日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版 |
抗菌薬の吸入-薬剤と治療 (2020/3/24 更新) |
はじめに
副作用
適応/薬剤
嚢胞性線維症
吸入器 |
Altera®振動メッシュネブライザー |
用量 |
75mg 1日3回・28日(1カ月おき).Med Lett 56: 51, 2014. |
コメント |
嚢胞性線維症患者での呼吸機能改善,細菌量の減少,悪化回数の減少,症状改善(Expert Opin Pharmacother 14: 2115, 2013). |
吸入器 |
多様(コメント参照) |
用量 |
多様(コメント参照).もっとも広く用いられている用量は,50~75mgを3~4mLの生食で希釈して1日2~3回 注:肺胞上皮細胞への毒性のためPL-Bで代用しないこと(Antimicrob Agents Chemother. 2017 May 24;61(6). pii: e02690) |
コメント |
用量についてはばらつきがある.Colistimethate(CMS)100万~200万単位(33~66mgコリスチン塩基)が嚢胞性線維症に有効(Expert Opin Drug Deliv 9: 333, 2012).最新の総説でも支持されている(Expert Rev Anti Infect Ther 13: 1237, 2015).6例の嚢胞性線維症患者に対する詳細なPK研究でも,Colistimethate吸入によって静注よりも高い喀痰中Colistimethateおよびコリスチン濃度が得られることが支持されている(Antimicrob Agents Chemother 58: 2570, 2014). |
吸入器 |
eFlow®振動メッシュネブライザー |
用量 |
FTI 160/40または80/20 1日2回・28日 |
コメント |
どちらの用量も,P. aeruginosa感染の嚢胞性線維症患者で,28日間の吸入AZT投与後のFEV1改善を持続させた(対プラセボ).FTI 80/20は160/40より忍容性が高かった(Am J Respir Crit Care Med 185: 171, 2012). |
吸入器 |
eFlow®振動メッシュネブライザー |
用量 |
240mg 1日2回・28日 |
コメント |
嚢胞性線維症患者で,プラセボにくらべ喀痰中のP. aeruginosa量および他の抗菌薬の必要性が減少し,呼吸機能が改善した(Am J Respir Crit Care Med 183: 1510, 2011). |
吸入器 |
TOBI:PARI LC® PLUSジェットネブライザー |
用量 |
300mg 1日2回・28日(1カ月おき) |
コメント |
Med Lett Drugs Ther 56: 51, 2014. |
吸入器 |
TOBI Podhaler:28mgドライパウダーカプセル |
用量 |
4カプセル(112mg)1日2回・28日(1カ月おき) |
コメント |
慢性P. aeruginosa感染の嚢胞性線維症患者におけるFEV1改善はTOB吸入溶液と同等だが,パウダーのほうが気道刺激が強い(Med Lett Drugs Ther 56: 51, 2014). |
Mycobacterium avium complex(MAC)
吸入器 |
eFlow振動メッシュネブライザー(LamiraTM, PARI Pharma) |
用量 |
590mg(8.4mL) 1日1回 |
コメント |
他の治療選択肢がないか限られる難治性MAC患者に対し,併用治療の一部として用いられる.警告(Black Box Warning):過敏性肺臓炎,喀血,気道けいれん,背景にある肺疾患の増悪などの呼吸器副作用のリスク上昇. |