日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Mycoplasma hominis  (2024/06/25 更新)


臨床状況

  • 尿生殖器の上皮細胞に付着し,感染ではなく定着であることが多い.
  • 定着は性的成熟と相関する.
  • 成人の尿生殖器感染(尿道炎,尿路感染症,骨盤内炎症性疾患,絨毛膜羊膜炎)に関連する.
  • 特に粘膜バリアが障害された場合に,とりわけ新生児や免疫不全者(特に抗体欠損)で播種性となることがある.
  • 新生児:髄膜脳炎,菌血症,肺炎
  • 性器外感染(創傷,関節,肺,中枢神経)は,通常免疫不全者で起こる.

診断/分類

  • 診断
  • 培養は非常に困難なため,診断は通常はNAATによるが,可能ならば培養と認定施設でだけ行われているNAATを組み合わせる
  • 関節,弁膜,脳脊髄液のNAATは診断的とみなされるが,性器または尿路では定着の可能性がある.
  • メタゲノミクス解析手法/次世代遺伝子解析技術により無菌部位(脳脊髄液,血液)での診断が改善されている.
  • 分類
  • 微少な自由生活性細菌であり細胞壁がないため(グラム染色で染色されない),βラクタム薬はすべて無効である.

第一選択

  • DOXY 100mg経口/静注†1日2回・7~14日(治療期間は臨床症状に依る)

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • LVFX 500mg経口/静注1日1回,またはMFLX 400mg経口/静注1日1回)・10~14日
  • CLDM 900mg経口/静注8時間ごと・10~14日(妊婦でも安全)

抗微生物薬適正使用

  • 通常はマクロライド系薬,アミノグリコシド系薬,ST,βラクタム薬に耐性.
  • 耐性が発現しやすい.

コメント

  • Ureaplasmaと臨床症状が大幅に重なる.
  • 免疫不全患者,特に肺移植レシピエントでの非肝性高アンモニア血症と関連する(Curr Opin Infect Dis 35: 262, 2022).症状としては,高アンモニア,神経学的症状(脳症,けいれん,脳浮腫)がある.診断が困難で時間がかかることがあるため,多くは経験的治療が必要となる.
  • 感受性がさまざまであるため,重症感染ではDOXY+フルオロキノロン系薬の2剤併用が行われているが,決定的データはほとんどない.
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2024/06/24