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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
アミノグリコシド系-概説および一覧
(
2024/08/20 更新
)
使用および抗菌活性
アミノグリコシド系(AG)は
P. aeruginosa
を含む好気性グラム陰性桿菌による感染症の治療に使用される.AGのうちのいくつかの薬剤は,
Mycobacterium
に対する活性をもつ.
嫌気性菌には活性はない.
低pH環境(たとえば,膿瘍)では活性が低くなる.
抗菌薬の他の選択肢については,
抗菌薬耐性の遺伝子型
参照.
in vitroでは
S. aureus
に感受性があるが,単独で使用した場合,高頻度に小さなコロニーをなす耐性変異体が急速に出現する.
AGはしばしば他の抗菌薬と併用で使用される.
抗菌スペクトラム(全表)
を参照.
副作用
すべてのAGは潜在的に腎尿細管壊死と腎不全の原因となり,蝸牛毒性による難聴,前庭の障害によるめまいを誘発し,まれに神経筋遮断を起こす.
腎毒性およびおそらくは聴器毒性も,近位尿細管および内耳への蓄積の結果である.データによれば,敗血症患者でも最低3日治療を行わないかぎり急性腎障害リスクは増大しない:
Antimicrob Agents Chemother 58: 7468, 2014
.
腎毒性のリスク因子としては,高齢,脱水,長期治療,肝疾患,神経毒性のある他の薬剤(たとえば,シクロスポリン,VCM,AMPH-B,放射線造影剤)の併用などがある.同様の要因がおそらく聴器毒性のリスクにも影響を与える.
抗緑膿菌活性のあるペニシリン系薬との併用およびおそらく1日1回投与法(特に基本腎機能が正常な場合)により,腎毒性の危険性が低下する.
ミトコンドリア変異がある患者(500人に1人:ヨーロッパ)では蝸牛毒性が予測される(
N Engl J Med 360: 640, 2009
;
N Engl J Med 360: 642, 2009
).
AGの腎/聴器毒性の危険性を取り除く方法は知られていない.適切な治療法により危険率が低下する.アスピリン補助投与(3g/日)によりGMによる蝸牛障害のリスクが弱まる(
N Engl J Med 354: 1856, 2006
).
AGによって重症筋無力症が顕在化したり,悪化したりすることがある.重症筋無力症患者への使用を避けるべき抗菌薬:フルオロキノロン系,ポリミキシン系,マクロライド系(EM,Telithromycin).
疾病による組織変性がないかぎり,経口または局所投与で吸収される割合は少なく,危険性は最小限.
人工関節置換の際にスペーサーとして用いられるセメントにアミノグリコシド系薬を加えることが一般に行われている.症例報告によると,さまざまな量の薬剤が数日間で血清に移行し,毒性のリスクが生じる:
Clin Infect Dis 58: 1783, 2014
.
投与法
グラム陰性菌感染に対しては,ほとんどの場合投与間隔の延長が望ましいとされている.
Hartford Hospital法(
Antimicrob Agents Chemother 39: 650, 1995
).
初回投与量は,GMまたはTOBでは7mg/kg,AMKでは15~20mg/kg.投与間隔は推定CrClに基づいて決められる:
CrCl≧60:24時間ごと
CrCl 40~59:36時間ごと
CrCl 20~39:48時間ごと
CrCl<20:通常の投与法が推奨される
モニタリング: 初回投与から6 ~14時間後に1 つの直線を描き,下のノモグラムに当てはめて,選択した投与間隔を確認.重要:Y 軸はGMまたはTOBの7mg/kg投与量に対してのみ.5mg/kg など異なる投与量を使用した場合,ノモグラムを使用するには,測定された濃度に7/5を掛ける必要がある.AMK 15mg/kgを使用した場合,ノモグラムを使用するには測定された濃度を半分にする必要がある.
AGの投与間隔延長に関する臨床試験データはメタアナリシスにより大いに検討されている(
Clin Infect Dis 24: 816, 1997
).PK/PD解析:
Antimicrob Agents Chemother 55: 2528, 2011
.
グラム陽性菌感染に対しては,通常の投与法(すなわち,1mg/kg8時間ごと)が,ほとんどの場合望ましいとされている(例外:
Streptococcus
による感染性心内膜炎のあるタイプ).
血清濃度モニター:
通常の投与で定常状態でのピーク値とトラフ値の測定を行う.重篤な患者では,分布容積と腎機能が急速に変化することがあるため,初回投与後に最高血清濃度測定を考慮
タイミング:
トラフ値:投与直前
ピーク値:初期の研究では薬剤分布はAG注射開始後60分で完全と示唆されていた.より最近のデータでは,通常の投与法では,薬物分布は注射開始後1.5時間,すなわち60分かけての注射後30分で完全となることが示唆されている(
Antimicrob Agents Chemother 41: 1115, 1997
).
用量設定に用いる体重:
患者の体重が理想体重より低い:実際の体重を用いる
患者の体重が理想体重~理想体重の130%:理想体重を用いる
患者の体重が>理想体重の130%:補正体重を用いる
補正体重=理想体重+0.4×(実際の体重-理想体重)
計算式-BMI, BSA, IBW, LBW
薬剤
アミカシン
(AMK)
ゲンタマイシン
(GM)
カナマイシン
(KM)
Netilmicin
パロモマイシン
Plazomicin
ストレプトマイシン
(SM)
トブラマイシン
(TOB)
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2024/08/19