日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

エリスロマイシン(塩基,エステル)  (2024/10/08 更新)
EM
主な商品名:エリスロシン

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

†:日本にない剤形

 2. 成人用量

通常用量(経口/静注)
経口(塩基):250~500mg 6~12時間ごと
経口(エステル):400~800mg 6~12時間ごと
静注:15~20mg/kg/日 6時間ごとに分割(最大4g/日)
細菌性血管腫症
塩基500mg経口1日4回
術前の腸管処置
塩基1g経口(術前日の午後1,2,11時)+浣腸+フラジオマイシン
百日咳
40~50mg/kg/日経口4回に分割・14日(最大2g/日)

 3. 小児用量

用量(生後>28日)
40~50mg/kg/日(6時間ごとに分割)
最大/日

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
2~4
半減期(時間)(ESRD)
5~6
用量(腎機能正常)
250~500mg経口6時間ごと
CrClまたはeGFR
腎障害時の用量調整不要
血液透析
用量調整不要
CAPD
用量調整不要
CRRT
用量調整不要
SLED

 5. 肝障害時の用量調整

なし

2. 副作用

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
24時間AUC/MIC
剤形
塩基(250, 500mg錠)
徐放性塩基錠†(250, 333, 500mg)
徐放性塩基カプセル†(250mg)
エチルコハク酸エステル錠(400mg)
エチルコハク酸経口懸濁液(200mg/5mL, 400mg/5mL)
2%局所ゲル†
貼付剤†
溶液
0.5%眼科用軟膏
注射剤(ラクトビオン酸塩)
食事に関する推奨(経口薬)1
塩基:食事なしで服用
徐放カプセル/エチルコハク酸エステル:食事の影響なし
経口吸収率(%)
18~45
Tmax(時間)
3(経口徐放製剤)
最高血清濃度2(μg/mL)
0.1~2.0(500mg塩基経口 SD)
3~4(500mg静注 SD)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
70~74
分布容積3(Vd)
0.6 L/kg
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
2~4
排泄
胆汁
胆汁移行性5(%)
データなし
脳脊髄液/血液6(%)
2~13
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
なし
AUC8(μg・時間/mL)
データなし

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高血清濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the blood concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

CYP450の基質
3A4
トランスポーターの基質
PGP
CYP450の阻害
3A4
トランスポーターの阻害
PGP,OAT
CYP450誘導

トランスポーターの誘導
  
血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響は,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度である.↑:上昇,↓:低下

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
Alfentanil
Alfentanil↑
モニターまたは避ける
アルプラゾラム
アルプラゾラム↑
モニター,用量調整
アミオダロン
アミオダロン↑
モニターまたは避ける
アムロジピン
アムロジピン↑
モニターまたは避ける
アトルバスタチン
アトルバスタチン↑
用量調整または避ける
ブロモクリプチン
ブロモクリプチン↑
モニターまたは避ける
カルバマゼピン
カルバマゼピン↑
モニター,用量調整
シロスタゾール
シロスタゾール↑
モニターまたは避ける
クロザピン
クロザピン↑
モニター,用量調整
コルヒチン
コルヒチン↑
モニター,用量調整
シクロスポリン
シクロスポリン↑
モニターまたは避ける
ジゴキシン
ジゴキシン↑
モニター,用量調整
ジルチアゼム
ジルチアゼム↑
モニターまたは避ける
ジソピラミド
ジソピラミド↑
モニターまたは避ける
Dofetilide
Dofetilide↑
モニターまたは避ける
エプレレノン
エプレレノン↑
モニター,用量調整
麦角アルカロイド
麦角アルカロイド↑
禁忌
Fexinidazole
M1,M2(Fexinidazole)代謝物↓
モニターまたは避ける
ロバスタチン
ロバスタチン↑
禁忌
メチルプレドニゾロン
メチルプレドニゾロン↑
モニター
ミダゾラム
ミダゾラム↑
モニター,用量調整
Nirmatrelvir/リトナビル
EM↑
モニター,用量調整
フェニトイン
フェニトイン↑
モニター,用量調整
ピモジド
ピモジド↑
禁忌
プロカインアミド
QT間隔↑
モニターまたは避ける
キニジン
キニジン↑
モニターまたは避ける
リファブチン
EM↓,リファブチン↑
モニター,用量調整
シルデナフィル
シルデナフィル↑
用量調整または避ける
シンバスタチン
シンバスタチン↑
禁忌
ソタロール
QT間隔↑
モニターまたは避ける
タクロリムス
タクロリムス↑
モニターまたは避ける
テオフィリン
テオフィリン↑,EM↓?
モニター,用量調整
トリアゾラム
トリアゾラム↑
モニター,用量調整
バルプロ酸
バルプロ酸↑
モニター,用量調整
ベラパミル
ベラパミル↑
モニターまたは避ける
ビンカアルカロイド
ビンカアルカロイド↑
併用を避ける
ワルファリン
ワルファリン↑
INRをモニター,用量調整

7. コメント

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2024/10/08