日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

フルコナゾール  (2025/09/02 更新)
FLCZ
主な商品名:ジフルカン,プロジフ

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
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Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

通常用量
100~400mg 24時間ごと

 3. 小児用量

用量(生後>28日)
6~12mg/kg/日(1日1回)
最大/日

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
20~50
半減期(時間)(ESRD)
100
用量(腎機能正常)
100~400mg静注/経口 24時間ごと
腎障害時の用量
CrCl>50:用量調整不要
CrCl≦50:50~200mg24時間ごと
血液透析
透析のない日は50~200mg24時間ごと
透析日は100~400mg (フルドーズ)を透析後投与
CAPD
50~200mg24時間ごと
CRRT
少なくとも通常用量の2倍が示唆されている1
SLED
800mg初回,その後400mg12時間ごと(前/後 SLED).初回用量を8時間の透析処置の開始時に投与,または次回透析の16時間前に投与2
  1. J Crit Care 85:154924, 2025
  2. Clin Nephrol 86: 43, 2016

 5. その他の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
24時間AUC/MIC
剤形
錠:50,100,150,200mg
経口懸濁液:10mg/mL,40mg/mL
注射剤
食事に関する推奨(経口薬)1
錠,経口懸濁液:食事の影響なし
経口吸収率(%)
>90
Tmax(時間)
1~2(経口)
最高血清濃度2(μg/mL)
6.7~14(400~800mg,SD)
最高尿中濃度(μg/mL)
少なくとも血漿濃度の10倍
蛋白結合(%)
11~12
分布容積3(Vd)
50 L(V/F)
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
30
排泄

胆汁移行性5(%)
データなし
脳脊髄液/血液6(%)
80
治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性7
あり
AUC8(μg・時間/mL)
140(3mg/kg,0~inf)
  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

薬物が基質となるCYP450

薬物が基質となるトランスポーター

薬物が基質となるUGT

薬物が阻害するCYP450
CYP2C9,CYP2C19,CYP3A4
薬物が阻害するトランスポーター
-  
薬物が阻害するUGT

薬物が誘導するCYP450
-  
薬物が阻害するトランスポーター

薬物が阻害するUGT

血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響とは,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度のことをいう.↑:上昇,↓:低下

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他の影響)
推奨される対応
アミトリプチリン
アミトリプチリン↑
モニター,用量調整
アポモルヒネ1
QT延長のリスク
併用を避ける
アルテメテル・ルメファントリン2
ルメファントリン↑がありうる
併用を避ける
ベダキリン1
ベダキリン↑がありうる
併用を避ける
Ca拮抗薬
Ca拮抗薬↑
モニター,用量調整
カルバマゼピン
カルバマゼピン↑
モニター,用量調整
Chloroquine phosphate2
Chloroquine↑がありうる
避ける,またはモニター
クラリスロマイシン2
クラリスロマイシン↑(軽度)
モニター
シクロスポリン
シクロスポリン↑
モニター,用量調整
エプレレノン
エプレレノン↑
モニター,用量調整
エリスロマイシン2
エリスロマイシン↑がありうる
併用を避ける
フェンタニル1
フェンタニル↑
併用を避ける
Fexinidazole
M1,M2(Fexinidazole)代謝物↓
モニターまたは避ける
メフロキン2
メフロキン↑がありうる
避ける,またはモニター
ミダゾラム
ミダゾラム↑
モニター,用量調整
経口血糖降下薬
経口血糖降下薬↑
モニター,用量調整
フェニトイン1
フェニトイン↑
モニター,または避ける
ピモジド
ピモジド↑
禁忌
プロトンポンプ阻害薬
プロトンポンプ阻害薬↑
モニター,用量調整
クエチアピン1
QT延長のリスク↑
併用を避ける
Quinine2
Quinine↑が予測される,FLCZ↑がありうる
避ける,またはモニター
ラノラジン1
ラノラジン↑
併用を避ける
リファブチン2
リファブチン↑
慎重に使用;モニター,用量調整
リファンピシン2
FLCZ↓
モニター,用量調整
Rifapentine2
FLCZ↓が予測される
モニター,用量調整
シロリムス1
シロリムス↑
避ける,またはモニター(TDM)
タクロリムス
タクロリムス↑
併用を避ける
テルビナフィン
テルビナフィン↑
モニター
テオフィリン
テオフィリン↑
モニター,用量調整
トリアゾラム
トリアゾラム↑
モニター,用量調整
ワルファリン
ワルファリン↑
INRをモニター,用量調整
ジドブジン
ジドブジン↑
併用を避ける
  1. J Antimicrob Chemother 79: 1203, 2024
  2. HHS日和見感染臨床ガイドライン(2025年7月14日改訂)
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2025/09/01