日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

敗血症-小児,>生後1カ月  (2024/09/17 更新)
小児の敗血症,好中球減少なし


臨床状況

  • 小児の敗血症,年齢>1カ月で敗血症の徴候あり.生後30~90日で発熱のある乳児の重症細菌感染は多くても10%であり,多くは尿路感染症であるため,評価で混乱しないように注意すること.以下の推奨は明らかな感染源のない患者のためのものである.肺炎,腹膜炎,髄膜炎などについてはそれぞれのページを参照のこと.
  • 好中球減少なし.
  • 主として懸念されるのはS. pneumoniae,A群Streptococcus およびS. aureus(市中感染MRSAを含む).グラム陰性菌は少ない.

病原体

  • 尿路感染がある,または入院患者の場合には,Enterococcusおよび腸内グラム陰性桿菌

第一選択

  • CTX 150~200mg/kg/日静注8時間ごとに分割(使用できる場合),またはCTRX 100mg/kg静注24時間ごと)+VCM 60~80mg/kg/日静注1日3~4回に分割(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値10~15μg/mLを目指す.ただしAUCのほうが目標として望ましい)

第二選択

  • CFPM 150mg/kg/日6時間ごとに分割+VCM上記と同様(特にESBL産生のE. coliまたはPseudomonasが懸念される場合)
  • PIPC/TAZ 75mg/kg静注6時間ごと+VCM上記と同様,またはLZD 10mg/kg静注8時間ごと(12歳まで-VCMが使用できない場合のみ)(特に腹腔内感染の疑いのある場合),

コメント

  • VCM:従来の40~60mg/kg/日の用量は,満期産児および腎機能正常な年長の小児では目標AUCに到達しないことが多い.AUC24を用い,400μg/mL近くを目標とすれば,中枢神経系以外のほとんどの感染症には十分である(Clin Infect Dis 71: 1361, 2020).
  • グラム陰性桿菌をカバーに含めるが,H. influenzaeは現在ではまれ.
  • PIPC/TAZとVCMの併用は急性腎障害を増悪させる可能性がある.
  • Surviving sepsisガイドラインおよびそのexecutive summaryは,補液,昇圧薬,管理を推奨している.
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2024/09/17