日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

COVID-19,mRNAワクチン(5歳未満)  (2026/02/24 更新)
COVID-19,mRNAワクチン 2023~2024,年齢12歳未満


ワクチン

はじめに
2025-2026ワクチン
  • FDAは2025-2026製剤を承認(2025年8月28日まで):
  • Spikevax(LP.8.1変異株標準用量,モデルナ)は生後6~23ヵ月を対象に承認された.
  • CDCガイダンス(2025年11月4日)
  • 生後6ヵ月から64歳までの個人:個人の意思決定に基づく年1回ワクチン接種-ワクチン接種のリスク・ベネフィットは,重症化リスクが高い個人にとって最も有利であることを強調.
  • 特定の背景疾患のある場合には追加接種を行う.
  • 権威ある専門機関による2025年の推奨
  • FDA,CDC,HHSのプレスリリース,および専門機関の発表内容に矛盾があるため,多くの薬局や臨床施設がCOVIDワクチン接種を実施していない.
ワクチン
  • タイプ:脂質ナノ粒子(LNP)カプセル化mRNA
  • CDC略語:1vCOV-mRNA
  • モデルナ,COVID-19ワクチン(2024-2026型).Spikevax
  • 注:ファイザー Bio-NTechは現在ではこの年齢集団についてはCDCの承認を受けていない.
米国CDC COVID-19ワクチン接種スケジュール
  • 米国で入手可能なバイアル.バイアルの選択(色による識別)は薬局の管理の下で行われねばならない.
  • 一般に,年齢に応じたワクチン製剤による接種を受けなければならず,用量は,この年齢層で推奨された間隔に一致した接種日の年齢に基づくが,4歳,5歳は例外となる.
  • 健常者=中等症または重症の免疫不全がない
  • 一般的なワクチン接種処方を単純化しようとする努力が積み重ねられてきているものの,中等症~重症の免疫機能不全者への接種は依然として複雑である(下の表を参照).
   
 生後6ヵ月~23ヵ月の健常者

有効性,予防効果持続期間

  • 直近のCOVID-19ワクチン接種からの時間が,接種された累積回数よりも重要である(抗原構成にかかわらず).
  • VISIONネットワークによる,ワクチン接種後7~179日目の救急外来/緊急治療室搬送に対する,シーズン中のワクチン接種なしとの比較における2024-25年ワクチンの有効性.
  • 9ヵ月~4年:79%
  • 5~17年:57%

毒性

禁忌
  • 過去のワクチン接種後,あるいはCOVID-19ワクチン成分に対する重症アレルギー反応(たとえば,アナフィラキシー)の既往
  • この年齢層ではmRNAワクチン以外のワクチンは承認されていない
  • 同じタイプのCOVID-19ワクチンの接種は行ってはならないが,アレルギー専門家へのコンサルテーションでは,別のタイプのCOVID-19ワクチンの接種はよいとされるかもしれない
  • SARS-CoV-2の最近の曝露は,COVID-19ワクチンの禁忌でも警告でもない.
警告
  • COVID-19ワクチン成分に対する重症ではないアレルギーと診断されたことがある.
  • 重症ではないアレルギー反応としては,注射部位以外のじんま疹,唇,顔面の皮膚,他の部位の皮膚での血管浮腫があるが,これらに限るものではない.
  • 気道に影響する血管浮腫(すなわち,舌,口蓋垂,喉頭)はすべて重症アレルギー反応とみなす.
  • 別のワクチンを接種してもよいことがある.
  • 以前に特定のタイプのCOVID-19ワクチン接種後に,重症でない,即時的(4時間以内に発症)アレルギー反応があった.
  • 別のワクチンを接種してもよいことがある.
  • 発熱の有無にかかわらず,中等症または重症急性症状がある場合には,回復までワクチン接種を延期する.
  • MIS-Cの既往
  • 専門家へのコンサルテーションを求める.
  • いずれかのCOVID-19ワクチン接種後3週間以内の心筋炎,心膜炎の既往.
  • 最近のSARS-CoV-2感染があった場合は,初回接種コースまたは追加接種を3ヵ月遅らせることを検討してもよい.
  • 感染とワクチン接種との間隔を長くすると,ワクチンに対する免疫反応が改善されることがある.
  • ワクチン接種前あるいは接種後の合間の時期での抗ウイルス薬が防御抗体反応を妨げる可能性は少ない.
禁忌ではないこと
  • ワクチンや注射に関係のない,食物(卵,ゼラチンを含む),ペット,昆虫,毒素,環境,ラテックス,経口薬などによるアナフィラキシーの既往.
  • 近親に,他のワクチンによりギラン・バレー症候群(GBS)を発症した例がある.
副作用
  • COVID-19ワクチンは米国史上もっとも広範な安全性モニタリングプログラムによって評価されてきた.
  • 局所:注射部位痛,時として重症なことがある
  • 全身性:疲労,頭痛,筋肉痛
  • 特に第2回接種後に多く起こり,重症であることが多い.
  • ワクチン接種後1~2日で発症し,1~2日後に消失する.
  • アナフィラキシーの推計発症率は,mRNA COVID-19ワクチン接種100万回に対して5件.
  • COVIDワクチンが原因と考えられる心筋炎,心膜炎は,米国ではほとんど報告されていない.
  • mRNAワクチン第2回接種の7日以内に青少年・成人男性に起こることがもっとも多い.
  • 青年期の男性とは対照的に,思春期前の小児では心筋炎は非常にまれであり,統計的に有意な増加はみられなかった.
  • 12~17歳男性のおける心臓関係の有害事象は,mRNA COVID-19ワクチン接種後よりもSARS-CoV-2感染後のほうが1.8~5.6倍多い.
  • どのCOVID-19ワクチンについても,接種3週間以内の心筋炎,心膜炎発症があった場合には,その後のどのCOVID-19ワクチン接種は警告となり,一般的にはその後の接種は避けなければならない.
  • リスク評価を行い,その後の接種を行う決定をした場合でも,接種は心筋炎,心膜炎が解消するまで待つ.
  • 米国でも他の国でも,mRNAワクチン初回接種あるいは一価ワクチン追加接種について,虚血発作に関連する安全性の問題の報告はない.
  • 他の心臓病(先天性心疾患,川崎病など)の既往がある場合でも,COVIDワクチンの接種を受けられることがある.
薬物相互作用
  • インフルエンザワクチン(高用量またはアジュバントを含む)とCOID-19ワクチンは,接種が適切とされるならば,同じ受診時に接種すべき.
  • 二価ファイザーワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種は,一般に院外のCOVID-19関連およびインフルエンザ関連の効果指標では別個に接種する場合と同等な有効性と関連する(JAMA Netw Open 6: e2342151, 2023).
  • COVID-19ワクチンは,他のワクチンの接種時期とは関わりなく接種することができる.
  • 最短間隔(21または28日)前4日以内に第2回接種が行われた場合は,適正とみなされる.ただし,誤った投与を繰り返してはならない.
  • COVID-19ワクチン接種とエムポックスワクチンの最短接種間隔はない.
  • 心筋炎のリスクを小さくするために,エムポックスワクチン接種後4週経ってからCOVID-19ワクチン接種することを考慮した方がよい.
  • COVID-19ワクチンとNirsevimab(乳児および低年齢小児のRSV予防のための長期作用モノクローナル抗体)は同時に投与することが推奨されている.

特別に注意が必要な対象

妊婦,授乳
  • 妊婦,授乳中,妊活または妊娠希望の女性はワクチン接種を受け,標準的な推奨に従ってワクチン状態を最新化しておくこと
  • 妊婦,妊娠初期の妊婦は重症化リスクが高く,胎児もリスクが高い
  • 妊娠第1期でワクチン接種を受けた母親から生まれた乳児で,先天性欠損症の増加は認められなかった(JAMA Pediatr 178: 823, 2024
  • 有用性はワクチンリスクを上回る.
  • ワクチンの抗体は新生児に転位して6ヶ月までは有効である
  • 授乳は禁忌ではない.
中等度~重度免疫不全/HIV
  • 米国ではファイザーワクチンバイアルが入手可能.バイアルの選択(色による識別)は薬局の管理の下で行われねばならない.
  
免疫不全,生後6ヵ月~4歳
他の検討事項
  • COVID-19ワクチンは,可能ならば,免疫抑制治療の開始または再開の,少なくとも2週前に接種すべきである.
  • HIV感染者では,ワクチン接種完了後の重症化リスクは高くない.
  • ワクチン接種していても,CD4<350の場合は重症化リスクが高い.ワクチン状態を確実に最新化すること.
  • 中等度または重度の免疫不全であることを自己申告できる.
  • 初回接種コース第2回後に免疫不全となった場合は,残りの初回接種は行わずに,免疫不全者のためのスケジュールに従って追加接種を行う.
  • 造血幹細胞移植(HCT)またはCAR-T細胞療法を受けた人は,その>3ヵ月後にmRNAワクチンまたはノババックスを再接種する.
  • B細胞枯渇療法(たとえば,リツキシマブ,Ocrelizumab)による短期治療中に1回以上のワクチン接種(初回連続接種および二価追加接種)を受けた患者では,ワクチン再接種(治療後約6ヵ月で開始)を考慮してもよい.
  • 現時点で免疫抑制治療を受けている患者は,COVID-19ワクチン接種を遅らせてはならない.
  • B細胞枯渇療法を持続的に受けている患者では,次回治療予定の約4週前にCOVID-19ワクチンを接種しなくてはならない.
  • ワクチン接種後に中等度~重度の免疫不全となった場合:COVID-19ワクチン接種を受け,その後に中等度~重度の免疫不全となった場合には,年齢と以前のCOVID-19ワクチン接種歴に応じて上記のCOVID-19ワクチン接種スケジュールに従って接種を行う.

血清検査

  • COVID-19ワクチン接種後の免疫反応の評価,またはワクチン未接種者のワクチン接種の必要性を評価するために抗体検査を行うことは推奨されない.
  • 予防との関連性はなく,検査方法によるバラツキも大きい.
  • B細胞反応性が不確実な患者では,IgG陽性なら少し安心だが,IgG陰性は参考にならない.
  • 抗体検査を行われたなら,抗体検査の結果にかかわらず,ワクチン接種は推奨どおりに完了させなければならない.
  • COVID-19ワクチンを前もって接種している場合も,SARS-CoV-2ウイルス検査(核酸増幅または抗原検査)の結果には影響しないだろう.

コメント

  • 特に青少年では,ワクチン接種後15分間の観察期間を置くことを考慮する.
  • 以下のような場合には,ワクチン接種後30分間の観察期間を置くことを考慮する.
  • 他のCOVIDワクチンの禁忌に関連するアレルギー
  • 過去のCOVIDワクチンに対する重症でない(4時間以内の)アレルギー反応
  • COVID-19以外のワクチンまたは注射治療後のアナフィラキシー
  • 年齢に応じたワクチン製剤とその用量は,ワクチン接種時の年齢に基づく.初回接種コース中に若年者層から年長者層への移行があった場合には,年長者層のワクチン製剤・用量が必要となる.
  • ワクチンはアウトブレイク管理や曝露後予防としては推奨されない.
  • mRNAは,宿主DNAがある細胞核内に入り込むことはできないので,mRNAワクチンがワクチン被接種者の遺伝子構造を変えるような危険性はない.
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2026/02/24