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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
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ECMO薬物用量調整 (2026/07/21 更新) |
はじめに
ECMOでの用量調整
| 薬物 |
ECMOの影響 |
推奨される用量調整 |
コメント,文献 |
| 抗菌薬 |
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| アミカシン |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
非ECMOのICU患者と同様の投与を行う.TDMが推奨される(Clin Pharmacokinet 65, 193, 2026). |
| アンピシリン |
重度CSがありうる |
通常範囲の上限用量 |
患者2例の治療データ(Crit Care 28: 326, 2024;Pharmacotherapy 43: 864, 2023) |
| アジスロマイシン |
Cmax,Cmin,AUCへの影響なし;CLも同様;Vd↓? |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
3例を対象とした症例シリーズ1件からのデータ(Ann Pharmacother 50: 72, 2016). |
| アズトレオナム |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
1件の症例報告からのデータ(Int J Antimicrob Agents 67: 107692, 2026) |
| アズトレオナム/Avibactam |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
1件の症例報告からのデータ(Int J Antimicrob Agents 67: 107692, 2026) |
| セファゾリン |
PKパラメーターへの影響は最小限:CSについては矛盾したデータ |
細菌感染症予防には標準用量を使用(治療についてはコメント参照) |
症例報告(Chemotherapy 64: 115, 2019) 治療のためには通常範囲の上限を用いる(Crit Care 28: 326, 2024). |
| セフェピム |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
用量は主として腎機能および同時に行われるCRRTに基づく必要がある.腎クリアランスが増大している患者(CrCl>130)では長時間静注+TDM(可能ならば)を考慮する.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| セフィデロコル |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
非ECMOのICU患者と同様の投与を行う.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| Cefpirome |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
P. aeruginosaに対しては,標準用量の上限(つまり,2g静注[30分以上かけて)8時間ごと,または2g静注[4時間以上かけて]12時間ごと)を用いる.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| Ceftaroline |
重度CS |
推奨を決めるに十分なデータがない |
循環での喪失はより高用量の必要性を示唆するが,臨床データはない(Crit Care 28: 326, 2024). |
| セフタジジム |
ex vivoでも臨床研究でもPKの重大な変化はない |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
文献:Crit Care 28: 326, 2024 |
| セフタジジム/Avibactam |
上記のCmin目標値は事前に定めたカットオフ値以上 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
14例の患者のデータ.腎クリアランス増加(CrCl>130)は用量不足と関連する主要因子(J Antimicrob Chemother 79: 1182, 2024) |
| Ceftobiprole medocaril |
薬物PKパラメーターへの重大な影響なし |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
28例のECMO患者のレトロスペクティブ研究(Int J Antimicrob Agents 61: 106765, 2023). |
| セフトロザン・タゾバクタム |
CSデータは矛盾,PKパラメータへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
ex vivoおよびin vivo研究および症例報告からのデータ(J Transl Med 18: 213, 2020) |
| セフトリアキソン |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
非ECMOのICU患者と同様の投与を行う.腎クリアランスが増大している患者(CrCl>130)や感受性の低い病原体を治療する場合は,可能であればTDMの実施が推奨される.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| シプロフロキサシン |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
非ECMOのICU患者と同様の投与を行う.高用量(および,可能ならばTDM)が,腎クリアランスが増大している患者(CrCl>130)では適切なことがある.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| コリスチン(ポリミキシンE) |
おそらくCSはない.薬物PKパラメーターへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
文献:Crit Care 28: 326, 2024. |
| ダプトマイシン |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
用量は主として腎機能の基づく必要がある.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| ドキシサイクリン |
PKへの影響は最小限(限られたデータ) |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
1例の患者に関する会議抄録(Open Forum Infect Dis 2: 804, 2015) |
| Ertapenem |
影響は不明 |
推奨にはデータが不十分 |
MEPMまたはIPM/CSを使用する(Crit Care 28: 326, 2024) |
| ホスホマイシン静注 |
おそらくCSはない;発表されたPKデータはない |
標準用量の使用が推奨される |
文献:Crit Care 28: 326, 2024 |
| ゲンタマイシン |
薬物PKに対する影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
成人のデータなし.ECMOでないICU患者と同様の方法を用いる.TDMが推奨される(Crit Care 28: 326, 2024). |
| イミペネム/シラスタチン |
薬物PKに対する影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
非ECMOのICU患者と同様の投与を行う.腎クリアランスが増大している患者(CrCl>130)では長時間静注(可能ならばTDMも行う)が推奨される.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| イミペネム/シラスタチン/レレバクタム |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
7例の重症患者で標準用量で十分な薬剤曝露が得られた(J Antimicrob Chemother 79: 1118, 2024) |
| レボフロキサシン |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
文献:Crit Care 28: 326, 2024 |
| リネゾリド |
薬物PKへの影響は最小限 |
おそらく増量が必要 |
標準用量では目標とした治療濃度には到達しない.重症感染症またはMIC≧2μg/mLの病原菌には600mg8時間ごとを考慮.血小板減少症をモニター.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| メロペネム |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
用量は主として腎機能に基づく必要がある.感受性の低い病原菌または積極的なPK/PD目標を目指すならば,高用量(たとえば,長時間静注で2g8時間ごと)が必要となることがある.腎クリアランスが増大している患者(CrCl>130)またはCRRTを受けている患者ではTDM(可能ならば)が推奨される.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| メトロニダゾール |
PKがECMOの影響を受けることは,おそらくない |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
文献:Crit Care 28: 326, 2024. |
| Nafcillin |
おそらくCSはない |
通常範囲の上限用量 |
臨床反応を詳細にモニター(Crit Care 28: 326, 2024) |
| Oxacillin |
おそらくCSはない |
通常範囲の上限用量 |
臨床反応を詳細にモニター(Crit Care 28: 326, 2024) |
| ピペラシリン・タゾバクタム |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
非ECMOのICU患者と同様の投与を行う.長時間静注(可能ならばTDMも行う)は,目標達成率を高める.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| ポリミキシンB |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
TDM(可能ならば)が強く推奨される.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| テイコプラニン |
VdおよびCLへの影響は評価しにくい |
増量が示唆される |
特異的な処方が推奨されている:Antimicrob Agents Chemother 61: e01015, 2017;Drug Devel Ther 17: 2259, 2023.有効性および安全性のためにTDMが推奨される(Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026). |
| チゲサイクリン |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
推奨はex vivo研究と1症例報告に基づく(Crit Care 28: 326, 2024). |
| ST |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
症例報告あり,確認を要する(Pharmacotherapy 40: 713, 2020).Crit Care 28: 326, 2024も参照. |
| トブラマイシン |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
臨床データなし.非ECMOのICU患者と同様の投与を行う.TDMが推奨される(Crit Care 28: 326, 2024). |
| バンコマイシン |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
用量は主として腎機能および同時に行われるCRRTに基づく必要がある.安全性および有効性の目標に達成するにはTDMが重要.文献:Clin Pharmacokinet 65: 193, 2026. |
| 抗真菌薬 |
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| アムホテリシンB |
デオキシコール酸:CS最小限 リポソーム製剤:データが矛盾 |
デオキシコール酸:標準用量を使用 リポソーム製剤:増量を考慮(5~8mg/kg24時間ごと,またはそれ以上) |
症例報告では,リポソーム製剤では標準用量の2倍が必要だった(Pharmacotherapy 40: 89, 2020).リポソーム製剤からデオキシコール酸への変更を考慮する(Clin Pharmacokinet 62: 931, 2023).Crit Care 28: 326, 2024も参照 |
| Anidulafungin |
薬物PKへの影響は最小限 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
1つの症例報告からのデータ(Clin Pharmacokinet 62: 931, 2023). |
| カスポファンギン |
CSについてはデータが矛盾.一般的には薬物PKに対する影響は最小限だが,患者間の差が大きい |
増量を考慮 |
矛盾したデータだが,安全性プロファイルは良いので増量が支持される,たとえば,70mg24時間ごと(Crit Care 28: 326, 2024). |
| フルコナゾール |
CS最小限,Vd↑ |
予防:標準用量を使用 治療:初回用量(12mg/kg,または標準治療用量の2倍),その後標準治療用量 |
文献:Crit Care 28: 326, 2024;Clin Pharmacokinet 62: 931, 2023 |
| イサブコナゾニウム硫酸塩 |
限られたデータ.イサブコナゾール濃度はECMO調整器で変化しない |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
TDMに基づく使用を考慮(Crit Care 28: 326, 2024;J Antimicrob Chemother 77: 2500, 2022). |
| ミカファンギン |
CS中等度 |
増量を考慮 |
中等度CS,症例報告,安全性プロファイルは良いので増量が支持される,たとえば150mg24時間ごと(Crit Care 28: 326, 2024). |
| ポサコナゾール |
CS重度 |
予防:標準用量を使用 治療:増量を考慮,TDMで調整 |
文献:Crit Care 28: 326, 2024;J Antimicrob Chemother 76: 1234, 2021 |
| ボリコナゾール |
CS中等度~重度 |
初回投与の期間を延長.6mg/kg静注12時間ごと・2日から開始(または酸素供給器交換の後),その後3~4mg/kg24時間ごとに減量 |
患者間でも同一患者においても変動が大きい.TDMに基づく使用が強く推奨される(Crit Care 28: 326, 2024;Clin Pharmacokinet 62: 931, 2023). |
| 抗ウイルス薬 |
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| ガンシクロビル |
CS最小限,PKパラメーターに対する影響は矛盾している |
標準用量の使用が推奨される |
わずか2件の症例報告(Int J Antimimcrob Agents 58: 106431, 2021;J Clin Pharm Ther 45: 218, 2020).可能ならTDMが推奨される.Crit Care 28: 326, 2024も参照. |
| オセルタミビル |
オセルタミビルのPKに対する重大な影響はない |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
3件のオープンラベルプロスペクティブ研究で支持されている(Crit Care 28: 326, 2024). |
| ペラミビル |
ECMO回路内での薬物喪失はわずか |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
小規模なex vivoの1回投与観察研究からの予備的なデータ(Perfusion 38: 501, 2023). |
| レムデシビル |
親薬物およびGS-441524の両方にCSの可能性 |
ECMO特異的な用量調整は不要 |
臨床データは限られている.濃度低下が1件の症例報告により示唆されているが,交絡因子が多い(Crit Care 28: 326, 2024). |
CS:循環での喪失,Vd:分布容積,CL:薬物クリアランス,TDM:治療薬物モニタリング
Cmax:血清中最高濃度,Cmin:血清中最低濃度