日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

脳膿瘍-Nocardia  (2024/11/26 更新)
脳膿瘍,Nocardia


臨床状況

  • Nocardia感染による脳膿瘍は,通常免疫不全患者に起こり,しばしば呼吸器感染症または他の播種性疾患を伴う.
  • 髄膜炎や脳室炎と併発することもある.

病原体

  • Nocardia nova complex
  • Nocardia farcinica
  • Nocardia cyriacigeorgica
  • Nocardia brasiliensis
  • Nocardia abscessus

第一選択

  • 大きい膿瘍に対しては外科的ドレナージを考慮する
  • ST(トリメトプリム 15mg/kg/日・スルファメトキサゾール 75mg/kg/日)静注または経口2~4回に分割+IPM/CS 500mg静注6時間ごと
  • 多臓器感染ならばAMK 7.5mg/kg12時間ごとを追加することもある.
  • 治療期間および経口治療へのステップダウンについては抗微生物薬適正使用照.

第二選択

  • LZD 600mg静注または経口12時間ごと+MEPM 2g静注8時間ごと
  • 治療期間および経口治療へのステップダウンについてはコメント参照.

抗微生物薬適正使用

  • 治療期間:
  • 静注治療3~6週後(免疫不全患者,広範な病変の患者では6週が望ましい),経口治療に切り替え.
  • 免疫正常患者:STMINOまたはAMPC/CVAを3カ月以上(髄膜炎や広範な病変の患者ではより長期).
  • 免疫不全患者:2剤併用で最低1年治療.

コメント

  • 感受性検査を行い,その結果に基づいて治療する.
  • 中枢神経のNocardia感染に対して,STは現在でも選択薬である.
  • スルホンアミド耐性あるいはサルファ剤アレルギーの場合は,AMK+(IPM/CSMEPMCTRX)のうちの1剤.
  • N. farcinicaはCTRXに耐性,治療にCTRXは用いないこと.
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2024/11/25