日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

無脾,菌血症,予防  (2025/06/17 更新)
無脾,菌血症,予防,鎌状赤血球症


臨床状況

  • 脾摘または機能的無脾での感染予防,たとえば菌血症
  • 脾臓機能不全を伴う鎌状赤血球症
  • 脾摘術前後
  • それに加えて,鎌状赤血球症,サラセミアなどによる無脾小児では,少なくとも5歳までは抗菌薬の予防投与を毎日行う:N Engl J Med 376: 1561, 2017
  • 毎日予防していても,感受性のある病原体による敗血症が起こることがある.

病原体

  • 考えられる病原体
  • その他
  • 腸内細菌目細菌

第一選択

抗菌薬による予防
  • <5歳の小児
  • >5歳の小児
  • 予防を最低3年間,または少なくとも18歳まで行うことを推奨する専門家もいる.
  • 全年齢
  • ワクチン接種を適切に施行,および
  • 毎日の予防を行っていない場合:発熱があれば,医療機関を受診するまでAMPC/CVAの自己投与.
鎌状赤血球症

第二選択

  • 発熱時の自己治療の第二選択
  • ペニシリンアレルギーだがセファロスポリン系にはアレルギーがない患者には,CXM-AXを使用できる.
  • その他としては,βラクタムアレルギー患者の一部でrespiratory フルオロキノロンを考慮できる.
  • ペニシリンアレルギー:STまたはCAMが選択肢だが,耐性S. pneumoniaeが増大している地域があり,特にペニシリン耐性株の中で耐性が多い.

予防

  • 無脾患者に,肺炎球菌ワクチン(PCV20;Prevnar 20またはPCV21;Capvaxive),インフルエンザ菌(b型)(1回接種のみ),および4価髄膜炎菌ワクチン(2回接種)と血清型B髄膜炎菌ワクチンを推奨された接種間隔で確実に接種する.
  • 抗菌薬による予防については上記参照.

コメント

  • 鎌状赤血球症:生後2カ月までに予防を開始.少なくとも5歳まで継続.中止時期は個々で異なる.S. pneumoniaeH. influenzae b型,インフルエンザ,N. meninditidisに対する年齢にあったワクチンを接種(Clin Infect Dis 58: 309, 2014).
  • 感染症治療時にはペニシリン非感受性S. pneumoniaeの可能性を考える.
  • 無脾状態は重症感染のリスクであると同時に血栓,肺高血圧症のリスクともみなされている:Chest 150: 1394, 2016
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2025/06/16