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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
膿胸,胸膜-概説
(
2023/05/16 更新
)
膿胸,胸膜腔感染
概説
漏出性胸水(すなわち非炎症性)と滲出性胸水の鑑別基準(
Am Fam Physician 90: 99, 2014
参照).
Lightの基準:胸水/血清蛋白比>0.5,胸水/血清LDH比>0.6,胸水中LDH>正常時の血清LDH上限の0.67倍,の3つのうち1つが存在すれば滲出性胸水.
より特異性の高い他の基準(
JAMA 311: 2422, 2014
):コレステロール>55mg/dL,LDH>200単位/L,または胸水/血清コレステロール比>0.3.
鑑別
単純性肺炎随伴胸水滲出(少量から中等量で流動的,pH>7.20,グルコース>60mg/dL,培養およびグラム染色は陰性)は自然寛解することが多い.
複雑性肺炎随伴胸水(大量,被包化,壁側胸膜肥厚,培養およびグラム染色の陰性,pH<7.20,グルコース<60mg/dL)はしばしばドレナージが必要となる.
膿胸(複雑性肺炎随伴胸水の特徴に加えて,膿の存在,培養またはグラム染色が陽性)はドレナージが必要±広範な胸膜線維化を伴う小房性貯留に対しては被膜剥離またはビデオガイド下の胸腔鏡手術.
小児の膿胸に関するIDSAのガイドライン:
Clin Infect Dis 53: e25, 2011
.
組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)10mg+DNase 5mgを胸腔チューブを通じて胸腔内へ注入・1日2回を3日続けたところ,排膿が促進され,膿胸患者の手術回数と入院日数が減少した:どちらの薬剤も単独使用では効果がなかった(
N Engl J Med 365: 518, 2011
).
ランダム化比較試験12件を対象としたコクランレビュー(
Cochrane Database Syst Rev 2019: CD002312, 2019
)では,複雑性胸腔内胸膜滲出または膿胸を有する患者において,胸腔内線溶療法は,外科的介入および全治療失敗の減少と関連したが,死亡率は減少しなかった.
結核が疑われる場合,胸水を検査室に送り胸水中のアデノシンデアミナーゼ(ADA)を調べるとともに(
Expert Rev Respir Med 13: 747, 2019
),胸膜生検を行い,
Mycobacterium
の培養と組織学検査を行う.分子検査では感度が低すぎて診断を除外できない.
Staphylococcus
による膿胸は,通常は,接触感染,肺炎,および敗血性塞栓症の合併症である.
病態生理,診断,治療についての総説:
Life (Basel) 13: 376, 2023
.
関連項目
新生児の膿胸
乳児と小児(<5歳)の膿胸
小児(>5歳)と成人の膿胸
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2023/05/15