日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

ポサコナゾール  (2024/06/25 更新)
PSCZ
主な商品名:ノクサフィル

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量


適応
剤形,用量
治療期間
予防
注射:300mg静注1日2回・2回,その後300mg静注1日1回
徐放性錠剤:300mg1日2回・2回,その後300mg1日1回
経口懸濁液:200mg(5mL)1日3回
反応に基づく
口腔咽頭カンジダ症
経口懸濁液100mg(2.5mL)1日2回・2回,その後100mg(2.5mL)1日1回
14日
難治性口腔咽頭カンジダ症
経口懸濁液:400mg(10mL)1日2回
反応に基づく

 3. 小児用量

適応
用量(生後>28日)
最大/日
口腔咽頭カンジダ症,
難治性口腔咽頭カンジダ症
経口懸濁液(年齢13~<18歳):
口腔咽頭カンジダ症:100mg12時間ごと・2回,その後100mg24時間ごと・14日
難治性口腔咽頭カンジダ症:400mg12時間ごと

予防
経口懸濁液(年齢13~<18歳):200mg8時間ごと

徐放性錠剤(年齢≧2歳,体重>40kg)
300mg12時間ごと2回,その後300mg24時間ごと

徐放経口懸濁液(年齢2~<18歳,体重10~40kg):
体重10~<12kg:90mg1日2回・2回,その後90mg1日1回
体重12~<17kg:120mg1日2回・2回,その後120mg1日1回
体重17~<21kg:150mg1日2回・2回,その後150mg1日1回
体重21~<26kg:180mg1日2回・2回,その後180mg1日1回
体重26~<36kg:210mg1日2回・2回,その後210mg1日1回
体重36~<40kg:240mg1日2回・2回,その後240mg1日1回

注射(年齢2~<8歳):
6mg/kg静注12時間ごと・2回,その後6mg/kg静注24時間ごと

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
20~66
半減期(時間)(ESRD)
変化なし
用量(腎機能正常)
剤形により異なる
CrClまたはeGFR
腎障害時の用量調整不要
添加剤のため,CrCl<50では静注は避ける
血液透析
用量調整不要
CAPD
用量調整不要
CRRT
用量調整不要
SLED
データなし

 5. その他の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
24時間AUC/MIC
剤形
徐放性錠剤†(100mg),徐放性経口懸濁液†(100mg),経口懸濁液†(40mg/mL),注射剤
食事に関する推奨(経口薬)1
どの経口剤形も食事とともに服用
経口吸収率(%)
経口懸濁液:50
徐放性錠剤:50
徐放性経口懸濁液:70~80
Tmax(時間)
経口懸濁液:3~5
徐放性錠剤:4~5
静注:1.5
最高血清濃度3(μg/mL)
0.2~1.0(経口懸濁液200mg経口 SD)
2.1~2.9(徐放性錠剤300mg経口24時間ごと SS)
3.3(300mg静注24時間ごと SS)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
98~99
分布容積8(Vd)
226~295 L
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
20~66
排泄
代謝
胆汁移行性5(%)
データなし
脳脊髄液/血液6(%)
可変(0.4~237)
Drugs 80: 671, 2020
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
可能性あり(J Antimicrob Chemother 56: 745, 2005
AUC8(μg・時間/mL)
9.1(経口懸濁液 400mg12時間ごと,0~12時間)
37.9(徐放性錠剤300mg24時間ごと,0~24時間)
36.1(静注:300mg24時間ごと, 0~24時間)

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

CY450の基質
  
トランスポーターの基質
PGP
CYP450の阻害
3A4
トランスポーターの阻害
PGP
CYP450誘導
  
トランスポーターの誘導
  
血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響は,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度である.↑:上昇,↓:低下,空白:薬物への影響なし

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
アルプラゾラム
アルプラゾラム↑
モニター,用量調整
アタザナビル
アタザナビル↑
モニター
シメチジン
PSCZ↓(懸濁液のみ)
併用を避ける
シクロスポリン
シクロスポリン↑
モニター,用量調整
ジゴキシン
ジゴキシン↑
モニター,用量調整
ジルチアゼム
ジルチアゼム↑
モニター,用量調整
エファビレンツ
PSCZ↓,エファビレンツ↑
併用を避ける
エプレレノン
エプレレノン↑
禁忌
麦角アルカロイド
麦角アルカロイド↑
禁忌
エソメプラゾール
PSCZ↓(懸濁液のみ)
併用を避ける
エタノール
徐放性に影響(徐放性経口懸濁液のみ)
併用を避ける
フェロジピン
フェロジピン↑
モニター,用量調整
Flucloxacillin
PSCZ↓
J Antimicrob Chemoter 2023年4月11日
モニター,用量調整
ホスアンプレナビル
PSCZ↓
モニター
フルチカゾン(吸入)
フルチカゾン↑
Antimicrob Agents Chemother 57: 5727, 2013
併用を避ける
ロバスタチン
ロバスタチン↑
モニター,用量調整
メトクロプラミド
PSCZ↓(懸濁液のみ)
モニター,用量調整
ミダゾラム
ミダゾラム↑
モニター,用量調整
ニカルジピン
ニカルジピン↑
モニター,用量調整
ニフェジピン
ニフェジピン↑
モニター,用量調整
フェニトイン
PSCZ↓,フェニトイン↑
モニター,用量調整
ピモジド
ピモジド↑
併用を避ける
リファブチン
リファブチン↑
併用を避ける
リファンピシン
PSCZ↓,リファンピシン↑
用量調整または避ける
リトナビル
リトナビル↑
モニター
シンバスタチン
シンバスタチン↑
モニター,用量調整
シロリムス
シロリムス↑
併用を避ける
タクロリムス
タクロリムス↑
併用を避ける
トリアゾラム
トリアゾラム↑
モニター,用量調整
ベラパミル
ベラパミル↑
モニター,用量調整
ビンブラスチン
ビンブラスチン↑
併用を避ける
ビンクリスチン
ビンクリスチン↑
併用を避ける

7. コメント

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2024/06/24