日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Ureaplasma urealyticum  (2024/07/16 更新)
U. urealyticum Ureaplasma parvum


臨床状況

  • 下部生殖器に定着するが,病原性となることもある.
  • 個人間で性的接触により感染するが,垂直感染もある.
  • 専門家の間でも病原性か定着かについては議論があるが,症状があれば治療するという意見がほとんどである.
  • 男性の尿道炎および女性の生殖器感染に関連する.
  • 新生児敗血症,髄膜炎,肺炎症状がみられる.
  • Mycoplasma属と同様,免疫抑制患者(特に臓器移植後の抗体欠乏患者),早産児で病原性となりうる.
  • 関連する臨床症状としては,尿生殖器感染,関節炎,骨髄炎,早産あるいは羊膜炎,菌血症,肺炎,髄膜炎,心内膜炎,膿瘍がある.

診断/分類

診断
  • 培養困難な細菌で,in vitroでの培養には特別な条件が必要であり,それを満たせる施設は多くない.
  • NAAT検査は普及していないが,認定された施設では可能なところが増えている.
  • 臨床的に疑いがあれば,特に高アンモニア血症患者では経験的治療が適応となる,
  • 尿,新生児の鼻咽頭,喉および気管内分泌物よりも尿道スワブの方が良い.
分類
  • 微少な自由生活性細菌(Mycoplasmaに類似)で細胞壁がなく(グラム染色で染まらない),そのためβラクタム薬はすべて無効.

第一選択

  • DOXY 100mg経口/静注†・7~14日(治療期間は臨床症状次第)

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • AZM 500mg経口/静注・10~14日
  • LVFX 500mg経口/静注1日1回,またはMFLX 400mg経口/静注1日1回)・10~14日
  • 高アンモニア血症なら,多くの専門医はUreaplasmaMycoplasmaを標的とした処方を行うが,感受性は異なっている.特異的なデータは少ないが,M. hominisはマクロライド系薬に耐性であるため,これら2つをカバーしようとするならDOXY+フルオロキノロン系薬が,おそらくは最良の選択肢であろう.

抗微生物薬適正使用

  • 現在では耐性獲得の報告が多くなっているが,薬剤,細菌,対象患者集団によって状況は異なる.
  • in vitro感受性検査および分子耐性検査は,特に播種性感染では,有用な治療の指針となるが,広く使用可能なものではない.

コメント

  • 診断に時間がかかることがあるため,症状のある患者では経験的治療を開始すべきである.
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2024/07/16