日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

シプロフロキサシン  (2025/04/30 更新)
CPFX
主な商品名:シプロキサン

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

経口(徐放錠でない)
250~750mg経口12時間ごと
経口(徐放錠)
膀胱炎:500mg経口24時間ごと・3日
複雑性尿路感染症,腎盂腎炎:1g経口24時間ごと・7~14日
静注
200~400mg静注8~12時間ごと

 3. 小児用量

剤形  
用量(生後>28日)
最大/日
経口
20~40mg/kg/日(12時間ごとに分割)
1.5g
静注
20~30mg/kg/日(12時間ごとに分割)
1.2g

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
3~4
半減期(時間)(ESRD)
6~9
用量(腎機能正常)
剤形と適応により異なる
CrClまたはeGFR
錠剤(非徐放錠):
CrCl>50:用量調整不要
CrCl 30~50:250~500 mg12時間ごと
CrCl 5~29:250~500 mg18時間ごと
錠剤(徐放錠),単純性尿路感染症:腎障害時の用量調整不要
錠剤(徐放錠),複雑性尿路感染症/急性腎盂腎炎:
CrCl>30:用量調整不要
CrCl≦:500mg24時間ごと
注射剤:
CrCl≧30:用量調整不要
CrCl 5~29:200~400mg18~24時間ごと
血液透析
錠剤(非徐放錠):
250~500mg24時間ごと(透析日は透析後投与)
錠剤(徐放錠),複雑性尿路感染症/急性腎盂腎炎:
500mg24時間ごと
(透析日は透析後投与)
注射剤:
200~400mg24時間ごと
(透析日は透析後投与)
CAPD
錠剤(非徐放錠):
250~500mg24時間ごと
錠剤(徐放錠),複雑性尿路感染症/急性腎盂腎炎:
500mg24時間ごと
注射剤:
200~400mg24時間ごと
CRRT
錠剤(非徐放錠):
250~500mg12時間ごと
錠剤(徐放錠),単純性尿路感染症:
500mg24時間ごと
錠剤(徐放錠),複雑性尿路感染症/急性腎盂腎炎:データなし
注射剤:
200~400mg12時間ごと

SLED
データなし

 5. その他の用量調整

2. 副作用

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
24時間AUC/MIC
剤形
錠剤:250,500,750mg
徐放錠剤†:500,1000mg
経口懸濁液:50mg/mL,100mg/mL
眼科用剤†:0.3%溶液,0.3%軟膏
0.2%点耳液†
6%点耳液†(鼓室内投与)
CPFX 0.3%/デキサメタゾン0.1%点耳液†
CPFX 0.3%/フルオシノロン0.025%点耳液†
CPFX 0.2%/ヒドロコルチゾン1%点耳液†
食事に関する推奨(経口薬)1
全ての剤型が食事の影響を受けない(乳製品は不可)
経口吸収率(%)
70
Tmax(時間)
錠剤,懸濁液:1~2
徐放剤:1~4
最高血清濃度2(μg/mL)
3.6(750mg経口12時間ごと,SS)
1.6~3.1(500~1000mg徐放剤経口24時間ごと,SS)
4.6(400mg静注12時間ごと,SS)
最高尿中濃度(μg/mL)
394(500mg経口,SD)
蛋白結合(%)
20~40
分布容積3(Vd)
2.4 L/kg
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
4(徐放剤:6.6)
排泄
腎,一部は胆汁
胆汁移行性5(%)
2800~4500
脳脊髄液/血液6(%)
26
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
グラム陰性菌による髄膜炎では考慮する(高用量を使用)8
AUC9(μg・時間/mL)
31.6 (750mg経口12時間ごと,0~24時間)
8 (500mg徐放剤†経口24時間ごと,0~24時間)
25.4 (400mg静注12時間ご,0~24時間)

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の血清濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. Clin Infect Dis 31: 1131, 2000
  9. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

薬剤が基質となるCY450

薬剤が基質となるトランスポーター
OAT1,OAT3
薬剤が基質となるUGT

薬剤が阻害するCYP450
CYP1A2(主要)
CYP3A4(副次的)
薬剤が阻害するトランスポーター
-  
薬剤が阻害するUGT

薬剤が誘導するCYP450
- 
薬剤が誘導するトランスポーター
- 
薬剤が誘導するUGT

血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響とは,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度のことをいう.↑:上昇,↓:低下

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響
推奨される対応
制酸薬(Al, Ca, Mg)
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与
抗不整脈薬(Ia/III類)
QT間隔↑
併用を避ける
カフェイン
カフェイン↑
モニター,用量調整
Caサプリメント
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与
クロザピン
クロザピン↑
モニター,用量調整
Didanosine
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与
デュロキセチン
デュロキセチン↑
モニターまたは避ける
フェンタニル
フェンタニル↑
モニター,用量調整または避ける
インスリン
血糖↑↓
モニター
鉄サプリメント
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与
メトトレキサート
メトトレキサート↑
モニターまたは避ける
NSAID
CNS刺激/けいれんのリスク↑
モニターまたは避ける
経口血糖降下薬
血糖↑↓
モニター
フェニトイン
フェニトイン↑↓
モニター,用量調整
プロベネシド
CPFX↑
モニターまたは避ける
ロピニロール
ロピニロール↑
モニター,用量調整
シルデナフィル
シルデナフィル↑
モニター
スクラルファート
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与
テオフィリン
テオフィリン↑
モニターまたは避ける
チザニジン
チザニジン↑
禁忌
ワルファリン
ワルファリン↑,INR↑
INRをモニター,用量調整
亜鉛
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与

7. コメント

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2025/04/28