日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Nocardia   (2024/07/02 更新)
Nocardia asteroides, Nocardia brasiliensis


臨床状況

  • 感染患者の約2/3は免疫不全状態であり,1/3は免疫正常者である.
  • 特異的治療は臨床症候群により異なる.

分類

  • じゅず状の菌糸体からなるグラム陽性菌で,遅育性.
  • Nocardia nova complex
  • Nocardia farcinica
  • Nocardia cyriacigeorgica
  • Nocardia brasiliensis
  • Nocardia abscessus

第一選択

  • 脳膿瘍または肺炎:ST(トリメトプリムとして)15mg/kg/日静注2~4回に分割+IPM/CS 500mg静注6時間ごと
  • リンパ節炎および/または皮膚膿瘍:ST(トリメトプリムとして)5~10mg/kg/日静注または経口2~4回に分割

第二選択

  • 脳膿瘍:LZD 600mg静注または経口12時間ごと+MEPM 2g静注8時間ごと
  • 肺炎:IPM/CS 500mg静注6時間ごと+AMK 7.5mg/kg静注12時間ごと・3~4週,その後ST経口
  • リンパ節炎および/または皮膚膿瘍:MINO 100~200mg経口1日2回

コメント

  • Nocardia属とされる菌種が増加している.1299の分離株の感受性の結果が得られており,異なる39の種が認められている:Antimicrob Agents Chemother 58: 795, 2014.分離株はすべてLZDに対し感受性.ST耐性は全体として2%に過ぎないが,まれにみられる種では31%にのぼる.まれな種においては,IPM/CS,AMK,CTRXに対する感受性はさまざま.要するに,まれにしかみられない種の場合やSTにアレルギー/不耐の患者においては,感受性試験を行うことが望ましい.
  • In vitroでの感受性試験:Wallace lab (+1)903-877-7680またはCDC (+1)404-639-3158,または民間の研究所.
  • 脳膿瘍:菌がサルファ薬に耐性または患者がサルファ薬アレルギーなら,AMK静注+以下のうち1剤併用(IPM/CS,MEPM,CTRX,またはCTX[米国外で入手可能な場合])による治療が考えられる.
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2024/07/01