• テトラサイクリン系の広域スペクトラム抗菌薬．最も脂溶性で，最も長い血清半減期をもつ．
  
• 他のテトラサイクリン系と同様，活性スペクトラムは広い：
  

• 通常，ざ瘡の治療に用いられる．ライム病の第二選択薬でもある．
  
• 前庭症状の副作用が多いため，現在では髄膜炎予防には推奨されない．
  
• 多剤耐性グラム陰性桿菌，たとえばAcinetobacter baumannii（Infect Dis Ther 6: 199, 2017），Stenotrophomonas maltophilia（Diagn Microbiol Infect Dis 85: 352, 2016）に対し，テトラサイクリン系抗菌薬のなかで最も活性がある．
  

• Acinetobacterに対するin vitroでの活性は，ポリミキシンとの併用により増強される．
  
• MINO＋コリスチンはAcinetobacter肺炎の動物モデルに対し有効だったが，バイオフィルム感染に対する有効性はみられなかった（Antimicrob Agents Chemother 60: 4047, 2016）．
  
• Acinetobacterに対する臨床的有効性の可能性が，小規模の観察的な臨床研究で示されている（Am J Health Syst Pharm 73: 279, 2016；Drugs 76: 1467, 2016）．
  

• 他の活性については下の「抗微生物スペクトラム」を参照．
  

• 耐性機構は複数：排出ポンプ（一般的，低度耐性），標的となるリボソームの変化（高度耐性），ポーリンの閉鎖（まれ），酵素変化．
  
• 経口剤，舌下錠，局所剤，注射剤が入手可能．
  

• 体重およびクレアチニンクリアランス（CrCl）推定値の計算法
  
• CAPD: 持続的携行型腹膜透析， CRRT: 持続的腎代替療法，SLED: 長時間低効率血液透析
  

なし

副作用

• 前庭症状（30～90％に出現する群もある，他の群ではなし）：めまい33％，運動失調症43％，悪心50％，嘔吐3％．男性より女性で多い．
  
• 過敏性肺臓炎は可逆性．
  
• 長期間の使用で皮膚や他の組織に，青みがかった濃灰色や暗藍色の色素沈着が生じる可能性あり．画像は JAMA 326: 1851, 2021参照．
  
• その他：発熱（まれ），発疹，光線過敏症，好中球減少症，好酸球増加症，血小板減少症，C. difficile腸炎，肝機能検査値異常，肝不全，BUN/クレアチニン増加，頭痛．
  
• ざ瘡に対するMINO治療を受けた小児で，自己免疫誘導の報告あり（J Pediatr 153: 314, 2008）．
  
• 頭蓋内圧上昇：たとえば，偽脳腫瘍．
  
• 年齢8歳以下：骨格および歯の発達異常．
  
• MINO製剤には硫酸マグネシウムが含まれている．腎障害および/または心ブロックのある患者ではマグネシウム濃度をモニターすること．
  

妊娠時のリスク

• FDAリスク区分（旧）：D
  
• 授乳中の使用：短期間の使用なら安全．乳児では消化器毒性をモニター
  

• 抗菌スペクトラム（全表）を参照
  
• ミノサイクリンの抗菌スペクトラムを表示

†：日本にない剤形

1. 注記のない場合は成人用経口製剤
   
2. SD：単回投与後，SS：複数回投与後の定常状態
   
3. V/F：（Vd）÷（経口生物学的利用能），Vss：定常状態におけるVd，Vss/F：（定常状態におけるVd）÷（経口生物学的利用能
   
4. CrCl＞80 mL/分と想定
   
5. （胆汁中の最高濃度）÷（血清中の最高濃度）×100
   
6. 炎症時における脳脊髄液濃度
   
7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定．脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
   
8. AUC：血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve．0～inf＝AUC0-inf，0～ｘ時間＝AUC0-x
   

• 関節リウマチの疾患修飾薬▼：100mg経口1日2回（Arthritis Rheum 59: 762, 2008）
  

▼：FDA未承認の適応