日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

ポサコナゾール  (2025/09/24 更新)
PSCZ
主な商品名:ノクサフィル

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量


適応
剤形,用量
治療期間
予防
注射:300mg静注1日2回・2回,その後300mg静注1日1回
徐放性錠剤:300mg1日2回・2回,その後300mg1日1回
経口懸濁液:200mg(5mL)1日3回
反応に基づく
OPC
経口懸濁液100mg(2.5mL)1日2回・2回,その後100mg(2.5mL)1日1回
14日
難治性OPC
経口懸濁液:400mg(10mL)1日2回
反応に基づく

 3. 小児用量

適応
用量(生後>28日)
最大/日
OPC
経口懸濁液(年齢13~<18歳)
100mg12時間ごと・2回,その後100mg24時間ごと・14日
難治性OPC:400mg12時間ごと

予防
経口懸濁液(年齢13~<18歳):200mg8時間ごと
徐放性錠剤(年齢≧2歳,体重>40kg)
300mg12時間ごと2回,その後24時間ごと
徐放経口懸濁液(年齢2~<18歳,体重10~40kg)
体重10~<12kg:90mg12時間ごと・2回,その後24時間ごと
体重12~<17kg:120mg12時間ごと・2回,その後24時間ごと
体重17~<21kg:150mg12時間ごと・2回,その後24時間ごと
体重21~<26kg:180mg12時間ごと・2回,その後24時間ごと
体重26~<36kg:210mg12時間ごと・2回,その後24時間ごと
体重36~<40kg:240mg12時間ごと・2回,その後24時間ごと

注射(年齢2~<18歳)
6mg/kg静注12時間ごと・2回,その後24時間ごと

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
20~66
半減期(時間)(ESRD)
変化なし
用量(腎機能正常)
剤形により異なる
腎障害時の用量
用量調整不要
添加剤のため,CrCl<50では静注は避ける
血液透析
用量調整不要
CAPD
用量調整不要
CRRT
用量調整不要
SLED
データなし

 5. その他の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
24時間AUC/MIC
剤形
徐放性錠剤†(100mg)
徐放性経口懸濁液†(30mg/mL)
経口懸濁液†(40mg/mL)
注射剤
食事に関する推奨(経口薬)1
どの経口剤形も食事とともに服用
経口吸収率(%)
経口懸濁液:約50
徐放性錠剤:約50
徐放性経口懸濁液:70~80
Tmax(時間)
経口懸濁液:3~5
徐放性錠剤:4~5
静注:1.5
最高血清濃度2(μg/mL)
0.2~1.0(経口懸濁液200mg SD)
2.1~2.9(徐放性錠剤300mg24時間ごと SS)
3.3(300mg静注24時間ごと SS)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
98~99
分布容積3(Vd)
226~295 L
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
20~66
排泄
代謝
胆汁移行性5(%)
データなし
脳脊髄液/血液6(%)
可変(0.4~236.6)7
治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性8
可能性あり9
AUC10(μg・時間/mL)
9.1(経口懸濁液400mg12時間ごと,0~12時間)
37.9(徐放性錠剤300mg24時間ごと,0~24時間)
36.1(静注300mg24時間ごと, 0~24時間)

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. Drugs 80: 671, 2020
  8. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  9. J Antimicrob Chemother 56: 745, 2005
  10. AUC:血中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

薬剤が基質となるCYP450
- 
薬剤が基質となるトランスポーター
PGP
薬剤が基質となるUGT

薬剤が阻害するCYP450
CYP3A4
薬剤が阻害するトランスポーター
PGP
薬剤が阻害するUGT

薬剤が誘導するCYP450
- 
薬剤が誘導するトランスポーター

薬剤が誘導するUGT

血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響とは,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度についてのことをいう.↑:上昇,↓:低下

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他の影響)
推奨される対応
アルプラゾラム
アルプラゾラム↑
モニター,用量調整
アルテメテル・ルメファントリン1
ルメファントリン↑が予測される
併用を避ける
アタザナビル
アタザナビル↑
モニター
ベダキリン2
ベダキリン↑が予測される
併用を避ける
カルバマゼピン2
PSCZ↓
併用を避ける
Chloroquine phosphate1
Chloroquine↑が予測される
避ける,またはモニター
シメチジン
PSCZ↓(経口懸濁液のみ)
併用を避ける
クラリスロマイシン1
クラリスロマイシン↑が予測される
避ける,またはモニター(TDM)
シクロスポリン
シクロスポリン↑
モニター,用量調整
ジゴキシン
ジゴキシン↑
モニター,用量調整
ジルチアゼム
ジルチアゼム↑
モニター,用量調整
Efavirenz
PSCZ↓,Efavirenz↑
併用を避ける
エプレレノン
エプレレノン↑
禁忌
麦角アルカロイド
麦角アルカロイド↑
禁忌
エリスロマイシン1
エリスロマイシン↑が予測される
併用を避ける
エソメプラゾール
PSCZ↓(経口懸濁液のみ)
併用を避ける
エタノール
徐放性経口懸濁液に影響
併用を避ける
フェロジピン
フェロジピン↑
モニター,用量調整
フェンタニル2
フェンタニル↑
併用を避ける
Flucloxacillin
アゾール薬↓
モニター,用量調整
フルチカゾン(吸入)
フルチカゾン↑
併用を避ける
ホスアンプレナビル
PSCZ↓
モニター
Ibrexafungerp1
Ibrexafungerp↑が予測される
Ibrexafungerp用量を150mg12時間ごと・2回に↓
Ivabracine2
Ivabracine↑,QT延長リスク↑
併用を避ける
ロバスタチン
ロバスタチン↑
モニター,用量調整
メフロキン1
メフロキン↑が予測される
避ける,またはモニター
メトクロプラミド
PSCZ↓(経口懸濁液のみ)
モニター,用量調整
ミダゾラム
ミダゾラム↑
モニター,用量調整
ニカルジピン
ニカルジピン↑
モニター,用量調整
ニフェジピン
ニフェジピン↑
モニター,用量調整
フェニトイン
フェニトイン↑,PSCZ↓
避ける,またはモニター(TDM)
ピモジド
ピモジド↑
併用を避ける
クエチアピン2
QT延長リスク↑
併用を避ける
Quinine1
Quinine↑が予測される,PSCZ↑がありうる
避ける,またはモニター
ラノラジン2
ラノラジン↑
併用を避ける
リファブチン1
PSCZ↓,リファブチン↑
避ける,またはモニター(TDM)
リファンピシン1
PSCZ↓が予測される
併用を避ける
Rifapentine1
PSCZ↓が予測される
Rifapentine1日1回:併用を避ける
Rifapentine週1回:避ける,またはモニター(TDM)
リトナビル
リトナビル↑
モニター
シンバスタチン
シンバスタチン↑
モニター,用量調整
シロリムス
シロリムス↑
避ける,またはモニター(TDM)
Simfi, Symfi Lo
(EFV/3TC/TDF)
PSCZ↓
併用を避ける
タクロリムス
タクロリムス↑
併用を避ける
トリアゾラム
トリアゾラム↑
モニター,用量調整
ベラパミル
ベラパミル↑
モニター,用量調整
ビンブラスチン
ビンブラスチン↑
併用を避ける
ビンクリスチン
ビンクリスチン↑
併用を避ける
  1. HHS日和見感染臨床ガイドライン(2025年7月14日改訂)
  2. J Antimicrob Chemother 79: 1203, 2024

7. コメント

ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2025 Life Science Publishing↑ page top

2025/09/24