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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
肺炎-
Acinetobacter
属
(
2026/08/25 更新
)
特異的治療,
Acinetobacter
肺炎
臨床状況
Acinetobacter
属による人工呼吸器関連肺炎(VAP).
以前に広域スペクトラムの抗菌薬による治療を受けていた患者では,カルバペネム耐性または多剤耐性を疑うこと.
概説:
Clin Infect Dis 67: 1455, 2018
.
病原体
Acinetobacter calcoaceticus
-
Acinetobacter baumannii
complexは,いくつかの種を含むが,それぞれの種を同定することは難しい.
5種の
Acinetobacter
属(
A. baumannii
,
A. pittii
,
A. nosocomialis
,
A. seiferttii
,
A. dijkshoorniae
)がヒトの病気に関連している(
Future Sci OA 5: FSO3952019, 2019
)
Acinetobacter baumannii
は,ヒトでの感染の約80%の原因となる
第一選択
臨床検査で
A. baumannii-calcoaceticus
complex
が検出されたが,感受性結果が得られるまでの経験的治療
施設の多剤/カルバペネム耐性率<10~15%
軽症:
CFPM
2g8時間ごと
MEPM
2g3時間以上かけて静注8時間ごと
ABPC/SBT
(ABPC 6g/SBT 3g)4時間以上かけて静注8時間ごと
中等症,重症:
ABPC/SBTに
MINO
200mg静注/経口12時間ごとを追加
施設のカルバペネム耐性率>10~15%または重症の場合
Sulbactam/Durlobactam
1g/1g 3時間以上かけて静注+
IPM/CS
1g1時間以上かけて静注6時間ごと,または
ABPC/SBT
6g/3g4時間以上かけて静注8時間ごと+
MEPM
2g3時間以上かけて静注8時間ごと+
PL-B
2.5mg/kg2時間以上かけて静注†,その後1.5mg/kg1時間以上かけて静注12時間ごと
検査の結果,複数の薬剤への感受性が明らかになり,カルバペネム耐性がなかった場合
軽症感染
in vitroで活性のある薬剤による単剤治療,
CFPM
,
MEPM
,
ABPC/SBT
(上記用量),または
中等症,重症
上記薬剤中の1剤と(
CPFX
400mg静注8時間ごと,または
LVFX
750mg静注24時間ごと,または
ST
10mg/kg/日(トリメトプリム成分)2~3回に分割,または
MINO
200mg静注/経口12時間ごと)の併用治療
検査の結果,in vitroでカルバペネム耐性が報告された場合
感染症専門医へのコンサルテーションが推奨される
Sulbactam/Durlobactam
1g/1g3時間以上かけて静注6時間ごと+
IPM/CS
1g1時間以上かけて静注6時間ごと(ランダム化対照比較試験の結果については,
Lancet Infect Dis 23: 1072, 2023
参照)
上記薬剤が入手できない場合:ABPC/SBT(ABPC 6g/SBT 3g)静注(4時間以上かけて)8時間ごと+MEPM 2g静注(3時間以上かけて)8時間ごと+PL-B 2.5mg静注†(2時間以上かけて),その後1.5mg/kg静注(1時間以上カケテ)12時間ごと
(†:日本にない剤形)
第二選択
カルバペネム耐性株
CFDC
2g3時間以上かけて静注8時間ごと+(
MINO
200mg静注/経口12時間ごと,または
TGC
200mg静注1回・その後100mg静注12時間ごと)
ABPC/SBT+
MINO
治療期間
治療期間は不明,臨床反応に従うこと.
コメント
ESBL,AmpC,カルバペネマーゼ産生菌の治療に関するIDSAガイドライン:
2024年改訂IDSAガイドライン
.
他の薬剤の使用
人工呼吸器関連肺炎(VAP)に対する吸入抗菌薬による補助治療
発展途上の領域
ランダム化対照比較試験(RCT)の結果は臨床的有効性を示しておらず(
Chest 151: 1239, 2017
;
Crit Care Med 47: 880, 2019
;
Crit Care Med 47: e470, 2019
),2024年IDSAガイドラインではその使用を推奨していない.
32件のRCTと41件の非RCTを対象としたシステマティックレビューとメタアナリシスでは,人工呼吸器関連肺炎患者における臨床的有効性が示唆された(Crit Care Med 2026年3月16日).
CFDC
:臨床試験の結果はさまざま.第二選択薬として,活性のある他剤少なくとも1剤と併用を考慮すること
カルバペネマーゼ産生菌による院内肺炎,敗血症,複雑性尿路疾患,菌血症の患者を対象に,至適治療(Best Available Therapy:BAT)とCFDCを比較したランダム化オープンラベル試験(
Lancet Infect Dis 21: 226, 2021
)では,カルバペネム耐性Acinetobacter baumannii感染症患者のサブセットにおける試験終了時の全死因死亡率は、BAT群(3/17,18%)と比較してCFDC群(19/39,49%)で数値的に高かった.
二重盲検ランダム化試験(
Lancet Infect Dis 21: 213, 2021
)では,グラム陰性菌による院内肺炎・人工呼吸器関連肺炎・医療関連肺炎に対し,CFDCはMEPMに対する非劣性を示した.
Acinetobacter baumannii
肺炎患者47例における14日死亡率は,CFDC群で5/23(22%),MEPM群で4/24(17%)であった.注:CFDC群の分離株の70%,MEPM群の分離株の63%がカルバペネマーゼ産生株であった.
薬剤耐性
Acinetobacter baumannii
による肺炎に関する19件の研究(観察研究17件,RCT2件)のメタアナリシスでは,CFDC単剤療法はすべての抗菌薬治療レジメンの中で最も効果が低く,CFDC併用療法が最も効果的であることが示された(
BMC Infect Dis 26: 350, 2026
).
MINO対TGC対Eravacyline
これら3剤のMIC50/MIC90値(µg/mL)は0.5/1,1/4,4/16であり,in vitro活性はErabacycline>TGC>MINOである(
J Glob Antimicrob Resist. 2026年4月15日
;
Infect Drug Resist 19: 583973, 2026
).
MINO静注/経口投与の他の薬剤との併用は,現時点ではテトラサイクリン系抗菌薬治療として望ましいとされている(
2024年IDSAガイドライン
)
アシネトバクター肺炎患者106名を対象とした後ろ向きコホート研究では,高用量MINO(200mg12時間ごと)は標準用量(100mg12時間ごと)と比較して死亡率が低いことが示された(29% vs. 48%)(
Infect Dis Ther 15: 133, 2026
).
in vitroデータ(
Antimicrob Agents Chemother 63: e01154, 2019
)によると,臨床分離株の67~86%が感受性を示した.
76名の患者を対象とした後ろ向き研究では,単一菌感染症患者において臨床的治癒率は79%,微生物学的根絶率は82%であった(
Antimicrob Agents Chemother 63: e01154, 2019
).
TGCは,菌血症患者では血清中・肺組織中濃度が治療域に達しないこと,他の薬剤と比べ全原因死亡率のリスクが上昇することから第二選択薬である(
Clin Infect Dis 54: 1699, 2012
;
2024年IDSAガイドライン
).
EravacyclineはTGCに取って代わる可能性がある.
in vitro活性が高く,薬物動態もより良好であることから,こちらの方が好ましいと考えられる.
カルバペネム耐性
Acinetobacter baumannii
呼吸器感染症患者41名を対象とした小規模な後ろ向きコホート研究(Infect Drug Resist 19: 583973, 2026)では,Eravacycline併用療法を受けた患者の死亡率は15名中1名(6.7%)であったのに対し,TGC併用療法を受けた患者の死亡率は16名中6名(23.1%)であった.
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