日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

クラリスロマイシン  (2024/03/26 更新)
CAM
主な商品名:クラリス,クラリシッド

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

慢性気管支炎の急性増悪または市中肺炎
通常剤:500mg経口12時間ごと・7~14日,または
徐放剤†:500mg 2錠経口1日1回
百日咳
500mg経口1日2回・7日
扁桃咽頭炎
250mg経口12時間ごと・10日
皮膚組織感染症
250mg経口12時間ごと・10日

†:日本にない剤形

 3. 小児用量

用量(生後>28日)
15mg/kg/日(12時間ごとに分割)
最大/日
1g

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
5~7
半減期(時間)(ESRD)
22
用量(腎機能正常)
500mg12時間ごと
CrClまたはeGFR
CrCl>50~90:500mg12時間ごと
CrCl 10~50:500mg12~24時間ごと
CrCl<10:500mg24時間ごと
血液透析
500mg24時間ごと(透析日は透析後投与)
CAPD
500mg24時間ごと
CRRT
500mg12~24時間ごと
SLED

 5. 肝障害時の用量調整

なし

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
24時間AUC/MIC
剤形
錠剤(250mg,500mg)
徐放剤†(500mg)
経口懸濁液†(125mg/5mL,250mg/5mL)
食事に関する推奨(経口薬)1
通常の錠剤/懸濁液:食事の影響なし
徐放剤†:食事とともに服用
経口吸収率(%)
50
Tmax(時間)
錠剤:2~2.5
徐放錠†:5~8
最高血清濃度2(μg/mL)
3~4(500mg経口12時間ごと,SS)
2~3(1g徐放剤†経口24時間,SS)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
65~70
分布容積3(Vd)
4 L/kg
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
5~7
排泄
代謝(活性代謝物),腎
胆汁移行性5(%)
7000
脳脊髄液/血液6(%)
データなし
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
データなし
AUC8(μg・時間/mL)
20(500mg経口12時間ごと,0~inf)

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

CY450の基質
3A4
トランスポーターの基質

CYP450の阻害
3A4
トランスポーターの阻害
PGP,OAT
CYP450誘導

トランスポーターの誘導

血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響は,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度である.↑:上昇,↓:低下,空白:薬物への影響なし

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
Alfentanil
Alfentanil↑
モニターまたは避ける
アルプラゾラム
アルプラゾラム↑
モニター,用量調整
アミオダロン
アミオダロン↑
モニターまたは避ける
アムロジピン
アムロジピン↑
モニターまたは避ける
アタザナビル
CAM,アタザナビル↑
モニターまたは避ける
アトルバスタチン
アトルバスタチン↑
用量調整または避ける
ブロモクリプチン
ブロモクリプチン↑
モニターまたは避ける
カルバマゼピン
カルバマゼピン↑
モニター,用量調整
シロスタゾール
シロスタゾール↑
モニターまたは避ける
コルヒチン
コルヒチン↑
用量調整,腎または肝機能不全では禁忌
シクロスポリン
シクロスポリン↑
モニターまたは避ける
ジゴキシン
ジゴキシン↑
モニター,用量調整
ジルチアゼム
ジルチアゼム↑
モニターまたは避ける
ジソピラミド
ジソピラミド↑
モニターまたは避ける
Dofetilide
Dofetilide↑
モニターまたは避ける
エファビレンツ
CAM↓,14-OH CAM↑
併用を避ける
エプレレノン
エプレレノン↑
禁忌
麦角アルカロイド
麦角アルカロイド↑
禁忌
エトラビリン
CAM↓
併用を避ける
Fexinidazole
M1,M2(Fexinidazole)代謝物↓
モニターまたは避ける
イトラコナゾール
CAM,イトラコナゾール↑
モニター,用量調整
Lovastatin
Lovastatin↑
禁忌
マラビロク
マラビロク↑
モニター,用量調整
メチルプレドニゾロン
メチルプレドニゾロン↑
モニター
ミダゾラム
ミダゾラム↑
モニター,用量調整
ナテグリニド
ナテグリニド↑
モニターまたは避ける
ネビラピン
CAM↓,14-OH CAM↑
併用を避ける
ニフェジピン
ニフェジピン↑
モニターまたは避ける
Nirmatrelvir/リトナビル
CAM↑
モニター,用量調整
フェノバルビタール
CAM↓
モニターまたは避ける
ピオグリタゾン
ピオグリタゾン↑
モニターまたは避ける
ピモジド
ピモジド↑
禁忌
プラバスタチン
プラバスタチン↑
用量調整または避ける
クエチアピン
クエチアピン↑
モニター,用量調整
キニジン
キニジン↑
モニターまたは避ける
レパグリニド
レパグリニド↑
モニターまたは避ける
リファブチン
CAM↓,リファブチン↑
モニター,用量調整
リファンピシン
CAM↓,14-OH CAM↑
併用を避ける
Rifapentine
CAM↓,14-OH CAM↑
併用を避ける
Rosiglitazone
Rosiglitazone↑
モニターまたは避ける
シルデナフィル
シルデナフィル↑
用量調整または避ける
シンバスタチン
シンバスタチン↑
禁忌
セイヨウオトギリソウ
CAM↓
モニターまたは避ける
タクロリムス
タクロリムスの濃度↑
モニターまたは避ける
タダラフィル
タダラフィルの濃度↑
用量調整または避ける
テオフィリン
テオフィリンの濃度↑
モニターまたは避ける
トルテロジン
トルテロジンの濃度↑(CYP2D6欠損の場合)
モニター,用量調整
トリアゾラム
トリアゾラムの濃度↑
モニター,用量調整
バルデナフィル
バルデナフィルの濃度↑
用量調整または避ける
ベラパミル
ベラパミルの濃度↑
モニターまたは避ける
ビンカアルカロイド
ビンカアルカロイドの濃度↑
併用を避ける
ワルファリン
ワルファリンの濃度↑
INRをモニター,用量調整
ジドブジン
ジドブジンの濃度↓
2時間あけて投与する
ゾルピデム
ゾルピデム↑
モニター,用量調整
Arch Pharm Res 42: 1101, 2019
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2024/03/25