日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Streptococcus agalactiae,B群Streptococcus  (2023/10/17 更新)
B群Streptococcus,S. agalactiae


臨床状況

  • 新生児髄膜炎および菌血症,周産期感染の重要な原因菌である.
  • 成人の非妊娠女性および男性で感染を起こすことがある;リスク因子としては老齢,糖尿病,肥満,肝疾患,悪性疾患,HIV.
  • 感染のタイプとしては,分娩後子宮内膜炎,菌血症,産褥性敗血症,創部感染;原発性菌血症,心内膜炎,髄膜炎,肺炎,敗血症性関節炎,皮膚・軟部組織感染,尿路感染.毒素ショック様症候群の報告:Clin Infect Dis 17: 26, 1993
  • 診断は,血液,髄液,痰,尿または他の感染部位からの本菌の分離による.

分類

  • グラム陽性レンサ球菌

第一選択

成人
  • 髄膜炎:PCG 400万単位静注4時間ごと
  • 心内膜炎:PCG 400万単位4時間ごと+GM 1mg/kg静注8時間ごと
  • 菌血症,皮膚・軟部組織その他の感染:PCG 200万単位静注4時間ごと
新生児および乳児
  • ABPC 100~150mg/kg/日を3~4回に分割投与+GM 2.5mg/kg 8~24時間ごと・体重と年齢に応じて(感染がコントロールできれば中断できる可能性もある),
  • PCG 20万~40万単位/kg/日
  • 髄膜炎または心内膜炎:ABPC 100mg/kg静注6時間ごと,またはPCG 40万単位/kg/日+GM 2.5mg/kg 8~24時間ごと・体重と年齢に応じて(感染がコントロールできればGMを中断できる可能性もある).
  • 菌血症,皮膚・軟部組織その他の感染:

第二選択

ペニシリンアレルギー患者
  • 成人:
  • VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(トラフ値をチェック,目標15~20μg/mL)
  • CTRX 2g静注24時間ごと
  • CLDM 600mg静注8時間ごと(感受性を確認する必要あり,下記コメント参照)
  • 小児:投与スケジュールについては,VCM参照.

抗微生物薬適正使用

  • 治療期間は10~14日.例外は心内膜炎と骨髄炎で,これらは4~6週治療.

コメント

  • ABPCとペニシリンは有効性は同等で,相互に置き換えられる.
  • AMPC 500mg経口1日3回・10日は尿路感染症で治療選択肢となる.これらの感染症は中高年女性に多く,尿路異常(たとえば結石)と関連していることもある.
  • 腎毒性が増強されるため,可能ならばVCMとGMの併用は避ける.
  • GMは,心内膜炎患者で併用薬の効果増強のために用いられ,感染がコントロールされるか,あるいは2週間たてば中止してもよい.
  • 髄膜炎の乳児において,無菌状態が確定するまで腰椎穿刺は48~72時間ごとに繰り返されるべきである.もし培養が陰性の場合は,GMを中止することができる.
  • 重度βラクタムアレルギーで重症感染の患者に対する選択肢としてCLDMを考慮する場合には注意が必要:
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2023/10/16