• フラジオマイシンは経口アミノグリコシドで，胃腸の切除術前の予防的投与，および肝性脳症（HE）の治療に用いられる．コメント参照．
  
• 全身吸収により毒性が生じることがある．副作用参照．
  
• 低い濃度の局所クリームや軟膏の市販薬が入手できる．
  

• 体重およびクレアチニンクリアランス（CrCl）推定値の計算法
  
• CrCl（mL/分），CAPD: 持続的携行型腹膜透析， CRRT: 持続的腎代替療法，SLED: 長時間低効率血液透析
  

• 軽症肝障害（Child-Pugh分類A）：用量調整不要
  
• 中等症肝障害（Child-Pugh分類B）：用量調整不要
  
• 重症肝障害（Child-Pugh分類C）：用量調整不要
  

副作用

• もっとも多い：悪心，嘔吐，下痢
  
• 「吸収不良症候群」は糞便中脂肪の増加，血清カロチンの減少が特徴であり，長期治療ではキシロース吸収の低下が報告されている
  
• 警告【Black Box Warning】
  

• 経口投与後に体内吸収が起こり，重症毒性が起こることがある（推奨用量においても）
  
• 報告された毒性：神経毒性（聴器毒性を含む），腎毒性
  
• リスク因子：高用量，長期治療，腎機能低下，高齢，脱水
  

妊娠時のリスク

• FDAリスク区分：アミノグリコシドは，特に妊娠第1期での使用で胎児障害と関連．フラジオマイシンに特異的なデータなし．妊婦では避ける，ただし有用性がリスクを上回る場合には短期の使用は許容されることもある1
  
• 授乳中の使用：おそらくは安全，乳児では胃腸毒性をモニター2
  

1. 出典：製薬会社の処方情報
   
2. 出典：Drugs and Lactation Database (LactMed)
   

†：日本にない剤形

1. 注記のない場合は成人用経口製剤
   
2. SD：単回投与後，SS：複数回投与後の定常状態
   
3. V/F：（Vd）÷（経口生物学的利用能），Vss：定常状態におけるVd，Vss/F：（定常状態におけるVd）÷（経口生物学的利用能）
   
4. CrCl＞80 mL/分と想定
   
5. （胆汁中の最高濃度）÷（血清中の最高濃度）×100
   
6. 炎症時における脳脊髄液濃度
   
7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定．脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
   
8. AUC：血中濃度-曲線下面積 area under drug concentration curve．0～inf＝AUC0-inf，0～ｘ時間＝AUC0-x
   

• 肝性脳症の治療では第二選択と考えられる．より安全な薬剤が使用可能（Hepatology 60: 715, 2014）．