Plazomicin (2025/06/03 更新)
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Contents
1. 用法および用量
1. 使用
2. 成人用量
3. 小児用量
4. 腎障害時の用量調整
5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
1. 用法および用量
1. 使用
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2018年に承認されたPlazomicinはSisomicin由来の半合成アミノグリコシド系薬である.
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FDAは2018年6月,18歳以上の成人に対し,E. coli,K. pneumoniae,P. mirabilis,E. cloacaeによる複雑性尿路感染症(cUTI)(腎盂腎炎を含む)の治療薬として承認した.
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その他のグラム陰性菌に対するin vitroデータの臨床的意義は不明.
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おそらく,βラクタム薬および他のクラスの抗菌薬に耐性の腸内細菌科に対して活性あり.
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臨床的に問題になる多くのアミノグリコシド修飾酵素の存在下でも安定
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16S rRNAメチルトランスフェラーゼ産生株に対しては活性なし
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薬剤排出ポンプの発現があるか,ポーリン閉鎖のため細胞壁透過性が低下した腸内細菌科に対する活性は低いようだ.
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P. aeruginosaに対する活性は一定せず,Acinetobacter baumannii,Stenotrophomonas maltophiliaまたは嫌気性菌に対しては活性がない.
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Plazomicinは,安全性および有効性に関するデータが少ないため,他の処方選択肢が限られるかない場合にのみ使用する.理想的には,Plazomicin使用前に感受性検査結果を得ておく.
2. 成人用量
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15mg/kg静注24時間ごと・4~7日
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50mL生食で30分以上かけて注入する
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製品ラベル表示では,血漿トラフ値<3μg/mLを維持するためにTDMを推奨している.第2回投与30分前にトラフ値をチェック;トラフ値≧3μg/mLなら,投与間隔を1.5倍に延長(すなわち,24時間ごとから36時間ごとへ,または48時間ごとから72時間ごとへ)
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Hartfordモノグラムの適応により,少数の患者でトラフ値≧3μg/mLとなることを示唆する研究がある.前向きの検証が必要である(Antimictob Agents Chemother 63: e00148, 2019).
3. 小児用量
用量(生後>28日)
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安全性と有効性は確立されていない
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最大/日
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4. 腎障害時の用量調整
半減期(時間)(腎機能正常)
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3.5
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半減期(時間)(ESRD)
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データなし
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用量(腎機能正常)
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15mg/kg静注24時間ごと
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CrClまたはeGFR
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CrCl≧60:用量調整不要 CrCl≧30~<60:10mg/kg24時間ごと CrCl≧15~<30:10mg/kg48時間ごと CrCl<15:データなし
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血液透析
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データなし
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CAPD
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データなし
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CRRT
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データなし
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SLED
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データなし
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5. その他の用量調整
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軽症肝障害(Child-Pugh分類A):用量調整不要
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中等症肝障害(Child-Pugh分類B):用量調整不要
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重症肝障害(Child-Pugh分類C):用量調整不要
2. 副作用/妊娠時のリスク
副作用
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Plazomicinは,すべてのアミノグリコシドと同様に3つの主要な副作用と関連する.さらなる詳細についてはアミノグリコシド系-概説を参照.
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腎毒性(急性尿細管壊死)
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聴器毒性(蝸牛および前庭)
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神経筋ブロックの増強(まれ)
妊娠時のリスク
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FDAリスク区分(新):アミノグリコシド系薬,特に妊娠第1期での使用は胎児障害に関連.Plazomicinに関する特異的なデータはない.妊婦では避けるが,有用性がリスクを上回る場合の短期使用は容認できるだろう.
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授乳中の使用: おそらく安全,乳児では胃腸毒性をモニター
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
PK/PD指標
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24時間AUC/MIC
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剤形
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注射剤
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食事に関する推奨(経口薬)1
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経口吸収率(%)
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Tmax(時間)
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最高血清濃度2(μg/mL)
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51~74(15mg/kg静注, SD)
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最高尿中濃度(μg/mL)
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データなし
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蛋白結合(%)
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20
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分布容積3(Vd)
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18~31 L
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平均血清半減期4(T1/2, 時間)
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3.5
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排泄
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腎
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胆汁移行性5(%)
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データなし
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脳脊髄液/血液6(%)
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データなし
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治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性7
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データなし
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AUC8(μg・時間/mL)
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226~257(15mg/kg,0~inf)
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注記のない場合は成人用経口製剤
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SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
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V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
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CrCl>80 mL/分と想定
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(胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
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炎症時における脳脊髄液濃度
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薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
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AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
薬剤が基質となるCYP450
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薬剤が基質となるトランスポーター
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薬剤が基質となるUGT
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薬剤が阻害するCYP450
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MATE1,MATE2-K
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薬剤が阻害するトランスポーター
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薬剤が阻害するUGT
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薬剤が誘導するCYP450
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薬剤が誘導するトランスポーター
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薬剤が誘導するUGT
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血清中薬物濃度への影響
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↑
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血清中薬物濃度への影響とは,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度のことをいう.↑:上昇,↓:低下
6. 主要な薬物相互作用
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