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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
肺炎-新生児,生後1カ月未満
(
2023/12/12 更新
)
臨床状況
生後1カ月未満の新生児での肺炎の主症状は,頻呼吸±呼吸仕事量の増大(うめき声,鼻孔開大,退縮).
新生児肺炎の病原細菌は新生児敗血症と同じ.
生後30日未満の新生児が発熱した場合は,新生児敗血症を想定して血液培養,腰椎穿刺,血算を行う.RSウイルス,インフルエンザウイルスおよびその他の呼吸器ウイルスの検査は,特に秋と冬には有用である.
無熱性肺炎症候群は通常生後2~4週以降の新生児でみられる,病原体としては
C. trachomatis
,
Mycoplasma hominis
,
Ureaplasma urealyticum
があり,サイトメガロウイルスや
Pneumocystis jirovecii
による場合もある.
この項では,挿管されている乳児での人工呼吸器関連肺炎に関する内容は扱わない.
病原体
初期
B群
Streptococcus
E. coli
S. pneumoniae
RSウイルス
他の呼吸器ウイルスはまれ
S. aureus
サイトメガロウイルス
T. pallidum
L. monocytogenes
Toxoplasma gondii
後期
S. pneumoniae
B群
Streptococcus
C. trachomatis
Mycoplasma hominis
Ureaplasma urealyticum
RSウイルス
インフルエンザウイルス
ヒトメタニューモウイルス
Pneumocystis jirovecii
第一選択
高ビリルビン血症のない満期産児では
CTRX
75~100mg/kg/日 1日1回が使用できることがある
ABPC
+
GM
±
CTX
MRSAのおそれがあれば,
VCM
60~80mg/kg静注1日3~4回に分轄(目標AUC
24
400~600μg・h/mL達成が望ましいが[
AUC-用量設定の原理と計算
を参照],そうでなければトラフ値10~15μg/mLを目指す.ただし,AUCの方が標的として望ましい)
C. trachomatis
に対して:
EM
12.5mg/kg経口または静注1日4回・14日,または
AZM
初日10mg/kg経口または静注,その後5mg/kg経口または静注1日1回・4日
用量は体重および/または年齢に基づく.コメント参照.
第二選択
CFPM
150mg/kg/日・8時間ごとに分割
MRSAが確認されれば,
VCM
(上記),
CLDM
または
LZD
10mg/kg8時間ごとが選択肢となる.
用量は体重および/または年齢に基づく.コメント参照.
抗微生物薬適正使用
限られたデータからだが,プロカルシトニン低値は細菌性肺炎の陰性適中率が高いことが示されている.
ウイルス性感染が確認され,患者が回復傾向なら,抗菌薬は中止しうる.
この年代のインフルエンザ関連肺炎の治療にオセルタミビルが承認されている.
コメント
VCM:従来の40~60mg/kg/日の用量は,満期産児および腎機能正常な年長の小児では目標AUCに達しないことが多い.AUC
24
を用い,400μg/mL近くを目標とすれば,中枢神経系以外のほとんどの感染症には十分である(
Clin Infect Dis 71: 1361, 2020
).
最適治療期間は定まっていない.成人では短期間治療でも有効だが,小児での信頼できるデータはない.
新生児が,完全非経口栄養のようなカルシウム含有静注溶液(持続静注を含む)による治療を必要とする(または必要と予測される)場合には,CTRXは禁忌である.
体重/年齢に基づく用量:
体重<2000g
生後7日まで
ABPC
50mg/kg静注12時間ごと
GM
2.5mg/kg静注18~24時間ごと
CTX
50mg/kg静注12時間ごと
生後7~28日
ABPC
50mg/kg静注8時間ごと
GM
2.5mg/kg静注12時間ごと
CTX
50mg/kg静注8時間ごと
体重≧2000g
生後7日まで
ABPC
50mg/kg静注8時間ごと
GM
2.5mg/kg静注12時間ごと
CTX
50mg/kg静注12時間ごと
生後7~28日
ABPC
50mg/kg静注6時間ごと
GM
2.5mg/kg静注12時間ごと
CTX
50mg/kg静注8時間ごと
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2023/12/11