Contents
1. 用法および用量
1. 使用
2. 成人用量
3. 小児用量
4. 腎障害時の用量調整
5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
1. 用法および用量
1. 使用
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コビシスタットは,多くの薬剤の代謝に関与する特異的肝チトクロームP450同位酵素阻害薬である.
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FDAはコビシスタットを,HIVに対する多剤治療の一部として,アタザナビル,ダルナビルの血清中濃度を上昇させるための併用薬として承認した.リトナビルを代用にはできない.
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コビシスタットは合剤であるEvotaz,ゲンボイヤ,Prezcobix,スタリビルド,Symtuza中の1剤であるため,これらの合剤中の1剤で治療中の患者に単剤で使用しないこと.
2. 成人用量
通常用量
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150mg経口24時間ごと+(アタザナビル300mg経口24時間ごと,またはダルナビル800mg経口24時間ごと)
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3. 小児用量
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体重≧35kg:150mg経口24時間ごと+アタザナビル300mg経口24時間ごと
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体重≧40kg:150mg経口24時間ごと+ダルナビル800mg経口24時間ごと
4. 腎障害時の用量調整
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腎障害の程度にかかわらず,コビシスタットの用量調整は必要ない.
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糸球体濾過率を変化させずに血清中クレアチニン濃度に影響を与えることがある.詳細については副作用の項を参照.
5. 肝障害時の用量調整
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軽症~中等症の肝障害では,コビシスタットの用量調整は必要ない.重篤な肝障害でのデータはない.
2. 副作用
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コビシスタットは,尿細管からの分泌に競合して血清クレアチニンを最大0.4mg/dL程度上昇させる.糸球体濾過率には影響を与えない.しかし,血清クレアチニンによって推定される糸球体濾過率は低下する.コビシスタットをテノホビルと併用する場合には,こうした影響を考慮すること.テノホビルで治療中の患者では,腎機能を注意深くモニターすることが適切である.
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薬物相互作用:非常に多い.添付文書を参照.
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比較臨床試験では,コビシスタットに曝露された患者の5%以下が発疹,黄疸,悪心を経験した.
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
薬効分類
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CYP450阻害薬
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PK/PD指標
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データなし
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剤形
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150mg錠
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通常の成人用量
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150mg経口1日1回
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FDAの妊娠危険区分
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B
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経口剤の投与のタイミング1
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食事とともに
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経口吸収率2(%)
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データなし
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最高血清濃度3(μg/mL)
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0.99 (SS)
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蛋白結合(%)
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97~98
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平均血清半減期4(T1/2, 時間)
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3~4
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細胞内半減期(T1/2, 時間)
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データなし
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排泄
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大部分はCYP3A4で,一部はCYP2D6で代謝される.主に糞便中に排泄される.
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中枢神経系移行効果(CPE)5
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データなし
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脳脊髄液/血液6(%)
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データなし
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分布容積7(Vd)
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データなし
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AUC8(μg・時間/mL)
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7.6(AUC0-24)
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CYP450,トランスポーターとの相互作用
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代謝:3A4,2D6 阻害:2D6,3A4,PGP,BCRP,OATP1B1,OATP1B3
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Tmax9(時間)
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3.5
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†:日本にない剤形
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注記のない場合は成人用製剤
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健康な状態での吸収率
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総薬剤量;遊離薬剤濃度を決定するには蛋白結合率で補正
SD:単回投与後
SS:複数回投与後の定常状態
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CrCl>80 mL/分と想定
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CPE(中枢神経系移行効果)値 1:低度,2~3:中等度,4:高度(Letendre, et al., CROI 2010, abs #430)
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炎症時における脳脊髄液濃度
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分布容積(Vd):
V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能)
Vss:定常状態におけるVd
Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
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AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve
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Tmax:薬剤投与後,血漿中濃度が最大になるまでの時間
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