日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

脳膿瘍-Nocardia  (2025/06/17 更新)
脳膿瘍,Nocardia


臨床状況

  • 通常免疫不全患者に起こり,しばしば呼吸器感染症または他の播種性疾患を伴う.
  • 髄膜炎および/または脳室炎と併発することがある.
  • 明白な免疫不全がない患者では,Nocardia 脳膿瘍は,抗顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)自己抗体の存在と関連している.

病原体

  • Nocardia nova complex
  • Nocardia farcinica
  • Nocardia cyriacigeorgica
  • Nocardia brasiliensis
  • Nocardia abscessus

第一選択

  • 大きい膿瘍に対しては外科的ドレナージを考慮する.
  • ST(スルファメトキサゾール 75mg/kg/日・トリメトプリム 15mg/kg/日)静注/経口2~4回に分割+IPM/CS 500mg静注6時間ごと
  • 多臓器感染ならばAMK 7.5mg/kg12時間ごとを追加することもある.
  • 治療期間および経口治療へのステップダウンについては抗微生物薬適正使用を参照のこと.

第二選択

  • LZD 600mg静注または経口12時間ごと+MEPM 2g静注8時間ごと
  • 治療期間および経口治療へのステップダウンについては抗微生物薬適正使用を参照のこと.

抗微生物薬適正使用

治療期間
  • 静注治療3~6週後(免疫不全患者,広範な病変の患者では6週が望ましい),経口治療に切り替え.
  • 免疫正常患者:ST(望ましい),MINOまたはAMPC/CVAを3カ月以上(髄膜炎や広範な病変の患者ではより長期).
  • 臨床的改善の徴候がありさえすれば,通常治療は単剤治療に狭めることができる.

コメント

  • 感受性検査を必ず行い,その結果に基づいて治療する.
  • 中枢神経のNocardia感染に対して,STは現在でも選択薬である.
  • スルホンアミド耐性あるいはサルファ剤アレルギーの場合は,AMK+(IPM/CSMEPMCTRXのうちの1剤).
  • N. farcinicaはCTRXに耐性であり,この種による治療にCTRXは用いないこと.
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2025/06/16