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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
ジカウイルス
(
2025/08/12 更新
)
臨床状況
蚊によって媒介されるフラビウイルスで,C型肝炎ウイルス,西ナイルウイルス,日本脳炎ウイルス,セントルイス脳炎ウイルス,黄熱病ウイルスと同じ科に属する.
性行為による感染が確認されている(腟および肛門性交,オーラルセックス,性玩具の共有).
感染の予防:(1)性的禁欲,(2)コンドームの使用(感染リスクを減少させる).
CDCガイダンス
を参照.
急性感染のほとんどは無症状(~80%).症状としては,通常は軽度の発熱,関節痛,麻疹様の発疹および/または結膜充血(非化膿性結膜炎).有症期間は数日から1週間.まれにギラン・バレー症候群.入院が必要となることは少なく,致死率はきわめて低い.
感染のもっとも重大な影響は先天異常:小頭症,死産との因果関係が示されている(
N Engl J Med 374: 1981, 2016
).
CDCは,ジカウイルスに曝露された可能性がある妊娠可能年齢の女性の診療のための,米国医療従事者向け暫定ガイドラインを改訂した.今回のガイドラインには妊娠前のカウンセリング推奨が含まれ,また,ジカウイルス曝露の可能性のあった妊婦の検査推奨も改訂された(
MMWR 65: 315, 2016
).
2023年に米国で報告された症例は31,780例.2019年以降,米国内のジカ熱伝染の報告はない.
症例はCDCにメール(ZikaMCH@cdc.gov)か電話(770-488-7100)で報告し,Zika Pregnancy Hotlineに問い合わせること.
伝播:典型的にはヒト-蚊-ヒト,ただし,母から胎児への感染,性感染,血液製剤による感染や,検査室での感染もある.臓器移植や授乳による感染も理論的にはありうる.子宮内での感染は妊娠のどの時期でも起こりうる.
潜伏期間:~3~7日(おそらく長くても2週間以内).
流行国から帰国した妊婦の評価(
MMWR Morb Mortal Wkly Rep 65: 30, 2016
)(CDCの暫定ガイドライン)
妊婦に関する
CDCガイダンス
妊婦のジカウイルス曝露リスクおよびジカウイルス感染の症状をスクリーニング.妊娠中に症状が発現した,あるいは性的パートナーがジカウイルス感染検査で陽性だった場合には,ただちにNAT検査を行う.
以前の検査が陽性でなくても,妊娠の各3半期ごとのNAT施行を考慮する.
何らかの理由で羊水穿刺を行った場合には,羊水検体でのNATを考慮する.
IgMおよびNAT検査の限界について,各3半期ごとに妊婦へカウンセリングを行う.
妊娠前カウンセリングの一部として,ベースラインのジカウイルスIgM値を確定するためのIgM検査を考慮する.
挙児を検討している男性および女性に対して
男性パートナーがジカウイルスリスクのある地域へ旅行した場合:有症の場合は症状発現後,無症候の場合には男性パートナー帰国後少なくとも3カ月間,カップルは必ずコンドームを使用する(あるいは性行為を控える)
女性パートナーがジカウイルスリスクのある地域へ旅行した場合:有症の場合は症状発現後,無症候の場合には女性パートナー帰国後少なくとも2カ月間,カップルは必ずコンドームを使用する(あるいは性行為を控える)
男女ともジカウイルスリスクのある地域へ旅行した場合:有症の場合は症状発現後,無症候の場合には,後から帰国したパートナーの帰国後少なくとも3カ月間,カップルは必ずコンドームを使用する(あるいは性行為を控える)
注:症状が認められ,IgM陽性かつNAT陰性,かつCDCのZika Travel Noticeにあげられた地域での居住または旅行歴がある妊婦について,IgM抗体の半減期は長い(>12週)ため,IgM陽性は必ずしも最近の感染を示すとは限らないことを医療提供者は認識しておく必要がある.
診断/病原体
診断
診断は血清検査またはPCR(可能なら)による.ただし抗体は西ナイルウイルス,セントルイス脳炎ウイルス,黄熱病ウイルスなどの他のフラビウイルスと交差反応の可能性あり.
病原体
ssRNAフラビウイルス
ベクター:
Aedes aegypti
(ネッタイシマカ)および
Aedes albopictus
(ヒトスジシマカ)(写真)によって媒介される(これらの蚊は中央および南アメリカおよび米国南部を含むほぼ全世界でみられる.同一の蚊がデング熱ウイルス,チクングニア熱ウイルスも媒介する)
第一選択
治療法はない
対症療法(デング熱が除外されるまでアスピリンやNSAIDsは避ける)
第二選択
なし
コメント
ジカウイルスのワクチンはない.予防としては蚊を避けること(DEET,長袖の服装)
1947年ウガンダで最初に同定され,2007年までは主にアフリカおよびアジアからの散発的な症例報告だった(最初の流行はミクロネシアと西太平洋で報告された).
包括的な総説:
N Engl J Med 381: 1444, 2019
.
日本の情報:
蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)
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2025/08/12