日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

EBウイルス-単核球症  (2022/7/5 更新)


臨床状況

  • 単核球症.
  • 異型リンパ球が関与する感染など:エプスタイン・バーウイルス(EBV),サイトメガロウイルス(CMV),A型肝炎,B型肝炎,トキソプラズマ症,麻疹,ばら疹,ムンプス,薬剤への反応.
  • 診断は血清学的(下表参照).PCRは生涯を通じて陽性となる期間が間欠的であり,経費が高く単核球症診断方法として特異性が低い.
臨床状態
抗VCA(外殻抗原)IgM
抗VCAIgG
抗EBNA(EBV核抗原)IgG
急性感染



回復の初期(3~6週)



回復(>6~8週)




  • 成人における移植後リンパ球増殖性疾患(PTLD)の原因のほぼ半分を占めると考えられている(N Engl J Med 378: 549, 2018).
  • 「慢性活動性EBV疾患」と呼ばれるまれな疾患がある.新しく認定された疾患であり,アジアでの症例が多いが,現在世界中で確認されている(総説:Front Pediatr 7: 14, 2019).治療には骨髄移植が必要となることが多い.診断は以下に基づく
  • 単核球症様症状が>3カ月持続している
  • 末梢血中のEBVゲノムDNAの上昇
  • 組織または末梢血中のT細胞またはNK細胞へのEBV感染
  • 他の原因による慢性疾患の除外

病原体

  • エプスタイン・バーウイルス (EBV)

第一選択

  • 抗ウイルス治療は不要.
  • 扁桃の閉塞や中枢神経系の合併症または脾破裂の恐れがある場合にはコルチコステロイドを使用.

第二選択

  • なし

コメント

  • EBウイルスのセロコンバージョンが起きた患者の25%で単核球症を発症し,EBV1型の感染と関連していた.セロコンバージョンは性交を行った人で確率が高く,キスのみでは単核球症の発症リスクは高くなかった(Clin Infect Dis 43: 276, 2006).
  • 「単核球症症候群」の鑑別診断:
  • EBV-症例の80%
  • CMV
  • HIV
  • トキソプラズマ症
  • まれに,単純ヘルペスウイルス(HSV),HHV6,HHV7,アデノウイルス,Mycoplasma,麻疹.
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2022/06/30