日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

ニューモシスチス肺炎(PJP)-成人  (2025/01/21 更新)
成人の治療と予防


臨床状況

  • ニューモシスチス肺炎(PJPまたはPCP)は免疫不全患者,特にHIV/AIDS患者において致死的になるおそれがある.
  • リスクが高い患者
  • HIV/AIDS患者でCD4数<200/μL
  • 固形臓器および造血幹細胞移植を受けた患者.症例対照研究では,移植後のPJPは,活動性CMV,同種移植片拒絶,予防の中止と関連していた(Clin Infect Dis 68: 1320, 2019).
  • 抗がん化学療法を受けた患者,特に高用量ステロイド治療を受けた患者(Prednisone≧20mg/日 または等価用量を1カ月以上)
  • Prednisone≧20mg/日(あるいは等価用量)を必要とする一部のリウマチ疾患患者
  • 特にHIV/AIDS患者では,数日~数週間症状が続いて亜急性感染となることがある.
  • 早期予防/長期抑制の適応
  • CD4数<200/μLのHIV/AIDS患者
  • Prednisone≧20mg/日等価用量を1カ月以上にわたって服用しているすべての患者
  • アレムツズマブ(CLL治療のためのモノクローナル抗体),テモゾロミド(星状神経腫治療のためのアルキル化薬)を使用している患者
  • 免疫抑制中の造血幹細胞・固形臓器移植レシピエント
  • フルダラビン(血液学的悪性疾患治療に用いられるプリンアナログ)を投与されている患者
  • Prednisone+シクロホスファミドでの治療を受けているヴェゲナー肉芽腫患者
  • 診断:喀痰PCR.それが利用できなければ,喀痰のDFA.
  • β-Dグルカン
  • Pneumocystis その他の真菌の細胞壁多糖.

病原体

  • Pneumocystis jirovecii

第一選択

  • ST:(スルファメトキサゾール75~100mg/kg/日+トリメトプリム15~20mg/kg/日)静注6または8時間ごとに分割;臨床的改善後は経口製剤にスイッチしてもよい
  
これに加えて
  
  • コルチコステロイド:室温でPaO2<70mmHgまたはA-aDO2≧35mmHgなら,ただちに(理想的にはPJP治療開始75時間以内に)開始
  • 第1~5日:40mg経口1日2回
  • 第6~10日:40mg経口1日1回
  • 第11~21日:20mg経口1日1回

第二選択

  • 重症
  • プリマキン30mg(塩基)経口1日1回+CLDM(静注[600mg6時間ごと,または900mg8時間ごと],または経口[450mg6時間ごと,または600mg8時間ごと])
   
  • 中等症
  • プリマキン30mg(塩基)経口1日1回+CLDM経口(50mg6時間ごと,または600mg8時間ごと)
  
これに加えて
  
  • コルチコステロイド:室温でPaO2<70mmHgまたはA-aDO2≧35mmHgなら,ただちに(理想的にはPJP治療開始75時間以内に)開始
  • 第1~5日:40mg経口1日2回
  • 第6~10日:40mg経口1日1回
  • 第11~21日:20mg経口1日1回

コメント

  • 治療期間:PJP治療の推奨される治療期間は(どの処方でも)21日
  • 治療失敗:
  • 臨床的治療失敗とは,4~8日の治療後に動脈血ガスで表される呼吸機能の改善なし,または悪化と定義される.薬剤の無効に起因する失敗はHIV感染で軽症~中等症患者の約10%で起こる.
  • 臨床医は,臨床的改善がみられない場合,治療を切り替えるまで4~8日間待つ必要がある.コルチコステロイド療法がない場合には,おそらく抗菌薬による肺内微生物の溶解によって引き起こされる炎症反応のため,治療後最初の3~5日以内に早期かつ可逆的な悪化が起こるのが一般的である.他の付随する感染性および非感染性プロセスは,臨床失敗の原因として除外されなければならない.
  • STが無効または毒性のために失敗となった場合の選択肢:ペンタミジン静注またはプリマキン経口+CLDM静注.軽症の場合には,アトバコンが合理的な代替薬
  • HIV/AIDS患者でいつARTを開始するか:
  • 早期治療はAIDS悪化のリスクを抑制すると同時に,副作用や免疫再構築症候群(IRIS)のリスクを増大させずに死亡率を半分近くに低下させる.
  • 二次予防:PJP予防を参照
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2025/01/20