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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
Bacteroides fragilis
(
2023/03/28 更新
)
臨床状況
Bacteroides fragilis
グループ(24種)は偏性嫌気性菌であり,腸内細菌叢の中心的な菌種である.
便中菌叢を含む感染(たとえば虫垂破裂,憩室破裂,腸管虚血,外科的吻合部からの漏出その他の原因による続発性腹膜炎)に対する経験的治療では,
B.fragilis
グループと同時に好気性菌に対して活性のある薬剤を用いること.
Bacteroides
属や他の偏性嫌気性病原細菌で血液培養が陽性となることはめったにない.菌血症が起こった場合,明らかな腸管からの侵入口がなくとも,他の部位への転移性の播種が起こる(
Intern Med 47: 2183, 2008
).
in vitroの感受性に関するデータのほとんどは,少数の大学研究室による成果であり,定期的に報告されている(
Anaerobe 17: 147, 2011
;
Antimicrob Agents Chemother 56: 1247, 2012
).下記コメント参照.
分類
グラム陰性桿菌,偏性嫌気性菌
他の
Bacteroides
属もときとして分離されることがある(DOT種=
B. distatonis-
現在の名称は
Parabacteroides distasonis
,
B. ovatus
,
B. thetaiotaomicron
).
第一選択
MNZ
500mg静注/経口6~8時間ごとまたは1g静注12時間ごと,あるいは1.5g静注1日1回という報告もある.
PIPC/TAZ
3.375g静注6時間ごと,毎回30分以上かける.ただし,3.375mgを15~30分かけて初回投与後,4時間後に3.375mgを4時間以上かけて静注,その後8時間ごとに投与しても同様の“time above MIC"を達成できる.
第二選択
IPM/CS
500mg静注6時間ごと,または
DRPM
500mg静注8時間ごと,または
MEPM
0.5~1g,または
Ertapenem
1g静注1日1回.
DRPM
および
MEPM
については長時間静注の処方が報告されている.詳細は
抗菌薬の長時間あるいは持続静注
を参照.
より軽度の疾患(たとえば軽い憩室炎の外来患者)に対して,
AMPC/CVA
875/125mg経口1日2回または2000/125mg経口1日2回
抗微生物薬適正使用
in vitroでの耐性率が上昇しているため,CLDM,Cefoxitin,Cefotetanは現在では推奨されない.
MFLXに対する耐性も増加している.
MNZ,PIPC/TAZ,カルバペネムに対する耐性はほとんどないか,非常にまれ.
コメント
感受性試験はほとんどの臨床微生物検査室でルーチンには行われない.
B. fragilis
グループに対するin vitroの抗菌活性:
Clin Infect Dis 59: 698, 2014
;
Anaerobe 43: 21, 2017
.
感受性に関するサーベイランス:
Anaerobe 17: 147, 2011
;
Antimicrob Agents Chemother 56: 1247, 2012
.
腹腔内感染についてのガイダンス:
Clin Infect Dis 50: 133, 2010
;
Surg Infections 18: 1, 2017
.
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2023/03/27