日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

コリスチン(ポリミキシンE)  (2025/08/05 更新)
主な商品名:コリマイシン散,メタコリマイシン,オルドレブ

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 主要な薬物相互作用
6. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

(訳注)2015年5月,日本化学療法学会は「コリスチンの適正使用に関する指針―改訂版―
(Practical guide for appropriate use of colistin: update)を公表している.

 2. 成人用量

 3. 小児用量

適応
用量(生後>28日
最大/日
標準
2.5~5mg/kg/日を6~12時間ごとに分割

嚢胞性線維症
3~8mg/kg/日を8時間ごとに分割

 4. 腎障害時の用量調整

注:用量はmgCBAで表される

半減期(時間)(腎機能正常)
6.3~12
半減期(時間)(ESRD)
≧48
用量(腎機能正常)
初回 4×(kg患者体重)
維持用量:180mg12時間ごと
腎障害時の用量
CrCl≧90:180mg12時間ごと
CrCl 80~<90:170mg12時間ごと
CrCl 70~<80:150mg12時間ごと
CrCl 60~<70:137.5mg12時間ごと
CrCl 50~<60:122.5mg12時間ごと
CrCl 40~<50:110mg12時間ごと
CrCl 30~<40:97.5mg 12時間ごと
CrCl 20~<30:87.5mg 12時間ごと
CrCl 10~<20:80mg12時間ごと
CrCl 5~<10:72.5mg12時間ごと
CrCl <5:65mg12時間ごと
血液透析
透析を行わない日:65mg静注12時間ごと.
透析日:3~4時間の透析後に40~50mgを追加投与.この追加は,透析終了後に次の標準用量と共に行う
CAPD
データなし
CRRT
200mg12時間ごと
SLED
初回に65mg12時間ごと投与し,SLEDの1時間ごとに13mgを追加
Ex:10時間のSLEDに,用量は130mg12時間ごと

 5. その他の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
Free AUC/MIC
剤形
注射薬
食事関する推奨(経口薬)1

経口吸収率(%)

Tmax(時間)

最高血清濃度2(μg/mL)
0.83(30mg CBA静注 SD)3
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
約50%
分布容積4(Vd)
0.17 L/kg3
平均血清半減期5(T1/2, 時間)
6.3~12
排泄

胆汁移行性6(%)
データなし
脳脊髄液/血液7(%)
わずか
治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性8
なし
AUC9(μg・時間/mL)
11.5~225(CBA 75~410mg/日静注,0~24時間)
  1. 注記のない場合は成人用製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. Clin Pharmacol Ther 89: 875, 2011
  4. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  5. CrCl>80 mL/分と想定
  6. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  7. 炎症時における脳脊髄液濃度
  8. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  9. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve,0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他の影響)
推奨される対応
アミノグリコシド
腎毒性↑
併用を避ける
アムホテリシンB
腎毒性↑
併用を避ける
Capreomycin
腎毒性↑
併用を避ける
クラーレ麻痺薬
神経筋ブロック
併用を避ける
フラジオマイシン(経口)
腎毒性↑,神経毒性↑
併用を避ける
バンコマイシン
腎毒性↑
併用を避ける

6. コメント

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2025/08/04