日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Legionella   (2026/07/28 更新)


臨床状況/診断

臨床状況
  • Legionellaは淡水および土壌中にみられるグラム陰性桿菌である.
  • 市中肺炎または院内肺炎だが,まれに肺外感染(たとえば心内膜炎)もある.
  • 原虫や肺胞マクロファージ内で生存する.
  • 咳があっても,肺炎の患者は非膿性の粘液性痰を少量しか喀出しないことがある.
  • アエロゾル感染
  • リスク因子:免疫不全患者,喫煙,併存疾患
  • 肺炎患者での非特異的な関連臨床所見
  • 下痢,その他の胃腸症状
  • 混迷
  • 比較的徐脈
  • 低ナトリウム血症
  • 肝酵素上昇
  • BUNおよびクレアチニン上昇
診断
  • 培養
  • 特殊な培地が必要:緩衝化炭酵母エキス寒天培地(BCYE寒天培地)
  • すべての血清型および菌種を検出できる
  • 陽性となるまで3~5日以上の長期の培養が必要で,不適切な呼吸器検体だと感度が下がる.
  • 尿中抗原検査
  • 検査所要時間は数時間であり,数日ではない.
  • 米国で使用できる尿中抗原検査は,L. pneumophila血清型1株のみを検出する(感度は約80%).
  • 米国外ではその他の血清型やLegionella種を検出する尿中抗原検査が利用可能なことがある.
  • PCR検査は,報告のあるすべての菌種について感度/特異度がもっとも高く,検査所要時間が培養より短く,一般的に望ましいものである.

分類

  • グラム陰性桿菌である.65種以上が同定されており,その約半数が感染を起こす.
  • Legionella pneumophila(症例の60~80%を占める)
  • Legionella longbeachei(ニュージーランドおよびオーストラリアで汚染された培養土への曝露)
  • Legionella (tatlockia) micdadei
  • Legionella wadsworthii

第一選択

  • 肺炎
  • LVFX 750mg静注/経口24時間ごと,または MFLX 400mg静注/経口24時間ごと
  • AZM 500mg静注/経口24時間ごと
  • RFP併用治療の有用性は証明されていない.
  • 感染性心内膜炎(まれ):第二選択参照

第二選択

  • 肺炎
  • CAM 500mg静注/経口12時間ごと,またはEM 500mg~1g静注/経口6時間ごと(忍容性が低く,第一選択処方よりも効果は劣る可能性がある)
  • DOXY 100mg静注†/経口12時間ごと
  • 心内膜炎(至適治療は確定されておらず,下記にリストされているのが使用される薬剤:コメントも参照のこと)
  • CPFX 400mg静注12時間ごと,または750mg経口1日2回,またはLVFX 750mg静注1日1回
  • AZM 500mg1日1回経口/静注
  • EM 500mg経口/静注6時間ごと+RFP 600~1200mg経口2回に分割

(†:日本にない剤形)

治療期間

  • 免疫正常患者のレジオネラ肺炎では,臨床的反応に応じて7~10日間の静注/経口治療が適当.
  • 免疫不全患者では,臨床的反応に応じて14~24日間の静注/経口治療が推奨される.
  • 治療期間は確定していないが,最低6週の治療が推奨され,5ヵ月までの治療が行われてきたが(Clin Micro Rev 14: 177, 2001),このような長期間の治療の必要性を支持するデータはない.

コメント

  • 心内膜炎について
  • 自己弁または人工弁の感染性心内膜炎のまれな病原体である.感染症専門医へのコンサルテーションが推奨される.
  • 血液培養検体に特殊な操作をすることで菌が分離できる場合があるので,Legionella属による心内膜炎を想定していることを微生物検査室に知らせておく.
  • 特別な培地でゆっくり増殖
  • 外科的に摘出した組織のPCRまたは16S RNAシークエンシングで検出可能
  • 治療推奨は散発的な症例報告に基づく.
  • 大部分のフルオロキノロン(GemifloxacinMFLX)はin vitroで活性.
  • STもおそらく同様に有効だが,有効性を支持するデータが少ない.
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2026/07/27