日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Haemophilus influenzae  (2024/03/26 更新)


臨床状況

  • 脳脊髄液,血液,痰,呼吸器分泌物,組織などの培養でHaemophilus influenzaeを分離.
  • 莢膜を持つ血清型Bも,A,C,E,F型と分類される他の株も,侵襲的な疾患を引き起こすことが多いが,B型はワクチンで予防可能である.
  • 非莢膜型の株が,成人および予防接種を受けた小児での多くの発症原因となる.
  • 保菌者が多い.
  • 処方の選択は疾患またはその重症度による.
  • 特異的治療については,以下の項目を参照

分類

  • グラム陰性球桿菌

第一選択

  • 経験的治療では,感受性検査結果が明らかになるまでは,βラクタマーゼ陽性株を想定した処方を行わねばならない.
  • 髄膜炎,喉頭蓋炎,その他の致死性疾患(成人)
  • CTRX 2g静注12時間ごと
  • CTX 2g静注4~6時間ごと
  • 小児:CTRX 100mg/kg/日 12時間ごとに分割
  • 非致死性疾患(成人)
  • AMPC/CVA 875/125mg錠1錠経口1日2回または1000/62.5mg錠2錠経口1日2回
  • CXM-AX 500mg経口12時間ごと
  • CFDN 600mg経口24時間ごと
  • 治療期間については,下記抗微生物薬適正使用を参照.
  • 非致死性疾患でβラクタマーゼ陰性の結果が出た場合
  • ABPC 2g静注6時間ごと
  • AMPC 1g経口8時間ごと

第二選択

  • LVFX 750mg静注または経口1日1回
  • MFLX 400mg静注または経口1日1回
  • CAM 500mg経口1日2回
  • DOXY 100mg経口1日2回

抗微生物薬適正使用

  • 患者が臨床的に改善し,経口薬服薬可能となったら,経口治療に切り替えることが可能.
  • 48時間以上無熱となり,かつ以下の事項のうち当てはまるのがひとつ以下で5日が経過したら,抗菌薬を中止しても安全である.
  • 拡張期血圧<90mmHg
  • 脈拍>100/分
  • 呼吸数>24/分
  • 動脈血酸素飽和度<90%,または室温でのPaO2<60mmHg

予防

  • 一部の成人では,小児用Hibワクチン標準用量の接種を行う.
  • 解剖学的または機能的無脾の成人(鎌状赤血球症を含む):
  • 以前にHibワクチンを接種したことがなければ1回接種;脾摘待期なら,1回,少なくとも脾摘の14日前が望ましい.
  • 血液幹細胞移植:Hibワクチン接種歴にかかわらず,4週間隔で3回接種コースを移植成功後6~12ヵ月で開始.

コメント

  • 分離菌に感受性がある場合は,ABPC 100mg/kg静注4~6時間ごと,またはAMPC 500mg経口1日3回が第二選択となる.
  • 非莢膜型株の40%までがABPC耐性のβラクタマーゼ産生株である.
  • 米国では25%の菌株がSTに耐性.
  • 文献:StatPearls: 2023年1月.
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2024/03/25