日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

アミカシン  (2024/07/23 更新)
AMK
主な商品名:ビクリン,硫酸アミカシン

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 主要な薬物相互作用
6. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

†:日本にない剤形

 2. 成人用量

1日複数回投与法
7.5mg/kg静注または筋注12時間ごと
目標ピーク値15~30μg/mL,トラフ値5~10μg/mL
1日1回投与法
15mg/kg静注または筋注24時間ごと
目標トラフ値<1μg/mL,目標ピーク値56~64μg/mL
眼内炎
硝子体内投与,0.4mg/0.1mL生食,VCMと併用
髄腔内/脳室内投与
30mg/日+全身投与
腹膜透析関連腹膜炎
間欠投与:2mg/kgを1日のうち1回のバック交換に追加(Dwell timeは最低6時間)
連続投与(毎回のバック交換に追加):初回25mg/L,維持用量12mg/L
M. tuberculosis
15mg/kg静注または筋注(最大1g)1日1回・5~7週
15mg/kg静注または筋注・週3回,培養陰性化後
M. fortuitum,
M. chelonae,
M. abscessus
10~15mg/kg静注1日1回,Cefoxitinと併用
AMKリポソーム吸入薬†
(難治性MAC,他の治療選択肢が限られているか,ない場合)
590mg24時間ごと,Lamina Neblizer Systemを使用
(併用治療の一部として)

†:日本にはない製剤

 3. 小児用量

用量(生後>28日)
15~20mg/kg/日1日1回
5~7.5mg/kg8時間ごと
最大/日

 4. 腎障害時の用量調整


1日複数回投与法
1日1回投与法
半減期(時間)(腎機能正常)
2~3
2~3
半減期(時間)(ESRD)
30~70
30~70
用量(腎機能正常)
7.5mg/kg筋注/静注12時間ごと(1日1回用量は右欄参照)
15mg/kg24時間ごと
CrClまたはeGFR
CrCl>50~90:7.5mg/kg12時間ごと
CrCl 10~50:7.5mg/kg24時間ごと
CrCl<10:7.5mg/kg48時間ごと
CrCl 60~80:12mg/kg24時間ごと
CrCl 40~60:7.5mg/kg 24時間ごと
CrCl 30~40:4mg/kg24時間ごと
CrCl 20~30:7.5mg/kg48時間ごと
CrCl 10~20:4mg/kg48時間ごと
CrCl<10:3mg/kg72時間ごと,および透析後
血液透析
7.5mg/kg48時間ごと(3.75mg/kg透析後に追加)
CrCl<10参照
CAPD(腹膜炎)
腹膜炎:2mg/kg腹腔内1日1回
データなし
CRRT
7.5mg/kg24時間ごと
データなし
SLED
データなし
データなし
  1. 高流量の血液透析はアミノグリコシドの予想外のクリアランスを招くので,投与後の効果と副作用を把握するために,透析後に血中濃度を測定すること.
  2. CAPDでは濃度をチェック,薬物動態は非常に変動が大きい.通常のCAPDの方法:2L透析液を1日4回交換(AMKの場合:8L×20mg喪失/L=160mgAMK静注補充/日)

 5. その他の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
24時間AUC/MIC
剤形
注射剤
リポソーム吸入用懸濁液
食事に関する推奨(経口薬)1

経口吸収率(%)

Tmax(時間)

最高血清濃度2(μg/mL)
41~49(15mg/kg静注, SD)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
0~10
分布容積3(Vd)
0.26 L/kg
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
2~3
排泄

胆汁移行率5(%)
10~60
脳脊髄液/血液6(%)
0~30
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
なし
AUC8(μg・時間/mL)
110~145(15mg/kg 0~inf)

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
アムホテリシンB
腎毒性↑
併用を避ける
シスプラチン
腎毒性↑,聴器毒性↑
併用を避ける
シクロスポリン
腎毒性↑
併用を避ける
フロセミド
聴器毒性↑
モニター
神経筋遮断薬
無呼吸または呼吸麻痺↑
モニター
NSAIDs
腎毒性↑
モニター
ピペラシリン/タゾバクタム
AMK不活化の可能性
モニター,または避ける
放射線造影剤
腎毒性↑
モニター
バンコマイシン
腎毒性↑
併用を避ける

6. コメント

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2024/07/22