日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

COVID-19,mRNAワクチン(5歳以上)  (2026/03/03 更新)
COVID-19ワクチン 2023~2024,2024~2025,年齢5歳以上


ワクチン/ワクチンの適応

はじめに
2025-2026ワクチン
  • FDAは以下のCOVIDワクチンを2025-2026製剤として承認(2025年8月まで)
  • スパイクバックス(LP.8.1変異株標準用量,モデルナ)は,生後≧6ヵ月で疾患を有する人および≧65歳の全員を対象として承認された.
  • mNexspike(LP.8.1変異株低用量,モデルナ)は,年齢≧12歳で疾患を有する人および≧65歳の全員を対象として承認された.
  • 追加接種としてのみ使用.初回ワクチン接種コースとしてではない.
  • コミナティ(LP.8.1株標準用量,ファイザー)は,年齢≧5歳で疾患を有する人および≧65歳の全員を対象として承認された.
  • 現在は生後6ヵ月~4歳の小児での使用は認められていない.
  • ヌバキソビッド(JN.1変異株,2024-25ワクチンと同じ,ノババックス)は,年齢≧12歳で疾患を有する人および≧65歳の全員を対象として承認された.
  • 全製品の添付文書の臨床的検討事項:
  • 「SARS-CoV-2に感染した妊婦は,妊娠していない人に比べてCOVID-19の重症化リスクが高くなる」とだけ書かれており、それ以上の具体的な指示はなかった.
  • CDCガイドライン(2025年11月4日:下記の「ワクチンの適応」を参照)
  • 成人≧65歳:個人の意志決定に基づくワクチン接種.年2回
  • 生後6ヵ月から64歳までの個人:年ごとのワクチン接種は個人の意思決定に基づく-ワクチン接種のリスク・ベネフィットは,重症化リスクが高い個人にとって最も有利であることを強調.
  • CDCはCOVID-19のリスク因子を挙げている.
  • 妊娠は改訂されたCDCリスク因子リストに含まれている.
  • リスクが増加する対象には,医療従事者,長期療養施設やその他の集合住宅の入居者や従業員が含まれる.
  • COVID-19重症化リスクを高める要因を自己申告し,COVID-19 ワクチン接種を受けることができる.
  • 特定の背景疾患のある場合には,毎年追加接種を行う.
  • すべての小児,健康な成人,妊婦に定期的なCOVIDワクチン接種を推奨する権威ある専門機関によるエビデンスに基づくガイドライン2025:
組織
リンク
米国感染症学会(IDSA)
免疫不全者2025ガイドライン-免疫不全患者での季節性COVID-19,インフルエンザ,RSV感染予防のためのワクチン使用
米国小児科学会(AAP)
小児および青少年2025年 推奨されるワクチン接種スケジュール
乳児:政策声明,乳児,小児,青少年のためのCOVID-19ワクチン
米国産科婦人科学会(ACOG)
妊娠中母胎免疫ガイダンス-COVID-19,インフルエンザ,RSV
産婦人科診療COVID-19ワクチン接種検討事項
米国家庭医療学会(AAFP)
全成人,小児および家庭2025年秋ワクチン接種推奨事項(COVID-19,インフルエンザ,RSV)および表
成人および小児2025年を通してのワクチン接種表

リスク因子を自己申告していない健康な小児,成人,または妊婦の場合,多くの薬局や医療機関ではワクチン接種を行う前に本人の申告または医療提供者との共有意思決定の証明を求めている.中等度および重度の免疫不全患者への追加投与を含め,投与量は依然として複雑である(下表参照)


ワクチン
  • オミクロンJN.1系統のワクチン
  • モデルナとファイザー・ビオンテック:LP.8.1株
  • ノババックス:JN.1株
  • コミナティ(ファイザー)COVID-19ワクチン,mRNA(2025-2026型)
  • スパイクバックス(モデルナ)COVID-19ワクチン,mRNA(2025-2026型)
  • mNexspike(モデルナ)COVID-19ワクチン,mRNA(2025-2026型)
  • 65歳以上,または12〜64歳で1つ以上の高リスク条件があり,いずれかのCOVID-19ワクチン接種歴(≧3ヵ月)がある.
  • 副作用軽減のためスパイクバックスが50μgであるのに対し,10μgに減量されている.スパイクバックスとは構成成分が異なる.スパイクバックスに含まれる最も重要かつ比較的よく保たれた抗原決定基のみにすることで,投与量の削減が可能になった.
  • ヌバキソビッド(ノババックス)COVID-19ワクチン,アジュバント(2024-2025型)は12歳以上の一部の人での選択肢
ワクチンの適応(米国)
  • 2025-26ワクチンの適応とスケジュールは,年齢,免疫状態,過去のワクチン接種歴に基づく.
  • 推奨される年齢相応のワクチンが複数存在する場合,特定のCOVID-19ワクチンを他のワクチンよりも優先的に使用することを推奨するものではない
  • COVID-19ワクチン接種の推奨は,過去のSARS-CoV-2感染(有症状または無症状)の有無にかかわらず適用される.これには長期COVID患者も含まれる.
  • 感染からワクチン接種までの期間を長くすると,ワクチン接種に対する免疫反応が改善されるため,また,この期間は再感染のリスクが低いと考えられるため,症状発現または陽性反応から3ヵ月間はワクチン接種を延期することを考慮する.
  • 感染の既往がある人がワクチン接種により獲得する「ハイブリッド免疫」は,T細胞とB細胞反応の増大と関連しており,感染またはワクチン接種だけよりも,重症化に対する良好な予防につながっている.
  • 急性症状から回復し,隔離が終了するまでワクチン接種は延期する.
米国CDC COVID-19ワクチン接種スケジュール
  • 2つのモデルナ社製ワクチン(スパイバックスとmNexspike)は,個々のワクチン名が関連しない限り以下では総称してモデルナと表記する.
  • 注:mNexspikeは5~11歳の年齢層には承認されていない.
  • ワクチン接種スケジュールは接種日の年齢に基づく.
年齢5~11歳の健常者
  • 年齢12~64歳の健常者
  • 年齢≧65歳の健常者
WHO承認のCOVID-19ワクチン
  • WHOは,ほとんどのCOVID-19ワクチンについて,単純化した一回処方による初回接種を,国家的優先課題として適格であるとして推奨している.
  • 健康な小児および妊娠していない成人への再接種/追加接種は推奨されていない.
  • 2023年のWHO SAGE公式ガイドラインに基づく
  • 2026年後半に更新されたガイドラインが発表される予定
  • WHOの事前認定で製薬会社が維持しているワクチンは4種類のみ
  • Bimervax,コミナティ,Covovax,ヌバキソビッド
  • WHOは現在ではCOVID-19ワクチンの緊急時使用リストを出していない
EMA承認のCOVID-19ワクチン

効果,予防効果持続期間

  • 直近のCOVID-19ワクチン接種からの時間が,接種された累積回数よりも重要である(抗原構成にかかわらず).
  • IVY/VISIONネットワークによる,ワクチン接種後7~179日目の,シーズン中のワクチン接種なしとの比較における2024-25ワクチンの有効性.
  • ≧18歳:救急外来/緊急治療室搬送に対して34%
  • ≧18歳:入院に対して約34~47%
  • ≧65歳:免疫正常者の入院に対して44~46%
  • ≧65歳:人工呼吸器使用または死亡に対して70%
  • 2024-2025のCOVID-19ワクチン接種と米国退役軍人におけるCOVID-19の転帰との関連性.6ヶ月時点でのVEは,入院に対して39.2%,COVID-19関連死亡に対して64.0%であった(N Engl J Med 393: 1612, 2025).

選択,互換性

  • CDC,FDA,IDSA,AAFP,ACOGのガイドラインでは,「2025-2026 COVIDワクチン」について,過去のワクチン接種歴がどうあろうとも,特定のワクチン(モデルナ スパイクバックス,モデルナ mNexspike,ファイザー,ノババックス)が好ましいということはないとしている.
  • 限られた臨床試験と実臨床での経験に基づいてではあるが,mNexspikeは65歳以上の患者において力価と有効性が段階的に向上している.
  • 現時点では,スパイクバックスよりもmNexspikeの方を選択することを支持するガイドラインはない.
  • 祖先株モデルナワクチンはファイザーワクチンよりも,VEおよび予防効果持続期間の双方についてわずかに優位であったとする再現性のあるデータがある(一価ワクチンではmRNA量が多い).
  • PemivibartはCOVID-19ワクチン接種の替わりとなるものではない.
  • 中等度~重度の免疫不全がある場合には,推奨されたスケジュールに従ってワクチン接種を受けなければならない.
  • Pemivibart投与は,COVID-19ワクチン接種の少なくとも2週間後まで延期しなければならない.
  • 推奨がある場合には,つねに同じCOVID-19ワクチンを接種する必要がある.
  • ワクチン接種が推奨されている場合,以下のような場合には例外的に年齢に応じた異なるCOVID-19ワクチンを接種する必要がある.
  • クリニックを受診した時点で同じワクチンが入手できない場合,以前の接種回数が不明な場合,ことなるCOVID-19ワクチンを使用しなければ推奨されるワクチン接種回数を満たせない場合,同一のCOVID-19ワクチンでワクチン接種シリーズを開始したが禁忌のために完了できなくなった場合

毒性

禁忌
  • 過去のワクチン接種後,あるいはCOVID-19ワクチン成分に対する重症アレルギー反応(たとえば,アナフィラキシー)の既往
  • COVID-19ワクチンのいずれか1種類に禁忌がある人でも,アレルギー・免疫専門医に相談した上で別種類のワクチンを接種できる可能性がある.
  • 個々の症例に応じて,経験豊富な医師による適切な監督下で,同じ種類のワクチンを接種しうることがある.
  • SARS-CoV-2の最近の曝露は,COVID-19ワクチンの禁忌でも警告でもない.
警告
  • COVID-19ワクチン成分に対する重症ではないアレルギーと診断されたことがある.
  • 重症ではないアレルギー反応としては,注射部位以外のじんま疹,唇,顔面の皮膚,他の部位の皮膚での血管浮腫があるが,これらに限るものではない.
  • 気道に影響する血管浮腫(すなわち,舌,口蓋垂,喉頭)はすべて重症アレルギー反応とみなす.
  • 別のワクチンを接種してもよいことがある.
  • 以前に特定のタイプのCOVID-19ワクチン接種後に,重症でない,即時的(4時間以内に発症)アレルギー反応があった.
  • 別のワクチンを接種してもよいことがある.
  • 発熱の有無にかかわらず,中等症または重症急性症状がある場合には,回復までワクチン接種を延期する.
  • MIS-CまたはMIS-Aの既往
  • 専門家へのコンサルテーション
  • いずれかのCOVID-19ワクチン接種後3週間以内の心筋炎,心膜炎の既往
  • いずれのCOID-19ワクチンも連続接種は通常は避けるべきである.
  • ワクチン接種前あるいは接種後の合間の時期での抗ウイルス薬投与が防御抗体反応を妨げる可能性は少ない.
副作用
  • COVID-19ワクチンは米国史上もっとも広範な安全性モニタリングプログラムによって評価されてきた.
  • CDCは,30件を超える研究においてワクチンの安全性を監視し続けている.
  • すべての年齢層において,ほとんどの症状は軽度から中等度で,通常はワクチン接種後1~3日で始まり1~3日後に治まる.
  • 局所反応としては,注射部位の痛みや圧痛,まれに腫脹や発赤,ワクチン接種を受けた腕や大腿部と同じ側の腋窩リンパ節または鼠径リンパ節腫脹などがある.
  • 全身反応としては,発熱,倦怠感/不快感,頭痛,悪寒,筋肉痛,関節痛,下痢などがある.特に3歳未満の幼児の全身反応としては,易刺激性/啼泣,眠気,食欲不振などがある
  • アナフィラキシーの推計発症率は,mRNA COVID-19ワクチン接種100万回に対して5件.
  • COVIDワクチンが原因と考えられる心筋炎,心膜炎は,米国ではほとんど報告されていない.
  • 2023-2024mRNAワクチン接種後1~7日での発症率は,生後6ヵ月~64歳では100万人に8人,12~24歳男性で100万人に27人.
  • 心筋炎および心膜炎は,mRNA COVID-19ワクチンおよびノババックスワクチンの第2回接種後7日以内に,主に青年期および若年成人男性にまれに観察される.
  • 女性や他の接種後の症例も観察されている.
  • 臨床上の共有意志決定には,リスクグループにおける心臓副作用のまれなリスクについて話し合い,該当する症状がある場合は医療機関を受診するよう指示することが含まれる.
  • COVID-19重症化の個人リスク(例:年齢,基礎疾患)を考慮する必要がある
  • どのCOVID-19ワクチンについても,接種3週間以内の心筋炎,心膜炎発症があった場合には,その後のどのCOVID-19ワクチン接種も警告となり,一般的にはその後の接種は避けなければならない.
  • COVID-19ワクチン接種とは無関係の心筋炎または心膜炎の既往歴(例:SARS-CoV-2または他のウイルスによるもの)のある人は,急性エピソードが完全に解消した後であれば,どのワクチンでも接種できる.
  • 他の心臓病(先天性心疾患,川崎病など)の既往がある場合でも,COVID-19ワクチン接種を受けられることがある.
薬物相互作用
  • インフルエンザワクチン(高用量またはアジュバントを含む)とCOVID-19ワクチンは,接種が適切とされるならば,同じ受診時に接種すべき.
  • 二価ファイザーワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種は,地域での対COVID-19/インフルエンザ関連の効果指標に関して,別々に接種した場合と同等の有効性に関連していた(JAMA Netw Open 6: e2342151, 2023).
  • COVID-19ワクチンは,他のワクチンの接種時期とは関わりなく接種することができる.
  • 最短間隔(21または28日)前4日以内に第2回接種が行われた場合は,適正とみなされる.ただし,誤った投与を繰り返してはならない.
  • COVID-19ワクチンとエムポックスワクチンの最短接種間隔はない.
  • 心筋炎のリスクを小さくするために,エムポックスワクチン接種後4週経ってからCOVID-19ワクチン接種することを考慮した方がよい.
  • ほとんどの COVID-19ワクチンおよびオルソポックスウイルスワクチンの接種シナリオでは,ACAM2000よりもJYNNEOSワクチンの使用を優先する必要がある.
  • COVID-19ワクチンとNirsevimab(乳児および低年齢小児のRSV予防のための長期作用モノクローナル抗体)は同時に投与することが推奨されている.

特に注意が必要な対象

妊婦,授乳
  • 妊婦,授乳中,妊娠活動中,あるいは/妊娠を考えている女性に対しては標準的な推奨に従ってワクチン接種を行い,ワクチン最新状態を保つ.
  • 妊婦,妊娠初期の妊婦は重症化リスクが高く,胎児もリスクが高くなる.
  • ワクチンの有用性は,リスクを上回る.
  • 抗体は新生児に移行し,6ヵ月までは予防効果を保つようだ.
  • 授乳については禁忌はない.
中等度~重度免疫不全,HIV
  • COVID-19ワクチン接種は,生後≧6ヵ月で中等度または重度の免疫不全状態にある患者に推奨される-個々の状況に基づいて判断すること(CDC Yellow Book参照)
  • 免疫抑制療法を受けている患者へのCOVID-19ワクチン接種は遅らせてはならない.
  • 中等度または重度の免疫不全状態はCOVID-19重症化のリスク因子
  • 5~11歳
  • 注:mNexSpikeはこの年齢層には承認されていない.
  • ≧12歳
その他の考慮すべき点
  • HIV感染者では,ワクチン接種完了後の重症化リスクは高くない.
  • ワクチン接種していても,CD4<350の場合は重症化リスクが高い;ワクチン状態を確実に最新化すること.
  • 造血肝細胞移植(HCT)またはCAR-T細胞療法を受けた人は,その>3ヵ月後にmRNAワクチンを再接種する(初回接種スケジュールで).
  • B細胞枯渇療法(たとえば,リツキシマブ,Ocrelizumab)による短期治療中に1回以上のワクチン接種(初回連続接種および二価追加接種)を受けた患者では,治療完了後約6ヵ月後からのワクチン再接種(初回接種スケジュールで)開始を考慮してもよい.
  • 現時点で免疫抑制治療を受けている患者は,COVID-19ワクチン接種を遅らせてはならない.
  • COVID-19ワクチンは,免疫抑制治療の開始または再開の,少なくとも2週前に接種すべきである.
  • B細胞枯渇療法を持続的に受けている患者は,次回治療予定の約4週前にCOVID-19ワクチンを接種しなくてはならない.
  • ワクチン接種後に中等度~重度の免疫不全となった場合:COVID-19ワクチン接種を受け,その後に中等度~重度の免疫不全となった場合には,年齢と以前のCOVID-19ワクチン接種歴に応じて上記のCOVID-19ワクチン接種スケジュールに従って接種を行う.

血清検査

  • COVID-19ワクチン接種後の免疫反応の評価,またはワクチン未接種者のワクチン接種の必要性を評価するために抗体検査を行うことは推奨されない.
  • 予防との相関性はなく,検査方法によるバラツキも大きい.
  • B細胞反応性が不確実な患者では,IgG陽性なら少し安心だが,IgG陰性は参考にならない.
  • 抗体検査が行われたなら,抗体検査の結果にかかわらず,ワクチン接種は推奨どおりに完了させなければならない.
  • COVID-19ワクチンを前もって接種している場合も,SARS-CoV-2ウイルス検査(核酸増幅または抗原検査)には影響しないだろう.

コメント

  • 特に青少年では,ワクチン接種後15分間の観察期間を置くことを考慮する.
  • 以下のような場合には,ワクチン接種後30分間の観察期間を置くことを考慮する.
  • 他のCOVIDワクチンの禁忌に関連するアレルギー
  • 過去のCOVIDワクチンに対する重症でない(4時間以内の)アレルギー反応
  • COVID-19以外のワクチンまたは注射治療後のアナフィラキシー
  • mRNAは,宿主DNAがある細胞核内に入り込むことはないので,mRNAワクチンがワクチン被接種者の遺伝子構造を変えるような危険性はない.
  • 以下も参照:
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2026/03/02