Trimethoprim (2024/07/16 更新)

Contents

1.　用法および用量

　1.　使用

Trimethoprimは，葉酸の代謝的活性型であるテトラヒドロ葉酸合成のカギとなる酵素（ジヒドロ葉酸還元酵素）を阻害する合成抗菌薬である．阻害する段階はスルホンアミドの作用点の直後である．
耐性機構：主に標的酵素（ジヒドロ葉酸還元酵素）が変化して，Trimethoprimによる阻害が低下する．
米国では単剤およびSulfamethoxazoleとの合剤（ST）が入手可能．Trimethoprimを単独で用いることはまれであるが，スルホンアミドへのアレルギーや不耐患者では有用と想定される．
Enterococcusはin vitroで見かけ上感受性を示すことがあるが，単純性尿路感染症の臨床治療には無効である．この不一致は外因性葉酸を利用するEnterococcusの能力，尿pH，尿浸透圧などの組み合わせに起因する．
潜在高カリウム血症は，副作用参照．

　2.　成人用量

通常用量	100mg経口12時間ごと，または200mg経口24時間ごと

　3.　小児用量

用量（生後＞28日）	4mg/kg/日（12時間ごとに分割）
最大/日	－

　4.　腎障害時の用量調整

CAPD: 持続的携行型腹膜透析， CRRT: 持続的腎代替療法，SLED: 長時間低効率血液透析

半減期（時間）（腎機能正常）	8～15
半減期（時間）（ESRD）	20～49
用量（腎機能正常）	100～200mg経口12時間ごと
CrClまたはeGFR	CrCl＞50～90：100～200mg12時間ごと CrCl＞30：100～200mg12時間ごと CrCl 10～30：100～200mg18時間ごと CrCl＜10：100～200mg24時間ごと
血液透析	100～200mg24時間ごと（透析日は透析後投与）
CAPD	100～200mg24時間ごと
CRRT	100～200mg18時間ごと
SLED	データなし

　5.　肝障害時の用量調整

なし

2.　副作用

消化器症状：悪心，嘔吐，下痢，トランスアミナーゼ症状，胆汁うっ滞性黄疸
皮膚炎：200mg/日投与で3～7％に発症する良性の発疹から，重症のStevens-Johnson症候群，スイート症候群や中毒性表皮壊死症まで．
光線過敏症（単独でもSulfamethoxazoleとの併用でも起こる）
中枢神経系：薬剤熱，無菌性髄膜炎（まれ）．
腎：K+↑，Na+↓，クレアチニン↑．近位尿細管細胞におけるK+およびクレアチニンの排泄と薬物とが競合した結果で起こる（JAMA 314: 2405, 2015）．
ACE阻害薬も高カリウム血症を引き起こしうる．ACE阻害薬とTrimethoprimの併用は，高カリウム血症のリスクを増大させ，心臓不整脈による突然死リスクと関連するため，避けたほうがよい：BMJ 349: g6196, 2014.
血液：好中球減少症，血小板減少症，メトヘモグロビン血症．

3.　抗微生物スペクトラム

4.　薬理学

注記のない場合は成人用経口製剤
SD：単回投与後，SS：複数回投与後の定常状態
V/F：（Vd）÷（経口生物学的利用能），Vss：定常状態におけるVd，Vss/F：（定常状態におけるVd）÷（経口生物学的利用能）
CrCl＞80 mL/分と想定
（胆汁中の最高濃度）÷（血清中の最高濃度）×100
炎症時における脳脊髄液濃度
薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定．脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
AUC：血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve．0～inf＝AUC0-inf，0～ｘ時間＝AUC0-x

5.　酵素・トランスポーター媒介相互作用

血清中薬物濃度への影響は，当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度である．↑：上昇，↓：低下

6.　主要な薬物相互作用

7.　コメント