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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
無脾,菌血症,予防
(
2025/06/17 更新
)
無脾,菌血症,予防,鎌状赤血球症
臨床状況
脾摘または機能的無脾での感染予防,たとえば菌血症
脾臓機能不全を伴う鎌状赤血球症
脾摘術前後
イヌ咬傷後の
Capnocytophaga
属による菌血症/ショック(
ショック-脾摘後
参照)
それに加えて,鎌状赤血球症,サラセミアなどによる無脾小児では,少なくとも5歳までは抗菌薬の予防投与を毎日行う:
N Engl J Med 376: 1561, 2017
.
毎日予防していても,感受性のある病原体による敗血症が起こることがある.
無脾症患者のケアの総説:
N Engl J Med 371: 349, 2014
;
Chest 150: 1394, 2016
;
N Engl J Med 376: 1561, 2017
.
病原体
考えられる病原体
S. pneumoniae
(90%)
N. meningitidis
H. influenzae
b型
その他
腸内細菌目細菌
S. aureus
Capnocytophaga canimorsus
(イヌ咬傷後)
Bordetella holmesii
(
Lancet Infect Dis 14: 510, 2014
)
P. aeruginosa
(まれ)
致死的な
マラリア
,重度の
バベシア症
のリスクも上昇
第一選択
抗菌薬による予防
<5歳の小児
AMPC
20mg/kg/日,または
Penicillin VK
125mg 1日2回
>5歳の小児
Penicillin VK
250mg 1日2回を脾摘後少なくとも1年間
予防を最低3年間,または少なくとも18歳まで行うことを推奨する専門家もいる.
全年齢
ワクチン接種を適切に施行,および
毎日の予防を行っていない場合:発熱があれば,医療機関を受診するまで
AMPC/CVA
の自己投与.
鎌状赤血球症
<5歳の小児:
Penicillin VK
125mg経口1日2回
>5歳の小児:
Penicillin VK
250mg経口1日2回,または
AMPC
20mg/kg/日
第二選択
発熱時の自己治療の第二選択
ペニシリンアレルギーだがセファロスポリン系にはアレルギーがない患者には,
CXM-AX
を使用できる.
その他としては,βラクタムアレルギー患者の一部でrespiratory フルオロキノロンを考慮できる.
ペニシリンアレルギー:
ST
または
CAM
が選択肢だが,耐性
S. pneumoniae
が増大している地域があり,特にペニシリン耐性株の中で耐性が多い.
イヌ咬傷後(
C. canimorsus
):
ショック-脾摘後
参照
予防
無脾患者に,肺炎球菌ワクチン(PCV20;Prevnar 20またはPCV21;Capvaxive),インフルエンザ菌(b型)(1回接種のみ),および4価髄膜炎菌ワクチン(2回接種)と血清型B髄膜炎菌ワクチンを推奨された接種間隔で確実に接種する.
ワクチンの適応,使用可能な製剤,用量,曝露前予防に関するワクチンの特徴については,
肺炎球菌,ワクチン,成人
,
髄膜炎菌ACWYワクチン
,
髄膜炎菌Bワクチン
参照.
強化されたACIP表については,
病状およびその他の適応症別の成人予防接種スケジュール
参照
理想的には,初回は待期的脾摘術に先駆けて接種する.さもなくば術後ただちに.
Clin Infect Dis 73: e1489, 2021
参照
抗菌薬による予防については上記参照.
コメント
鎌状赤血球症:生後2カ月までに予防を開始.少なくとも5歳まで継続.中止時期は個々で異なる.
S. pneumoniae
,
H. influenzae
b型,インフルエンザ,
N. meninditidis
に対する年齢にあったワクチンを接種(
Clin Infect Dis 58: 309, 2014
).
感染症治療時にはペニシリン非感受性
S. pneumoniae
の可能性を考える.
無脾状態は重症感染のリスクであると同時に血栓,肺高血圧症のリスクともみなされている:
Chest 150: 1394, 2016
.
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2025/06/16