日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

結核-肺結核-薬剤感受性菌  (2026/04/07 更新)


臨床状況

  • 活動性肺結核で,分離株がINH,RFPおよび1st-lineの薬剤に感性.
  • 新規にHIVおよび肺結核と診断された患者では,両者に対する治療をできるだけ早く開始する(N Engl J Med 362: 697, 2010).
  • 治療は以下より構成される.
  • 初期治療(2カ月)
  • 継続治療の期間は,処方内容,最初の胸部X線検査での空洞病変の有無,継続治療2カ月終了時点で培養陰性化,によって9週~7ヵ月になる.
  • DOT(直接管理下で行う治療)処方が推奨される.
  • 週2回および週3回の処方は必ずDOTとする.
  • 隔離は必要不可欠!
  • 塗抹陰性の場合,隔離は治療後5日たてば中止できる可能性がある.
  • 塗抹陽性の場合,隔離は治療後2週間またはそれ以上たって塗抹陰性が3回続けば中止できる可能性がある.
  • 入院患者で活動性結核と診断されたまたはその疑いがある場合は,他への伝播性がないと判断されるまで,空気感染予防策がとられた個室に隔離する.

病原体

第一選択

  • 初期治療(最初の2カ月),成人および小児
処方
薬剤
投与間隔/治療期間(投与回数)
1(好ましい)
INHRFPPZAEB
週7日・8週(56回),または
週5日・8週(40回)
2
INHRifapentinePZAMFLX
週7日・56回(8週)
年齢≧12歳の小児に適している
3
INHRFPPZAEB
週3日・8週(24回)
4
INHRFPPZAEB
週7日・2週(14回),その後週2回・6週(12回)

  • INH+RFPによる継続治療(4~7カ月),成人および小児;最初の胸部X線で空洞病変があり,INH+RFP+PZA+EBの継続治療2ヵ月終了時点で培養陽性の場合にはより長期の治療
  • 継続治療を7ヵ月以上継続するかの判断にかかわる他の要素としては,最初の胸部X線での空洞病変,または2ヵ月時点での培養陽性,喫煙,理想体重の<90%の体重減少,糖尿病,HIV感染または他の免疫抑制,または胸部X線で拡大病変である
  • INH+Rifapentine+MFLXによる9週継続治療
処方
薬剤
投与間隔/投与期間/投与回数
総投与回数(投与期間)(初期治療+継続治療)
コメント
1a
INHRFP
週7回・18週(126回),または
週5回・18週(90回)
182~130(26週)
好ましい処方
非重症結核の小児に適している(下記参照)
1b
INHRFP
週3回・18週(54回)
110~94(26週)
継続治療中のDOTがより頻回であり完遂困難な場合に好ましい代替処方.
肺拡大病変や空洞病変では継続治療を9ヵ月まで延長.
2
INHRifapentineMFLX
週7日・63回(9週)
119回(17週)
12歳以上で薬剤感受性肺結核の患者に対する4ヵ月代替処方(Am J Respir Crit Care Med 211: 15, 2025).
7日中5日はDOT.
妊婦および体重<40kgの患者は研究から除外された.
3
INHRFP
週3回・54回(18週)
78回(26週)
HIV感染患者,あるいは空洞病変のある患者に慎重に使用すること.
肺拡大病変または空洞病変に対する使用では,継続治療を9ヵ月まで延長する.
4
INHRFP
週2回・18週(36回)
62(26週)
HIV感染患者または喀痰塗抹陽性患者または空洞病変患者には推奨されない.

  • 非重症結核の定義:末梢リンパ節結核:気道閉塞を伴わない胸腔内リンパ節結核;合併症のない胸膜滲出または菌量が少ない非空洞性病変で,1肺葉のみに限局し,粟粒パターンのない場合
  • INH(10~15mg/kg)+RFP(10~20mg/kg)+PZA(30~40mg/kg)±EB(15~25mg/kg)(HIVの有病率が高い,薬剤耐性感染のリスクが高い状況での曝露の可能性があり,またはINH耐性率が高い場合には,ほとんどの専門医はリスク因子を確定することが難しいためにEBの追加を推奨しており,EBの追加が推奨される)週7日8週,続いてINHRFP週7日8週
  • 非重症結核の基準に当てはまらない小児および青年は,標準的な6ヵ月治療処方を受ける必要がある

第二選択

  • RFPに替えてRBT 5mg/kg/日(最大300mg)5~7週を用いてもよい,ただし,週2回,3回投与スケジュールでは推奨されない.
  • 4ヵ月治療(INHRFPPZAEBの4剤処方2ヵ月,続いてINHRFP2ヵ月)は,培養陰性肺結核(すなわちX線画像で確認されるが少なくとも3回喀痰培養が陰性)の成人患者の治療に用いてもよい.

治療期間

  • 上記処方参照.

コメント

  • 初期治療/継続治療での週3回処方および継続治療での週2回処方では,再発(発症率比[IRR]=1.8~2.0),微生物学的無効(IRR=3.0~3.7)および/または薬剤耐性獲得(初期治療と継続治療の両方で週3回処方を行った場合のIRR=10)の割合が,1日1回処方と比較して高かった(Clin Infect Dis 64: 1211, 2017).
  • 治療失敗が疑われる場合:
  • アドヒアランスを確実にする(たとえば,DOTが行われていなければDOTで治療).アドヒアランス不良が考えられる原因として最も多い.
  • アドヒアランスが良好にもかかわらず治療に対する反応が乏しければ,薬剤吸収を妨げる可能性のある消化器疾患がある場合には薬剤に対する十分な曝露を確認するために,薬剤の腎排泄が障害されている場合には薬物相互作用をモニターするために,血清中薬物濃度測定(TDM:Therapeutic Drug Moniroring)を行う.TDMはルーチンには推奨されないが,HIV感染や糖尿病のために血清薬物濃度が予想よりも低くなる可能性がある患者で,治療反応が遅延している場合には有用性がある.
  • ベダキリン/LZD+INH,EB,PZAをRFP感受性肺結核において評価したランダム化対照比較試験では,治療期間は臨床的および微生物学的反応に基づいて決定され,平均で85日だった.その結果,この処方は,INH,RFP,PZA,EBの標準6ヵ月処方に対して非劣性であった(N Engl J Med 388: 873, 2023).より短期間の治療を可能にしたこの有望な治療戦略の担うべき役割については,CDCまたはWHOの公衆衛生指針に盛り込まれるであろう.
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2026/04/07