感染中に放出される炎症性サイトカインが,酵素活性を減弱することで薬物代謝を阻害する影響はどのようになっているのか?
要約:リファンピシン,または他の3A4誘導薬と併用した場合を除いて,OCと抗菌薬の相互作用は存在しない可能性もあるが,存在しないと科学的に結論づけられたわけでもない.それは,そうした相互作用を起こしやすい素因のある女性(定義するのは困難であるが)が特定のOCおよび特定の抗菌薬を服用する場合にのみ認められるまれな事象かもしれない.相互作用の可能性について患者に助言しておくこと,そして抗菌薬使用中および使用終了後少なくとも7日間(できれば次の月経まで)はOC以外の避妊法を採用するようにすすめることが賢明であろう(Pharm Times Mar 2010; 46 (published online)).
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シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)は寄生虫クルーズトリパノソーマによって引き起こされる人獣共通感染症である.媒介となる昆虫は南北アメリカ(主に貧困が広範囲に及んでいるラテンアメリカの農村部)でのみみられる.メキシコ,中南米では600万〜700万人がシャーガス病にかかっていると推定されている.心筋症は感染患者の約25%で発症する(ただし,通常20〜40年後のことである).慢性シャーガス心筋症は,悪性不整脈,伝導障害,心不全,そして肺および全身塞栓症を引き起こす.年間死亡率は外来治療を受けた患者では約4%である.慢性心筋症における寄生虫の役割については論争があり,トリパノソーマ治療の意義は不明である.
最近発表されたBENEFIT(Benznidazole Evaluation for Interrupting Trypansomiasis)試験では,シャーガス心筋症と確定診断された患者2854人が40〜80日間,Benznidazoleとプラセボに無作為に割り付けられた.Benznidazoleの用量は当初5mg/kg経口24時間ごと・60日とされ,その後300mg経口24時間ごと・40〜80日に変更された.主要評価項目は,死亡,心停止後蘇生,ペースメーカーあるいはICDの装着,持続性心室頻拍,心臓移植,新規心不全,脳卒中またはTIA,または血栓塞栓症の発生であった.Benznidazoleは,PCRの陰転(二次評価項目)として評価された血清寄生虫の検出を有意に減少させたが,残念ながら追跡期間5年間での,心機能の臨床的悪化を有意に減らすことはなかった.PCR結果の陰転率は地域によってさまざまだったが,これは臨床転帰の相違に対応していなかった.疾患の重症度はBenznidazoleの臨床転帰に対する効果あるいはPCR陰転率に影響を与えなかった(N Engl J Med 373: 1295, 2015).
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| 2015年12月 |
新薬の承認
- Otiprio(シプロフロキサシン6% 点耳用懸濁液)は,鼓膜切開・鼓膜チューブ留置術を受ける,両側性の滲出性中耳炎の小児患者の治療に用いられる.Otiprioは滲出液の吸引後の各患耳に,1回0.1mL(6mg)を鼓室内に注入する.本剤は単回投与治療を容易にするために,感熱性ゲルおよび薬物微粒子を利用した持続性曝露製剤である。
臨床上有用な知見
- イソニアジド(INH)の簡単な歴史と概要.INHは,IsoNicotinic acid Hydrazideであり,Isoniazidのつづりには“H”が含まれていないのにINHと略されるのはそのためである.その発見は思いがけないものであった.1938年にJohns Hopkins大学のある研究者が,スルファニルアミドが結核菌感染マウスで活性を示すことに気が付いた.ドイツの研究者Domagkは1942年までに,スルホンアミド合成に使われるチオセミカルバゾン中間体のほうがすぐれた活性を有することを明らかにした.10年後(1952年),ニュージャージー州のスクイブ社の研究所で,チオセミカルバゾンの合成中間体としてINHを使用していたYaleは,結核菌感染マウスでINHを試したところ,彼が最初に作ろうとしていたものよりもINHのほうが活性がすぐれていることを発見した.ほぼ同時に,ニュージャージー州Nutleyのホフマン・ラロシュのSchnitzerもまた,ビタミンBであるニコチンアミドが弱い抗結核活性を有するという1948年の報告の延長上でINHを発見した.Schnitzerは科学者保護協会の援助で1939年にナチス・ドイツから逃れる以前は,ブーヘンヴァルト強制収容所に抑留されていたドイツの難民であった(Mol Interv 6:124, 2006).
INHはこれまでに作られた構造的に最も単純な薬物のひとつである.プロドラッグは,Mycobacteriumの細胞壁でミコール酸合成を阻害することにより抗結核菌作用を発揮すると考えられる.活性化酵素はMycobacteriumのカタラーゼ-ペルオキシダーゼKatGである.KatGはINHからイソニコチニルラジカルを生成させ,それがNADに結合して付加物を形成し,その付加物が脂肪酸エノイル-アシル輸送タンパク質還元酵素InhAを阻害する.InhA以外のターゲットも存在する可能性がある.結核菌の臨床分離株のINH耐性には,薬剤活性化能の低下をもたらすkatG遺伝子の点変異と関連したものが最も多い.他の耐性機序として多くみられるのは,薬剤量を上回るInhAの過剰発現である(Annu Rev Microbiol 61:35, 2007).
INHは主にN-アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)によって肝臓で代謝されるが,この代謝酵素には遺伝子多型が存在する.患者を遅延型,中間型,迅速型アセチレーターと分類することができる.遅延型アセチレーターが肝毒性あるいは末梢神経障害などの毒性を経験する可能性が高いのに対し,迅速型アセチレーターは治療失敗のより大きなリスクにさらされる可能性がある.NAT2遺伝子型に応じた処方を行うことによって治療成績が改善する可能性がある(Clin Pharmacol Ther 98:387, 2015).
- 多くの重大な薬物相互作用が,薬物取り込みあるいは排出トランスポーターによって引き起こされる.P-糖タンパク質(PGP)は,腸管上皮細胞,肝胆汁小管,および近位尿細管細胞の頂端面で発現されるATP依存性排出トランスポーターである.またそれは,副腎,胎盤でも見出され,脳の毛細血管の内側を覆う内皮細胞の頂端面にもある.これらの内皮細胞は連続的な単層,つまり血液脳関門(BBB)を形成する.PGPは血液方向に基質を輸送し,したがってBBBの本質的な役割を担っている.
PGPの主な役割は,生体異物や内因性代謝物の毒性から感受性組織を保護することである.PGPは非常に多くの構造的に無関係な化合物,典型的には脂溶性の化合物を輸送する.また,CYP3A4の基質である多くの薬剤を輸送する.したがって,PGPと3A4は,薬物の腸管吸収を妨げる障壁として機能する.いくつかの薬物はPGPにより腸細胞外に排出されて吸収されることなく除去され,一方,他のものは腸の3A4により不活化される.腸細胞において薬物分子の数を調節し,3A4の飽和を防ぐことで,PGPは初回薬物代謝作用を高める.PGP発現は腸の近位から遠位に向かって多くなり,一方3A4は逆である.つまり,代謝のために多くの3A4が存在する場所ではPGPはそれほど多くはなく,逆もまた同様である.
PGPに関連する薬物相互作用のうち,臨床的に問題となりうる典型的な例は,ジゴキシン(PGP基質)とクラリスロマイシンとの相互作用である.PGPはジゴキシンの生物学的利用能を低下させ,また,その腎臓および胆汁排出を担う.クラリスロマイシン,つまりPGP阻害薬との併用により,ジゴキシンのAUC(1.2〜1.7倍)および血清濃度が増加することが示されている(Clin Pharmacokinet 46:1039, 2007; Essays Biochem 50:161, 2011).
- Candida属のエキノキャンディン系薬耐性は一般的にまれである.例外はC. glabrataで,この種の耐性は増大しているようである.エキノキャンディン系薬の標的酵素である1,3-β-グルカンシンターゼをコードするFKS遺伝子の,2つの「ホットスポット」領域に自然に生じた変異がその耐性機序だと推定されている.懸念されるのは,これらの分離株の多くがアゾール系薬に交差耐性を示すことである.
一部のCandida属は,FKS遺伝子中にエキノキャンディン系薬感受性を低下させる多型を自然にもっているようである(しかし,一般的にそれでも治療可能である):C. parapsilosisファミリー(C. parapsilosis,および同胞種C. orthopsilosisとC. metapsilosis)およびC. guilliermondiiがそうである.
また,薬剤トレランス,つまりエキノキャンディン系薬濃度が高いと抗真菌活性が低下するという逆説的な現象も問題になっている.それは種特異的かつ薬剤特異的のようである.ひとつの想定されるメカニズム(他のメカニズムもある)は,真菌による細胞壁キチン合成の代償的アップレギュレーションが,エキノキャンディン系薬への感受性を低下させるというものである.この現象は,臨床的な失敗にはつながらないかもしれないが,真菌細胞を薬物の存在下で安定させ,より高いレベルのFKS変異につながる可能性がある.
耐性出現のリスク因子には,エキノキャンディン系薬への長期間の曝露および/または反復曝露が含まれる.バイオフィルムの存在下では薬物の浸透が不均一になる傾向があるため,バイオフィルム中に存在する真菌細胞は問題である.耐性株の水平伝播が報告されていないことは興味深いが,それはおそらくFKS変異が水平伝播に適さない細胞の部位で起こっているためであろう(Clin Infect Dis 61 Suppl 6: S612, 2015).
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| 2015年11月 |
薬剤安全性情報
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FDAは,C型肝炎の固定用量配合剤Viekira PakとTechnivieの製造元に対し,重篤な肝への傷害作用についての新しい情報を製品ラベルに追記するよう要請した.承認以来,FDA有害事象報告システムに提出されたなかで,世界各国にわたる少なくとも26例は可能性として,あるいはおそらくViekira PakまたはTechnivieに関連すると考えられている.傷害作用は一般的に,治療開始から1〜4週間以内に出現した.詳細はFDA Drug Safety Communicationのレビューを参照.
新薬の承認
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Genvoya(Elvitegravir 150mg+Cobicistat 150mg+エムトリシタビン 200mg+Tenofovir alafenamide 10mg)は成人および12歳以上の小児のHIV-1感染患者に対する治療薬である.これはFDAが承認した最初の,Tenofovir alafenamide(TAF)を含む抗レトロウイルス固定用量配合剤である.TAFは従来のテノホビルの1/10以下の用量で同等の抗レトロウイルス効果をもつphosphonoamidate prodrugである.Genvoyaの推奨用量は1日1錠で食事とともに服用する.
臨床上有用な知見
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QT間隔は,心室筋細胞の脱分極と再分極との時間間隔を表す.それは頻脈では短縮し,徐脈では延長するため,Bazettの公式(QTc=QT/$\sqrt{RR}$)は多くの場合,心拍数を補正するために使用される(他の公式を用いる臨床医もいる).QT間隔は健康男性で430ミリ秒,健康女性で450ミリ秒未満でなければならない.QT間隔の延長はtorsades de pointes(TdP)や心室細動のような生命にかかわる不整脈を引き起こす可能性がある.TdPのリスクはQT延長と線形的には相関しないが,間隔が500ミリ秒を超えると,リスクは有意に増大すると考えられる.
QT延長のよく知られているリスク因子としては,遺伝的なQT延長症候群,徐脈,うっ血性心不全,低カリウム血症,低マグネシウム血症,高齢,女性,および再分極を延長する薬の併用などがある.フルオロキノロン系薬(FQs)を含め,さまざまな薬剤にQT延長の副作用がある.想定される機序は,特定タイプのカリウムチャネルの遮断による外向き電流の減少である.FQの二環系の5位のアミノ基またはメチル基は,QT延長のリスクを増大させる可能性がある.このような置換基をもつ2つの薬剤(SarfloxacinとGrepafloxacin)は米国市場から除去された.
最近,Mehrzad RらはFQsに関連するQT延長,TdPのエピソード,および有害心イベントに関して1980〜2014年に出されたデータをまとめたレビューを発表した(J Clin Pharmacol 55:1198, 2015).健康なボランティアを対象としたプロスペクティブ研究は,被験者数の少ない短期のものであるが,モキシフロキサシン(レボフロキサシンまたはシプロフロキサシンではない)がQT間隔を若干延長しうることを示唆している.患者でのプロスペクティブ研究は,延長傾向の強さの順位が同薬剤間で同じであることを示唆するが,心イベント発生率は有意な結論を導くには小さすぎる.最終的に,より大きいレトロスペクティブ研究によれば,傾向の順位は,データの一貫性には欠けるところがあるものの,モキシフロキサシン>レボフロキサシン>シプロフロキサシンと想定された.著者らは,リスクが最も高いと考えられる患者を除いては,心臓不整脈の懸念によってFQの選択が左右されるべきではないと示唆している.
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アゾール系抗真菌薬はQT間隔を延長する抗微生物薬のリストには必ず含まれる.興味深い例外はIsavuconazoleであろう.最近のレビューによると,ある研究ではIsavuconazoleは健康な被験者において,200mg1 日1回・13日で13.1ミリ秒(服用後2時間),600mg1日1回・13日で24.6ミリ秒(服用後2時間),QTc間隔を短くした.別の研究では,侵襲性糸状菌感染をIsavuconazoleで治療した257例中73例(32.2%)でQTc間隔がベースラインから30ミリ秒超短縮し,17例(7.5%)でベースラインから60ミリ秒超短くなった.家族性QT短縮症候群の患者にはIsavuconazoleを避けることを除いて,これらの観察の臨床的重要性はまだ確立されていない(Clin Infect Dis 61:1558, 2015).
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ボリコナゾール錠剤中に含まれるフッ化物は測定可能な量ではないが,フッ素は薬物と有機的に結びついている.ボリコナゾールは3つのフッ素原子を含有し,フッ素の重量は16.3%にあたる.ボリコナゾールによるフッ化物毒性の最初の報告は2011年に発表された(Clin Infect Dis 52:604, 2011).Wermersらは,アスペルギルス肺炎で長期ボリコナゾール治療(用量は不明)を受け,骨膜炎と外骨腫(骨膜骨の異常増殖)を発症した64歳の心臓移植患者について報告している.彼女はボリコナゾール治療の約6ヵ月後に,指,手首,肘,脚,足に痛みを伴う骨の増殖を経験した.臨床検査所見は,骨代謝マーカー上昇,および血漿中および骨中のフッ化物濃度上昇を示した.患者は高いフッ化物取り込みを想定できる要因をすべて否定した.腸骨間の稜骨生検は,石灰化しない骨(類骨)の過度な蓄積を伴う骨軟化症を明らかにした.イトラコナゾールに切り換えたところ,1ヵ月以内に痛みは改善した.ボリコナゾールの中止後2ヵ月で患者のアルカリホスファターゼは50%減少し,3ヵ月後には血漿フッ化物濃度は13.2マイクロモル/L(ピークは20.7,正常範囲1〜4)となった.
著者らはその後,ボリコナゾールで治療されなかった10人の移植患者と,ボリコナゾール(200mg経口1日2回)治療を少なくとも6ヵ月間受けた10人の成人移植患者との間で,血漿フッ化物濃度を比較した.ボリコナゾール治療患者は全員いずれの対照患者に比べて血漿フッ化物濃度が上昇していた(14.32 vs 2.54, p<0.001).アルカリホスファターゼもまたボリコナゾール治療患者で有意に高かった(207 vs 86, p=0.003).腎機能によって血漿フッ化物濃度を予測することはできず,血清中ボリコナゾール濃度はフッ化物濃度と有意に相関してはいなかった.ボリコナゾール治療患者のうち5人には,骨膜炎のエビデンスがあり,そのうち2人は多発性外骨腫症であった.服用中止により骨痛は改善し,2ヵ月以内にアルカリホスファターゼおよびフッ化物濃度は減少した.
最新のレトロスペクティブ研究では,汚染されたメチルプレドニゾロン注射に関連したE. rostratum硬膜外膿瘍および髄膜炎のためにボリコナゾール治療を受けた195人の免疫不全患者のうち,21人が骨膜炎を発症し,なかでも尺骨および肋骨が最も多かった.アルカリホスファターゼ,血中のフッ化物濃度,ボリコナゾール1日服用量,および累積用量は骨膜炎患者では有意に上昇していた(骨膜炎がない患者に比べて).ボリコナゾールの減量や服用中止により患者の89%で痛みが改善した(Clin Infect Dis 59:1237, 2014; Semin Respir Crit Care Med 36:786, 2015).
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外来で非経口抗菌薬を使用された元入院患者の前向きコホートでは,824例中210例(25.5%)で好酸球増加が認められた.好酸球増加出現までの治療期間の中央値は15日であった.バンコマイシン,ペニシリン,リファンピシン,リネゾリドの使用は好酸球増加出現の高リスクと関連していたのに対し,メトロニダゾールの使用はリスク低下に関連していた.セファロスポリンとフルオロキノロンはリスク増加と関連していなかった.好酸球増加の210例中64例(30.5%)では,その後の過敏反応があった(発疹32例,腎障害出現31例,肝障害出現13例).好酸球増加の患者は好酸球増加のない患者に比べて発疹の出現率が4倍以上,腎障害の出現率が2倍以上高かった.DRESS(好酸球増加および全身症状を伴う薬剤発疹)は7例で発症が疑われ,うち4例はバンコマイシンの処方を受けていた.この頻度はこれまで予測されていた頻度1/1,000〜1/10,000よりも高い.7例中3例は診断基準によるとDRESSの可能性が高く,専門家によって受けたバンコマイシン使用に起因していた.要約すると,好酸球増加は非経口抗菌薬を使用された外来患者で出現が多い.外来での非経口抗菌薬使用はほとんどの患者では臨床的な影響を及ぼさないが,発疹や腎障害出現のリスクを増加させる(J Allergy Clin Immunol 136:1288, 2015).
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| 2015年10月 |
最新のガイドライン
臨床上有用な知見
- Neisseria gonorrhoeaeの抗菌薬感受性は確実に低下しており,治療選択肢が限られてきている.現在開発中のフルオロケトライド系薬SolithromycinはN. gonorrhoeae(アジスロマイシン耐性株を含む)に対して強力な活性を有し,C. trachomatisやM. genitaliumをはじめとする多くの性感染症の病原菌に対しても活性を示す.Solithromycinの耐性株に対する活性は(少なくとも部分的には),先行世代のマクロライド系薬に比べて,より多くの細菌リボソーム上の部位に結合できることによるものである.下記の第II相試験では,28例が単剤1200mg経口投与を受け,31例が単剤1000mg経口投与を受けた.46例は登録時に,N. gonorrhoeaeについて培養陽性であった(42例は泌尿生殖器,8例は咽頭,4例は直腸).治療後,N. gonorrhoeae培養はすべての感染部位で陰性となった.さらに,核酸増幅検査(NAAT)陽性の約87%は,追跡検査で陰性となった.59例中11例はChlamydiaに同時感染しており,そのうち2例は追跡期間にも陽性であった.もっとも多い副作用は,用量依存性の中等度消化器毒性であった(Clin Infect Dis 61:1043, 2015).
- iChipは新しい抗生物質を発見するための優れたツールである.iChipは,従来は培養不可能だった微生物に,自然環境での主要な栄養物および成長因子を与えることを可能にする装置であり,多数のチェンバーから構成されている.希釈された土壌サンプルは,個々の細菌細胞が各チェンバーに入るように分注される.各チェンバーは半透過性の膜で両側を覆われていて,その後iChipは土壌に戻される.膜の細孔は栄養物が流入するには十分大きいが,細菌にとっては小さすぎてチェンバーから脱することはできない.チェンバー内で成長した分離株からの抽出物は,抗菌活性のスクリーニングを受けることになる.メイン州の土壌サンプルで見つかりEleftheria terraeと暫定的に名付けられたβ-proteobacteriaの新種から最近抽出された抗生物質は有望である.Teixobactinと名付けられたこの物質(デプシペプチド)は,従来の抗菌薬とは違うやり方で細胞壁合成を阻害する.TeixobactinはS. aureus,S. pneumoniae,VREなどのさまざまなグラム陽性細菌およびM. tuberculosisに対して活性を有するが,グラム陰性菌に対する活性はない.Teixobactinを最初に同定した研究者たちは,耐性変異株を作成することができなかった.これは予備的ではあるが,非常に期待がもてる結果である.E. terraeはグラム陰性なので,Teixobactinに対してそれ自身を保護するために,細胞壁合成の別経路を必要としていないのだろうと彼らは推測している(そのような経路を他の細菌から借りることはできるだろう).Teixobactinの臨床試験にはまだ何年もかかるだろうし,市場に出てこない可能性もあるが,iChipは潜在的に有用な物質を同定する新しいツールとして重要だと思われる(J Antimicrob Chemother 70:2679, 2015, Nature 517:455, 2015).
- 腹腔内真菌感染の治療は困難である.抗真菌薬は,静脈内投与後に有用な腹水中濃度を達成する能力が薬剤ごとに異なっていて,ミカファンギンを含む多くの薬剤に関して公表されたデータはほとんど,あるいはまったく存在しないと言ってもよい.本研究では,腹腔内真菌感染症の確定診断を受けた,またはそれが疑われる10例の重症患者にミカファンギン100mg1日1回静注投与を行った.血漿および腹水サンプリングを最初の投与後および定常状態で行った.腹水中へのミカファンギンの移行は低〜中等度であった;中央値AUC0-24腹水/血漿比は2回のサンプリング時間で約0.3であった.このデータは,エキノキャンディン系薬の腹水への移行に関する現時点で最善の情報である(J Antimicrob Chemother 70:2854, 2015).
- パラアミノサリチル酸(PAS)は,超多剤耐性(XDR)結核に対して使用可能な最後の薬剤のひとつである.PASは1902年に合成され,1940年代初期に,肺結核の患者に最初に使用された.消化器毒性による不耐性を軽減するためにさまざまな製剤が作成された;ある時点では12以上のメーカーが製造する60品目以上の製剤が米国で販売されていた.その後,PASは使用されなくなり,MDRおよびXDR結核の蔓延が問題となるまでほとんど入手できない状態だった.米国,ヨーロッパ,その他多くの国で使われている現在の遅延放出顆粒製剤が利用できるようになったのは1994年である.下記のレビューは,XDR結核に対する併用薬の効果が比較的弱いため,8〜12g/日という現在の推奨投与量は適切ではないだろうと示唆している.さらに1日1回投与は分割投与と同じくらい忍容性が良く,処方の単純化が可能となること,またピーク濃度が高いため,殺菌作用,併用薬の耐性に対する強力な保護作用も期待できるだろうとしている(Lancet Infect Dis 15:1091, 2015).
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| 2015年9月 |
薬剤安全性情報
- Ceftazidime/Avibactamの用量を誤って投与する事例があり,バイアルと紙箱の薬剤情報に表示された薬剤強度についての混乱によるものであった.当初の薬剤情報は個々の有効成分量を記載していたが,薬剤投与量は成分の総量に基づくものである(他のβラクタム薬/βラクタマーゼ阻害薬の注射剤と同様).改訂薬剤情報では総量を記載することになっている.FDA Drug Safety Communication参照.
臨床上重要な知見
- 多剤耐性E. coliによる急性前立腺炎の患者2例で経口ホスホマイシンが奏効したという最近の症例報告がある(Clin Infect Dis 61:1141, 2015).経口ホスホマイシンでの前立腺炎治療は新しい考え方ではなく,この2例から確かな結論を導くこともまた難しい.それでもこの報告は1日3g×12〜16週間という長期治療という試みをしている点が興味深い.この機会に多くの臨床家に知られていないこの薬剤を紹介してみたい.
ホスホマイシンはホスホン酸誘導体であり,1969年にStreptomycesの培養から最初に分離された.FDAが承認しているのは,E. coliおよびE. faecalisの感受性株による単純性膀胱炎の単剤治療としてだけである.In vitro活性はグラム陽性およびグラム陰性のかなり幅広い範囲(当サイトのホスホマイシンのページにリストあり)をカバーするが,Acinetobacter,Listeria,およびBacteroidesは耐性である.P. aeruginosaに対して特に活性ではないが,他の薬剤との併用での相乗効果の可能性がある.
ホスホマイシンは,細胞壁合成の最初のステップを触媒するMurA(UDP-N-acetylglucosamine enolpyruvyl転移酵素)を不可逆的に不活性化する.臨床で使われる他の薬剤で,この酵素を標的とするものはない.ホスホマイシンは3g小袋経口後の最初の4時間で4400μg/mLという高い尿中濃度に到達して,尿中での殺菌作用を示し,また前立腺内でもかなりの濃度に到達する.しかし,経口治療後の血清濃度は一般的に全身性感染症を治療するには不十分である.耐性は以下の3つの機序で生じる.(1)MurAのアミノ酸が入れ換わって薬剤結合が低下する(2)細胞内薬剤輸送の減少(3)プラスミドによって導入された細菌酵素によって薬剤が不活性される(Int J Infect Dis 15:e732, 2011).
現在,米国で利用できるホスホマイシンの剤形は,ホスホマイシン 3gと同等のFosfomycin tromethamine粉末5.6g包単回投与だけである.89〜118 mLの水(湯ではなく)に溶かして,食事と関係なくただちに服用する.メトクロプラミド(そしておそらく他の消化管運動促進薬)を併用すると,消化管吸収と尿濃度が低下する.一部の国々ではホスホマイシンは全身性感染症に対する注射剤製品が利用可能である.経口ホスホマイシンは忍容性がよく,最も多い副作用は下痢である.前掲の症例報告の2症例では長期治療の忍容性が良好であった.ただし,1例は投与量を3g1日2回に増量したところ,下痢により不耐となったため1日1回に戻した.
- ボリコナゾールは,患者ごとに薬物動態が異なる点が問題であり,原因の一部はその代謝にある.この代謝は主としてCYP2C19によるものであって,CYP2C9やCYP3A4,フラビンを含むモノオキシゲナーゼによる代謝経路は大きな役割を果たさない.少なくとも20の異なるCYP2C19対立遺伝子があり,それらのうちのどれを有するかで,超速代謝者,広範な代謝者(“通常の”表現型),中等度の代謝者,低代謝者に分類されると考えられる.下記論文は,アスペルギルス症のある造血性幹細胞移植患者の症例報告である.通常の投与量を用いたにもかかわらずボリコナゾールの濃度は検出不能であり,治療は失敗,チトクロームアッセイによって超速代謝者であることが示された.ボリコナゾールの代謝についてはCYP2C19の複雑な役割を十分に理解することが重要である.たとえば通常のCYP2C19活性の患者において,CYP3A4阻害薬はボリコナゾール濃度にほとんど影響を与えず,他方CYP3A4経路が相対的により重要になるために,著しい低代謝群においてはCYP3A4阻害薬がボリコナゾール濃度を増加させる可能性がある.ボリコナゾール超速代謝または低代謝が疑われるか,そうであることが確認できた患者は,状況によってはPosaconazoleまたはIsavuconazoleに切り換えたほうがよいかもしれない.Isavuconazoleは主にCYP3A4によって主に代謝されるが,PosaconazoleではCYP酵素による代謝は重要ではない(Diagn Microbiol Infect Dis 83: 46, 2015).
- メトロニダゾールの副作用として多くみられるのは,吐き気と金属的な味覚などである(torque geusia).その他の毒性(多くみられるものではないため,失念されることもある)としては神経障害(末梢神経,自律神経,視神経),可逆性小脳症候群,無菌性髄膜炎,急性膵炎,黒色尿などがある.それよりさらにまれなものとしてメトロニダゾール誘発の肝毒性(典型的にはアルコール消費に関係する)があり,文献上の報告は数例しかなかった.Cockayne症候群(CS)患者でのメトロニダゾール関連の急性肝不全に関する症例報告が最近発表された(Pediatrics 136:e706, 2015).症例数は8例であり,これにより現在までに報告されている症例数は一挙に2倍以上になった.8症例のうち3例は致死性であり(薬剤投与と死亡の間隔は6〜11日),さらに急性神経性欠損が8例中2例に認められた.CSは,小頭症,出生後発育障害,病理上の早期老化(平均死亡年齢,8.4歳)を特徴とするまれな遺伝子疾患である.この症例報告の著者らが行っているCS自然歴史研究(100例以上)の中で,メトロニダゾール投与を受けて副作用を示さなかった患者はいなかったことから,基礎的病理に関連する疾患特異的な反応ではないかと著者らはコメントしている.
- ジスルフィラム反応とは,ジスルフィラム治療後にアルコールを摂取した場合に経験する不快な症状や徴候(かすみ,吐き気,めまい,不安,低血圧のような心血管作用,頻脈,顔や首の紅潮)を指す.肝臓アルコール脱水素酵素によるアルコールの最初酸化過程で生成されたアセトアルデヒドは、さらに肝臓のアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酸化される.ALDHはジスルフィラムによって阻害されるため,ジスルフィラム反応の症状はアセトアルデヒドの堆積によるものだとされている.メトロニダゾールで治療した患者はアルコールに対して毒性反応を示すことがあり,これがジスルフィラム様反応と呼ばれることが多く,おそらくALDH阻害により起きると考えられていた.
メトロニダゾールは1959年に開発され,1960年代初頭にトリコモナス症への治療が承認された.1964年にはメトロニダゾールのジスルフィラム様反応の最初の報告があり,アルコール中毒症の治療に有効かもしれないということがすぐに考えられた.さらに1982年から1999年の間に,8例の患者を含む6本の症例報告が発表された.これらの報告はすべて,メトロニダゾールのジスルフィラム様反応はすでに多く論じられており,基礎となるメカニズムのさらなる調査は必要ないという想定に基づいていた(Ann Pharmacother 34: 255, 2000).しかし,最近の研究で,メトロニダゾールは肝臓ALDHを阻害せず,血液アセトアルデヒド濃度を上昇もさせない(Int J Toxicol 26: 423, 2007)ことが明らかになると,メトロニダゾールのジスルフィラム様反応についての説明はそれ以外の機序に求められるべきだということになった.
メトロニダゾールのジスルフィラム様反応はモノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害で説明できるだろうか?ウシ脳でのMAOに対するメトロニダゾールの抑制効果が示されている(Inflamm Res 50 Suppl 2: S136, 2001).別のグループはメトロニダゾール(ジスルフィラムではなく)がラット脳のセロトニンレベルを増強し,5-HIAA(セロトニン分解産物)とセロトニン代謝回転を抑制することを見出し,これはMAO阻害により説明されうるとした.さらにアルコールによる尿中および血液中のセロトニン代謝物質濃度上昇は,神経系におけるセロトニン放出増大と一致している(Biol Psychiatry 36: 395, 1994).ジスルフィラム反応とセロトニン症候群の症状との類似性(意識状態の変様,自律神経障害,神経筋興奮という3症状)からすると,一部の患者でのメトロニダゾールによるアルコール不耐性は,中枢神経系でのセロトニン濃度上昇によると考えてもよいかもしれない.つまりMAO阻害薬とSSRIの相互作用と同じセロトニン症候群である.
この仮説は今までに知られている他の相互作用にもあてはまる.メトロニダゾールとジスルフィラム併用による精神病様症状はよく知られているが,そのメカニズムは不明である.可能性のある説明としては,2つの独立した経路によるドーパミンの毒性堆積である.ジスルフィラムの代謝物質がドーパミンからノルエピネフリンへの酵素変換を阻害することは知られており,ドーパミンはMAOにより分解されるので,メトロニダゾールによるMAO阻害はさらなるドーパミン濃度の増加をもたらすと考えられる(J Clin Psychopharmacol 33: 136, 2013).
新ガイドライン
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| 2015年8月 |
新薬の承認
- Daclatasvir(Daklinza)のgenotype3慢性C型肝炎成人における治療適応(Sofosbuvirとの併用で)が承認された.推奨用量は、食事とは無関係に1日1回60 mgである.
- Technivie(Ombitasvir,Paritaprevir,リトナビル)は固定用量の合剤であり,肝硬変のないgenotype 4慢性C型肝炎成人における治療適応(リバビリンとの併用で)が承認された.推奨用量は,食事とともに1日1回2錠である.
妊娠および授乳期間表示の新しいルール
- FDAは,医薬品情報の「特別な患者に対する使用(Use in Specific Populations)」での,「妊娠期間(Pregnancy)」,「分娩・出産時(Labor and Delivery)」および「授乳中の母親(Nursing Mother)」に関する表示ルールを改正した.従来の妊娠カテゴリーA,B,C,D,Xは廃止された。下図は変更の概要である(「生殖の可能性がある女性と男性(Females and Males of Reproductive Potential)」が追加された).本年6月30日以後に承認された薬剤には,この新しいルールがただちに適応されるが,2001年6月30日以後に承認された薬剤については,段階的に変更する予定である.
臨床上重要な知見
- 4月に欧州医薬品庁は,多剤耐性結核成人患者の治療薬(他剤との併用で)としてデラマニドの市販を承認した.デラマニドはニトロ-ジヒドロイミダゾ-オキサゾールのプロドラッグであり,ミコール酸生合成阻害により効果を発揮する.M. tuberculosis(多剤耐性株および超多剤耐性株を含む)に対してin vitroで強力な活性を有するが,非結核性抗酸菌に対するMICはさまざまである.薬剤感受性結核動物モデルでの有効性は明らかにされている;ヒトのデータは限られているが,超多剤耐性結核患者において既存の推奨処方に追加すると喀痰中結核菌陰性化率が向上する.推奨用量は100mg1日2回・24週.併用により相加的なQT延長を起こすおそれがあり(薬剤の主要代謝産物に関連している),特にQT延長の他のリスク因子のある患者では問題になるだろう.トランスポーターやCYP酵素には作用しないが,CYP3A4基質である.多剤耐性/超多剤耐性結核治療におけるデラマニドの役割は,今後の臨床研究によって明らかにされるだろう(Drug Des Devel Ther 9:677, 2015).
- Nafcillinとワーファリンの薬物相互作用が最初に報告されたのは1984年のことである.その後のいずれの症例報告でも,この相互作用によりINRが低下し,ワーファリンの必要用量が2〜4倍に増加することが示されている. Nafcillin投与開始1〜4週後からINR低下がみられ,Nafcillin中止後1〜4週でワーファリン投与量がNafcilllin開始前の水準に戻る.この機序は完全には明らかになっていないが,NafcillinによるCYP3A4およびCYP2C9誘導が示唆されている(S-ワーファリンはCYP2C9基質であり,R-ワーファリンはCYP3A4を含む多くの酵素によって代謝される).同様に,最近発表されたデンマークでの後ろ向きコホート研究では,ワーファリン(あるいはビタミンK拮抗薬であるPhenprocoumon)投与患者でDicloxacillin治療とINR低下との関連が認められた.INR低下(平均)は,ワーファリン投与患者で0.62,Phenprocoumon投与患者で0.31であった.著者たちは,DicloxacillinによりプレグナンX受容体が活性化され,CYP3A4,そしておそらくCYP2C9が誘導されたのではないかと考察している(JAMA 314:296, 2015).
- Candida glabrata(かつてはTorulopsis glabrataとして知られていた)はヒト消化管の共生定着菌であり,表在性および浸潤性感染症ではC. albidansに次いで二番目に多い酵母病原体である.C. albicansよりもSaccharomyces cerevisiaeに近縁である.C. glabrataは他に類を見ない4つの特徴を有する:1)単相性(性別がない),2)仮性菌糸を形成することができない(したがって好中球反応の誘導は弱い),3)一部の株は嫌気性条件下でのみ増殖可能(その結果,培養検査で同定されにくいおそれがある), 4)すべてのアゾール系薬(特にフルコナゾール)に対する低感受性(生得的および後天的に).生得的耐性の分子基盤は不明であるが,ラノステロールデメチラーゼ(アゾール系薬の標的酵素であり,ERG11遺伝子によってコードされる)の親和性低下,またはアゾール系薬暴露後のERG11発現アップレギュレーションの高能力が関連する可能性がある.後天的耐性のメカニズムにはABC(ATP結合カセット)多剤排出トランスポーターをコードする遺伝子CDR1とCDR2のアップレギュレーションが関連している.アゾール系薬とは対照的に,ミカファンギンなどのエキノキャンディン系薬は,エキノキャンディン耐性が増加しているにもかかわらず,実際上はC.glabrataに対して強い活性を維持している.エキノキャンディン耐性のメカニズムは,標的酵素である1,3-βグルカン合成をコードする遺伝子の点変異であろう.これらの突然変異は先行する薬剤の曝露によって選択されると考えられる(Mycoses 58:445, 2015).
2015〜2016年の季節性インフルエンザに関するACIPの最新勧告
- 季節性インフルエンザの予防と治療のためのACIP(The Advisory Committee on Immunization Practices)の2015〜2016年の勧告がMMWR(8月7日)に掲載された(CDC-2015〜2016年季節性インフルエンザACIPの最新勧告参照).来シーズンのための更新された情報は以下のとおりである.1)米国での季節性インフルエンザワクチンの抗原組成,2)ワクチン製品の入手に関する情報,3)6ヵ月〜8歳の小児における適切な投与量を決める最新のアルゴリズム,4)弱毒インフルエンザ生ワクチン(LAIV)と不活化インフルエンザワクチン(IIV)のどちらかが利用可能な場合の,使用推奨(2014〜2015年勧告での2〜8歳の健康な小児へのLAIV推奨は削除された)(MMWR 64:818, 2015).
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| 2015年7月 |
新たな適応
- 5月にFDAはモキシフロキサシンによる成人の肺ペストおよび敗血症ペスト治療を承認した.モキシフロキサシンはペストの予防薬としても承認されている.レボフロキサシンは2012年時点で成人および月齢6ヵ月以上の小児においてペストの予防薬および治療薬として承認されている。
臨床上有用な知見
- Kounis 症候群が最初に記述されたのは1991年で,アレルギー反応からの肥満細胞活性化を伴う急性冠症候群であり,アレルギー性狭心症またはアレルギー性心筋梗塞としても知られている.3つのタイプがある.タイプ1は,アレルギー症状の発現により正常な冠動脈で冠攣縮狭心症が誘発される;タイプ2は,アテローム性冠動脈疾患のある患者でアレルギー症状の発現がプラーク破裂を引き起こす.タイプ3には,アレルギー症状の発現による冠動脈ステント血栓症が含まれる.Kounis症候群は迅速な診断と適切な治療がないと致命的になる可能性がある.βラクタム薬に起因するKounis症候群の多数の症例が報告されており,その中で最も多いのはアモキシシリンによる症例である.最近,セフトリアキソンとメトロニタゾールによるKounis症候群の最初の症例報告が発表された(Ann Saudi Med 34:250, 2014; BMC Res Notes 8:97, 2015; Int J Cardiol 179:222, 2015).
- ベンザチンペニシリンG1回筋注は第1期,第2期梅毒,および早期潜伏梅毒の治療として推奨されているが,後期潜伏梅毒および感染期間不明の梅毒には週3回投与が用いられる.経口アモキシシリン+プロベネシドは,安全性と有効性に関する発表されたデータはないにもかかわらず,一部の国で代替薬として使われている.日本の後ろ向きコホート研究では,286例の早期または後期梅毒を伴うHIV-1感染患者にはアモキシシリン 3g/日+プロベネシド(最も多いのは750mg/日)が投与されていた.患者の95.5%は,RPR力価が4倍以下に減少し治療成功と認められた(成功群の96.3%で12ヵ月以内に達成).2週間および4週間治療は早期梅毒にとって同様の効果があったが,後期梅毒には2週間治療は効果的ではない傾向があった.経口投与計画は総じて忍容性が良好であった(Clin Infect Dis 61:177, 2015).
- 留置尿道カテーテルを用いている79歳の寝たきりの女性で紫色採尿バッグ症候群(PUBS)が報告された.PUBSは慢性的にカテーテルを留置したアルカリ尿の患者でときどき観察される状態である.現在考えられている化学的機序は以下のとおりである.まず食物中のトリプトファンがインドールに変わり,門脈を通じて肝臓へと運ばれる.肝臓でインドールはインドキシル硫酸に変化し,尿中に分泌される.ある種の細菌(Providencia属,E. coli,Proteus属,K. pneumoniae,M. morganii,P. aeruginosa)が産生するホスファターゼ/スルファターゼ酵素がインドキシル硫酸をインドキシルに変換し,アルカリ条件下でインジゴ(青)とインジルビン(赤)に変換され,インジゴとインジルビンが混合して紫色を作る(Emerg Med J 32:347, 2015).
- 結晶尿(顕微鏡または肉眼で)はアモキシシリンに関連するまれな有害作用である.リスク因子としては高用量,脱水症状,低pHなどがある.アモキシシリンの結晶尿は無症候性のこともあるが,血尿または急性腎不全を引き起こす可能性もある.この報告は静注アモキシシリン(200mg/kg/日)+ゲンタマイシン(3mg/kg/日)で治療されたS.agalactiaeによる左心系心内膜炎の62歳女性患者に関するものである.4日目に観察された混濁尿では,こうした例で多く観察される大きな針状結晶の凝集などの顆粒状物が散見された。患者は急性腎不全を発症したが(おそらく多因子的),結果的に回復した.アンピシリンによる結晶尿も報告されている(Lancet 385:2296, 2015).
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| 2015年6月 |
最新の文献
- アシクロビルの神経毒性は,腎機能が低下している高齢の帯状疱疹患者で特に発現しやすく,ヘルペス脳炎と間違えられる可能性もある.腎排泄アシクロビル代謝物質である9-CMMGの毒性の蓄積が原因だと考えられている(Am J Med 128:692, 2015).
- BMI 22.1〜63.5kg/m2(総体重50.1〜179.5kg)の成人ボランティアにおいて,CeftarolineのCmaxとAUCは体重の増加に従って低下していた.しかし,MIC目標の達成についてのデータからは,少なくともMICが1μg/mL以下である病原体に対して,体重に基づくCeftarolineの用量調整は不必要であると考えられる.われわれはこの勧告を予備的なものととらえており,肥満患者,特にBMIが40を超える患者における確認を待ちたい(Antimicrob Agents Chemother 59:3956, 2015).
- Isavuconazoleは最近承認された第二世代トリアゾール系抗真菌薬である.この薬剤はCandida属,Cryptococcus属,Aspergillusなどの臨床的に重要な酵母と糸状菌に対して活性があるが,Mucoralesに対する活性は一定していない.経口での生物学的利用性が高いこと,サイクロデキストリン静注溶媒(プロドラッグは水に溶ける)が不必要であること,薬物動態が線型的で予測しやすいことなどは優れた特性である.臨床試験の結果からIsavuconazoleの全特性が明らかになることが期待される(Ann Pharmacother 49:825, 2015).
- 急性のペニシリン過敏症歴があり,少なくとも1ペニシリン試薬に皮膚陽性反応を示した212人の患者が,アズトレオナム,イミペネム,メロペネム,Ertapenemの皮膚テストを受けた.4剤のいずれの薬剤についても陽性の皮膚テストの結果を示した患者はいなかった.加えて,211人の患者は薬剤を受け入れ,薬剤に忍容的であった.このデータは,ペニシリンと,アズトレオナムおよびカルバペネムの交差反応性が非常にまれであるという経験的な認識を支持するものである.これはまたペニシリンとErtapenemの交差反応性を正式に評価した最初の試験でもある(J Allergy Clin Immunol 135:972, 2015).
- Nitrofurantoinによる肺毒性は急性,亜急性,慢性に分けられる.年齢とともにリスクは増大し,男性よりも女性で高い.急性反応(最も多く,5000人の患者のうちひとりに起こる)は熱,息切れ,咳,末梢好酸球増加を特徴とし,通常,薬剤開始の数日〜数週以内に起こる.慢性毒性は典型的には咳および治療開始後に数ヵ月から数年をかけてゆっくり進展する呼吸困難を特徴とする.急性毒性の治療は迅速な薬剤の中止+さまざまな支持方法である.症例報告の中で,さまざまな問題が議論されている(J Infect Public Health 8:309, 2015).
最新のガイドライン
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| 2015年5月 |
薬剤安全性情報
- Ceftolozane-tazobactam(Zerbaxa)の用量を誤って投与する事例があり,バイアルと紙箱の薬剤情報に表示された薬剤強度についての混乱によるものであった.最初の薬剤情報は個々の有効成分量を表にしていたが,薬剤は成分の総量に基づいて投薬される.改訂薬剤情報では総量を表にすることになる.FDA Drug Safety Communication参照.
最新の文献
- Benznidazoleはシャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)によく用いられる薬である.米国のクリニックでこの薬を処方された30例の患者で高頻度にBenznidazoleの副作用が起こったので注意が必要である.詳しくは本サイトのBenznidazoleの項を参照(Clin Infect Dis 60: 1237, 2015).
- Benznidazoleの薬物動態はまだ十分に解明されていない.忍容性が低いことは,治療のための至適血中濃度を上回っていることと関連しているかもしれない. Benznidazoleの成人におけるPKモデル研究がはじめて発表され,この中で著者らは5mg/kg/日12時間ごとの投与では過剰であることを示唆している(Antimicrob Agents Chemother 59: 3342, 2015).
- 従来の症例報告ではフルオロキノロン系薬,特にモキシフロキサシンのぶどう膜炎との関連が示唆されていた.高齢男性コホートで行われた薬剤疫学の症例対照研究では,ぶどう膜炎発症リスクはモキシフロキサシンが最も高く,シプロフロキサシンがそれに次ぎ,レボフロキサシンの使用はぶどう膜炎との有意な相関はなかった.ほとんどの症例がモキシフロキサシンまたはレボフロキサシンの初回の処方で発症していた(JAMA Ophthalmol 133: 81, 2015).
- 急性熱傷害による生理的変化は,薬剤の分布容積,クリアランス,その他のPK/PD指標に劇的な影響を及ぼす.このレビューは,熱傷患者における抗細菌薬および抗真菌薬のPK/PDについての現在までの知見を集成したものである(J Burn Care Res 36: e72, 2015).
- Divalproexで安定している双極性障害患者が,Ertapenem治療中のバルプロ酸塩濃度の減少により急激な躁転を示した.この薬物の相互作用は,Ertapenemでは他のカルバペネム系薬ほど多くはみられない.メカニズムは,不活性バルプロ酸グルクロン酸抱合物を加水分解し親加合物に戻す酵素である,アシルペプチド加水分解酵素の抑制だと思われる(J Clin Psychopharmacol 35: 348, 2015).
- ボリコナゾールはCYP2C9,CYP2C19,CYP3A4の阻害薬(基質)である.ボリコナゾール代謝の自己誘導が,高用量処方を受ける成人や長期治療例で散発的に報告されてきており,これによって薬物濃度は治療に必要な濃度以下となる.そのメカニズムはまだわかっていない.不良性貧血と侵襲性肺アスペルギルス症の10歳の少女でボリコナゾール自己誘導の可能性が示されたという症例報告が発表された(Pharmacotherapy 35: e20, 2015).
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| 2015年4月 |
最新文献
- 微生物についての重要知見─放線菌.放線菌症は内因性の感染である.放線菌の25種類がヒトで同定されているが,その半分は過去15年で同定されたものである.放線菌属はペニシリンG,その他多くのβラクタム系薬,クリンダマイシンに感受性が強い傾向があるが,メトロニダゾールには生得的に耐性である(Clin Microbiol Rev 28:419, 2015).
- βラクタム系抗生物質の長時間静注は広く行われるようになっている.ただし実施するに際しては以下のような考慮すべき問題がある.1)負荷用量が必要であるかもしれない,2)室温での薬物の安定性が制限要因でありうる,3)使用される注入用量が小さい場合,輸液チューブ内のデッドスペースが薬物用量のかなりの割合を占めてしまう,4)薬物間の非互換性が問題となる可能性がある(Int J Antimicrob Agents 45:461, 2015).
- インテグラーゼStrand-transfer阻害薬(INSTI)の作用機序は,インテグラーゼ酵素の活性部位でのマグネシウムとの結合を含む.これによりINSTIは,多価金属カチオンとのキレート化媒介薬物相互作用を受けることになる.ドルテグラビルのための勧告では,制酸剤やミネラルのサプリメントについては,併用投与を避けるか,または投与の2時間前または投与の6時間後にドルテグラビル投与を行うこととされていた.この論文のデータは,ドルテグラビルは食事と一緒にとる限りCaまたは鉄のサプリメントと同時投与が可能であることを示唆している(J Clin Pharmacol 55:490, 2015).
- 市中肺炎(CAP)で入院した785例の無作為プラセボ対照試験において,経口プレドニゾン(50mg 1日4回)7日間の投与により臨床的安定性が得られるまでの時間が1.4日短くなった.退院までの時間および静注抗生物質継続期間は1日短縮し,CAPに伴う合併症が増加することはなかった.これらの知見は肺炎の重症度(PSI)からは独立していた.ただしプレドニゾンによる高血糖は考慮しておかなければならない(Lancet 385:1511, 2015).
- メトロニダゾールは軽度から中等度のC. difficile感染症のための第一選択薬であるが,近年の無効例の増加はその位置づけを揺るがせるものである.一方で経口バンコマイシンは,依然として重症感染症の治療として優れている.再発の治療のための安全で非常に効果的な戦略として,糞便微生物移植が浮上している(N Engl J Med 372:1539, 2015).
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| 2015年3月 |
FDAによって承認された新薬
- 侵襲性アスペルギルス症またはムコール症の成人のための硫酸Isavuconazonium.Isavuconazoniumはトリアゾール系の抗真菌薬Isavuconazoleのプロドラッグである.投与量は200mg(Isavuconazole)静注または経口8時間ごと・6回投与,その後200mg静注または経口24時間ごと.
最新文献
- 体外式膜型人工肺(ECMO)は抗生物質の薬物動態に影響するかもしれない.βラクタム系薬の投与を受けた重症患者のデータは乏しい.症例対照研究において,ECMO治療は,分布容積,半減期,またはメロペネムあるいはピペラシリン/タゾバクタムのクリアランスに有意な影響を与えなかった(Int J Antimicrob Agents 45: 278, 2015).
- 微生物についての重要知見:Cryptococcus gattii. C. gattiiが原因となるクリプトコッカス症は,免疫不全患者でも免疫正常者でも起こる.髄膜脳炎は臨床上最大の問題である.治療は頭蓋内圧上昇に対する積極的な管理とアムホテリシンB+フルシトシンによる抗真菌治療を含む.デキサメタゾンの補助的使用の意義は不明である(Lancet Infect Dis 15: 348, 2015).
- 薬剤耐性微生物の増加とその速さは,警戒を要するものとなるだろう.治療の選択肢は限られているか存在しないこともあるため,感染のコントロールは困難なものとなり,感染は死亡率と医療コストの増大に結びつく.KPCあるいはNDMβラクラマーゼを産生するカルバペネマーゼ産生グラム陰性桿菌は,最近出現したものであり,それについての総説が発表された(Mayo Clin Proc 90:395, 2015).
- このRCTは市中MRSA流行下の地域にある米国の4つのセンターで行われ,合併のない皮膚感染(蜂窩織炎, 膿瘍>5cm,または両方)の治療について,クリンダマイシン(300mg経口1日3回)とST合剤(2倍力価錠経口1日2回)が比較された.膿瘍はすべて切開とドレナージが行われた.効果と副作用において有意差は認められなかった(N Engl J Med 372:1093, 2015).
- 住血吸虫症が流行している地域において,小児は感染によって最も重い苦しみを負う.2010年にWHOは就学期前の小児の治療推奨を更新した.この論文は小児の住血吸虫症の管理において問題となっていることと知識のギャップを論じている.臨床試験を始めるにあたってプラジカンテル小児用製剤の使用は有用であろう(Pediatrics 135:537, 2015).
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| 2015年2月 |
承認された新薬
- Dutrebis(ラミブジン150mg+ラルテグラビル300mg)はHIV-1感染治療で他の抗レトロウイルス薬との併用で用いられる.食事とは関係なく1回1錠で1日2回投与 .現時点では,米国では市販されておらず,国ごとの販売状況が異なる.
- Evotaz (アタザナビル 300mg+ cobicistat 150mg)はHIV-1感染治療で他の抗レトロウイルス薬との併用で用いられる.1日1回食後に1錠投与.
- Prezcobix(ダルナビル 800 mg+cobicistat 150 mg)はHIV-1感染治療で他の抗レトロウイルス薬との併用で用いられる.1日1回食後に1錠投与.
最新文献
- Rifapentine高用量(/日)投与.この用量範囲試験では,肺結核治療開始後8週間でのRifapentineを高用量投与(1日10,15,または20mg/kg)した群において,リファンピシン群よりも抗Mycobacterium活性が増大していた(Am J Respir Crit Care Med 191: 333, 2015).
- 侵襲性アスペルギルス症のための併用療法.侵襲性アスペルギルス症(IA)が疑われるまたは確認された血液学的悪性腫瘍または造血幹細胞移植患者が,Anidulafungin±ボリコナゾールに無作為に割り付けられた.6週間の全死因死亡率は,X線所見と陽性ガラクトマンナンによるIA診断が確立されていたサブグループにおいて有意に低かった.しかし全死亡率で観察された減少は,統計的に有意ではなかった(Ann Intern Med 162: 81, 2015).
- エボラ出血熱の最新情報.エボラ出血熱の治療の中心は,早期発見,確実な隔離,最適な支持療法である.最もよく知られている新たな治療薬はZMapp,タバコ植物で発現する3ヒト化モノクローナル抗体の組み合わせである.Brincidofovir,Favipiravir,その他いくつかの薬剤も検討されている.ワクチン試験が進行中である(BMJ 349: g7348, 2014).
- Telavancinの総説.リポグリコペプチド系薬Telavancinは,細胞壁の傷害,かつ細胞膜バリアー機能の破壊により殺菌作用を示す.発表されているデータは限られたもので,菌血症,S. aureus感染症の治療における有効性が示唆されるが,さらなる臨床経験が必要である.腎毒性は問題となりうる(Clin Infect Dis 60: 787, 2015).
- 微生物についての重要知見:Clostridium difficile.C. difficile感染症(CDI)の発生率と重症度は2000年以降増加している.メトロニダゾール 500mg経口1日3回×10〜14日は軽症〜中等症CDIに,バンコマイシン 125mg経口1日4回×10〜14日はより重症のCDIに推奨される(再発のリスクが重大な場合はFidaxomicin 200mg経口1日2回×10日).バンコマイシン 500mg経口1日4回±バンコマイシン 500mg経直腸1日4回,+メトロニダゾール 500mg 静注8時間ごとは合併症のある重症CDIに推奨される(JAMA 313: 398, 2015).
- 小児へのダプトマイシン.FDAやEMAはダプトマイシンの小児患者での使用を承認していない.この患者集団でのダプトマイシンの薬物動態学との臨床知識の間の重大なギャップがこの文献に要約されている(J Antimicrob Chemother 70: 643, 2015).
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| 2015年1月 |
承認された新薬
- Ceftolozane-tazobactam (Zerbaxa)は,複雑性腹腔内感染症(メトロニダゾール併用)および複雑性尿路感染成人患者の治療に適応あり.これは2014年に認められた4番目の新抗細菌薬である.推奨用量は1.5gm静注8時間ごと.
- Finafloxacin 0.3% 耳用懸濁液(Xtoro)は,1歳以上の患者のP. aeruginosaおよびS. aureusによる急性外耳炎の治療に適応あり.推奨用量は患耳に12時間ごとに4滴を7日間.
- ペラミビルは, 18歳以上の患者の合併症のない急性インフルエンザ治療のための静注ノイラミニダーゼ阻害薬であり,発症48時間以内に処方する.推奨投与量は600mg静注1回.
- Viekira Pakは,代償性肝硬変の患者を含む,遺伝子型1慢性C型肝炎,成人患者の治療に適応あり(±リバビリン).製品はombitasvir/paritaprevir/リトナビル固定用量の錠剤とダルナビル錠の同時パッケージングである.推奨用量はombitasvir/ paritaprevir/リトナビル錠を毎朝2錠と,dasabuvir錠を朝と夕に1錠ずつである.
最新の文献
- 市販のβラクタマーゼ阻害薬第1号であるクラブラン酸は,1972年に発見された.スルバクタムは1978年に,続いて1984年にタゾバクタムが世に出た.Avibactam,Relebactamなどのような新βラクタマーゼ阻害薬は,既存の抗生物質に対する併用薬として研究されている.これらの薬剤は期待されるが,その意義はまだ確実ではない(Ann Pharmacother 49: 86, 2015).
- 微生物を知ること:Kingella kingae. グラム陰性球桿菌 K. kingaeは,小児菌血症と骨/関節感染の重要な原因菌として注目を集めている.一般人口における心内膜炎の全症例の約6%を占める選好性グラム陰性菌のグループHACEKの「K」である.K. kingaeは,抗生物質の影響を非常に受けやすいという傾向がある.セフトリアキソンは良い選択である(Clin Microbiol Rev 28: 54, 2015).
- 2週間の旅行中での旅行者の下痢(TD)の発生率は10〜40%である.ほとんどの症例は,腸管内病原菌によって引き起こされる. TDのための抗生物質による化学的予防は,一般的に推奨されない.Bismuthまたはロペラミドは,中等度TDの治療には通常は効果的であるが,中等度から重度TDにはフルオロキノロン系薬が基本的にはベストな第一選択である.アジスロマイシンはCampylobacterの検出頻度が高い地域で好まれている(JAMA 313: 71, 2015).
- 妊娠中の抗真菌薬.この問題に関する最新の総説の発表以降に,FDAによって承認された抗真菌薬はAnidulafungin,ミカファンギン,Posaconazoleである.他のアゾールとポリエンに関する追加的データが最近,明らかになった(J Antimicrob Chemother 70: 14, 2015).
- 慢性炎症性肺および皮膚科的疾患,慢性歯周炎,胃腸運動障害,関節リウマチおよび悪性腫瘍などに対して抗菌薬が抗感染以外の目的で使用されることがある.これらの使用のほとんどはFDAに承認されておらず,支持する文献の質はさまざまである(Mayo Clin Proc 90: 109, 2015).
最新の診療ガイドライン
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| 2014年12月 |
承認された新薬
- 11月末に欧州委員会は1日1回の固定用量抗レトロウイルス治療薬Rezolsta(darunavir 800mg+cobicistat 150mg)を承認.この合剤は(Prezcobixとして)6月にカナダで承認されている.
最新の文献
- セファロスポリン系は,免疫溶血性貧血(IHA)を誘導する傾向があると思われる.特に問題なのはセフォテタンとセフトリアキソンである.セフトリアキソン治療患者におけるIHA症例の大部分は小児の報告であり,結果は深刻である(Ann Pharmacother 48: 1594, 2014).
- 現在利用可能なHBV治療の選択肢は,ウイルス複製を抑制するが,ウイルスを根絶はしない.最近の2つのレビューは,臨床医がただちに治療を必要とする患者と,治療は開始せず当面経過観察でよい患者を選別するための参考になる(Clin Gastroenterol Hepatol 12: 16, 2014; Lancet 384: 2053, 2014).
- トラコーマは,失明の最も一般的な感染性の原因である.WHOは1997年の決議で,2020年までにトラコーマによる失明を排除するための世界的な協力体制を設けることとした(GET 2020).GETキャンペーンが提唱する管理と予防のための戦略はSAFEと呼ばれる:Surgery(手術),Antibiotics(抗菌薬),Facial cleanliness(顔の衛生),Environmental improvements(環境改善)(Lancet 384: 2142, 2014).
- 病原体,non-typeable H. influenzaeを知る.non-typeable H. influenzaeは,b型(Hib)のような莢膜はもたない.しかし,病原体としてより注目され,βラクタマーゼ陰性アンピシリン耐性株(BLNAR)の出現と普及は注意をひいている(Lancet Infect Dis 14: 1281, 2014).
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| 2014年11月 |
承認された新薬
- Ledipasvir/ Sofosbuvir(Harvoni)は慢性C型肝炎genotype Iの治療薬であり,インターフェロンまたはリバビリンとの併用を必要としない処方として最初に承認された.
最新の文献
最新の診療ガイドライン
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| 2014年10月 |
エボラウイルス病(EVD) 最新情報
- 2014年9月下旬にダラスとテキサスで診断されたEVD症例を受けて,CDCは勧告を改訂した(CDC Health Advisory):
- 症状(発熱,悪心,嘔吐)発症前21日以内の旅行歴(西アフリカへの/からの)の確認を徹底して行うこと.
- EVD流行国(リベリア,シエラレオネ,ギニア)への旅行歴があり,症状を発症した個人を隔離すること:浴槽付きの個室で,標準的な医療従事者用の保護具(ガウン,マスク,医療用ゴーグル,手袋)を使用すること.
- 地域(州)の保健機関に届け出ること.
承認された新薬
- 4剤合剤スタリビルドのインテグラーゼstrand-transfer阻害薬成分Elvitegravirが単剤として承認された.その適応は,プロテアーゼ阻害薬,リトナビルその他の抗レトロウイルス薬を含む処方が奏効しない場合であり,腎機能低下患者での使用も可能である.
- Cobicistatは,HIV治療において他剤と併用されたアタザナビル,ダルナビルの効果増強剤として承認された.
最新の文献
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| 2014年9月 |
最新の文献
- 脳(神経)嚢虫症のための併用療法.複数の脳嚢腫がある患者では,アルベンダゾール+プラジカンテルの駆虫有効性は,アルベンダゾール単独よりも優れ,副作用の増加もなかった(Lancet Infect Dis 14:687, 2014).
- Artemether/Lumefantrineは妊娠初期に安全であることのさらなるエビデンス.妊娠第1期にArtemether/Lumefantrine を抗マラリア薬として投与された164例のタンザニアの妊婦に副作用は認められなかった.一方,キニーネは有害事象と関連していた(Malaria J 13:197, 2014).
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| 2014年8月 |
エボラ出血熱の可能性についてのCDCガイドライン
- CDCは最新のCDC Health Advisoryのなかで1)エボラ出血熱を疑うべきケースに関して,医療従事者および州と地域の保健部門むけの最新のガイダンスを示し,2)何を検体として,どのように診断の検査を実施するのかを明らかにし,3)病院の感染対策ガイドラインを示した.
米国におけるチクングニヤ熱
- 2006年から2013年まで米国では,チクングニヤウイルス感染の陽性反応を示した新規患者数は28人/年であった.すべては流行地からやってきた旅行者か,帰国者である.484例は2014年8月5日までにArboNETに報告されていて,このうち472例はカリブ海や南米の流行地からの帰国者が発症したものだった.症例数およびその他の情報は毎週更新されており,次のサイトで見ることができる(CDC-Chikungunya virus in the United States).
承認された新薬
- Oritavancinは,感受性のあるグラム陽性球菌(MRSAを含む)によって引き起こされる成人の皮膚および皮膚組織感染症の治療について承認を得た.Oritavancinは長い半減期(245時間)を有しているために,1回投与が可能である.
- ドルテグラビル,アバカビル,ラミブジンとの合剤であるTriumeqがHIV-1感染の治療に承認された.これは,FDAに承認された4番目のall-in-oneの合剤であり,テノホビルが含まれていない唯一のall-in-one製剤である.ドルテグラビルはインテグラーゼstrand-transfer阻害薬(INSTI)で,アバカビルとラミブジンはヌクレオシド逆転写酵素阻害薬である.
最新の文献
- ホスホマイシンは昔からある薬剤だが,in vitroでESBL産生腸内細菌科,カルバペネム耐性Enterococcusに活性があり,多剤耐性Pseudomonasにも活性の可能性がある.米国では静注剤が発売されておらず,臨床試験が乏しいという点が難点であるが,今後の研究が期待される(Pharmacotherapy 34: 845, 2014).
- Mayo ClinicにおけるRothia菌血症に関する10年間の経験がまとめられ報告された.臨床的な血流感染はすべてR. mucilaginosaによるものであり,検査を行ったすべての分離株はバンコマイシンおよびほとんどのβラクタム系薬に感受性があった.ただし,検査した分離株6株中4株はOxacillin耐性だった(J Clin Microbiol 52: 3184, 2014).
- イミペネム,メロペネム,Ertapenem,ドリペネムの副作用としてのけいれんを比較した最初のメタ解析によれば,非カルバペネム系薬の投与を受けた患者と比較して,カルバペネム系薬投与患者ではけいれんの発症率が高かった.しかし,それぞれの薬剤のけいれん誘発リスクについて,有意義な結論は得られていない(J Antimicrob Chemother 69:2043, 2014).
- 脾摘後の敗血症は致命的なことがあり,これを予防するためには,教育,ワクチン,一部の患者では予防的抗菌薬投与,発熱時の迅速な経験的治療が必要である (N Engl J Med 371:349, 2014).
最新の診療ガイドライン
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| 2014年7月 |
CDCからの新たなHIV臨床検査の推奨
- CDCは,HIV感染の臨床検査に関する勧告を更新した.検査はHIV- 1/HIV-2抗体およびHIV-1 p24抗原を同時に検出する免疫測定法で開始される;陽性検体は,HIV-1抗体とHIV-2抗体を鑑別する免疫測定法の補足検査を受ける.新しいアルゴリズムでは,以前に推奨されていたウェスタンブロットによる検査手順よりも診断が3〜4週間早く行える(CDC「HIV診断のための臨床検査アルゴリズム」2014改訂版).
最新の文献
- 2012年の米国での百日咳患者数は過去半世紀で最大となった.抗菌薬は主に病気の拡大予防のために使用されている.この古くからある病気の疫学,診断,治療および予防における進歩についての総説が発表された(Chest 146:205, 2014).
- Bartonella属(主にB. henselae,B.quintana,およびB. bacilliformis)のヒトへの感染の治療は難題である.赤血球内で増殖することが本菌にとって保護的に働くために,頻繁に再発が起こる.このレビューは本菌の病原性に論じつつ,最新のデータと治療勧告をまとめたものである(INT J Antimicrob Agents 44: 16, 2014).
- 中枢神経系の糸状菌感染治療を成功させるためには,早期診断,適切な抗真菌療法,神経外科的評価と介入,宿主免疫学的障害の管理が必要である.Aspergillus,Fusarium,Scedosporium属,ケカビ目,黒色真菌による感染症の疫学,微生物学,臨床症状および治療に関する総括が発表された(N Engl J Med 371: 150, 2014).
- ボリコナゾールは患者によって血漿濃度が大きく異なるが,その原因としては,薬物動態の非線型性,薬物相互作用,合併する肝疾患の影響と並んで主要代謝酵素であるCYP2C19の遺伝子多型があげられる.今やCYP2C19遺伝子型に基づいて初期用量設定を行うべきなのだろうか?(Pharmacotherapy 34:703, 2014.)
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| 2014年6月 |
西アフリカにおけるエボラ出血熱:最新情報
- 現在西アフリカで起こっているエボラウイルス病(EVD)の流行は,かつてない規模のものである.6月18日までに,ギニア,リベリア,シエラレオネで528症例(臨床検査で確定診断された例,おそらくそうであろうと思われる例,疑わしい例)と337例の死亡が報告されている.より詳しい情報はCDC MMWRホームページを参照のこと.
最新の文献
新薬承認
- Efinaconazole 10%溶液は,T. rubrumおよびT. mentagrophytesによる足爪真菌症の局所治療薬として最初に承認されたトリアゾール系抗真菌薬である.
- オキサアゾリジノン系Tedizolid経口および静注は,MRSAを含む原因菌によって引き起こされる皮膚および皮膚組織感染に対する治療として承認された.半減期が12時間であることから,1日1回投与が可能である.
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| 2014年5月 |
CDC勧告:MERS-Co V
新薬承認
- Dalbavancinは,MRSAを含むグラム陽性菌による成人の皮膚および皮膚構造感染治療薬として承認された.
最新の文献
最新の診療ガイドライン
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| 2014年4月 |
西アフリカでのエボラ出血熱の流行
最新の診療ガイドライン
C型肝炎関連の最新情報
最近の文献
新剤形・新適応
- Miltefosineは12歳以上の内蔵,皮膚,粘膜リーシュマニア症への適応が承認された.
- メトロニダゾール1.3%膣ゲルは細菌性膣症に対する新しい単剤処方薬である.メトロニダゾール0.75%ゲル1塗布器全容量を就寝時に塗布・5日は,細菌性膣症に対する局所治療としてCDCに推奨されている.
- Posaconazoleは遅延放出錠と経口懸濁液が市販されていたが,最近静注製剤(1バイアル中300mg)が発売された.承認された適応は侵襲性アスペルギルス症およびカンジダ症の予防であり,用量は300mg静注・第1日,その後300mg静注1日1回.
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| 2014年2月〜3月 |
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最近の文献
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| 2014年1月 |
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最新/改訂の診療ガイドライン
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米国肝臓学会(AASLD)と米国感染症学会(IDSA)は米国国際抗ウイルス協会(IAS-USA)と共同で,新たなC型肝炎治療のガイドライン(特に新しいDAAs[Direct -Acting Agents]を重点的にとりあげた)を発表した.http://www.hcvguidelines.org.
最近の文献
新しい剤形
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ラルテグラビル100mg/5mL経口懸濁液(1回使用パック).フィルムコート錠とチュアブル錠はすでに発売中(注:日本ではフィルムコート錠のみ).
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| 2013年12月 |
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最新/改訂のプラクティスガイドライン
最近の文献
慢性C型肝炎の新薬承認
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C型肝炎NS3/4プロテアーゼ阻害薬であるシメプレビルが慢性C型肝炎治療に対して承認された.有効性は,肝硬変を含む代償性肝疾患を伴うgenotype 1感染患者を対象にペグインターフェロン+リバビリンとの併用で確立されている.用量は150mg経口1日1回・食事とともに.
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SofosbuvirはHCV NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害作用を有するヌクレオチド誘導体である.リバビリンまたはリバビリン+ペグインターフェロンとの併用で用いられる.用量は400mg経口1日1回・食事の影響を受けない.
新製剤/適応拡大
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Posaconazoleは経口懸濁液が販売されているが,このたび100mg遅延放出錠が発売された.この新製剤の適応はCandidaおよびAspergillusの侵襲性感染に対する予防のみである.承認された錠剤の用量は1日目300mg1日2回,その後300mg1日1回(食事とともに).
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| 2013年11月 |
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最新のプラクティスガイドライン
最近の治験および総説
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プロバイオティックスにとっては悪いニュース;多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験が65歳以上で1年以上経口または注射による抗菌薬曝露を受けた入院患者を対象に行われたが,ラクトバチルスおよびビフィドバクテリウムの複数株製剤は,抗菌薬関連下痢またはC. difficile感染に対しては無効であった(Lancet 382: 1249, 2013)
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フルシトシンがヒトのクリプトコッカス感染症に最初に使用されたのは1968年であった.クリプトコッカス症に対するこの優れた薬剤の薬理学と現在の役割について,概説が公表された(J Antimicrob Chemother 68: 2435, 2013).
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フランスのICUで行われた,多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験では,人工呼吸器関連肺炎(VAP)の疑いがある患者に対する補助的なシンバスタチン投与(60mg/日)は,28日での死亡率および他の二次効果指標をまったく改善しなかった(JAMA 310: 1692, 2013).
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Cobicistatは,それ自体は抗HIV活性をもたない特異的CYP3A阻害薬であり,Elvitegravir,エムトリシタビン,テノホビルを含む合剤の一部として用いられる.Cobicistatの薬理学,臨床データ,治療上の役割についてまとめた総説が公表された(Pharmacotherapy 33: 1107, 2013).
薬剤の安全性
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リツキシマブまたはオファツムマブ治療患者でのHBV再活性化に関する一連の報告を受け,FDAは添付文書の改訂を勧告した.HBV再活性化に関して,リツキシマブのBoxed Warningに追加されるとともに,オファツムマブでは新たにBoxed Warningが設けられた(FDA関連情報).
新薬認可
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ルリコナゾール1%クリーム(Imidazole局所製剤)は,18歳以上の患者におけるT. rubum,E. floccosumによる足部指間白癬に対して承認された.局所ルリコナゾールは,日本では2005年から販売されている.
新剤形および適応拡大
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FDAは10月下旬,エコナゾール1%局所エアゾールを12歳以上の患者におけるT. rubum,T. mentagrophytes,E. floccosumによる足部指間白癬に対して承認した.エコナゾールは従来米国では1%クリームが販売されていた.
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FDAは最近,髄膜炎菌4価ワクチンの適応年齢を≧2ヵ月まで拡大した.このワクチンは血清群A,C,W-135,Yに対するものである(Bは含まれない).従来の適応は2歳以上であった(Med Lett 55: 92, 2013).
新薬開発情報など
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2013年10月24日,Cubist PharmaceuticalsはOptimer Pharmaceuticalsを買収し、Fidaxomicinの製造販売の権利を得た.Cubist Pharmaceuticalsが現在販売している抗菌薬は,Tedizolid,Ceftolozane/Tazobactam,Surotomycinである.
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| 2013年10月 |
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最新のプラクティスガイドライン
薬剤の安全性
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2013年8月15日FDAは全フルオロキノロン系薬(経口/静注)について,添付文書および投薬ガイドで末梢神経障害の可能性についてより詳細な記述をするよう声明を発表した.この副作用は2004年から添付文書の注意すべき副作用に含まれている.
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2013年9月27日FDAはチゲサイクリンについて,FDA承認あるいは未承認の適応のいずれについても死亡リスクが上昇するとする新しい警告を発表した.この動きはDrug Safety Communicationが2010年9月に本件についての懸念を表明した後に行われた承認適応についての追加解析に基づくものである.
新薬承認
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2013年8月12日,FDAはインテグラーゼ阻害薬,Dolutegravir(Tivicay)について,未治療または既治療(インテグラーゼ阻害薬を含む)の成人HIV感染患者への使用を認可した.同時に12歳以上で体重>40kgの未治療または既治療(ただしインテグラーゼ阻害薬は含まない)の小児への使用も認められた.(→AIDS Infoの関連記事)
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| 2013年10月 |
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最新のプラクティスガイドライン
薬剤の安全性
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2013年8月15日FDAは全フルオロキノロン系薬(経口/静注)について,添付文書および投薬ガイドで末梢神経障害の可能性についてより詳細な記述をするよう声明を発表した.この副作用は2004年から添付文書の注意すべき副作用に含まれている.
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2013年9月27日FDAはチゲサイクリンについて,FDA承認あるいは未承認の適応のいずれについても死亡リスクが上昇するとする新しい警告を発表した.この動きはDrug Safety Communicationが2010年9月に本件についての懸念を表明した後に行われた承認適応についての追加解析に基づくものである.
新薬承認
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2013年8月12日,FDAはインテグラーゼ阻害薬,Dolutegravir(Tivicay)について,未治療または既治療(インテグラーゼ阻害薬を含む)の成人HIV感染患者への使用を認可した.同時に12歳以上で体重>40kgの未治療または既治療(ただしインテグラーゼ阻害薬は含まない)の小児への使用も認められた.(→AIDS Infoの関連記事)
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