日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

膿胸-新生児  (2025/11/04 更新)


臨床状況

  • 新生児の膿胸(生後0~1ヵ月).
  • この年齢層では胸膜膿瘍はまれであり,病因に関するデータは限られている.

病原体

  • 早産児のPseudomonasE. coli院内感染の症例報告がある.
  • 心臓手術または気管食道瘻(TEF)または食道穿孔患者の縦隔炎では医原性の乳び胸を考慮する.

第一選択

  • 診断的胸腔穿刺を行う.膿胸にはカテーテルまたはchest tubeによるドレナージ.
  • この年齢層での血栓溶解薬の安全性と役割は不明である.
  • 経験的治療
  • 院内発症または生後<14日:CFPM
  • 在胎期間≦35週6日:60mg/kg/日12時間ごとに分割
  • 在胎期間≧36週:100mg/kg/日12時間ごとに分割
  • 市中発症,生後≧14日,黄疸なし:CTRX 50mg/kg/日
  • 特異的治療
  • MSSA
  • 在胎期間≦34週6日,生後<7日:50mg/kg/日静注12時間ごとに分割
  • 在胎期間≦34週6日,生後≧7日:75mg/kg/日静注8時間ごとに分割
  • 在胎期間≧35週,生後<7日:75mg/kg/日静注8時間ごとに分割
  • 在胎期間≧35週,生後≧7日:100mg/kg/日静注6時間ごと
  • 在胎期間<33週6日,生後<7日:50mg/kg/日静注12時間ごとに分割
  • 在胎期間<33週6日,生後7~28日:75mg/kg/日8時間ごとに分割
  • 在胎期間≧34週,生後<7日:100mg/kg/日12時間ごとに分割
  • 在胎期間≧34週,生後>7~28日:150mg/kg/日8時間ごとに分割
  • MRSA
  • VCM 60~80mg/kg静注1日3~4回に分割(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)
  • VCM用量に関する注:腎機能が正常な満産の乳児および年長の小児では,従来のVCM 45~60mg/kg/日ではしばしば目標AUCに到達しない.ほとんどの非CNS感染ではAUC24 400μg/mLをめざす(Clin Infect Dis 71: 1361, 2020

第二選択

  • その他の病原体については,それそれの項を参照

抗微生物薬適正使用

  • CEZは,おそらくNafcillinと同等で,髄液が正常なら副作用はより少ない.
  • B群StreptococcusならABPC±GMにde-escalation,S. pneumoniaeならABPC
  • 胆胸症および漏出液と膿胸を混同しないこと:細胞数,蛋白,培養により鑑別可能

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2025/11/04