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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
肺炎-市中感染,成人,外来患者
(
2023/12/12 更新
)
臨床状況
入院していない市中肺炎(CAP)の成人患者.
CAP治療に関する米国胸部医学会(ATS)/米国感染症学会(IDSA)ガイドライン(
Am J Respir Crit Care Med 200: e45, 2019
)は,CAP患者の入院の必要性を決定する際に,臨床的判断に加えて臨床的予測尺度として
肺炎重症度指数(PSI)
を用いることを推奨している.PSIは計算がより複雑だが,死亡の予測については以前のCURB-65より優れている(
Thorax 58: 377, 2003
).
PSI≦90の患者(すなわち,リスク分類I,IIまたはIII)が
外来治療の候補
となる.
肺炎重症度指数(PSI)
参照
CURB-65の計算
経験的処方は合併症の有無で異なる.
病原体
合併症なし
S. pneumoniae
非定型性病原体:
Chlamydophila pneumoniae
,
C. psittaci
,
Legionella属
,
M. pneumoniae
,
C. burnetii
(Q熱)
ウイルス性
合併症あり
アルコール依存症:
S. pneumoniae
,
H. influenzae
COPD:
H. influenzae
,
M. catarrhalis
,
S. pneumoniae
脳血管障害後の誤嚥性肺炎:口腔常在菌,
S. pneumoniae
気管支閉塞後:
S. pneumoniae
,嫌気性菌
インフルエンザ後:
S. pneumoniae
,
S. aureus
好中球減少症,免疫不全患者:
P. aeruginosa
注射薬物使用:
S. aureus
(
MSSA
,
MRSA
)
第一選択
合併症なし,
P. aeruginosa
またはMRSAのリスク因子なし(リスク因子として,以前にMRSAや
P. aeruginosa
が分離されたこと,最近の入院,直近90日以内の注射抗菌薬使用などがある)
AMPC
1g経口1日3回・5~7日,または
DOXY
100mg経口1日2回・5~7日
合併症あり(たとえば,慢性の心臓,肺,肝臓,腎臓の疾患;糖尿病;アルコール性疾患;悪性新生物;無脾)
[(
AMPC/CVA
875mg/125mg経口1日2回,または
CPDX-PR
200mg経口1日2回,または
CXM-AX
500mg経口1日2回)・5~7日+(
AZM
500mg経口1回,その後250mg1日1回・4日,または
CAM
500mg経口1日2回・5~7日)]または
LVFX
750mg経口24時間ごと・5日
第二選択
合併症なし
施設の
S. pneumoniae
マクロライド耐性率<25%なら,
AZM
500mg経口1回,その後250mg経口24時間ごと・4日,
CAM
500mg経口1日2回または
CAM
徐放錠†1g経口24時間ごと・7日
合併症あり
MFLX
400mg経口24時間,または
Gemifloxacin
320mg24時間ごと・5~7日
[(
AMPC/CVA
875mg/125mg経口1日2回,または
CPDX-PR
200mg経口1日2回,または
CXM-AX
500mg経口1日2回)+
DOXY
100mg経口1日2回]・5~7日
(†:日本にない剤形)
抗微生物薬適正使用
5~7日の抗菌薬治療の効果は,より長期間の治療と同等.
治療期間は臨床的安定性(たとえば,バイタルサインの正常化)に基づいて決まる:5日治療して臨床的安定が得られない場合は,予後が悪くなる可能性が高く,治療の見直しが必要となることがある.
コメント
最新のATS/IDSA CAPガイドライン:
Am J Respir Crit Care Med 200: e45, 2019
.
総説論文:
N Engl J Med 389: 632, 2023
.
AZM/CAM:心臓不整脈薬のリスクがわずかに高いため,心血管疾患が背景にある患者では他の選択肢を考慮すること.
βラクタム薬は非定型病原体に対しては活性がない.
Mycoplasma
のマクロライド耐性が増加しているために,
Mycoplasma
感染に対してはDOXYが選択薬となる(
J Infect 69: S42, 2014
).
LVFXまたはMFLX
非定型病原体およびPRSP(ペニシリン耐性
S. pneumoniae
)を含む定型細菌に対し,活性があり臨床的に有効.
低/高血糖症,QTc延長,FQ使用に関連した大動脈瘤,解離または破裂,
C. difficile
腸炎の可能性あり
Lefamulin,Omadacycline,Delafloxacinは最近FDAによりCABPに対して承認されたが,これらの薬価の高い薬が他の薬剤以上の有用性があるかは不明.
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2023/12/11