日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

スルファメトキサゾール・トリメトプリム  (2025/08/12 更新)
ST
主な商品名:バクタ,バクトラミン

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

通常用量
経口:2~4錠経口12時間ごと
静注:10~20mg/kg/日(6~12時間ごとに分割)

注:用量は疾患により異なる.詳細は個々の疾患を参照

用量(mg/kgで表されている場合)はTMP成分に基づく

ST二倍力価経口錠剤(日本にはない剤形)はSMX 800mgとTMP 160mgを含む

 3. 小児用量

  
用量(生後>28日)
最大/日
尿路感染症,その他
TMP8~10mg/kg/日(12時間ごとに分割)

ニューモシスチス肺炎
TMP15~20mg/kg/日(6~8時間ごとに分割)

 4. 腎障害時の用量調整

注:用量はトリメトプリム成分に基づく

半減期(時間)(腎機能正常)
SMX:10
TMP:8~15
半減期(時間)(ESRD)
SMX:20~50
TMP:20~49
用量(腎機能正常)
治療:
5~20mg/kg/日経口/静注(6~12時間ごとに分割)
予防:
ST2錠経口24時間ごと,または週3回
腎障害時の用量
治療:
CrCl≧30:用量調整不要
CrCl 10~29:5~10mg/kg/日 (12時間ごとに分割)
CrCl<10:推奨されない (使用するなら:5~10mg/kg24時間ごと)
予防:
腎障害時の用量調整不要
血液透析
治療:
推奨されない (使用するなら:5~10mg/kg24時間ごと,透析日に透析後投与)
予防:データなし
CAPD
治療:
推奨されない (使用するなら:5~10mg/kg24時間ごと)
予防:データなし
CRRT
治療:
5mg/kg8時間ごと
予防:データなし
SLED
データなし

 5. その他の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

  1. 文献:Pharmacotherapy 45: 227, 2025
  2. 典拠:製薬会社の処方情報
  3. 典拠:Drugs and Lactation Database (LactMed)

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
データなし
剤形
1倍力価:S 400mg/T 80mg
2倍力価†:S 800mg/T 160mg
経口懸濁液:(S 200mg/T 40mg)/5mL
注射剤
食事に関する推奨(経口薬)1
錠剤/経口懸濁液:食事の影響なし
経口吸収率(%)
SMX:70~90
TMP:70~90
Tmax(時間)
経口:SMX:1~4,TMP:1~4
最高血清濃度2(μg/mL)
SMX:40~60,TMP:1~2(DS†錠経口12時間ごと,SS)
SMX:105,TMP:9(800/160mg静注8時間ごと,SS)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
SMX:70
TMP:44
分布容積3(Vd)
SMX:12~18 L
TMP:100~120 L
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
SMX:9
TMP:11
排泄

胆汁移行性5(%)
経口:100~200
静注:40~70
脳脊髄液/血液6(%)
SMX:40
TMP:50
治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性7
大部分のN. meningitidisは耐性.Coliformsには静菌的.
AUC8(μg・時間/mL)
データなし

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

薬剤が基質となるCYP450
SMX:CYP2C9(主要),CYP3A4(副次的)
薬剤が基質となるトランスポーター

薬剤が基質となるUGT

薬剤が阻害するCYP450
SMX:CYP2C9
TMP:CYP2C8
薬剤が阻害するトランスポーター

薬剤が阻害するUGT

薬剤が誘導するCYP450

薬剤が誘導するトランスポーター

薬剤が誘導するUGT

血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響とは,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度のことをいう.↑:上昇,↓:低下

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他の影響)
推奨される対応
6-メルカプトプリン
6-メルカプトプリン↓
モニター,用量調整
ACE阻害薬
血清K
モニター
アマンタジン
アマンタジン↑
モニター,用量調整
シクロスポリン
シクロスポリン↓
モニター,用量調整
ラミブジン
ラミブジン↑
モニター
ロペラミド
ロペラミド↑
モニター,用量調整
Methenamine
スルホンアミド結晶尿リスク↑
併用を避ける
メトトレキサート
メトトレキサート↑
モニター,用量調整
経口避妊薬
経口避妊薬の効果↓
他の避妊法を使用
フェニトイン
フェニトイン↑
モニター,用量調整
ピモジド
ピモジド↓
モニター,用量調整
スピロノラクトン
血清K
モニター
スルホニルウレア
スルホニルウレア↑
血糖値をモニター
ワルファリン
ワルファリン↑
INRをモニター,用量調整

7. コメント

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2025/08/12