日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

敗血症-成人  (2025/01/21 更新)
成人の敗血症,好中球減少なし


臨床状況

成人における敗血症,好中球減少症がない患者.総説:Infect Dis Clin North Am 36: 719, 2022
  • 敗血症の定義
  • SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコア
  • SOFAでは6つの肺,肝,心血管系,凝固,腎,中枢神経の6つ臓器システム評価に基づき臓器不全を評価する
  • 酸素化能力,血小板数,ビリルビン,血圧,腎機能,精神状態に点数を付ける
  • あるいは"quick" SOFAスコア(qSOFA).少なくとも以下の3項目のうちの2項目
  • 呼吸数≧22/分
  • 精神状態の変化
  • 収縮期血圧≦100mmHg
  • 敗血症性ショックの定義
  • 敗血症の定義を満たし,かつ生命の危険のある臓器不全を伴う
  • 平均血圧を>65mmHgまで上昇/維持するために昇圧薬治療が必要.
  • 十分な輸液蘇生の後でも乳酸>2mmol/L(18mg/dL)
  • SIRS(全身性炎症反応症候群)および重度敗血症は現在では,侵襲性の微生物感染スペクトラムの一部とは考えられていない.
治療の基本的な手順はSepsis Management Bundlesにまとめられている
  • 輸液蘇生:現在のデータでは,生理食塩水より調整晶質液(たとえば乳酸リンゲル液)のほうが好ましいことが支持されている:最初の3時間以内に30mL/kg
  • 経験的抗菌薬治療
  • 疑い,または可能性のある病原体を標的とする:培養結果に基づいて特異的治療を行う
  • 救急部到着から1時間以内に治療を開始する(議論がある):3時間という意見もある(議論あり)
  • ありうる病原体の存在を検出し,敗血症の感染巣を特定するための診断
  • 必要ならば昇圧薬を投与
  • 血清乳酸値を測定
文献

病原体

  • 腹腔内感染由来の疑いがある場合,下記に対して活性のある治療が必要
  • 好気性グラム陰性桿菌,例,E. coli
  • 点状出血紅斑に関連
  • 腎盂腎炎由来の疑い
  • 好気性グラム陰性桿菌
  • 市中肺炎の場合
  • グラム陰性桿菌
  • 不法静注薬の使用
  • 尿路感染由来の疑い
  • 好気性グラム陰性桿菌

第一選択

  • 感染巣が不明で,患者が不安定および/または免疫不全の場合の経験的治療
  • MEPM 1~2g静注8時間ごと+VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)
  • ESBL産生および/またはカルバペネマーゼ産生グラム陰性桿菌の検出率が低い場合:VCMPIPC/TAZ.臨床症状および培養結果が明らかになるまで.
  • ESBL産生および/またはセリン型カルバペネマーゼ(KPC)産生好気性グラム陰性桿菌の検出率が高い場合:VCMCAZ/Avibactam 2.5mg静注8時間ごと・3時間以上かけて注入,またはMEPM/Vaborbactam 2g静注8時間ごと・3時間以上かけて注入,またはIPM/CS/REL 1.25g静注6時間ごと・30分以上かけれ注入.培養結果が明らかになるまで.
  • 培養結果に基づいて調整
  • 注:これらの薬剤はメタロカルバペネマーゼ産生菌に対する活性はない
  • グラム陰性菌菌血症入院患者で標準的短時間注入治療と長時間注入治療を比較したコホート観察研究(JAMA Netw Open 7: e2418234, 2024
  • 胆道感染由来の疑い:
  • PIPC/TAZ:4.5g静注(4時間以上かけて)8時間ごと(初期用量については薬剤ページのコメント参照)
  • 市中肺炎由来の疑い:
  • LVFX 750mg静注24時間ごと,またはMFLX 400mg静注†24時間ごと)+PIPC/TAZ 4.5g静注(4時間以上かけて)8時間ごと+VCM(初期用量についてはPIPC/TAZの薬剤ページのコメントを参照)
  • 不法静注薬使用の疑い:
  • MRSAの検出率が高い場合:
  • VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)
  • 点状出血紅斑があり,N. meningitidis血症が疑われる場合:
  • CTRX 2g静注12時間ごと

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • 感染巣が不明の場合の経験的治療の第二選択:
  • DAP 8~12mg/kg静注24時間ごと+[CFPM 2g静注8時間ごと・3時間以上かけて注入,または
  • PIPC/TAZ 4.5g静注(4時間以上かけて)8時間ごと(初期用量については薬剤ページのコメントを参照)
  • 胆道感染由来が疑われる場合の第二選択:
  • CTRX 2g静注24時間ごと+MNZ静注 初回1g,その後0.5g6時間ごとまたは1g12時間ごと,または
  • CPFX 400mg静注12時間ごと,またはLVFX 750mg静注24時間ごと)+MNZ静注 初回1g,その後0.5g6時間ごとまたは1g12時間ごと
  • 市中肺炎由来が疑われる場合の第二選択:
  • AZT 2g静注8時間ごと+(LVFX 750mg静注24時間ごと,またはMFLX 400mg静注†24時間ごと)+LZD 600mg静注12時間ごと

(†:日本にない剤形)

コメント

  • 感染巣不明の場合:VCMまたはDAPに代えてLZD 600mg静注12時間ごとが使用できる.しかしS. aureusに対してLZDは静菌的.
  • 追加的な文献
  • 関連項目
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2025/01/20