日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

アンピシリン・スルバクタム  (2025/04/15 更新)
ABPC/SBT

主な商品名:ユナシン-S

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

通常用量
3g静注(30分以上かけて)6時間ごと
その他の用量
下記参照:
肺炎-Acinetobacter属
Acinetobacter baumannii-calcoaceticus complex

 3. 小児用量

注:用量はABPC+SBT(2:1)で記載

抗菌薬耐性(AMR)グラム陰性菌感染症治療における薬物用量に関するガイダンス(AMRグラム陰性菌感染症ガイダンス-小児):J Pediatr Infect Dis Soc 14: piaf004, 2025

用量(>生後28日)
Red Book(2024-2027)による:
(生後>28日)
150~300mg/kg/日(6時間ごとに分割)
髄膜炎:600mg/kg/日(6時間ごとに分割)
AMRグラム陰性菌感染症ガイダンス-小児による:
新生児:
出生後日数(PNA)≦7日:450mg/kg/日(8時間ごとに分割,4時間以上かけて注入)
PNA 8~60日:450mg/kg/日(6時間ごとに分割,4時間以上かけて注入)
乳児および小児:600mg/kg/日(4~6時間ごとに分割,4時間以上かけて注入,最大18g/日)
青少年≧12歳:
9g/日SBT下記2処方のどちらか:
9gABPC/SBT(4時間以上かけて注入)8時間ごと,または
27gABPC/SBT(持続24時間静注)
注:中枢神経感染には1時間以内での注入が推奨される
最大/日
12g(別に特記されていない場合)

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
ABPC:1.4
SBT:1.7
半減期(時間)(ESRD)
ABPC:7~20
SBT:10
用量(腎機能正常)
1.5~3g静注 6時間ごと
CrClまたはeGFR
CrCl≧30:用量調整不要
CrCl 15~29:1.5~3g12時間ごと
CrCl 5~14:1.5~3g24時間ごと
血液透析
1.5~3g 24時間ごと(透析日は透析後投与)
CAPD
3g 24時間ごと
CRRT
1.5~3g 8~12時間ごと
SLED
3g 12時間ごと1
  1. SLED文献:Can J Kidney Health Dis 5: 1, 2018

 5. 肝障害時の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
Time above MIC
剤形
注射
食事に関する推奨(経口薬)1

経口吸収率2(%)

Tmax(時間)

最高血清濃度2(μg/mL)
ABPC: 109~150, SBT: 48~88(3g静注,SD)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
ABPC: 28
SBT: 38
分布容積3(Vd)
ABPC: 0.29 L/kg
SBT: 0.30 L/kg
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
ABPC: 1.4
SBT: 1.7
排泄

胆汁移行性5(%)
ABPC: 100~3000
脳脊髄液/血液6(%)
データなし
治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性7
データなし
AUC8(μg・時間/mL)
ABPC: 120, SBT: 71
(3g静注,0~inf)

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

薬剤が基質となるCYP450

薬剤が基質となるトランスポーター
ABPC:OAT1,OAT3
SBT:OAT1,OAT3
薬剤が基質となるUGT

薬剤が阻害するCYP450

薬剤が阻害するトランスポーター

薬剤が阻害するUGT

薬剤が誘導するCYP450

薬剤が誘導するトランスポーター

薬剤が誘導するUGT

血清中薬物濃度への影響
予測されない

血清中薬物濃度への影響とは,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度についてのことをいう.↑:上昇,↓:低下

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
アロプリノール
発疹の発現↑
モニター
プロベネシド
ABPC↑
モニター,用量調整
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2025/05/19