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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
カルバペネム系-概説および一覧
(
2024/08/20 更新
)
概説
抗菌活性スペクトラム
カルバペネム系はあらゆるβラクタム系抗菌薬の中で最も広域の活性スペクトラムをもつ.
重症患者のために温存するよう心掛けること.
ESBL産生好気性グラム陰性桿菌に対する治療選択肢.
けいれん
:どのβラクタム系薬も(ペニシリン系,セファロスポリン系,モノバクタム系,カルバペネム系),高濃度ではけいれん発作を引き起こすおそれがある(
J Antimicrob Chemother 45: 5, 2000
).
カルバペネム系によるけいれんのリスクはカルバペネム系以外のβラクタム薬よりも大きい.
IPM/CSとMEPMを直接比較した研究では,けいれんリスクに統計的有意差はなかった(
J Antimicrob Chemother 69: 2043, 2014
).
ウサギでは,IPMはベンジルペニシリンよりも神経毒性が10倍高かった(
J Antimicrob Chemother 22: 687, 1988
).
小児髄膜炎に対するIPM/CSの臨床試験では,IPM/CS投与を受けた25例中7例でけいれん発作が起きたため試験が中止になった.化膿性の髄膜炎がけいれん発作を引き起こすため解釈は難しい(
Pediatr Infect Dis J 10: 122, 1991
).
発熱性好中球減少症患者でのIPM関連けいれんは2%という報告がある(
Clin Infect Dis 32: 381, 2001
;
Pediatr Hematol Oncol 17: 585, 2000
)
用量に注意して用いればIPM/CSでのリスクは少なくなる(
Epilepsia 42: 1590, 2001
).
想定されるメカニズム:薬剤のGABA受容体への結合.IPM/CSの親和性はMEPMより大きい.
添付文書では,けいれん発作の発症率はErtapenemで0.5%,IPM/CSで0.4%,MEPMで0.7%とされている.しかし,細菌性髄膜炎に対するMEPMの3つの臨床試験では,薬剤関連のけいれん発作は報告されなかった(
Scand J Infect Dis 31: 3, 1999
;
Drug Saf 22: 191, 2000
).
カルバペネマーゼが主要な耐性機序である
カルバペネマーゼの3つのタイプ
セリン型カルバペネマーゼ:たとえば
Klebsiella
産生カルバペネマーゼ(KPC)
メタロβラクタマーゼ:カルバペネマーゼ
オキサシリナーゼ:たとえば,OXA-48
耐性についての詳細は,
グラム陰性桿菌,薬剤耐性-概説
を参照.
カルバペネマーゼ産生菌の表現型からの検出に関する要約は,
J Clin Microbiol 56: e01140, 2018
参照
MIC決定に使用される培養液中の亜鉛濃度は,生理学的状況と乖離したin vitroでの高いMICと結びついていた可能性がある(
Open Forum Infect Dis 11: ofae228, 2024
).
ドリペネム:
どのタイプの肺炎にも承認されていない
500mg8時間ごと以上の用量は承認されていない.
IPM/CSと比較して,DRPMの治療を受けた患者では死亡率が高く,治癒率はより低かった.
薬剤
ドリペネム
(DRPM)
Ertapenem
イミペネム・シラスタチン
(IPM/CS)
IPM/CS/レレバクタム
メロペネム
(MEPM)
メロペネム/Vaborbactam
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2024/08/19