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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
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リファンピシン (2025/09/30 更新) |
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「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい. |
Contents
1. 用法および用量
1. 使用
2. 成人用量
3. 小児用量
4. 腎障害時の用量調整
5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント
1. 用法および用量
1. 使用
2. 成人用量
| 活動性のM. tuberculosis |
RFP 10mg/kg/日経口1日1回(最大600mg/日)(静注剤†も使用可能[Ben Venue Laboratoriesから入手可]) Rifamate合剤(RFP 300mg/INH 150mg):2錠1日1回 Rifater合剤(INH 50mg/RFP 120mg/PZA 300mg):体重>55kgの場合6錠1日1回 |
| 非結核性Mycobacterium感染症(たとえばM. kansasii) |
RFPは多剤併用療法の1剤として使用される:10mg/kg/日経口1日1回 |
| M. leprae(ハンセン病) |
多菌型(らい腫型):(RFP 600mg+CLF 50mg+ジアフェニルスルホン 100mg)経口1日1回 少菌型(類結核型):(RFP 600mg+ジアフェニルスルホン 100mg)経口1日1回 単一病巣:(RFP 600mg+OFLX 400mg+MINO 100mg)経口1回(Lancet 353: 655, 1999) |
| S. aureus(鼻腔内の除菌を試みるための投与を含む) |
RFP 600mg経口1日1回(他の薬剤と必ず併用).S. aureusによる自己弁の感染性心内膜炎の標準治療にRFPを追加するリスクと利点については,Antimicrob Agents Chemother 52: 2463, 2008を参照. |
| H. influenzaeによる髄膜炎の予防 |
RFP 600mg経口1日1回・4日 |
| N. meningitidisによる髄膜炎の予防 |
RFP 600mg経口12時間ごと・2日 |
†:日本にない剤形
3. 小児用量
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用量(生後>28日) |
最大/日 |
| H. influenzae予防 |
20mg/kg24時間ごと・4日 |
600mg |
| N. meningitidis予防 |
生後<1カ月:5mg/kg12時間ごと・4回 乳児および小児:10mg/kg12時間ごと・4回 |
600mg |
| 活動性の結核 |
10~20mg/kg/日(1日1回) |
600mg |
4. 腎障害時の用量調整
| 半減期(時間)(腎機能正常) |
1.5~5 |
| 半減期(時間)(ESRD) |
11まで |
| 用量(腎機能正常) |
600mg経口24時間ごと |
| 腎障害時の用量 |
CrCl>50:用量調整不要 CrCl≦50:300~600mg 24時間ごと |
| 血液透析 |
300~600mg24時間ごと |
| CAPD |
300~600mg24時間ごと |
| CRRT |
300~600mg24時間ごと |
| SLED |
データなし |
5. その他の用量調整
注:肝不全時に減量を推奨する専門家もいるが,特別な指針はない.肝機能検査値をモニター.
2. 副作用/妊娠時のリスク
副作用
妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
| PK/PD指標 |
24時間AUC/MIC |
| 剤形 |
カプセル(150mg,300mg†) 注射 |
| 食事に関する推奨(経口薬)1 |
カプセル:食事なしで服用 |
| 経口吸収率(%) |
70~90 |
| Tmax(時間) |
1.5~2.0 |
| 最高血清濃度2(μg/mL) |
7(600mg経口, SD) |
| 最高尿中濃度(μg/mL) |
データなし |
| 蛋白結合(%) |
80 |
| 分布容積3(Vd) |
0.65 L/kg |
| 平均血清半減期4(T1/2, 時間) |
1.5~5.0 |
| 排泄 |
代謝,胆汁,糞便 |
| 胆汁移行性5(%) |
10000 |
| 脳脊髄液/血液6(%) |
7~56 |
| 治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性7 |
あり |
| AUC8(μg・時間/mL) |
40~60(600mg経口24時間ごと,0~24時間) |
†:日本にない剤形
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
| 薬剤が基質となるCYP450 |
- |
| 薬剤が基質となるトランスポーター |
PGP,OATP1B1 |
| 薬剤が基質となるUGT |
- |
| 薬剤が阻害するCYP450 |
- |
| 薬剤が阻害するトランスポーター |
OATP1B1 |
| 薬剤が阻害するUGT |
- |
| 薬剤が誘導するCYP450 |
CYP1A2,CYP2B6,CYP2C8,CYP2C9,CYP2C19,CYP2D6(弱い),CYP3A4 |
| 薬剤が誘導するトランスポーター |
PGP |
| 薬剤が誘導するUGT |
UGT1A1,UGT1A4 |
| 血清中薬物濃度への影響 |
↓ |
血清中薬物濃度への影響とは,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度のことをいう.↑:上昇,↓:低下
6. 主要な薬物相互作用
| 薬剤 |
濃度への影響(またはその他の影響) |
推奨される対応 |
| アミオダロン |
アミオダロン↓ |
モニター,用量調整 |
| アミトリプチリン |
アミトリプチリン↓ |
用量調整または避ける |
| 制酸薬 |
RFP↓ |
用量調整または避ける |
| アルテメテル・ルメファントリン |
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓ |
禁忌 |
| アトバコン |
RFP↑,アトバコン↓ |
併用を避ける |
| ベダキリン |
ベダキリン↓ |
併用を避ける |
| ビクタルビ(BIC/FTC/TAF) |
Bictegravir↓,TAF↓ |
禁忌 |
| Brincidofovir |
Brincidofovir↑が予測される |
併用を避ける |
| カスポファンギン1 |
カスポファンギン↓ |
CPFG用量を70mg/日まで↑ |
| Chroloquine phosphate1 |
Chroloquine↓が予測される |
モニター |
| クロルプロパミド |
クロルプロパミド↓ |
用量調整または避ける |
| シタロプラム |
シタロプラム↓ |
モニター,用量調整 |
| クラリスロマイシン1 |
RFP↑,クラリスロマイシン↓ |
併用を避ける |
| クリンダマイシン |
クリンダマイシン↓ |
モニター,用量調整 |
| シクロスポリン |
RFP↑,シクロスポリン↓ |
用量調整または避ける |
| ジアフェニルスルホン1 |
ジアフェニルスルホン↓ |
併用を避ける |
| Desipramine |
Desipramine↓ |
用量調整または避ける |
| デキサメタゾン |
RFP↓,デキサメタゾン↓ |
用量調整または避ける |
| ジアゼパム |
ジアゼパム↓ |
用量調整または避ける |
| ジゴキシン |
ジゴキシン↓ |
用量調整または避ける |
| Dihydroartemisinin-piperaquine |
PPQ↓,DHA↓ |
併用を避ける |
| ジルチアゼム |
RFP↑,ジルチアゼム↓ |
用量調整または避ける |
| ジソピラミド |
ジソピラミド↓ |
用量調整または避ける |
| Divalproex |
バルプロ酸↓ |
モニター,用量調整 |
| ドラビリン |
ドラビリン↓ |
禁忌 |
| ドキシサイクリン1 |
ドキシサイクリン↓ |
慎重に使用;モニター,または避ける |
| Elbasvir/Grazoprevir |
Elbasvir↓,Grazoprevir↓ |
禁忌 |
| エリスロマイシン1 |
エリスロマイシン↓が予測される |
避ける,またはモニター |
| エチニルエストラジオール |
エチニルエストラジオール↓ |
併用を避ける |
| Fexinidazole |
M1,M2(Fexinidazole)代謝物↑ |
併用を避ける |
| フルコナゾール1 |
フルコナゾール↓ |
モニター,用量調整 |
| フルバスタチン |
フルバスタチン↓ |
用量調整または避ける |
| Fostemsavir |
Fostemsavir↓ |
禁忌 |
| フシジン酸 |
RFP↑,フシジン酸↓ |
モニターまたは避ける |
| Glecaprevir/Pibrentasvir |
Glecaprevir↓,Pibrentasvir↓ |
禁忌 |
| ハロペリドール |
ハロペリドール↓ |
用量調整または避ける |
| Ibrexafungerp1 |
Ibrexafungerp↓が予測される |
併用を避ける |
| イミプラミン |
イミプラミン↓ |
用量調整または避ける |
| イサブコナゾニウム硫酸塩 |
イサブコナゾール↓ |
禁忌 |
| イトラコナゾール1 |
イトラコナゾール↓ |
併用を避ける |
| Lamotrigine |
Lamotrigine↓ |
モニター,用量調整 |
| Ledipasvir/Sofosbuvir |
Ledipasvir↓,Sofosbuvir↓ |
併用を避ける |
| Lenacapavir |
Lenacapavir↓ |
禁忌 |
| レテルモビル |
レテルモビル↓ |
併用を避ける |
| リネゾリド1 |
リネゾリド↓ |
モニター,用量調整 |
| ロルラチニブ |
ロルラチニブ↓,肝毒性 |
禁忌 |
| Maribavir |
Maribavir↓ |
併用を避ける |
| メフロキン1 |
メフロキン↓ |
併用を避ける |
| メサドン |
メサドン↓ |
用量調整または避ける |
| メトプロロール |
メトプロロール↓ |
用量調整または避ける |
| モキシフロキサシン |
モキシフロキサシン↓ |
モニター,用量調整 |
| ニフェジピン |
ニフェジピン↓ |
モニター,用量調整 |
| ニルマトレルビル/リトナビル |
ニルマトレルビル↓またはリトナビル↓ |
禁忌 |
| ノルトリプチリン |
ノルトリプチリン↓ |
モニター,用量調整 |
| フェニトイン |
フェニトイン↓ |
モニター,用量調整 |
| ポサコナゾール1 |
ポサコナゾール↓が予測される |
併用を避ける |
| Prednisone |
Prednisone↓ |
モニター,用量調整 |
| プロプラノロール |
プロプラノロール↓ |
モニター,用量調整 |
| Pyronaridine-artesunate |
肝毒性のリスク↑,DHA↓ |
モニター |
| キニジン |
RFP↑,キニジン↓ |
モニター,用量調整 |
| Quinine1 |
Quinine↓ |
併用を避ける |
| ラルテグラビル |
ラルテグラビル↓ |
高用量錠剤の併用は避ける;RALの他の剤形で併用するなら,800mg12時間ごと |
| リスペリドン |
リスペリドン↓ |
併用を避ける |
| Sofosbuvir |
Sofosbuvir↓,GS-331007↓ |
併用を避ける |
| Sofosbuvir/Velpatasvir1 |
Sofosbuvir↓,Velpatasvir↓ |
併用を避ける |
| Sofosbuvir/Velpatasvir/Voxilaprevir |
Sofosbuvir↓,Velpatasvir↓,Voxilaprevir↓ |
禁忌 |
| Sulopenem etzadroxil-probenecid |
RFP↑ |
モニター |
| Symfi,SymfiLo(EFV/3TC/TDF) |
Efavirenz↓ |
体重≧50kgの場合EFVを800mg24時間ごとまで↑ |
| タクロリムス |
RFP↑,タクロリムス↓ |
モニター,用量調整 |
| テジゾリド1 |
テジゾリド↓ |
モニター |
| テリスロマイシン |
テリスロマイシン↓ |
用量調整または避ける |
| テノホビルアラフェナミド(TAF)1 |
TAF↓,テノホビル↓,テノホビル2リン酸↓ |
避ける,またはモニター |
| テルビナフィン |
テルビナフィン↓ |
モニター |
| テオフィリン |
テオフィリン↓ |
モニター,用量調整 |
| チニダゾール |
チニダゾール↓ |
用量調整または避ける |
| トリアゾラム |
トリアゾラム↓ |
モニター,用量調整 |
| スルファメトキサゾール・トリメトプリム |
RFP↓?,ST↓(おそらく) |
用量調整または避ける |
| ボリコナゾール |
ボリコナゾール↓ |
禁忌 |
| ワルファリン |
ワルファリン↓ |
併用を避ける |
| Zanubrutinib |
Zanubrutinib↓ |
併用を避ける |
| ジドブジン |
ジドブジン↓ |
併用を避ける |
7. コメント