日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

コリスチン(ポリミキシンE)  (2024/06/25 更新)
主な商品名:コリマイシン散,メタコリマイシン,オルドレブ

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
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Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 主要な薬物相互作用
6. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

CrCl
(mL/分)
PK研究グループ
(1日2回に分割)
(1日最大用量)*
EMA
(1日2回または3回に分割)*
米国FDA
(体重-理想体重)*
≧90
360mg/日
300mg/日
2.5~5mg/kg/日2~4回に分割
80~<90
340mg/日
70~<80
300mg/日
2.5~3.8mg/kg/日2回に分割
60~<70
275mg/日
50~<60
245mg/日
40~<50
220mg/日
183~250mg/日
2.5mg/kg1日1回または2回に分割
30~<40
195mg/日
20~<30
175mg/日
150~183mg/日
1.5mg/kg36時間ごと
10~<20
160mg/日
5~<10
145mg/日
177mg/日
推奨されない
<5
130mg/日

*:すべての用量はコリスチン活性塩基のmg.

  初期用量:最初にコリスチン初回用量を静注,その12時間後から1日維持用量を開始.

   計算式:4×体重(kg)

    ・理想体重か実際の体重のどちらか軽い方を用いる.

    ・初回用量は300mg CBAを超えることもある.

    ・1日維持用量を12時間後に開始

  維持用量:1日維持用量を1日2回または3回に分割(上の表を参照)

   毒性の可能性があること,有効性のデータがないことから,1日1回投与は推奨されない.

   維持用量の3つの選択肢:編者はPK研究グループの推奨が望ましいと考える(下記コメントの文献参照).

 3. 小児用量

適応
用量(生後>28日)
最大/日
標準
2.5~5mg/kg/日を6~12時間ごとに分割

嚢胞性線維症
3~8mg/kg/日を8時間ごとに分割

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
6.3~12
半減期(時間)(ESRD)
≧48
用量(腎機能正常)
初回(4)×(kg患者体重).理想体重と実際の体重の低い方を用いる.初回用量は300mgを超えることがある.23時間後に維持用量を開始
CrClまたはeGFR
CrCl≧90:180mg12時間ごと
CrCl 80~<90:170mg12時間ごと
CrCl 70~<80:150mg12時間ごと
CrCl 60~<70:137.5mg12時間ごと
CrCl 50~<60:122.5mg12時間ごと
CrCl 40~<50:110mg 12時間ごと
CrCl 30~<40:97.5mg 12時間ごと
CrCl 20~<30:87.5mg 12時間ごと
CrCl 10~<20:80mg 12時間ごと
CrCl 5~<10:72.5mg12時間ごと
CrCl <5:65mg12時間ごと
血液透析
透析を行わない日:65mg静注12時間ごと.
透析日:3~4時間の透析後に40~50mgを1日用量に追加.この追加は,透析終了後に次の標準用量と共に行う
CAPD
データなし
CRRT
CRRTの1時間ごとに,初回の65mg12時間ごとに13mgを追加
SLED
CRRTの1時間ごとに,初回の65mg12時間ごとに13mgを追加(12時間ごとに分割)

 5. その他の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
Free AUC/MIC
剤形
注射薬
食事関する推奨(経口薬)1

経口吸収率2(%)

Tmax(時間)

最高血清濃度3(μg/mL)
0.83(30mg CBA静注 SD)
Clin Pharmacol Ther 89: 875, 2011
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
約50%
分布容積3(Vd)
0.17 L/kg
Clin Pharmacol Ther 89: 875, 2011
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
6.3~12
排泄

胆汁移行性5(%)
データなし
脳脊髄液/血液6(%)
わずか
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
なし
AUC9(μg・時間/mL)
11.5~225(CBA 75~410mg/日静注,0~24時間)
  1. 注記のない場合は成人用製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve,0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 主要な薬物相互作用

6. コメント

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2024/06/24