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RFP耐性でフルオロキノロンに感受性のあるM. tuberculosisによる肺結核
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注:妊婦で,授乳中止に同意しない,または中止できなければ除外
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ベダキリン(体重24~30kg:200mg1日1回2週,その後100mg週3回;>30kg:400mg1日1回2週,その後200mg週3回)+
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LZD(体重24~30kg:300mg1日1回16週まで,その後300mg1日1回または600mg週3回;>30kg:600mg1日1回16週まで,その後300mg1日1回または600mg週3回;必要なら毒性を抑えるために16週以前で用量変更)+
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PZA(体重24~35kg:800mg;体重>35~45kg:1200mg;>45~70kg:1600mg;>70kg:2000mg)
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ベダキリン上記用量+デラマニド(体重24~30kg:50mg1日2回;体重>30kg:100mg1日2回)+LZD上記用量+LVFX(体重24~35kg:750mg1日1回;>35kg:1000mg1日1回)+PZA上記用量
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ベダキリン,デラマニド,LZD,LVFX,CLFを組み合わせた6ヵ月処方は,すべての患者集団で広く使われている薬剤で構成される処方であり,BEAT試験(NCT04062201)で高い治療成功率を示しことから,WHOはフルオロキノロン耐性の有無にかかわらず,この処方を推奨している(条件付き推奨,エビデンスの確実性は非常に低い).試験のエビデンスにより,登録されたRFP耐性結核患者,およびプレ広範囲薬剤耐性結核(pre-XDR-TB)患者(HIV感染の有無にかかわらず)で有効かつ安全に使用可能であることが示唆された.現在までのエビデンスは,小児,青少年,妊婦,授乳中の女性を対象としたものであり,この処方をこれらの集団で使用することに対して警告を与えている.したがって,この研究で得られたエビデンスは,多くの患者集団において本処方をプログラム的に使用する新たな推奨を支持するものとなるだろう.
上記の処方に不耐あるいは対象候補とならない一部の患者に対する,ほぼ時代遅れとなった以前の処方を,歴史的興味と網羅性のためにここに記載する
WHO短期多剤処方(フルオロキノロン耐性は除く,妊婦や上記の処方に不耐な患者および小児で用いるための処方)
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ベダキリン400mg経口1日1回・2週,その後200mg経口週3回・22週+
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(LVFX 750~1000mg経口24時間ごと,またはMFLX 400mg経口24時間ごと)+
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PZA 20~30mg/kg/日:体重≦35kgなら1000mg経口24時間ごと,体重36~70kgなら1500mg経口24時間ごと,体重>70kgなら2000mg経口24時間ごと
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ETH 15~20mg/kg/日1回または2回に分割(妊婦では禁忌,代わりにLZDを用いる)
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5ヵ月の維持期ではLVFXまたはMFLX+CLF+PZA+EB
より忍容性が高く,より効果的な短期処方が用いられるようになってきたため,長期の多剤処方は好まれなくなった
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■LVFX 750~1000mg経口24時間ごと,または
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■MFLX 400mg(他のフルオロキノロン系薬に低度耐性なら600~800mg)経口24時間ごと
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■ベダキリン400mg経口1日1回・2週,その後200mg経口週3回・22週(24週を超えて治療期間を延長する安全性と有用性は未確立)
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■CS 250~750mg1日1回・血清濃度が20~35μg/mLに達するまで
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上記の1剤以上が使用できず,5剤を用いた強化治療ができない場合,下記から選択する
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■AMK(またはin vitroでの活性が確認されたらSM)15mg/kg,最大1g1日1回,または忍容性があれば25mg/kg週3回・計6~7カ月(忍容性の低さ,毒性から経口薬のほうが望ましく,これらは最後の手段)
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■上記から有効な処方を構築できない場合の他の選択肢
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・ETHまたはProthionamide 15~20mg/kg/日1~2回に分割(妊婦では禁忌)
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・INH高用量15mg/kg/日,分離株が低度耐性か,または高度耐性でない場合のみ
WHO長期コースの処方:下記から望ましくは5剤,少なくとも4剤を18~24カ月投与する
(詳細はWHO MDR治療ガイドラインを参照)(下記は年齢>14歳に対する用量)
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LVFX 750mg経口24時間ごと(体重≦45kg),1000mg経口24時間ごと(>45kg).または,MFLX 400mg経口24時間ごと+
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ベダキリン400mg経口1日1回・2週,その後200mg経口週3回・22週+
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上記に加えて,以下グループBの薬剤から1剤または2剤
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CS 10~15mg/kg/日:500mg経口24時間ごと(体重≦45kg),750mg経口24時間ごと(>45kg)
グループCの薬剤,グループAまたはBの薬剤が使用できない場合に,5剤処方を完成させるために追加
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EB 15~25mg/kg/日:800mg経口24時間ごと(体重≦45kg),1200mg経口24時間ごと(>45kg)
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PZA 20~30mg/kg/日:1000mg経口24時間ごと(体重≦35kg),1500mg経口24時間ごと(36~70kg),2000mg経口24時間ごと(>70kg)
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AMK(または,in vitro活性が確認されていればSM)15mg/kg,最大1g1日1回・12週,その後週3回を忍容性に応じて計6~7カ月+
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ETHまたはProthionamide 500mg経口24時間ごと(体重≦45kg),750mg経口24時間ごと(46~70kg),1000mg(>70kg)(妊婦では禁忌)