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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
光線過敏反応
(
2025/03/18 更新
)
概説
薬剤性の光線過敏症は,多くが薬剤と紫外線放射の相互作用による皮膚の薬剤反応である.紫外線A(波長315~400nm)が関与することがもっとも多い.光毒性と光アレルギーに分けられる.
光毒性
より多い
下位分類:高度色素沈着および色素異常,ペラグラ様反応,光爪甲剥離症,発疹性毛細血管拡張症,偽ポルフィリン症
直接の組織障害
用量依存的
太陽光曝露の30分~24時間後に発症.過度の日焼けに類似する
光アレルギー
下位分類:苔癬様反応,光過敏性多形性紅斑,亜急性または慢性紅斑性狼瘡
IV型過敏症
感光性物質への曝露が必ず先行する
遅延性湿疹性反応として生じる
以下にあげた薬剤は,一部の人で光線過敏症を引き起こすことが知られている.少なくともテトラサイクリン系では,薬剤を最後に投与してから数日は光線過敏症が続くことに注意する.
以下では反応の相対出現率や重症度については記載していない.
文献:
Drug Saf 42: 827, 2019
;
Front Allergy 3: 876695, 2022
.
薬剤
抗細菌薬
CTX:太陽光線の曝露部位での毛細血管拡張症として現れる(
Br J Dermatol 143: 674, 2000
)
CAZ:日焼けに対する感受性増大がみられる(
Lancet 341: 1221, 1993
)
フルオロキノロン系:
キノロン核のC-8にハロゲン原子(フッ素,塩素,臭素など)が結合したもの(ロメフロキサシン,Sparfloxacin)がもっとも危険.
最近のデータでは,他の分子的特徴,たとえばN-1位における大きな極性基などがC-8ハロゲンの作用を軽減する可能性が示唆されている.したがって,DelafloxacinはC-8に塩素原子があるにもかかわらず,光毒性のリスクは相対的に低い.
フルオロキノロン系での光毒性のリスクの順序は,Sparfloxacin>CPFX>Gemifloxacin>LVFX>NFLX>OFLXである.
GFLXおよびMFLXは,現在までのところ光毒性との関連は報告されていない(
Photochem Photobiol Sci 17: 773, 2018
).
テトラサイクリン系
TCおよびDOXYで報告あり,MINOではまれ.
おそらくSarecyclineは,他のテトラサイクリン系薬よりも光線過敏症が起こりやすい(
J Am Acad Dermatol 87: 1150, 2022
).
トリメトプリム:単独でもスルファメトキサゾールとの併用でも起こる.
抗真菌薬
アゾール系抗真菌薬:
VRCZ,ITCZ,KCZで報告あり(ただしFLCZでは起こらない).
PSCZによる光線毒性反応,皮膚生検により確認(
Photodermatol Photoimmunol Photomed 40: e12949, 2024
).
5-FC:2つの報告がある
Griseofulvin:古い数件の報告があるが,強力な光線感作物質とは考えられていない.
Rezafungin:製薬会社の処方情報に記載がある
テルビナフィン:2例報告されている(
Acta Dermatovenerol Croat 32: 113, 2024
).
抗結核薬
INH:再投与試験および光パッチテストの双方で確認された.
PZA:再投与試験により確認された.
抗寄生虫薬
アトバコンプログアニル:最近の報告,光パッチテストで確認された
Chloroquine:報告はまれ
ジアフェニルスルホン:まれで,発症は遅い(数週から数ヵ月).症例報告と文献レビュー:
Photodermatol Photoimmunol Photomed 39:407,2023
.
Pyrimethamine:症例報告1件
キニーネ:Quinidineと交差反応の可能性
抗レトロウイルス薬
Efavirenz:3つの報告がある
Saquinavir:1つの報告がある
テノホビルジソプロキシル:1件の報告があり,組織病理学および光パッチテストで確認された.
抗ウイルス薬(HIV以外)
報告なし
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2025/03/17