日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

肺炎-Nocardia   (2025/07/29 更新)
Nocardia 肺炎の特異的治療


臨床状況

  • 免疫不全患者における肺炎.
  • Nocardia属の培養陽性.
  • 明白な免疫不全がない患者では,Nocardia肺感染は,抗顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)自己抗体の存在と関連している.

病原体

  • Nocardia nova complex
  • Nocardia farcinica
  • Nocardia cyriacigeorgica
  • Nocardia brasiliensis
  • Nocardia abscessus

第一選択

  • ST(トリメトプリムとして)15mg/kg/日を静注/経口・2~4回に分割+IPM/CS 500mg静注6時間ごと・3~4週,その後ST 10mg/kg/日静注または経口2~4回に分割・6ヵ月

第二選択

  • IPM/CS 500mg静注6時間ごと+AMK 7.5mg/kg静注12時間ごと)・3~4週,その後ST経口

抗微生物薬適正使用

  • Nocardia属は,ときとして構造的肺疾患(たとえば気管支拡張症)患者の肺に定着する場合がある.したがって,患者の免疫機構が正常であれば,感染の症状も,感染を示唆する放射線画像上の変化もないため,一部の専門家は,ただちに治療をすることなく,臨床症状,放射線画像,微生物学検査によって,定着から感染への進行の注意深いモニターを考慮することがある

コメント

  • Nocardia属はCNS病変と関連する傾向がある. 肺ノカルジア症の患者には,脳の画像診断(CTまたはMRI)を行うべき.
  • in vitroでの抗菌薬処方の活性を確認するために,種同定および感受性試験が推奨される.
  • 抗菌薬の感受性は種によって異なる.
  • N. farcinicaはCTRXに耐性のため,この種による感染症にCTRXは用いないこと.
  • STはすべての種に対する選択薬の1つ.in vitroでの耐性増加の報告があるが(Clin Infect Dis 51: 1445, 2010),これがアウトカム悪化と関連しているかは不明であり,MICエンドポイントの解釈の難しさを反映している可能性もある(J Clin Microbiol 50: 670, 2012).
  • ST,AMK,LZDへの耐性はまれ.
  • TZDはinvitroで活性があり,おそらく忍容性が高いが,使用は症例報告のみであり有効性は十分に確認されていない(J Infect Chemother 28: 1172, 2022).
  • スルホンアミド耐性株の場合,あるいは患者がサルファ剤アレルギーの場合,AMK+(IPM/CS,MEPM,CTRXのうちいずれか1剤)を用いる.
  • 感受性試験に関する電話相談:Wallace Lab (+1) 903-877-7680;CDC (+1) 404-639-3158.
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2025/07/28