日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

シプロフロキサシン  (2024/03/19 更新)
CPFX
主な商品名:シプロキサン

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

経口(XRでない)
250~750mg経口12時間ごと
経口(XR)
膀胱炎:500mg経口24時間ごと・3日
複雑性尿路感染症,腎盂腎炎:1g経口24時間ごと・7~14日
静注
200~400mg静注8~12時間ごと

 3. 小児用量

剤形  
用量(生後>28日)
最大/日
経口
20~40mg/kg/日(12時間ごとに分割)
1.5g
静注
20~30mg/kg/日(12時間ごとに分割)
1.2g

嚢胞性線維症,炭疽,複雑性尿路感染症にのみ承認

 4. 腎障害時の用量調整

  
経口(非徐放剤)
経口(徐放剤)
静注
半減期(時間)(腎機能正常)
3~4/
5~7
4
半減期(時間)(ESRD)
6~9
6~9
6~9
用量(腎機能正常)
250~750mg経口12時間ごと
膀胱炎:500mg経口24時間ごと
腎盂腎炎/複雑性尿路感染症:1g経口24時間ごと
200~400mg静注8~12時間ごと
CrClまたはeGFR
CrCl>50~90:250~750mg12時間ごと
CrCl 30~50:250~500 mg12時間ごと
CrCl 5~29:500~750 mg24時間ごと
CrCl>50~90:膀胱炎 500mg24時間ごと;腎盂腎炎/複雑性尿路感染症1g24時間ごと
CrCl 30~50:膀胱炎 500mg24時間ごと;腎盂腎炎/複雑性尿路感染症1g24時間ごと
CrCl 5~29:500 mg24時間ごと (すべての適応疾患で)
CrCl 50~90:200~400 mg8~12時間ごと
CrCl 30~50:200~400 mg8~12時間ごと
CrCl 5~29:200~400 mg18~24時間ごと
血液透析
250~500mg24時間ごと
500mg24時間ごと(すべての適応疾患で)(透析日は透析後投与)
200~400mg24時間ごと(透析日は透析後投与)
CAPD
250~500mg24時間ごと
500mg24時間ごと(すべての適応疾患で)
200~400mg24時間ごと
CRRT
250~500mg12時間ごと
膀胱炎:500mg24時間ごと
複雑性尿路感染症,腎盂腎炎:データなし
200~400mg12時間ごと
SLED
データなし
データなし
データなし

CAPD: 持続的携行型腹膜透析
CRRT: 持続的腎代替療法

 5. その他の用量調整

2. 副作用

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
24時間AUC/MIC
剤形
錠剤:100,250,500,750mg
徐放錠剤†:500,1000mg
経口懸濁液:50mg/mL,100mg/mL
眼科用剤†:0.3%溶液,0.3%軟膏
0.2%点耳液†
CPFX 6%点耳液†(鼓室内投与のみ)
CPFX 0.3%/デキサメタゾン0.1%点耳液†
CPFX 0.3%/フルオシノロン0.025%点耳液†
CPFX 0.2%/ヒドロコルチゾン1%点耳液†
食事に関する推奨(経口薬)1
全ての剤型が食事の影響を受けない(乳製品は不可)
経口吸収率(%)
70
Tmax(時間)
錠剤,懸濁液:1~2
徐放剤:1~4
最高血清濃度2(μg/mL)
3.6(750mg経口12時間ごと,SS)
1.6~3.1(500~1000mg徐放剤経口24時間ごと,SS)
4.6(400mg静注12時間ごと,SS)
最高尿中濃度(μg/mL)
394(500mg経口,SD)
蛋白結合(%)
20~40
分布容積3(Vd)
2.4 L/kg
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
4,徐放剤:6.6
排泄
腎,一部は胆汁
胆汁移行性5(%)
2800~4500
脳脊髄液/血液6(%)
26
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
Streptococcus属には不十分(Clin Infect Dis 31: 1131, 2000
AUC8(μg・時間/mL)
31.6 (750mg経口12時間ごと,0~24時間)
8 (500mg徐放剤†経口24時間ごと,0~24時間)
25.4 (400mg静注12時間ご,0~24時間と)

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の血清濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

CY450の基質
  
トランスポーターの基質
  
CYP450の阻害
1A2,3A4(弱い)
トランスポーターの阻害
  
CYP450誘導
  
トランスポーターの誘導
  
血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響は,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度である.↑:上昇,↓:低下,空白:薬物への影響なし

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響
推奨される対応
制酸薬(Al, Ca, Mg)
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与
抗不整脈薬(Ia/III類)
QT間隔↑
併用を避ける
カフェイン
カフェイン↑
モニター,用量調整
Caサプリメント
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与
クロザピン
クロザピン↑
モニター,用量調整
Didanosine
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与
デュロキセチン
デュロキセチン↑
モニターまたは避ける
インスリン
血糖↑↓
モニター
鉄サプリメント
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与
メトトレキサート
メトトレキサート↑
モニターまたは避ける
NSAID
CNS刺激/けいれんのリスク↑
モニターまたは避ける
経口血糖降下薬
血糖↑↓
モニター
フェニトイン
フェニトイン↑↓
モニター,用量調整
プロベネシド
CPFX↑
モニターまたは避ける
ロピニロール
ロピニロール↑
モニター,用量調整
シルデナフィル
シルデナフィル↑
モニター
スクラルファート
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与
テオフィリン
テオフィリン↑
モニターまたは避ける
チザニジン
チザニジン↑
併用禁忌
ワルファリン
ワルファリン↑,INR↑
INRをモニター,用量調整
亜鉛
CPFX↓
2時間前または6時間後にCPFX投与

7. コメント

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2024/03/18