日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

トブラマイシン  (2024/05/07 更新)
TOB
主な商品名:トブラシン

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 主要な薬物相互作用
6. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

†:日本にない剤形

 2. 成人用量

1日複数回投与法
(全身感染)
初期用量5~7mg/kg静注,その後1.7~2mg/kg8時間ごと
目標ピーク値4~10μg/mL,トラフ値1~2μg/mL
1日1回投与法
(全身感染)
5.1mg/kg静注24時間ごと(重症の場合は7mg/kg24時間ごと)
目標トラフ値<1μg/mL
腹膜透析関連腹膜炎
0.6mg/kgを1日のうち1回のバック交換に追加(Dwell timeは最低6時間)
中枢神経系シャント感染
5~20mg/日を髄腔内投与
嚢胞性線維症
300mgを12時間ごとに吸入,28日を1サイクルとして
細菌性結膜炎
眼科用液点眼または軟膏

 3. 小児用量

用量(生後>28日)
5~7mg/kg/日(1日1回)
2.5mg/kg 8時間ごと
最大/日

 4. 腎障害時の用量調整

  
1日複数回投与法
1日1回投与法
半減期(時間)
(腎機能正常)
2~3
2~3
半減期(時間)
(ESRD)
30~70
30~70
用量(腎機能正常)
1.7~2mg/kg筋注/静注8時間ごと
5.1mg/kg24時間ごと
CrClまたはeGFR
CrCl>50~90:1.7~2.0 mg/kg8時間ごと
CrCl 10~50:1.7~2.0mg/kg12~24時間ごと
CrCl<10:1.7~2.0mg/kg48時間ごと
CrCl 60~80:4mg/kg 24時間ごと
CrCl 40~60:3.5mg/kg 24時間ごと
CrCl 30~40:2.5mg/kg24時間ごと
CrCl 20~30:4mg/kg48時間ごと
CrCl 10~20:3mg/kg 48時間ごと
CrCl<10:2mg/kg72時間ごと,および透析後
血液透析
1.7~2mg/kg48時間ごと(透析後0.85~1mg/kgを追加投与)
CrCl<10を参照
CAPD
連腹膜炎:0.6mg/kg1日1回
データなし
CRRT
1.7~2mg/kg 24時間ごと
データなし
SLED


高流量の血液透析膜は予想外のクリアランスを招くので,投与後の効果と毒性を把握するために,透析後に血中濃度を測定すること.

CAPDでは濃度をチェック,薬物動態は非常に変動が大きい.通常のCAPDの方法:2L透析液を1日4回交換(AMKの場合:8L×20mg喪失/L=160mgAMK静注補充/日)

 5. その他の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
24時間AUC/MIC
剤形
注射剤,吸入剤†,0.3%眼科用液,0.3%軟膏†
食事に関する推奨(経口薬)1

経口吸収率(%)

Tmax(時間)

最高血清濃度2(μg/mL)
4~6(1.7mg/kg静注, SD)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
0~10
分布容積3(Vd)
0.26 L/kg
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
2~3
排泄

胆汁移行性5(%)
10~60
脳脊髄液/血液6(%)
0~30
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
なし
AUC8(μg・時間/mL)
70~100(7mg/kg,0~inf)

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
アムホテリシンB(すべての剤形)
腎毒性↑
併用を避ける
シスプラチン
腎毒性↑,聴器毒性↑
併用を避ける
シクロスポリン
腎毒性↑
併用を避ける
フロセミド
聴器毒性↑
モニター
神経筋遮断薬
無呼吸または呼吸麻痺↑
モニター
NSAIDs
腎毒性↑
モニター
ピペラシリン/タゾバクタム
TOB不活化の可能性
モニターまたは避ける
X線造影剤
腎毒性↑
モニター
バンコマイシン
腎毒性↑
併用を避ける

6. コメント

ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2024 Life Science Publishing↑ page top

2024/05/03