日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

小児でのART開始  (2024/04/23 更新)


小児では,
いつARTを開始するか

  • 現在では,すべての小児患者で抗レトロウイルス治療(ART)の迅速な開始が推奨されている.生涯にわたって治療が奏効するような処方を選択することは困難である.小児でのアウトカムに関する特異的なデータは,成人よりも少なく,開始時期に関する成人でのSTART試験に相当する臨床試験は存在しない.ガイドラインは小児での自然経過研究と成人を対象とした研究からの外挿により作成されている.蓄積されたエビデンスでは小児における早期治療が支持されている.
  • 生存率および健康状態の改善,神経系の成長,免疫機能,ウイルス保有宿主,ウイルス抑制などに有用な可能性がある.
  • HIV感染小児の25~35%は急性進行性である.
  • ウイルス量とCD4は進行の速さに関連するが,生後1年以内に急性進行性かどうか正確に判定することはできない.
  • 南アフリカのCHER研究では,無症候の感染乳児のうち,<12週で治療を開始した群の生存率は症状出現を待って治療を行った群よりも改善していた(4th AIDS Conference on HIV Pathogenesis, Treatment and Prevention 2007 Sydney Abstract LB WES103).
  • ウイルスの免疫的制御は生後1年間に限られる.
  • HIV脳症,他の神経学的障害,心臓イベントが若年者で起こることがある.
  • したがって,現在では,病期にかかわらずすべての小児にARTが推奨される.
  • 心理社会的または臨床的考慮により治療開始を待機する必要のある場合がある.

治療開始についてのガイドライン

  • 3種類のガイドラインが作成されている.
  • 最近改訂された2つのガイドラインは,可能ならば病期にかかわらずHIV感染小児全員の治療を推奨している.WHOのガイドラインは改訂が待たれている.
  • どのガイドラインも,アドヒアランスを確実にするための教育,および,効果,安全性をルーチンでモニターする必要性を強調している.
年齢
DHHS2017
PENTA2015
(改訂2016)
WHO2017
<12カ月
治療
全例(AI)ただちに.アドヒアランスに関してただちに議論し,1~2週以内に治療を開始
治療
全例
治療
全例
12~<24カ月
治療:
全例(AI)
迅速ART開始(診断後ただちにまたは数日以内に開始することと定義される).同時にアドヒアランスの重要性およびその後のアドヒアランスサポート提供について議論することを,すべてのHIV感染小児で推奨している.
治療:
全例
治療:
・HIV感染のすべての小児(条件付き推奨)
24~36カ月
36カ月~6歳
治療:
・全例
>6歳
治療:
全例(AI)
迅速ART開始(診断後ただちにまたは数日以内に開始することと定義される).同時にアドヒアランスの重要性およびその後のアドヒアランスサポート提供について議論することを,すべてのHIV感染小児で推奨している.
 
治療:
・すべての小児(条件付き推奨,エビデンスの質は低い)

・CD4細胞<350/μLまたはWHO臨床病期3または4(優先度が高い)では強い推奨.エビデンスの質は中等度


  • PENTA:PENTA運営委員会. HIV-1感染小児における抗レトロウイルス治療に関するPENTA 2019年ガイドライン.
  • DHHSの推奨では,推奨の強さをA~C,エビデンスの強さをI~IIIで表す.
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2024/04/23