日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

リファンピシン  (2024/07/02 更新)
RFP
主な商品名:リマクタン(RFP),Rifater, Rifamate

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

活動性のM. tuberculosis
RFP:10mg/kg/日経口1日1回(最大600mg/日)(静注剤†も使用可能[Ben Venue Laboratoriesで入手可])
Rifamate合剤(RFP 300mg/INH 150mg):2錠1日1回
Rifater合剤(INH 50mg/RFP 120mg/PZA 300mg):体重>55kgの場合6錠1日1回
非結核性Mycobacterium感染症(たとえばM. kansasii
RFPは多剤併用療法の1剤として使用される:10mg/kg/日経口1日1回
M. leprae(ハンセン病)
多菌型(らい腫型):(RFP 600mg+クロファジミン 50mg+ジアフェニルスルホン 100mg)経口1日1回
少菌型(類結核型):(RFP 600mg+ジアフェニルスルホン 100mg)経口1日1回
単一病巣:(RFP 600mg+OFLX 400mg+MINO 100mg)経口1回(Lancet 353: 655, 1999
S. aureus(鼻腔内の除菌を試みるための投与を含む)
RFP 600mg経口1日1回(他の薬剤と必ず併用).S. aureusによる自己弁の感染性心内膜炎の標準治療にRFPを追加するリスクと利点については,Antimicrob Agents Chemother 52: 2463, 2008を参照.
H. influenzaeによる髄膜炎の予防
RFP 600mg経口1日1回・4日
N. meningitidisによる髄膜炎の予防
RFP 600mg経口12時間ごと・2日

†:日本にない剤形

 3. 小児用量


用量(生後>28日)
最大/日
H. influenzae予防
20mg/kg経口1日1回・4日
600mg
N. meningitidis予防
生後<1カ月:5mg/kg12時間ごと・4回
乳児および小児:10mg/kg12時間ごと・4回
600mg
活動性のM. tuberculosis
10~20mg/kg/日(1日1回)
600mg

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
1.5~5
半減期(時間)(ESRD)
11まで
用量(腎機能正常)
600mg経口24時間ごと
CrClまたはeGFR
CrCl>50:用量調整不要
CrCl 10~50:300~600 mg24時間ごと
CrCl<10:300~600mg 24時間ごと
血液透析
300~600mg24時間ごと
CAPD
300~600mg24時間ごと
CRRT
300~600mg24時間ごと
SLED
データなし

肝障害患者では用量調整が必要となることがある.

 5. 肝障害時の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
24時間AUC/MIC
剤形
カプセル(150mg,300mg†)
注射
食事に関する推奨(経口薬)1
カプセル:食事なしで服用
経口吸収率(%)
70~90
Tmax(時間)
1.5~2.0
最高血清濃度2(μg/mL)
7(600mg経口, SD)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
80
分布容積8(Vd)
0.65 L/kg
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
1.5~5.0
排泄
代謝,胆汁,糞便
胆汁移行性5(%)
10000
脳脊髄液/血液6(%)
7~56
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
あり
AUC8(μg・時間/mL)
40~60(600mg経口24時間ごと,0~24時間)

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

CY450の基質

トランスポーターの基質
PGP,OATP1B1
CYP450の阻害

トランスポーターの阻害
OAT,OATP1B1
CYP450誘導
1A2,2B6,2C8,2C9,2C19,2D6(弱い),3A4
トランスポーターの誘導
PGP,UGT酵素
血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響は,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度である.↑:上昇,↓:低下,空白:薬物への影響なし

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
アミオダロン
アミオダロン↓
モニター,用量調整
アミトリプチリン
アミトリプチリン↓
用量調整または避ける
制酸薬
RFP↓
用量調整または避ける
アタザナビル/リトナビル
アタザナビル↓,RFP↓または↑
併用を避ける
アトバコン
RFP↑,アトバコン↓
用量調整または避ける
カスポファンギン
カスポファンギン↓
用量調整または避ける
クロルプロパミド
クロルプロパミド↓
用量調整または避ける
クラリスロマイシン
RFP↑,クラリスロマイシン↓
用量調整または避ける
クリンダマイシン
クリンダマイシン↓
J Infect 71: 200, 2015
モニター,用量調整
シクロスポリン
RFP↑,シクロスポリン↓
用量調整または避ける
ジアフェニルスルホン
ジアフェニルスルホン↓
モニター
ダルナビル/リトナビル
ダルナビル↓,RFP↓または↑
併用を避ける
Desipramine
Desipramine↓
用量調整または避ける
デキサメタゾン
RFP↓,デキサメタゾン↓
用量調整または避ける
ジアゼパム
ジアゼパム↓
用量調整または避ける
ジゴキシン
ジゴキシン↓
用量調整または避ける
Dihydroartemisinin-piperaquine
PPQ↓,DHA↓
併用を避ける
ジルチアゼム
RFP↑,ジルチアゼム↓
用量調整または避ける
ジソピラミド
ジソピラミド↓
用量調整または避ける
Divalproex
バルプロ酸↓(Ment Health Clin 11: 19, 2021
モニター,用量調整
ドキシサイクリン
ドキシサイクリン↓
Antimicrob Agents Chemother 38: 2798, 1994
用量調整または避ける
エファビレンツ
エファビレンツ↓
併用を避ける
エチニルエストラジオール
エチニルエストラジオール↓
併用を避ける
エトラビリン
エトラビリン↓
併用を避ける
Fexinidazole
M1,M2(Fexinidazole)代謝物↑
併用を避ける
フルコナゾール
フルコナゾール↓
用量調整または避ける
フルバスタチン
フルバスタチン↓
用量調整または避ける
フシジン酸
フシジン酸↓,RFP↑
モニターまたは避ける
ハロペリドール
ハロペリドール↓
用量調整または避ける
Ibrexafungerp
Ibrexafungerp↓
併用を避ける
イミプラミン
イミプラミン↓
用量調整または避ける
Isavuconazole
Isavuconazole↓,RFP↑
併用を避ける
イトラコナゾール
イトラコナゾール↓,RFP↑
併用を避ける
Lamotrigine
Lamotrigine↓
Br J Clin Pharmacol 85: 1859, 2019
モニター,用量調整
Lenacapavir
Lenacapavir↓
禁忌
レテルモビル
レテルモビル↓
併用を避ける
リネゾリド
リネゾリド↓
用量調整または避ける
ロルラチニブ
ロルラチニブ↓,肝毒性
禁忌
Maribavir
Maribavir↓
併用を避ける
メサドン
メサドン↓
用量調整または避ける
メトプロロール
メトプロロール↓
用量調整または避ける
モキシフロキサシン
モキシフロキサシン↓
モニター,用量調整
ニフェジピン
ニフェジピン↓
モニター,用量調整
ニルマトレルビル/リトナビル
ニルマトレルビル↓またはリトナビル↓
禁忌
ノルトリプチリン
ノルトリプチリン↓
モニター,用量調整
フェニトイン
フェニトイン↓
モニター,用量調整
ポサコナゾール
ポサコナゾール↓,RFP↑
用量調整または避ける
Prednisone
Prednisone↓
モニター,用量調整
プロプラノロール
プロプラノロール↓
モニター,用量調整
キニジン
RFP↑,キニジン↓
モニター,用量調整
ラルテグラビル
ラルテグラビル↓
RAL 800mg1日2回を使用:高用量は推奨されない
リルピビリン
リルピビリン↓
併用を避ける
リスペリドン
リスペリドン↓
併用を避ける
タクロリムス
RFP↑,タクロリムス↓
モニター,用量調整
テオフィリン
テオフィリン↓
モニター,用量調整
トリアゾラム
トリアゾラム↓
モニター,用量調整
ボリコナゾール
ボリコナゾール↓
禁忌
ワルファリン
ワルファリン↓
併用を避ける
Zanubrutinib
Zanubrutinib↓
Cancer Chemother Pharmacol 85: 391, 2020
併用を避ける
ジドブジン
ジドブジン↓
併用を避ける

7. コメント

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2024/07/01