日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

コクシジオイデス症-肺  (2023/07/11 更新)


臨床状況

肺症候群
  • 軽症:通常自然に治癒する.一部の患者(以下参照)や,感染の所見/症状が持続する患者には治療が推奨される.
  • 急性肺炎
  • 免疫抑制患者:HIV感染,移植後,血液腫瘍または免疫抑制療法(ステロイド,TNF-α阻害薬など)
  • フィリピンまたはアフリカ系
  • 妊婦または分娩直後
  • 糖尿病
  • 基礎に心肺疾患がある
  • 補体結合抗体価の上昇(16倍)
  • 重症/びまん性病変:両側性の粒状陰影や粟粒状の浸潤影がみられることがある.
  • 慢性の結節性および/または空洞性肺炎
  • 慢性進行性空洞形成型(fibrocavitary)肺炎
  • 遅延型過敏症のエビデンスは,慢性疾患の評価において,および/または過去の曝露の問題がある場合に役立つ可能性がある.FDAが承認した皮膚テストが現在利用可能である.商品名:Spherusol

病原体

  • Coccidioides immitis

第一選択

急性肺炎
  • 持続または進行のリスク因子(上記を参照)がなければ,治療の適応なし.
  • 軽症
  • 1個以上のリスク因子あり(上記を参照),または持続性/進行性病変:
  • FLCZ 400mg経口1日1回・3~12カ月,または
  • ITCZ経口溶液200mg経口1日2回・3~12カ月
  • 重症/びまん性肺炎
  • L-AMB 3~5mg/kg/日静注1日1回
  • FLCZ 800~1200mg経口1日1回
  • 慢性の結節性および/または空洞性病変
  • 無症候性,免疫正常者:治療の適応ではない.連続造影を行う
  • 無症候性,免疫不全患者
  • FLCZ 400mg経口1日1回
  • ITCZ経口溶液 200mg経口1日2回
  • 症候性または慢性進行性空洞形成型(fibrocavitary)肺炎:
  • FLCZ 400mg経口1日1回
  • ITCZ経口溶液 200mg経口1日2回
  • アゾールでは根治不能の場合があるため,空洞性病変の切除を考慮する.

第二選択

  • VRCZ 6mg/kg経口1日2回・24時間,その後 4mg/kg経口1日2回
  • PSCZ(注:徐放製剤/静注と懸濁液で用量が異なり,徐放製剤のほうが血中濃度は良好)
  • 徐放錠 初日300mg 1日2回,その後300mg 1日1回
  • 懸濁液200mg 1日4回,その後病状が安定したら400mg 1日2回
  • 静注 初日300mg 90分以上かけて・1日2回,その後300mg 1日1回
  • AMPH-B 0.6~1mg/kg/日静注

コメント

  • 補体結合抗体価をモニターすること:補体結合抗体価が≦4倍なら予後良好,≧16倍なら播種性.
  • HIV陽性患者には,CD4>250になるまで,かつFLCZ 400mg経口1日1回またはITCZ 200mg経口1日2回で感染がコントロールされるまでは二次予防が推奨される(MMWR Recomm Rep 58(RR-4): 1, 2009).
  • 小規模なレトロスペクティブ研究において,FLCZあるいはITCZに反応しなかった患者に対するVRCZまたはPSCZはサルベージ療法として有効であった(各67%,75%)(Clin Infect Dis 53: 1060, 2011).
  • ISCZは広範囲の真菌に対し有効性と安全性をもつことが,オープンラベル非ランダム化試験により明らかにされた(Clin Infect Dis 63: 356, 2016).
  
  • 【日本の情報】
  • コクシジオイデス症の診断等に関する連絡先
    1)国立感染症研究所真菌部 東京都新宿区戸山1-23-1 電話03-5285-1111(代表)
    2)千葉大学真菌医学研究センター臨床感染症分野 千葉市中央区亥鼻1-8-1電話043-222-7171(代表)
  • 分離された菌株がC.immitis(またはC. posadasii)であると同定された場合、感染症法で規定されている特定病原体第三種の輸送規定に従い,都道府県公安委員会に届け出を行い、運搬証明書の交付を受けたうえで輸送を行う(感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について).
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2023/07/10