日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

イトラコナゾール  (2024/06/04 更新)
ITCZ
主な商品名:イトリゾール

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

剤形
初回用量(適応となる場合)
維持用量(範囲)
通常のカプセル剤
200mg経口8時間ごと・3日
200mg経口12~24時間ごと
65mgカプセル剤(Tolsura)†
130mg経口8時間ごと・3日
130mg経口12~24時間ごと
経口溶液(10mg/mL)

100~200mg経口24時間ごと
静注(米国では入手不可)
200mg静注12時間ごとを4回投与
200mg静注24時間ごと

†:日本にない剤形

 3. 小児用量

用量(生後>28日)
5~10mg/kg/日(12~24時間ごとに分割)
最大/日
600mg

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
35~40
半減期(時間)(ESRD)
変化なし
用量(腎機能正常)
100~200mg経口12~24時間ごと(経口溶液)
CrClまたはeGFR
腎障害時の用量調整不要
添加剤のため,CrCl<30では静注を避ける
血液透析
用量調整不要
CAPD
用量調整不要
CRRT
データなし
SLED
データなし

 5. 肝障害時の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
24時間AUC/MIC
剤形
カプセル(65mg,100mg),錠(200mg),経口溶液(10mg/mL),注射(米国にはない)
食事に関する推奨(経口薬)1
カプセル/錠:食事とともに
経口溶液:食事なしで服用
経口吸収率(%)
55
Tmax(時間)
ITCZ:2.5,OH-itra:5.3
最高血清濃度2(μg/mL)
ITCZ:2.0,OH-itra:2.1
(200mg経口溶液24時間ごと,SS)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
99.8
分布容積3(Vd)
796 L
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
35~40
排泄
代謝
胆汁移行性5(%)
データなし
脳脊髄液/血液5(%)
0
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
データなし
AUC8(μg・時間/mL)
ITCZ:29.3
OH-itra:45.2
(200mg経口溶液24時間ごと,0~24時間)
  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

CY450の基質
3A4
トランスポーターの基質
  
CYP450の阻害
3A4
トランスポーターの阻害
PGP
CYP450誘導
  
トランスポーターの誘導
  
血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響は,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度である.↑:上昇,↓:低下,空白:薬物への影響なし

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
アミトリプチリン
アミトリプチリン↑
モニター,用量調整
制酸薬
ITCZの吸収↓
併用を避ける
Caチャネル拮抗薬
Caチャネル拮抗薬↑
モニター,用量調整
カルバマゼピン
ITCZ↓
併用を避ける
シクロスポリン
シクロスポリン↑
モニター,用量調整
ジダノシン
ITCZ↓
併用を避ける
エファビレンツ
ITCZ↓,エファビレンツ↑
併用を避ける
エプレレノン
エプレレノン↑
禁忌
Fexinidazole
M1,M2(Fexinidazole)代謝物↓
モニターまたは避ける
H2ブロッカー
ITCZ↓
併用を避ける
Ibrexafungerp
Ibrexafungerp↑
Ibrexafungerp用量を150mg12時間ごと2回に減量
イソニアジド
ITCZ↓
モニター,用量調整
ロバスタチン
ロバスタチン↑
モニター,用量調整
マラビロク
マラビロク↑
併用を避ける
ミダゾラム
ミダゾラム↑
モニター,用量調整
Nirmatrelvir/リトナビル
Nirmatrelvir/リトナビル↓,ITCZ↑
併用を避ける
経口血糖降下薬
経口血糖降下薬↑
モニター,用量調整
フェニトイン
ITCZ↓,フェニトイン↑
モニター,用量調整
プロテアーゼ阻害薬(HIV)
プロテアーゼ阻害薬↑
併用を避ける
プロトンポンプ阻害薬
ITCZ↓,PPI↑
併用を避ける
Pyrotinib
Pyrotinib↑
Drug Des Devel Ther 15: 2485, 2021
モニター,用量調整
リツキシマブ
リツキシマブの活性↓
併用を避ける
シンバスタチン
シンバスタチン↑
モニター,用量調整
スクラルファート
ITCZの吸収↓
併用を避ける
タクロリムス
タクロリムス↑
併用を避ける
トリアゾラム
トリアゾラム↑
モニター,用量調整
ワルファリン
ワルファリン↑
INRをモニター,用量調整
Zanubrutinib
Zanubrutinib↑
Cancer Chemother Pharmacol 85: 391, 2020
用量調整または避ける

7. コメント

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2024/06/04