日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

膿胸-新生児  (2023/11/07 更新)


臨床状況

  • 新生児の膿胸(生後0~1カ月).

病原体

  • 心臓手術または気管食道瘻(TEF)患者の胸膜炎では医原性の乳び胸を考慮する.

第一選択

  • 診断的胸腔穿刺を行う.膿胸にはカテーテルまたはchest tubeによるドレナージ.
  • 在胎期間≦34週
日齢
MSSA
MRSA
生後0~7日
Nafcillin(またはOxacillin)25mg/kg静注12時間ごと
VCM 60~80mg/kg/日静注3~4回に分割(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす[AUCを目標にするほうが望ましい])
生後7~28日
Nafcillin(またはOxacillin)25mg/kg静注8時間ごと
VCM 60~80mg/kg/日静注3~4回に分割(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす[AUCを目標にするほうが望ましい])

  • 在胎期間>34週
日齢
MSSA
MRSA
生後0~7日
Nafcillin(またはOxacillin)25mg/kg静注8時間ごと
VCM 60~80mg/kg/日静注3~4回に分割(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす[AUCを目標にするほうが望ましい])
生後7~28日
Nafcillin(またはOxacillin)37mg/kg静注6時間ごと
VCM 60~80mg/kg/日静注3~4回に分割(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLをめざす[AUCを目標にするほうが望ましい])

  • VCM用量に関する注:腎機能が正常な乳児および年長の小児では,従来のVCM 45~60mg/kg/日ではしばしば目標AUCに到達しない.ほとんどの非CNS感染ではAUC24 400μg/mLをめざす(Clin Infect Dis, July 13 2020

第二選択

  • 在胎期間<32週
日齢
MSSA
生後0~14日
CEZ 50mg/kg静注12時間ごと
生後14~28日
CEZ 50mg/kg8時間ごと

  • 在胎期間≧32週
日齢
MSSA
生後0~7日
CEZ 50mg/kg静注12時間ごと
生後7~28日
CEZ 50mg/kg8時間ごと

抗微生物薬適正使用

  • CEZは,おそらくNafcillinと同等で,髄液が正常なら副作用はより少ない.
  • B群StreptococcusならABPC±GMにde-escalation,S. pneumoniaeならABPC
  • 胆胸症および漏出液と膿胸を混同しないこと:細胞数,蛋白,培養により鑑別可能

コメント

ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2024 Life Science Publishing↑ page top
2023/11/06