日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

気管支拡張症  (2023/10/31 更新)


臨床状況

  • 嚢胞性線維症でない場合
  • 急性増悪した場合の経口治療.
  • 抗菌薬治療開始前に薬剤選択の基準となる培養を行うことが推奨される.

病原体

第一選択

  • 治療
  • LVFX 500mg経口24時間ごと,またはMFLX 400mg経口24時間ごと・10~14日
  • P. aeruginosaフルオロキノロン感受性株
  • LVFX 750mg経口24時間ごと,またはCPFX 750mg経口1日2回
  • 年3回以上の悪化を示した患者に対する予防,長期治療(コメント参照)
  • AZM 250mg24時間ごと・6~12カ月

第二選択

  • 治療
  • AMPC 1g経口1日3回またはCPFX 750mg経口1日2回
  • DOXY 100mg経口1日2回(Pseudomonasには無効)

コメント

  • 年≧3回の増悪がある場合の予防
  • 非嚢胞性線維症の気管支拡張症の成人に対し,EM(JAMA 309: 1260, 2013)あるいはAZM(JAMA 309: 1251, 2013)を1年間投与した2件のランダム化比較試験では,プラセボに比べ急性増悪率が有意に低下し,肺機能の温存とQOLが勝っていた.
  • 警告:呼吸器の病原体となりうる細菌を含め,口腔咽頭細菌叢でマクロライド耐性が高率にみられた.マクロライド誘発性QTc延長による心血管死,肝毒性,聴力低下のリスク増大の可能性がある(JAMA 309: 1295, 2013).
  • 治療前のスクリーニング:ベースラインの肝機能検査,心電図,聴力検査,Mycobacterium疾患を除外するため喀痰培養
  • 耐性菌感染者や,経口治療が奏効しない重症患者には静注治療を考慮する.
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2023/10/30